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08.31
「私はメルジ国出身よ。」
「えっと、人間であってるかな?」
「そうです。」
 確かに人間なのは変わらない。いや、人間だ。だけど…。あの時からクレイナは…。
「その義手と義足なのは…何かあったから?」
「そうですね。」
「ごめんね、なんか無理に聞いて。そんな無理には答えなくていいよ。」
 アリスは一生懸命クレイナに謝っていたがクレイナは何に対して謝っているのかわかっていないようだった。いや、むしろ怒ってなんかはいないように見える。
「私は特に怒ってませんよ。」
「え、…そう?」
「ええ。ナーニャは私の義手義足の理由は知っているかしら?」
「いえ、まだ知らないです。」
 ナーニャが答えるとクレイナは珍しく大きく深呼吸した。かといって表情は特に何も変わっていなかった。
「そうですね、私は人間のときの名前はカナ・ミヤビという名前でした。」
「人間…の時?」
「ええ、ゴブリンがたくさんすんでいるローア国で二年前に起きた反民主派の人たちによる魔法銃乱射事件はご存知でしょうか?」
「知っているよ。」
「私もあのニュースには興味もあったし、調べてもいたわよ。…えっ、カナ・ミヤビよね?」
 ナオが突如何かを思い出したような顔をした。そしてナオがクレイナの顔を見る。
「もしかして…。」
「はい。あの時私はその事件場所にいました。そのときに体の左側を打ち抜かれまして。」
「えっ、でも…あの時は死亡って警察から情報を聞いたのだけど…。」
 俺たちの周りに座っている人たちが何か怖い顔になる。たしかにそうだ、これを知っていたのはクレイナの家族と親族、そして親友だった俺と俺の家族でしか知らないことだ。
「はい。あの後、そのとき私は機械治療を受けました。でもそれは正式に認められないものでして。だから私は半分が人間、そして機械の入った人なんです。」
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08.31
「では、ピュアプラチナさん。もし何か要望あれば言ってください。今回はあなたたちのライブなので自由に要望を言っていただけると良いものができると思われます。」
「わかりました。よろしくお願いいたします。」
 私たちは今回のライブの流れを確認するために歌い始める。いままで合同練習は何度もしてきたけれど、今回のステージを使っての練習はこれが始めて。うまくいけるとうれしい。
「おっけーです。」
 私は次の曲に移るまでの工程を行った。ここから修正するべきところを各々が言っていく。
「千代乃さんは何かありましたか?」
「そうですね、一曲目なのでもう少し派手にライトを動かしてもいいのではと思いました。」
「ちょっとサビの部分が物足りないかな?」
 私たちの要望に係りの人たちが指示を出している。そして作業を行っていくと再度私たちの方を見る。
「それではサビ前から行きます。」
 音楽が流れて、ライトの証明の動きを確認する。今回は納得行くような動きになっている。それにつれて後ろのダンサーや音楽の人たちも動いている。それを恭花さんと楓はじっと見ていた。
「ライトの方は大丈夫です。楓、恭花さんは何か。」
「私はライトに関してはその訂正で問題ないと思ったよ。えっとね、もう少しドラムの音量下げてもらえますか? バランス的に大きいかなと。」
「バックダンサーの人たちはもう少しサビに入ったら後ろに移動しながら広がっていくと良いと思います。ちょっと動きお願いします。」
 すると音楽の人たちもダンサーもそれぞれの動きをまた始める。恭花さんと楓はそれを確認するように見るとうんうんとうなづいていた。
「うん、おっけー!」
「こっちも大丈夫、次いきましょう!」
 皆が納得して次の曲へと進んでいく。私たちも、もっとがんばらないと!
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08.31
海鳳「これ、伸びるぞ!!」
瀧澤「うっそだろ…。レフトバック!」
 私は立ち上がった。私だけではなくベンチの誰もが立ち上がっていた。守っている人たちは予想外の出来事に一瞬硬直していた。打球はレフト方向へとグングンのびていく。これって…まさか。
 ポーン!
暁美「うっそ…。」
由紀「ホ、ホームラン? っしゃあ!!」
 由紀がいつも見せない喜びを見せてくれた。まさかまさかのホームラン、由紀にしてみれば人生何回目のホームランなのだろうか。すごく嬉しそうにダイヤモンドを回って行く。まさかまさかの場面で同点になった。しかも相手投手は暁美さんから…。
亜弓「ナイバッチ由紀!」
由紀「ありがとう! 私もびっくりしたよ! まさかホームラン打てるなんて。でもね…、すごく手がしびれてね。」
 由紀は痛そうな顔をしていた。たしかにあれだけの威力のある球を投げてきたらそう簡単に飛ばせることはできないし、無理にいったらやられてしまう可能性だってある。
瀧澤「ドンマイドンマイ、そういう時もあるさ。」
暁美「(まさか由紀に打たれるなんて。でもまだ試合は終わっていない。)大丈夫だよ、こっからもしっかり投げるから。」
 シュゴオオオ バシン!
 ストライクバッターアウト!
暁美「ふぅ。」
 暁美さんはまったく動じることなく次のバッターを抑えていく。これだけ安定している投手は…そういない。私も…負けないように投げなければ!

 シューーー バシン!
 ストライクバッターアウト! ゲームセット!
