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11.27
「あ、千代乃! あけましておめでとう。」
「紅音さん。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。」
 紅音さんたちが私たちと同じ場所で初もうでをしにやってきていた。紅音さんたちも着物を着ていていた。それぞれがかわいらしく、不思議な感じがしていた。私たちはそのまま一緒に歩き始め、正面にあるお賽銭の場所まで移動していった。
「それじゃあお願いごとしましょうか。」
 紅音さんは声をかけて皆で賽銭を入れる。
「考え事は決めた?」
「もっちろん!」
「あたりまえだよ。」
「おっけー!」
 私たちも声をかけあって賽銭を入れる。金を鳴らし、手を叩く。お願いごと。それはもちろんこれからのアイドル活動が…上手くいきますように。きっと私たちの仲間も、紅音さんもそう思っているだろう。私たちは手を合わせ終えた後におみくじとお守りが置いてある場所へと移動する。私たちはこれからやっていくことがたくさんある。その気持ちを少しでも守ってくれるように…そして気持ちを楽にするためにもお守りやおみくじはやっておくべきだろう。
「えっへへ。中身は何になるだろうね。」
「でも中身の結果は本当にそうなるわけじゃないくて、気をつけなきゃいけないことがたくさんあるだけだよ。常日頃からしっかりやっていけば問題ないよ。」
 私はそうつぶやく。いままでそうやって生きてきた。だから…もっともっと上を上を…!目指して!
「やった! 私大吉!」
「中吉だったよ。アリスは?」
「す、末吉…。」
「へへへ。私はっと…吉かぁ。」
「いいなあ千代乃。私と交換してよ!」
「ダメだよアリス。おみくじは一人ひとりのものなの。だから一回限りで、それでおしまい。」
「しゃーない。宇宙人にここを変えて…。」
 アリスはどうしても大吉がよさそうなようだった。でも…アリスは途中で落ち着き、しっかりと読み始めた。
「だとしても、私たちが有名になってもっともっとアイドルのことを知ってもらえたら…それこそ大吉だよね!」
「そうだね! 頑張ろう!」
「よし、これから練習しに行きましょうか!」
 私たちはおみくじを持ったまま歩き始める。今日から練習していって、もっと知ってもらうために!
「紅音、負けていられないね。」
「もちろん。わたしたちも練習しましょう!」
「やっぱりそうなるのね。」
「そうだね、頑張ろう。」
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11.27
亜弓「ごめん…由紀。」
由紀「心配しないで。私が打点を取れなかったから…。だけどまだ周ってくる可能性はある。だからその時には必ず打ってみせるから。」
亜弓「わかった…。私も頑張って抑えるよ。」
 私はバットを置いてグローブを持つ。決して私たちは諦めてはいない。もちろん相手だって最後まで気を抜くつもりはなさそう。全力で倒しにやってきそうだ。そんな相手だからこそ思いっきり投げないといけない。だから…勝つ!
下野「ここからだな。」
 回は八回。もうすでにこのような点差もついている。チャンスは…あと二回。

暁美「これは厳しそうね。」
桜「この後どうやってせめて行くかもかなり戦況が変わるからね。」
瑞華「だとしてもこれはかなり厳しいよ。」
桃音「さて、この後の亜弓のピッチングも気になるところよ。」

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11.26
「千代乃! あけましておめでとう! 今年もよろしくね!」
「楓、おめでとう。よろしくね。」
 私たちは神社で待ち合わせをして初詣をすることにした。まだ楓しか来ていない。あともう少ししたらやって来るかな?
