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08.28
「…えっ?」
 彼女は涙を残しながらかすれた声で驚いた。勢いでいってしまった自分にも驚いている。でも言ったなら最後まで言わなければ。
「俺、あの後六道のことを調べたんだ。たしか同人誌やっているんだよね。それに六道はいろいろとすごい人だってわかった。でも世間は賛否両論だった。……それ見て辛いか?」
 俺は最後の言葉を恐る恐る言った。彼女はうつむいたまま答えた。
「……辛い。」
 その言葉が俺の心に重くのしかかってきた。六道は相当辛い思いをしている。
「だよな……だから俺が心の支えになってやるよ。」
「…でも、それじゃあ白羽根君にも迷惑かけちゃう。ほかの人に迷惑かけるのが一番辛いから。」
「俺は迷惑じゃないよ。俺はもう一度笑顔の六道が見たいんだ。」
「…っ。」
 六道は目をうるうるさせながらこちらを見てきた。そんな目で見られると抱きしめたくなるじゃないか。
「……ごめんね、すごく…すごく嬉しいのだけど今はこの状態だから…。」
 そういって彼女はトボトボと歩いていった。そして最後に一言残していった。
「返事は…今日の帰りでお願い。」
 返事は…今日の帰り…。俺はそこまでの時間がとてつもなく遠く感じた。
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