審判「集合!」
亜弓「ふぅ…。」
由紀「引き分け…だね。」
 試合が引き分けで終わった。こういう流れになるとはまったくも予想していなかった。でも…延長戦があったらどうだっただろうか。結果はどうであれ、引き分けという大健闘で終えることができた。
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08.28
「そうだよ? 私は人魚の性質を強く受け継いでいるからこうなっているだけで、クォーターだよ?」
「ってことは法が決まる前から人間と結婚してたってこと?」
「まあ、そういうことになるよね。」
 ナオの言葉に皆が驚いていた。それもそのはずだ。まだ法が決まっていない時に結婚をしたのだから、まったく俺たちが知らないようなルートで進んでいったのだろう。人魚族はそれを受け入れていたのだろうか。
「お互いに不安とかあったのかな?」
「そりゃおじいさんおばあさんはあったと思うよ。だけど私の父と母の世代になって丁度法が出来てね。私はその数年前に生まれていたんだけど、その後に国からの支給も入るようになって両親は喜んでいたよ。」
「そうなんですね。なんだかんだでこの法律が出来てから私達は助けられているよね。」
 俺たちは法律のことを考えた。交流するようになってからおおよそ二十年前後といったところか。これだけ俺たちの人間社会に浸透して、生活も大きく変わった。便利になって、そして多くの歴史を知ることが出来た。これ以上に良いことはない。
「ところでクレイナって何処の人?」
 俺はハッと気づいた。そうだ、クレイナは…。
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08.28
「こちらです。」
「おお、やっぱり良い場所だね! さすがドーム!!」
 私達はドームに設置されている私達専用のライブステージを眺めていた。ここで明日…ライブを行っていく。ピュアプラチナが始まってのソロライブ、そして一大イベントになる。グッズも用意されていて、ステージの装飾もイメージ通り、完璧な形として用意されていた。
「本当にすごいね。あ、アレはアリスが用意して欲しいって言っていたものじゃない。」
「私のセンター曲にアレを使いたいなって思っていてね! こっちは楓の頼んでいたものだね!」
「どうしても今回は生演奏も含めてのライブがしたいなって思っていて! 恭花さんはダンサーをお願いしたんだっけ?」
「そうそう。私の曲に合うかなって思ってね。千代乃は何を要望したの?」
「私はこのライブ中にいろいろとあるものを使ってみようかなって。たとえば雪を降らせたりとか!」
 私は要望していたものがどのように作動するか、係りの人に声をかける。そしてその機械を動かす。
 パラパラ…
「おお、これはいいね!!」
「ライトに当てたらもっと綺麗じゃない?」
「もちろんそれはやっていくつもりだよ。雪だけじゃなくて他のものもお願いしているけど。」
 私達はそれぞれ頼んでいたものを再確認していった。とても良い出来のものばかりだ。そして私達はこれから前日練習をこなしていかなければいけない。頑張っていかなければ。
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08.28
暁美「やったねっ!」
瀧澤「よくやったな。これで抑えていけば勝てるな!」
 相手チームのムードが上々になってくる。私のストレートが完璧に捉えられた。しかもボール球で。やっぱり暁美さんはすごい…。でも、まだ負けたわけじゃない。確かにヒットは一本も出ていないけど、だとしても仲間を信じて投げなきゃ!
由紀「(なんとか持ちこたえているみたいだけど…次私達が打たなきゃ、本当にメンタルでやられてしまう。亜弓が抑えてくれることと、私を含めたチームメイトがヒットを売ってくれれば…!)」

 バシューン!!
 ストライクバッターアウト!
暁美「ったあ!」
 シュゴオオオ バシン!
 ストライクバッターアウト! チェンジ!
亜弓「っし!」
 私は後続をしっかりと断つことが出来、マウンドを降りていく。しかしもうすでに回は七回の裏までやってきた。ここまで完全試合で抑えられている私達、そして由紀が三打席目のバッターボックスに入った。ここでヒットを打ってくれなければ…流れは完全に断ち切られるかもしれない。
由紀「(亜弓のためにも私は打っていかなきゃいけない。1失点、それも暁美さんにホームランを打たれたヒット一本、とんでもなく良いピッチングを見せている。だからこそ…私が打たなきゃ!)」
 暁美さんがゆっくりとマウンドから由紀のことを見つめている。そしてゆっくりと足を上げる。
暁美「(しっ!)」
 シュゴオオオオ
由紀「(力負けするならミートより思い切り振りに行って…!)」
 ギィイイイン!!!
由紀「えっ。」
暁美「なっ?」
亜弓「ええっ!?」
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08.27
「じゃあ俺からも質問。アリスの住んでいる所はどんな感じなの?」
「私は…まず今住んでいる場所はヌアボス地区だよ。そこのジ・スタリア高校に通っているよー。」
「へぇ、あそこって結構土地感が独特だよね。」
 ヌアボス地区ってことはそう遠くない場所にあるはず。日帰りでも普通に遊びに行ける場所だな。でも住んでいるってことは…。
「本籍は向こうか?」
「そそ、ヴィオヴィ族だからね。一応私が生まれたのはここ。」
「内陸の方なんだね。ヴィオヴィ族ってドラゴンの中では一番多いでしょ?」
「そうだよ。皆が知っている通り、男は翼を持って女は翼を持たない。私は人間とのハーフだけどもちろんその血は受け継いでいるよ。」
「たしかに。耳も特徴的だからな。」
「あの、セリアさんは?」
 俺たちが話しているとクレイナがセリアに問いかけてきた。そういえばセリアは俺たちと同じ地区だったけど本籍はどこなのだろうか?
「私は今クリスリア中学校に通っているけど、本籍はオーリーア族だからこの辺だね。妖精の純血だからね。」
「なるほどね。」
 俺たちはなんだかんだで出身に関していろいろとお話を続けていった。俺たちも人間といっても出身国は違ったりするからな。
「ところでナオさんは?」
「私は人魚だからね。結構珍しいでしょ? しかもクォーターだからね。」
「クォーターなの!?」
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08.27
「あー、楽しかった!」
「ライブもしっかりできていたみたいだね! 上手く行ってよかったよ!」
「そうだね! 見ているこっちも掛け声やっていたよね!」
 私達は番組が終わると雑談会が始まった。今回の番組の反省会、そしてこれからのことについてお話を続けていた。
「そうそう、そろそろ千代乃たちはライブだよね。初の大型ソロライブ、上手くいくといいね。」
「はい、上手くいくように頑張っていきます。」
「その後はどうしていくの? まだ学生だけど活動はしっかりとやっていくの?」
 優衣さんの言葉に私達は一瞬話し声が止まった。そうだ、私とアリスは受験、恭花さんはこれから大学生、そして楓は私達の後に受験がやってくる。それは紅音だって同じははず。紅音たちはどう考えているのだろうか。
「私達はこのまま続けていくつもりだよ。ただ、受験が忙しくなってくる時期は活動を控えめにするつもり。」
 紅音たちはちゃんと答えを出せている。私達はまだ曖昧な部分だってあるはず。受験することは決まっているけど…。正式に活動はどうして良くかは決まっていない。
「千代乃たちは?」
「私達は…。」
 私達は皆の顔を見る。楓や恭花さん、アリスは笑っている。皆、やっていこうと思っているに違いない。
「私達もこのまま続けていこうと思います。それとソロに関しても活動を少しずついれていきたいと思っています。でも…やっぱりこのメンバーでの活動はメインでやっていきたいです。」
「そうなのね。わかった! それなら私達も全力でサポートするよ! と言っても私達もこれからもっともっと活動していかなきゃね。」
 私達はこれからも続けていくことを固く決意すると皆で頑張ることを誓い合った。これからも…ずっと。
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08.27
暁美「(さてと、本当にそろそろ点を取らないとまずいわね。)」
 暁美さんがバッターボックスに入る。やはりバッターとしてもこの威圧感はすさまじい。二刀流なんて簡単に思えてしまうほどの実力は持っている。だけど…ここで抑えなければ…突破口は開けない!