「それにしても千代乃の着物、似合っているね。」
「そ、そんなことないよ。楓のだって似合っているじゃない。」
 私たちはそれぞれの着物を見ていた。たしかに綺麗なものだった。そして…。
「二人とも。あけましておめでとう御座います。」
「恭花ちゃん! 似合っている! かわいい!」
「なんというか落ち着いていて雰囲気が良いよね。」
「そ、そんなに言わなくても。恥ずかしいじゃない。」
 恭花さんもやってくる。後は…アリスがやってくるのを待ってくるだけ。
「やっほーい!」
「アリス。あけましておめでとう。」
「おっめでとー!」
 アリスの着物はかなり派手なものだった。しかしアリスらしい、とてもかわいい着物だった。
「すごくかわいい着物だね。」
「ありがとー! 楓!」
「それじゃあいきましょうか。」
 私たちは歩き始め、前へと動き始めた。私たちの次の目標は…一月の末にある若手アイドルグループの集まるヤングアイドルフェスティバルに向けて頑張ること!
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11.26
友亀「(完全に相手のペースになっている。だけど…まだ終わらせはしないさ。必ず一点を取れば崩れるんだ。狙いべきはここしかない!)」
 バッターボックスに友亀が入る。私はネクストバッターサークルに入り、六実さんの投球を目を凝らしてみていた。私が返せるなら私だって得点に貢献したい。だから…ここは落ち着いていかないと。
対馬「(さてと、プレッシャーがかなり減ったな。おそらく走ってくるがかまわない。ここは投球集中だ!)」
 六実さんはサインに頷きセットポジションに入る。由紀はしっかりとリードをとっている。おそらく走るのだろう。
 ダッ
 シューーー グッ バシン!
 ストライクワン!
友亀「(まず二塁…!)」
 ランナーを二塁に行かせてチャンスを広げる。それでも六実さんの顔は真剣そのもの、そして少しリラックスできていた。
 シューーー バシン! ボールツー!
友亀「(おそらく次は変化球。チェンジアップだろう。)」
対馬「(チェンジアップ、低めにだ。)」
 サインに頷き足を上げる。…勢いがある…!
 シュッ
友亀「(予想通り!)」
 グググググッ ギィイイン!
友亀「!?」
 友亀の打った打球は平凡なサードフライ。配球を読んでいたかのようにも見えたのだけど…まさかさらに遅くなったの?
六実「ふぅ…チェンジアップが有効的に使えた。」
 バシン! アウト!
 ツーアウト。このチャンスは逃してはいけない…。だから…私が。
由紀「亜弓! リラックスしてね!」
 由紀から声をかけてもらう。それでリラックスできる人はどれぐらいいるのだろうか。わたしは由紀の声だけでもリラックスが出来た。
六実「(ふぅ…変化球はあまり見せたくない。後ろに…羽葉がいるから。)」
 サインに頷き足をあげる。私はタイミングよく足をあげる。ストレートしかない…私に望みがあるとすれば…!
 シュゴォオオ ギィイイン!!
六実「なっ!?」
対馬「センター!!」
由紀「良い当たり! …でもっ!」
 打球はセンター前へとライナーで飛んでいく。しかし前進守備をしていたセンターが突っ込んでくる。飛びつくつもりだろうか。
下野「らぁぁあ!」
 バシーン! ザザザザザ
 アウトー!
