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11.20
 六道は夕日に照らされて風で髪が靡いている。まるで…藍いバラをみているかのように。だけど…それは弱々しく、か細かった。
「六道…。」
 俺は独り言のように小さく呟いた。それに気づいた六道は振り返った。その目は涙で溢れ出ていた。俺はゆっくりと六道に近づいていく。
「…見る?」
 六道は一枚の紙を俺に渡す。俺はその絵を見る。クラスの皆が描かれた絵だ。その世界観に引き込まれそうになる絵は言葉を失ってしまうほど凄かった。だけど…。何故だろうか。そこには六道の姿は無かった。
「六道。なんでこの中に居ないんだ?」
「私は…この中には入れない…。」
「どうしてだ…?」
 六道に絵を返すと机の上に置く。まるで自分は入りたくないと言っているかのように。
「私は…この中に入ってもいいのかな…。」
六道は泣き始める。弱った心を必死に支えるかのように。何で俺は守れなかったのだろうか。何故こんなにも苦しんでいる六道を…。
「六道も入るべきだよ…。」
「私なんか入れないよっ! さっきのも見ていたでしょ!? あの中に入れずに…。私は!」
「六道!」
 俺は六道の肩をガシッとつかむ。六道の…藍色の目が見える…。そこには…。
「…バラ?」
「えっ…。」
 バラが…見える?そしてもう一つ…撫子…。
 チャリン
 六道の首から何か出てきた。藍色の…ペンダント…?あれ…何かが入って…くる。時間が急にゆっくりになって…。
「拓斗…。」
「待って!」
「えっ。」
 六道の声にはすぐに反応できた。だけど何か来そうな気が。これは…。

『これって…ネックレス?』
『撫子のために用意したんだ。その目に合うように藍色のを。』
『うれしい…ありがとう!』

「クリスマス…プレゼント?」
「拓斗?」
 そうか…俺は六道とクリスマスデートを。思い…出せる。

『 ねぇ、見てみて! この道の景色、とても綺麗だよね! 』

 これは…。秋のデート? その間には姫宮さんを助けるために。

『 ヴィクトリア・レーフグレーン!! 六道撫子!! 』

「そうだよな。俺はイギリスに行ったんだよな。」
「そうだよ…。拓斗…!」

『どう、私の水着…。似合っている?』

 最近のことから思い出していく。俺は…。俺は…。

『 ……えへへっ。私からキス…しちゃった。まだ口は勇気が出ないから…頬に。 』

「夕日とキスが…。」
「そうだよ、拓斗…!」
 まだ…思い出せる。俺が思い出したいのは何故六道と付き合うことに。そして好きな理由…。

『 何で私のことを優しくしてくれるの…。私はそんな好かれるような人じゃないよ…。 』
『 六道のことが…大好きだから。 』
『嘘つかない?…うっ…こんな私でもいいの?…ひぐっ…。』
『あぁ、もちろん。』
『 約束…だよ。 』

 大好き…。俺は…六道のことを…。

『 今日はありがとう! 明日も学校でね! 』


「……撫子…。」


 俺の目から涙が溢れ出てきた。俺は撫子の顔を見て心が癒されていく。俺は…撫子のことを…。
「拓斗…。」
「あぁ、今までごめんな…やっと…思い出せたよ。撫子。何故好きになったのかを。そして…一生撫子のことを守ることを…。」
 俺は顔をしわくちゃにさせながら泣く。撫子の顔は嬉しさでいっぱいになっていた。か細い藍のバラと…明るい撫子、そして優しい愛が…。
「もう…心配かけないからな。ずっと一緒だ…。」
「うん、いつもの拓斗に戻って…。良かったよ…。」
「撫子…。」
「拓斗!」
か細い藍のバラ2
 撫子は俺に抱きついた。強く…だけど優しい…。辛い思いをしてきた俺は強く抱き締める。
「ありがとう…ありがとう…。」
「これから…ずっと一緒だよ…。」
「ああ。」
 俺は抱き締めたまま顔を近づける。そして優しくキスをする。撫子の心がまるで綺麗になっていくかのように…。もし神様がいるのなら本当におれは恵まれている。こんなにもタイミング良く…。感謝、感謝だ…。
「白羽根!」
 後ろから友達たちがやって来た。俺は笑った。こんな仲間たちと出会えたことが奇跡だと。そして…永遠のパートナーが目の前にいる。撫子は泣きながらも俺に笑顔を見せた。

「大好き!」



 目の前には世界一最高の笑顔でいる撫子の姿があった。



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