 シュゴオオオ バシン! ボールワン!
友亀「いいよいいよ、ナイスボール!」
暁美「(なんとなくのイメージはついた。ストレートは今なら…叩ける!!)」
 大きく深呼吸する。一球一球が疲れてくる。だけど疲れていたって…抑えなければいけないのはかわらない。ストレートなら私だって…!
 シュゴオオオオオ!
友亀「(高め…またボールか。)」
暁美「(振りにいけっ!!)」
 ギィイイイイイイイン!!
新天「なっ!?」
亜弓「うそっ…!」
友亀「レフト!!」
 打球は勢いよくレフト方向へと飛んでいく。ボール球だったはずなのに、手を出していった。しかも…ジャストミートで。
由紀「(ちょっと、これはまずいんじゃ…!)」
 ポーン!
暁美「っしゃあ!」
瀧澤「ナイスバッティング!!」
 ホームラン、こんなにも簡単に打たれるとは思ってもいなかった。しかも高めのボール球をあそこまで持っていかれるなんて…。
海鳳「(おいおいやべぇぞ。)」
池之宮「(こっちはヒット一本も出てない。)」
篤史「(全員が三振に押さえ込まれている。これは非常にまずいかもしれないな。)」
 暁美さんがホームを踏んでホームイン、先取点は富良野学院に取られてしまった。
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08.25
「それじゃあ、楽しんでいきましょう。乾杯!」
 俺が乾杯の挨拶をすると今日の人魔交流会が始まった。どこもかしこも異文化ばかりの会話が聞こえてきて開始早々から盛り上がっていた。
「おつかれ。」
「ありがとうクレイナ。そういえばナーニャは何か食べられないものあるか?」
「私は特にないよ。向こうに住んでいた時は何でも食べていたからね。」
「へぇ、どんなものがあるの? スフート族って戦闘民族って聞いたけど。」
 アリスはナーニャにかなり興味津々の様子だった。ナーニャはコップを置いて大きく深呼吸した。
「スフート族はまずアガート国の中にある三箇所の小さい島、今地図を見せるけど…これだね。ここの三つが私達スフート族の住んでいる島。」
「アガート国なんだね。」
「そうそう。それで私達は300人ほどの民族だからこの島にバラバラになったとしてもそれぞれの島の人たちは全員顔見知りなんだよ。それに近いからいけない距離じゃないから。」
 ナーニャが話しているとセリアやレイチェル先生、ナオさんもじっくりと聞こうとしていた。たしかに珍しい民族だからな。
「皆身長は大きいの? ナーニャは大きいけど。」
「そうね。私の同世代の仲間たちも同じぐらいの身長だったし、でも私だけハーフだから特殊な感じだったけどね。こっちの血を強く受け継いでくれたからこっちの生活も支障はなかったけどね。」
「なるほどねぇ。」
「そうだ。戦闘民族なんだからどんな感じの狩りをするのかなって思ったのだけど。」
「そうだね…じゃあ…まず目を見てくれる?」
 ナーニャは落ち着かせるように胸に手を当てると青い光を出していた。そして目を開ける。
「えっ、何コレ!?」
「目の形が…変わっている!?」
 俺たちはナーニャの目をじっくりと見る。しかし五秒後、瞬きをするとすぐに普通の目に変わった。
「戦闘状態に入ると私達の目はこんな形になるの。だけどこれは戦闘状態のみ。私は人間の血があるからある程度の押さえはきくのだけど、これがもしずっと出そうとしていたら…。」
「なるほど、狩りをするためのみに使うのか。」
「そうね。普段は落ち着いているんだけど、戦闘状態は私達の目を持っている人以外には攻撃をしてしまうぐらいに凶暴だからね…。あとは狩りの方法はつたを使って移動したり、ジャンプしながら弓でしとめたり、ナイフを使ってしとめたりするよ。」
 その話しを聞くと皆が想像し始めた。たしかにどんな狩りの方法をするかは全く思い浮かばない。俺もどうなっているか…気になる。
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08.25
「でたこの珍回答!!」
「アリスって本当に面白い発言するよね。この回答なんて普通ありえないでしょ!」
「私だってしっかり答えたんだよ!」
「素なのっ!」
 私達は笑いと笑顔に包まれながらテレビを見ていた。他にこれを見ている人たちはどんな気持ちでいるのだろうか。笑顔になってくれているだろうか。
「これならテレビを見ている人たちは楽しんでくれそうだね!」
「そうだね、皆で頑張ったから楽しんでもらえると嬉しいよね。」
 テレビを見ながら食事を食べ続ける。この楽しいテレビのおかげでご飯がもっと美味しく感じるようになっていく。
「あ、この場面はカットだね。」
「CMも始まったね。ということは次の部門はあの紅音が凡ミスで大爆笑した所か。」
「やめてよ! 思い出させないで!」
 私達は笑いに包まれている。こんな楽しいテレビにすることが出来るのなら、またやっていきたい…!
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08.25
 バシーン! ストライクバッターアウト!
亜弓「っし!」
 私はマウンドをゆっくりと降りていく。三振はここまで5つ、問題ないペースで抑えていっている。しかし相手の暁美さんの投球に全く歯が立たない。
 シュゴオオオ バシン!
 ストライクバッターアウト!
由紀「くそっ。」
 由紀も二打席ともヒットを打つことができていない。そう簡単に打てるとは思っていなかったけどまさかここまで抑えられているなんて。ここまで暁美さんに十連続奪三振をやられている。
 バシーン! バッターアウト!
 またアウトになっていった。この投手を攻略するには何をすれば良いのだろうか。当てたとしてもファールになると同時に力負けしているのが見える。特に由紀は目に見えて分かるようだった。
 ギィン!
海鳳「ぐっ!」
暁美「ファースト!」
 初めて三振ではない当たりになった。しかしファーストへの小フライ、振り遅れてもいた。
 バシン アウト!