下野「しゃあああ!」
上野「ナイス! さすが弟だ!」
武蔵「よっしゃあ!」
 まさか…またファインプレーに阻まれるなんて…。これが…甲子園の難しさってものなのだろうか…。
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11.25
「ありがとーーーー!!」
 優衣さんが声をかけると皆が出てくる。今日のライブでステージにたった人たち、私たちもステージの上に立つ。クリスマスライブの最後として皆で歌うことになる。そして周りが盛り上がると曲が流れる。これだけでも最高のライブだと分かるぐらいの堂々たるメンバーがそこにいた。
「こうやって歌えるのって嬉しいよね。」
「うん、皆楽しくできるのは嬉しいよ。」
「これからもっともっと、頑張ってね。私たちも応援しているから。」
 紅音さんと話していると優衣さんが声をかけてくれた。そうだ、私たちはもっともっと上を目指さないといけない。それをこうやって優衣さんたちから直々に言われるのだから…目指すべきはもう決まっている。
「楓、恭花さん、アリス。頑張ろう!」
「おー!!」
「もちろんよ。」
「気合いれていくよー!」
 三人とも上をめざすのに十分な気合が入っている。これなら…もっと上を…。
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11.25
ウグイス嬢「六番、レフト、羽葉。」
由紀「しゃっす!」
 由紀が気合を入れてバッターボックスに入る。そして六実さんの表情は真剣そのものだった。きっとかなり厳しい戦いになりそうな気がする。だけど…調子がまだ戻っていない六実さん、ここならチャンスがとれるかもしれない。どうやっていくのだろうか。
対馬「タイムお願いします。」
 キャッチャーがタイムをかける。そしてマウンドに向かっていき、六実さんに声をかける。
六実「どうしたの? 真剣勝負じゃないの?」
対馬「もちろん勝負だ。だけど…まだあの球は投げない。おそらく今日の調子だとまた回ってくる可能性もなくはない。だから…ここはせめて吉祥寺のいる方へと打たせる作戦でいこう。もちろん三振をとりにいってもいい。だけどあの球を投げるのは追い込んでからだ。」
六実「わかった…淳和ならきっとあの肩でランナーを釘付けにさせることができると思う。うん、信じるよ。」
 キャッチャーがまた離れて試合が再開する。由紀はいたって平常心でいる。
 シューーー グググッ バシン!
 ボールワン! 右バッターボックスに入った由紀に対して外で攻めていく。おそらく由紀は両打ちだけど、左バッターボックスに入ったら内角になげそうだ。これは完全に…淳和さんの所に打たせるつもりな気がする。
 シュッ グググッ
由紀「(無理やりにでも引っ張って!)」
 ギィイイン!
由紀「なんで!?」
 打球は相手の思惑通り、セカンドの頭を超えてライト前へ。ヒットはヒットだが池之宮がサードベースで走るのをやめる。
淳和「っらああああ!」
 シュゴオオオオ ズバーン!
 このレーザービーム。どうやっても帰ってこれる方法がない…。なんてチーム力なのだろうか。
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11.23
「優衣いいいい!!!」
「香澄ちゃーーーん!!」
「久美ぃいいい!!!」
 いたるところから名前が呼ばれているそのテンションはもう最高潮。私たちからも見たことがないような光景がそこには広がっていた。これがトップアイドルの人気…そして…。
「いくよぉおおお!!」
 三人が歌い始める。私たちと比べて桁違いに上手い。なんてレベルの高さなんだろうか。ダンスも私と全く違う。でも…何よりもやっぱりすごいのは…アイドルに対して真剣に向き合っていること。アイドルを好きでいること。これがなによりもすごかった。アイドルというものを見せてくれている気がした。
「紅音さん…やっぱりスノーフェアリーはすごいですね。」
「あれがアイドルだよ。でも…私たちもあんな風にしてもらえるように頑張らないといけない。だからお互いにがんばろう!」
「はい…!」
 私は紅音さんと笑ってスノーフェアリーのライブを見続けた。いつか…こうなるようにと…。
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11.23
 新天がバットを握ってバッターボックスに入る。サインをしっかりと見て打席へと入っていく。新天の次は…由紀が控えている。ここでチャンスを広げておきたい所。だけど…池之宮は足が遅い。どうやって…次の塁へと。バントではなく…エンドランか? でもミスしたときの被害が大きすぎることになる。だからここは…新天に託すのだと思う。
芦毛「(ここからが正念場だ。振って、振っていけ!)」
対馬「(相手が考えていることは相当やっかいなことだろう。作戦は何だって考えられる。落ち着いていけば…抑えられるのは分かっている。だけど次のバッターを考えると少し嫌な感じがする。)」
日下部「(ここは本当に勝負をかける所だ。だから強気にいかなきゃいけない。選手を信じていけば結果はだせる。それだけの選手に育て上げたのだから。)」
 池之宮もしっかりとリードをとっている。何か考えているのだろうか。だけど六実さんは牽制を送るそぶりを見せていない。いや、そうして牽制を入れていく作戦なのだろうか。
六実「ふっ。」
 ダッ
府中「なっ!?」
卜部「まじかよ!?」
 六実さんがクイックで投げるそぶりを見せたと同時に池之宮が走り出す。まさか…ヒットエンドラン!?