瀧澤「ナイス! さあ、攻撃しまっていくぞ!」
 私達は休憩する間もなく守備へとつかなければならない。だけど打たれていないのは私も同じ。先頭は暁美さんからだから…抑えていけば!
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08.24
「こんばんはナオさん。」
「ツキカゼ君、どうも。二人は大丈夫かしら?」
「まあ…なんとか。ナーニャはここに来てから落ち着いてきたし。」
 俺とナオさんはナーニャとクレイナの方を見る。ナーニャは楽しそうに会話をしているし、クレイナも問題なく会話が出来ている。それにサストもいるし、そこにアリスとセリアが混ざっているから問題はなさそうだ。
「それならよかった。私も近くで座らせてもらうね。それと…。」
 ナオさんが俺の耳元に口を近づける。
「ここの中ではあの時のお話は無しで行きましょう。クレイナとナーニャが話しかけてきたらその時にってことで。」
「わかりました。」
 俺は普段どおりの顔でクレイナたちのもとへと戻っていく。するとレイチェル先生が戻ってきて俺の肩をポンと叩いた。そして笑顔を見せた。
「今回の新規メンバーの紹介に関してだけど、私とあなたで司会をやっていくよ。よろしくね。」
「え、マジっすか。てかもうすぐじゃないっすか。」
「いや、もうすぐじゃなくて、もう始まるよ。」
「うえー。」
 俺はレイチェル先生に引っ張られながら席に座っている人たち全員が見える位置へと移動した。そして後ろからクレイナたちもやってくる。
「えっと、今回も始めていきたいと思いますが、その前に新規メンバー、および体験で来ている人たちの紹介をしたいと思います。」
「えっと…それではまず…。」
 俺はマイクを出すと一番目の前にいたクレイナがサッと取っていった。
「クレイナです。シンヤとは同じ学校に通っています。よろしくお願い致します。」
 クレイナの淡々とした挨拶に一瞬会場が戸惑っていたがすぐに拍手が沸いた。クレイナを皆が受け入れてくれるのだろうか心配だったが、問題はなさそうだ。
「ナーニャ・スフート・エルです。よろしくお願いします。」
 ナーニャも問題なさそうだ。あの腕の紋章は見える位置にあるからな…。嫌悪感を持つ人が一人でもいなければいいけど。
「サスト・オルガバディです。よろしっくー。」
「アリス・ヴィオヴィ・セレナーデです! これからよろしくねっ!」
 サストも大人数のところは慣れている感じがするし、アリスはさすがというべきだな。これから楽しめればいいかな。
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08.24
「なにこの豪華すぎる料理の数々は。」
「この豪華さは以前にもあったような。」
「優衣さんは以前にも同じような食事をしたのですか?」
 私たちはアリスの呼んだコックの料理にただ驚いていた。まさかアリスの家に行ってこんな食事を出してくれるとは全く想像していなかった。
「それじゃあ、いただきます!」
「いただきます。」
 私は出された食べ物を一口入れる。その瞬間、口いっぱいに美味しさが広がっていった。皆で顔を合わせるとアリスの顔を見る。
「なにこの美味しさ! というより、コック呼んでくれてありがとう!」
「これは美味しすぎる!」
 皆が口をそろえて美味しいという言葉を言った。そして皆の顔が笑顔になっていく。そんな話しをしていると放送時間がやってくる。
「お、来たね。」
 私達がテレビに出ている。それだけではなく紅音たちや優衣さんたちもちゃんと映っている。どんなところがカットされてどんな所が放送されるのだろうか。どれも楽しかったからどんな表現になっているかが楽しみで仕方がない。
「あ、紅音が見えてる! こっちはルナが。」
「優衣もいるね。香澄の格好はやっぱり子供っぽいよね。」
「うるさいよっ!」
 楽しそうに見ている。私もその会話とテレビを見ているととても楽しくなってくる。そして皆の笑顔が見える。それだけでも心が癒されていく。このテレビを見ながら楽しまなきゃ。
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08.24
 私はマウンドをならすとバッターボックスの方を見る。
暁美「さてと、いきますか。」
 暁美さんがバッターボックスに入っていく。暁美さんが四番、バッティングに関しても十分なほどにレベルが高い。ここを抑えていけばなんとかなっていく。
由紀「(ここを抑えられるかどうかが勝負だよ。)」
暁美「(さてと、どんな投球を見せてくれるかな?)」
篤史「(試合に出たかったな。今日はスタンドから見ることになったけど、この八幡選手、やっぱりとんでもない選手だ。かといって打てない球ではないし、抑えられないバッターでもないけど、俺が打てたり抑えた所で他の人たちがなんとかしてくれなければ…。)」
 私がここで抑えなければ、試合の流れを一気にもっていかれる…。だから…ここはなんとしても!
 シュゴオオオ バシン!
 ストライクワン!
暁美「(まさか…ど真ん中、めっちゃいい球投げるね。強気ね。)」
友亀「(ど真ん中見逃した…。あっぶねぇ。)」
 私が思いっきり投げた球はど真ん中へと入っていった。だけど暁美さんはまったく振る様子は見えなかった。でも…ボールはしっかりと見ている。厳しいところをついていかなければ…!
 シュゴオオオオ
暁美「(内角低め、良いコース!)」
 ギィイイイン!
友亀「センター! 間に合う!」
暁美「(打ち上げすぎたかな。)」
海鳳「(おっけ! まかせて!!)」
 海鳳が落下地点へと思い切り走っていく。そして場所を確認すると両手を挙げて捕球体勢に入る。
 バシン! アウト!
亜弓「っし!」
由紀「いいよ! ワンアウト!」
 暁美さんからアウトを取った。これでワンアウト、一つ山を抜けた感じがした。これなら…後も問題なくいけそう…!
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08.18
「ただいま。」
「どうも、始めまして!」
「あのモデルのアリスさんですよね。ナーニャ・スフート・エルです。よろしくお願いします。」
「よろしくっ! スフートってあの民族なのね。珍しいね!」
「いえいえ…私は人間のハーフでして。」
「私と一緒だね! よろしくねっ!」
 アリスは民族のことを知っていながらも優しく接している。こういう仲間がいるととてもうれしい限りだ。それを聞いてほっとしているかのようにナーニャも笑っている。二人なら仲良くなってくれるかな…。
「えっと…あなたは?」
「クレイナです。よろしく。」
「よろしくねっ! えっと…もしかして魔法使えるけどハーフ? それともどこの種族? なかなか見ないね。」
「私は人間です。これは義手と義足です。」
「なるほどね…。」
 さすがにクレイナのような人はなかなか見かけないから見たことがないか。クレイナが魔法を使えるのは知っているが、アリスはそれに感づいているようにも見えていた。かといってクレイナがそこまで魔法を使いこなせるわけではないが。
「面白いね、君。」
「私でしょうか?」
「うん! よろしく。」
「こちらこそよろしくお願い致します。」
 アリスは無表情のクレイナに対しても問題なく接している。こんなに話しやすい人だなんて本当によかった。
「えっと、そっちが…。」
「サスト・オルガバディです。」
「あっ、どっかで見たことある! タクセスで全国大会に出てたでしょ!? たまたまテレビ見たときやっていて、もしかしてその人だったとは!」
「あれ、知ってくれていたなんて光栄だな。タクセスやっているのか?」
「趣味程度かな。そんなガッツリではないけどね。」
 サストにも興味を持ってくれているようだった。これなら…俺も問題はないかな。
「あ、ツキカゼくん。」
「あ、ナオさん。」
 俺はナオさんのもとへと向かっていく。この前のあれだから…きっとナーニャもクレイナも気づいてくれるだろう。
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08.18
「おじゃまします。」
「いらっしゃい。さああがって。」
「ねえ千代乃、アリスのお母さんすごく美人じゃない?」
「私も思った。なにあれ! 超スーパーモデルみたい!」
 私達は全員でアリスの家へと誘われて前に撮影した番組の放送を見にきた。しかもアリスは紅音のいるアイリングのメンバーと優衣さんがいるスノーフェアリーのメンバーまで呼んでいた。
「てか私、みたことあるかもしれない。あれって昔海外で有名だったモデルじゃない?」
「名前なんだっけ…けど目の前で見るとものすごい美人だね。」
 私達はアリスのリビングへといくとあまりの広さに驚愕した。お金持ちだということは知っていたけれど、ここまですごいとは思っていなかった。しかし私も含めて皆がアリスのお母さんがすごい美人だということしか頭になかった。
「皆、いらっしゃーい!」
「私達まで呼んでくれてありがとうね。」
「いえいえ! 一緒に番組を楽しんだ仲だし! それよりもご飯が出来たからテーブルに座って!」
 私達はテーブルに座った。目の前のテレビはかなり大きい。そして扉の空く音がした。
「お待たせしました。」
「え? 何!? 家にコックまでいるの?」
「あ…たしかに他の家庭ではなかなかやらないよね。お客さんが来たときは呼んでいるの!」
 アリス、恐るべし。
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08.18
 シュゴオオオ
由紀「(低めっ!)」
 ブシィ バシューン!
 ストライクバッターアウト!
由紀「(ここからノビるなんて考えてもいなかった。)」
暁美「おっけっ! ワンアウトー!!」
 由紀が簡単に三振になってしまった。それだけ暁美はものすごい投手だということに変わりはない。この投手から最低でも、一点をとらなければいけない。
由紀「大丈夫、次は点をとってみせるから。」
亜弓「由紀、うん。打撃は任せるよ。」
 バシューン!
栗山「(おいおい、しゃれにならないぞこの投手。)」
 皆タイミングがあっていない。格上の相手だということは私達は全員分かっているはず。だけど…なんとかしなければ。
 シュゴオオ バシーン!
 ストライクバッターアウト!
 シュゴオオオ
海鳳「(なんだよこれ…!)」
 バシューン! ストライクバッターアウト!
暁美「っし!!」
 暁美は三者連続三振を奪って悠々とマウンドから降りていった。でも…私だって負けてられない。私が抑えればいつか仲間が…!
友亀「さあ、切り替えて守っていこう!」
 友亀が声をかけると皆が気合を入れて守備へとついてくれる。私が抑えれば…向こうだってあせりが出るはず。それなら…!
暁美「そうそう、亜弓の球ってどんな感じだった?」
瀧澤「日高か。どっちかというとストレートの感覚は八幡に似ている。勢いはそれほどでもないけど、出所が分からない感じだな。」
暁美「わかった。いってくるよ。」
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08.17
「うわぁ…本当にすごいね。こんなにいるんだ。」
「そうだね。なんだかんだで人数は増えてきているからね。俺たちの席は…あそこか。」
 俺はテーブルの上に書かれた名札ボードを見つけてそこへ移動した。ナーニャとクレイナ、サスト先輩の席を見つけて誘導する。俺はそのままレイチェル先生のもとへと向かっていった。
「先生、何か手伝うことは?」
「あ、今は大丈夫よ。うーん、もし強いていうならセリアやナオ、それとアリスの相手をお願いしたいね。」
「了解です。それで、セリアは?」
「後ろよ。」
「うわっ、てか店の中で浮遊するなよ。」
 後ろからセリアの声が聞こえてきた。俺は身構えるようにセリアを見る。というか…さっきまで歩いていただろ。
「足元が危ないのだもの。それに風といっても周りに迷惑がかからないような飛び方しているから平気よ。」
「ふむふむ、そういう飛び方があるのね…これを見たら私もいかなきゃ…でもずっと見ていたい。」
「先生、恥ずかしいです。」
 先生も先生でこういうことになるとものすごい集中するからな。なんとかここは引き離しておいたほうが良さそうだな。
「セリア、ある程度いま聞きたかったこと聞いておこうか?」
「あ、そうですね、それじゃあお水をどうぞ。」
 セリアは魔法を使って水を注ぎ、コップを浮遊魔法で俺の所へと持ってきてくれた。やっぱり魔法を使えるっていうのは便利だよな。俺たちはどうやったって機械を使っていかなければいけないし。
「ああ、ありがとう。それじゃあお話を…。」
「セーリアッ!」
「キャッ!? やめてよ! 水が近くにあるからこぼれるでしょアリスさん!」
 突然紅色の髪をした女の子がセリアに抱きついた。よく見てみるとあのモデルのアリスが目の前にいた。
「あれ、アリスだよな。」
「雑誌で見たよ。あのファッション雑誌とグラビアでしょ!? すげぇよな。スーパーモデルだぜ。」
「あ、ごめんごめん! 話しの途中だったっぽいよね。私も混ぜてよ!」
「なんでですか! 私はこれから質問したかった所なのです!」
「まあまあ…落ち着けよ。」
 俺が声をかけるとアリスが俺の方を向いてきた。そしてまじまじと俺の顔を見る。
「およっ? あ、もしかしてレイチェル先生が言っていたツキカゼさんですか?」
「はい、シンヤ・ツキカゼです。」
「アリス・ヴィオヴィ・セレナーデよ! よろしくね!」
 意外と話してみるととても楽しく話しかけてくる女の子のようだ。それにレイチェル先生とセリアとは知り合いのようにも見えた。なんだろう、こんなモデルの女の子がいるのに俺は何にも違和感を感じない。むしろ普通の高校生と接しているような気分だ。
「というわけで、こんごともよろしくねっ!」
「アリスさん! 尻尾は振らないで! うれしいのは分かるけどテーブルに当たったら!」
「あ、ごめんごめん。」
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08.17
「ありがとう!!」
「ワァアアア!!」
 パチパチパチパチ…
 私が声をかけると歓声と拍手が沸き起こった。お客さんの顔を見ると笑顔になってくれていた。この方法は…ものすごく大成功だった。私達は皆で顔を見合わせて笑顔になり、もう一度声をかけた。そしてステージから降りていくと紅音や優衣さんたちが待っていた。
「お疲れ! よかったよ!」
「すごく見ていて楽しかったよ。最高のライブよ!」
 私達は大成功したという実感からか、全員でハイタッチをした。何かしていないと落ち着けない、それぐらいに嬉しかった。
「これならライブも上手くいきそうだね!」
「そうね、私達がもっともっと頑張っていかないと!」
「千代乃、これからも頼むよ!!」
「うん…うん!!」
 私はこの四人でライブができるのがすごく嬉しかった。こんなに楽しくライブを、ダンスを、歌を歌えるのが嬉しくてたまらない。これがずっと続いて欲しい。ずっとずっと、この四人で。
「さてと、エンディングまで仕事だよ!」
「頑張っていこう。」
 そして…最高の仲間たちと一緒に!
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08.17
 シュゴオオオ ギィン!
友亀「オーライ!」
 バシン! アウト!
瀬棚「(こいつ、想像以上にノビる。マジで落ち着いていかないとヤバイな。)」
 二番の瀬棚をキャッチャーフライに打ち取り、ツーアウト。ここでバッターはキャッチャーの瀧澤、富良野学院の中でも協力なバッターの一人なはず。落ち着いていけばストレートで抑えられるはず。
 シュゴオオオオ
瀧澤「(あいつの球を受けているおかげかな、どうノビるか想像できる!)」
 ギィイイン!
亜弓「えっ!?」
友亀「レフト!!」
海鳳「羽葉! バックだバック!」
 打球はレフト方向へとライナーで強烈な当たりで飛んでいく。初球からいきなりストレートを叩かれるとはまったく思っていもいなかった。
由紀「っらああ!」 
 バシーン! ズザザザ
 アウトー!!
新天「ナイキャッチ!!」
 由紀のダイビングキャッチで長打をアウトに変えてくれた。これでスリーアウトチェンジ、本当に助かった。
亜弓「由紀! ありがとう!」
由紀「大丈夫だよ! よし、今度はバッティングで魅せるからね!」
 由紀は嬉しそうな顔で私の肩をポンポンと叩くと走ってバッティングの準備を始めた。そうだ、私達がこれから向かう相手は暁美さんなのだから。
 バシューン!
瀧澤「ナイスボール! (このチーム、やっぱりいいな。いい試合ができそうだ。)」
暁美「ふぅ…。よし!」
 暁美さんが準備を終えると由紀がバッターボックスに入る。由紀がゆっくりと構えると暁美さんは集中し始める。なんだか…似た雰囲気を感じたことがあるかもしれない。
篤史「(こんな人がいたなんてな。周りの人と比べたら物が違う…。俺なら…どうだろうか。)」
 暁美さんが足を上げる。セットポジションから思い切り踏み込むと腕をしならせる。
暁美「っし!!」
 シュゴオオ バシューン!
 ストライクワン!
由紀「(うっわ、速すぎでしょ…。)」
館川「スピードガン見てみろよ。すごすぎだよアレは。」
 球速表示を見て私達は声すら出なかった。初球のストレートは156キロ、こんな球を投げれる人が高校生にいるのだろうか。いや、ここにいる。
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08.12
 レイチェル先生が浮遊車を止めると私達は降りる。そして目の前の看板を見る。
「さて、ついたよ。今日の会場は食べ放題『食楽』よ。」
「いかにもって名前だね。でも店の雰囲気はものすごく良いね。」
 ナーニャはお店の名前を見て答えた。たしかにどの食べ物も美味しそうに見えていた。クレイナもその看板を見ている。真顔だから何を感じているのかは分からないけど、同じようなことを考えているのだろうか。
「レイチェルさん、こっちです。」
「あ、ルマさん。」
 レイチェル先生がルマさんの元へいく。後ろから背伸びをしながら浮遊車から降りたサストがやってくる。
「なあ、あの人って誰だ?」
「ああ、あれは人魔交流会の創設者のルマさん。レイチェル先生とは昔からの仲らしいね。」
 俺はそんな話をしているとパタパタと音が聞こえてきた。
「ツキカゼ先輩、久しぶりです。」
「おお、セリアか。久しぶりだな。」
 パタパタとした羽を止めて着地すると俺の方へと近づいてくる。そして挨拶を交わすと俺の隣の三人を見た。
「この三人は?」
「ああ、俺と一緒の学校の友達。」
「クレイナです。よろしく。」
「よ、よろしく。」
 やっぱり真顔のクレイナにはなかなか初対面では難しいかな。でも…大丈夫そうだな。
「ナーニャです。」
「サスト・オルガバディだよ。よろしくな。」
「よろしく。」
 セリアは挨拶を終えると荷物を持って店の中に入っていく。その途中で足を止めて振り返る。
「今日、お話したいことがあるから食事中によろしくね。」
「ああ、わかった。」
 セリアはいつも質問してくるからな。まあある程度答えられるようにしなければ。
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08.12
「ありがとー!」
 紅音さんたちも曲が終わる。今度は私達の出番がやってくる。私は大きく深呼吸をすると皆の顔を見て笑った。そして右手を前に出す。
「今日のライブも頑張るよ。」
「もっちろん!」
「気合いれていこうね。」
「ファイトー!!」
 私達は声をかけあってライブに向けて気合を入れる。すると後ろからポンと背中を叩いてくれる人がいた。振り返ると目の前には優衣さんがいた。
「頑張ってね。新曲楽しみにしているよ。」
「はい、まかせてください。」
「千代乃、ラスト頑張ってね!」
 紅音も戻ってきた。私は紅音とハイタッチの構えをする。紅音は同じように手を出して構えてくれた。
 パチン!
「よし、いこう!!」
 私達は笑いあいながらステージへと向かっていく。観客の人たちは楽しみにしていそうな顔をして私たちを見る。そして私は大きく息を吸う。
「いくよーー!!」
「キャアアアア!!!」
 声をかけると同時にファンの人たちが大きな声で答えてくれる。そしてテレビを見てくれている人に向けても…笑ってもらえるように!!
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08.12
審判「礼!」
皆「っしゃあっす!」
 挨拶を終えると私はマウンドへと向かっていく。関係者以外は入ることが出来ないのだが、それにもかかわらず多くの応援団とギャラリーがいた。おそらく甲子園出場校との対決、そしてなんといっても暁美さんの注目が一番だろう。富良野学院といったら負け無しで進んできている。その記録がいつまで続いていくかも気になる所。でも…私達だって負けるわけにはいかない。
由紀「(頑張って、亜弓。)」
友亀「一回! しまっていくぞ!」
 私は大きく深呼吸する。これから迎えるのは高校最強のチーム、かといって弱気になっていたらダメ、勝つ気でいかなければ。そして先頭バッターがバッターボックスに入る。一番は二年生の中でもかなり足が速いといわれている小垣江(おがきえ)、私の球がどこまで通用するか…。でも…私ならいける!
 シュゴオオオオ バシン! ストライクワン!
小垣江「(やはり八幡の言っていた通り、ストレートのノビと出所の分からない投球フォームは厄介だな。これ打つのには苦労するぞ。)」
暁美「(夏の経験があったのかな。前よりも良い雰囲気になっている。それに…何か嬉しさを感じる。)」
 シューーーグッ ギィン! ガシャン!
 ファールボール!
 カットボールはしっかりと相手も当ててきた。だけどファールボール、そしてここで普通ならストレートで抑えたい所だけど、暁美さんは私のことを知っているはず。だから…あえてここは変化球勝負、スラーブで!
 シュッ ググググッ
小垣江「(変化球だと!)」
 ブシィ バシン!
 ストライクバッターアウト!
亜弓「っし!」
新天「ナイスピッチー!」
海鳳「ワンアウトー!」
 私が三振を奪うとスタンドから拍手が沸き起こった。公式戦以外でこんな感じになったのは始めの出来事、だとしてもこの雰囲気に飲まれちゃいけない。私は…皆と共に勝ちに行くのだから!
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08.10
「皆いるね。ってかなんでサスト先輩までいるんですか?」
「いや、しらんよ。レイチェル先生に誘われて、集合場所いわれたから来たけど、まさか一緒だとは。」
「誘われた? ということはサスト先輩も人魔交流会に誘われたのですか?」
「まあそんなところ、肝心の先生がいないがな。」
 俺たちは時間五分前に校門前で待っていた。レイチェル先生に言われたとおりに待っているのだが、なかなか先生がやってこない。何をしているのだろうか。
 プップー
「皆、おまたせー。」
 レイチェル先生が浮遊車に乗ってやってきた。今日は乗せてもらえるのだろうか。
「後ろ荷物多少あるけどこの人数なら入れるでしょう。シンヤ、前に座ってくれる?」
「了解っす。」
 俺たちはレイチェル先生の浮遊車に乗せてもらい、進み始めた。なんだかんだで中学生から社会人と幅広い年齢層がいるから、大体の場合はパーティ会場を借りるか飲み屋になる。今日は何処なのだろうか。
「ねえ、聞きたいことがあるのだけど。」
「どうしたナーニャ。」
「ここに来ている人たちってどんなのがいるの?」
「私も気になる。」
 ナーニャとクレイナは興味津々に聞いてきた。俺はある紙を渡して説明する。
「まあ、この団体に参加しているのは多くの種族だよ。俺たち人間も18カ国ほどの出身がいるからそれだけでもかなりすごいんだけどね。種族は結構バラバラ、でも気にしないで。敵対同士の種族であってもここではすごく中が良いから。ちなみにこの前説明していたセリアが妖精族、アリスがドラゴンのヴィオヴィ属だよ。」
「かなりたくさんいるのね。」
「そうだね。」
 関心を持って聞いてくれているようだった。それなら俺も話してよかったと思える。まあ、たしかにナーニャとクレイナは特殊だからな。似たような人もいるし、心配は要らないか。
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08.10
「ありがとうございます!!」
「キャアアアアア!!」
 スノーフェアリーの新曲が終わった。盛り上がり方がとてつもない。新曲だというのにファンもしっかりと応援してくれている。そしてアイリングがステージへと向かっていく。そして新曲が流れた。アイリングとしてはなかなか珍しいかわいらしいタイプの曲が流れてくる。聞いていて心地が良い。
「ねえ千代乃、ちょっと相談があるのだけどね。今回のライブでお客さんも一緒に盛り上げられるように、私達で掛け声を合わせるように声をかけようと思うのだけど、どうかな?」
「あ、それいいかもしれないね!」
「でもいきなりだけど大丈夫?」
「私達ならできるよ! なんたって、あれだけ一緒に練習してきたのだから!」
 全員が気持ちを一つにして楽しんでいく。そして客と私達が一体になっていけば、最高のライブを見せることが出来るに違いない。だからこそここで頑張らなければ。
「みんな、せーの!」
「紅音たちもやっているね。」
 考えていることは皆一緒、お客さんを笑顔にさせるために…!
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08.10
亜弓「そろそろ試合だよね。」
由紀「向こうの先発は暁美だよね…。でも私たちは後攻、一回をしっかり抑えていこうね、亜弓。」
亜弓「うん、大丈夫。」
 私はグローブをパンパンと叩いて気合を入れる。正直怖い部分の方が大きい。だけどあの人たちと戦えると思うと嬉しさがこみ上げてくる。私のピッチングが今、どこまで通用するのか。そしてここで学んだことを秋大会、そして今後に生かすことが出来れば。

暁美「よし…準備大丈夫!」
瀧澤「今日も調子良さそうだな。これなら問題なくいけそうだな。」
暁美「いつも調子は良く整えておかなきゃいけないからね!」
瀧澤「それなら問題ないな。よっしゃ、いくか!」

奈々「これが桜さんのいたチーム、私達の行く学校のチームですね。」
銀杏「私は何度か見たことあるから雰囲気は分かるよ。」
桜「あれ? 堀川さん。」
堀川「久々だな。」
桜「肘は…もう大丈夫ですか?」
堀川「ああ…。すまなかったな。」
桜「いえ…不慮の事故ですし…野球肘は何も…。」
堀川「春は一回戦途中で交代、夏の大会前に肘を壊して…瀧澤には迷惑をかけたな。」
桜「いえいえ。…たしかに不本意な形で終わってしまいましたが、暁美のリードをしっかりしてくれてますよ。」
堀川「そうだな。最後にあいつに教えたいこともあるからな。」
桜「(プロにもいける実力があるのに、骨のヒビと野球肘。…こういうのもあるのだけど…、残酷にしか見えない。)」
栗山「いくぞ!!」
暁美「よしいくよ!」
 私達は走って本塁まで走っていく。これから…試合が始まる!
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08.05
「あっまーいっ!」
「そりゃよかったな。そんで…あの時の情報は役に立ちそうか?」
 ナオは笑顔になりながらパフェを食べている。食べながらもしっかりと右側においてあるファイルを取り出すと俺に紙を渡す。
「この資料を見てくれる?」
「これは?」
「聞き込みとこの付近で起こっていた状況をまとめたもの。不定期なんだけど、行方不明者が現れていてね。小さいニュースな部分が多かったりするのだけど、今回のことに関しては大きな情報源ではないかなって思って。」
「なるほどな。」
 俺は紙を見る。一ヶ月、三ヶ月、その次は二週間後、この不定期は何が原因なんだ? それに行方不明になっているのは全て魔法生物、やはり魔力を求めているものなのだろうか。
「それに行方不明者を調べてみると特殊な魔法が使える者たちが3割いるのよ。」
「それだけ見つけるっていうのは調べておかなければ出来ないことだぞ? つまりこれは計画的ってことか。」
「そうね。」
「こっちにはない情報など持っていて本当に助かるよ。というか本当に新聞記者ですか。」
「伊達に世間ばかり見てきたからねー。」
 ナオは笑顔になりながらパフェを食べる。本当はもっとお礼を言いたい所だけど、まずはこの事件を解決してからだ。
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08.05
「優勝したのは…アイリング率いるBチームです!」
「やったー!!」
 私達は拍手をする。でもアリスのおかげでほぼ差のない結果で終わることが出来た。スノーフェアリーのメンバーも楽しくやっていたようだった。そして今度は私達の出番、それぞれの歌を披露する出番がやってきた。
「それではですね、今回ゲストに来てもらいましたピュアプラチナ、アイリング、スノーフェアリーから、新曲を披露していただきたいと思います! 最初はスノーフェアリーから、そしてアイリング、最後にピュアプラチナの順番で行きます。準備の方、お願いします。」
「はい!」
 私達は更衣室へと向かっていく。紅音も優衣さんも皆が新しい新曲を用意している。私達も頑張ってアピールしなければ。
「あ、それ新しい衣装かな? すごくいいね!」
「ありがとう。けっこうイメージするの難しくてね。でも…今回のは力作だよ。」
「すごいよね、私達も頑張って新曲をアピールしなきゃ。」
 皆が皆、気合を入れていた。どこも新曲を用意してきているということだから、気持ちはまったく同じなはず。
「でも…トリはピュアプラチナに任せたよ。」
「えっ?」
「順番的に最後の発表だし、それにライブがあるでしょ? 頑張ってね!」
 私は紅音と優衣さんに肩をポンと叩かれて応援してくれた。その気持ちに私は…答えていかなければ。
「それじゃあ、いきましょう!」
 優衣さんが声をかけてステージへと向かっていく。もっともっと、頑張らないと。
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08.05
暁美「へえ、結構大きいんだね!」
瀧澤「これが学校内にあるって本当にすごいな。こんなところで野球できるなんてな。」
瀬棚「さてと、甲子園出場校で女性選手が二人いる。頑張らなければな。」
暁美「よし、皆いこう! 絶対に勝つよ!」
皆「はいっ!!」

由紀「そろそろだよね。準備は大丈夫?」
亜弓「うん、大丈夫。たしかに相手は格が違うけど、同じ高校生だし私達に出来ないことはないよ。やっていくしかないよね。」
篤史「(今日戦う相手が…高校最強とも言われている富良野学院か。)」
栗山「来たぞ! 帽子とって!」
 向こうのベンチから富良野学院のメンバーがやってきた。もちろんながらエース、暁美さんもいる。これから暁美さんと…対決する。
「お願いします!!」
「っしゃああっす!!」
 私達は挨拶を交わす。私と由紀は走って向こうのチームの所まで走っていく。グラウンドの説明をしなければ。
亜弓「こんにちは。練習場所なのですが、向こうの外野を使ってください。センター側はお互いに譲り合って使っていきましょう。」
由紀「試合は一時間半後にお願いします。早い時間になりますが、試合後に合同練習をします。よろしくお願いします。」
暁美「うん、ありがとう。いいよいいよ、そんな硬くならなくて。なんかいかにも覚えてきましたって感じだったし。」
亜弓「そ、そうですよね。でも…今日はよろしくお願いします。」
 私はお辞儀と同時に暁美さんに立ち向かっていくことを覚悟した。私と由紀の顔を見て暁美さんは優しく笑った。
暁美「こっちこそ! 負けないからね。」
瀧澤「それじゃあ向こうのグラウンド使わせてもらうね。」
 そういって暁美さんたちはすぐに準備を始めた。パッと見ただけでも選手一人ひとりがとんでもないポテンシャルを秘めているように見えた。それを見て由紀はわくわくした顔をしている。
由紀「これからこのチームと対決できるって思うとワクワクするよね。」
亜弓「そうだね…。」
桜「亜弓! 由紀!」
 聞き覚えのある声に気づいて上を向くと桜さんが座っていた。そして隣には一度会った事のある真菜さんや佐奈さんの従姉妹、奈菜と桜さんの妹っぽい人がいた。あれが…銀杏だろうか。
桜「頑張ってね。」
亜弓「ありがとうございます!」
由紀「ヒット打って見せますんで、見ていてくださいね。」
 そういって私達は自分たちのベンチへと戻っていく。まだまだこちらもキャッチボールを終えただけ、しっかりと投げれる準備をしなければ。
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プロフィール

reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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