対馬「(走らせてこれをやるか!?)」
友亀「(バント!?)」
 新天がバントの構えをしている。走らせてバントさせる作戦なのだろうか。しっかりと球筋を見てバットの方向を調整している。バントを決めるのだろうか。
 コツン
伊勢「(これは…サード間に合わない。)」
 サードが全力で走ってボールを捕りにいく。しかしセカンドは池之宮が走っていたおかげで間に合わないだろう。バントが決まった…!
 バシン! アウト!
由紀「ナイスバント!! …よし!」
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11.21
池之宮「ナイスピッチング。次は俺からか…打ってくるよ。」
亜弓「頑張って。」
由紀「ナーイピッ!」
 由紀が後ろから私の背中をポンと叩いた。由紀は笑っている。そうか、由紀の打席も回ってくるのか。きっと…由紀なら問題なく打ってくれるだろう。だけど…唯一気になるのはあのカーブ。いや、ドロップというべきか。アレをどう捉えるのかというのが気になる。義手を変えたからきっと打ちやすくはなっていそうだけど…そう簡単には打てなさそう。どうやっていくのだろうか。
対馬「(正直あまり羽葉の打席以外ではあの球は投げられない。きっと…球筋を覚えて打ってくるだろう。だったら…ここは速い変化球で!)」
 池之宮がバッターボックスに入る。こういう場面の池之宮は信用していいといわれる。だから…きっと…。
六実「っら!」
 シューーーー グッ
池之宮「ふん!」
 ギィイイイイン!!
六実「えっ!?」
対馬「ライトー!!」
 弾丸ライナーでライトの頭上を越えていく。そのまま伸びて…入って!
淳和「何なのよこの打球は!」
海鳳「入れ!!」
 ガシャーーン!!
池之宮「くそっ!」
 池之宮の打球はフェンスに思い切り当たり、跳ね返っていく。池之宮の足と淳和さんの肩では。
淳和「っらあああ!!」
 シュゴオオオオ バシン!
「オオオオオオ!」
 球場が沸く。淳和さんの圧倒的強肩で池之宮は一塁に釘付けになってしまった。あんな送球されたら他の人だって…。相当な肩を持っている。だけどヒットはヒット、次は…新天だ。
新天「(ナイバッチ、池之宮。)」
六実「ふぅ…。まだ、大丈夫。」

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11.20
「キャアアアアア」
 綺麗な美声が聞こえてくる。真由美さんの大きな声が私たちの胸に伝わってくる。やっぱりソロでやっているだけあって歌も上手い。しかもアイドルという形を崩さずにしっかりとやっている。これがアイドルとして上に立つ人たちのすごさ。私たちは控室ながらもその美声とテレビから見るパフォーマンスに感動していた。
「やっぱりすごいね。ソロで活動している人たちは全然違うよ。」
「でも私たちだって自身を持ってステージに立つことができたじゃない。誇りに思っていいと思うよ。」
「そうだよね! 真由美さんは真由美さん! ピュアプラチナはピュアプラチナなんだから!」
「目指すべきはこの人たちみたいにもっとすごいパフォーマンスを見せること! だから…宇宙一のアイドルになるのよ!」
「アリス、それは大雑把過ぎない? でも…確かにそれはあっているわね。」
 この人たちは確かにすごい。でも私たちだってすごいんだ。だから…アイドルとしてもっと…頑張って見せる!

「さて…次はいよいよ最後です!」
 最後という言葉を聴いただけでのこの盛り上がり、ティアラのメンバーが去っていく。そして…トップアイドルたちが…登場する…!
「ラストー! 盛り上がっていこー!!」
「キャアアアアアア!!」
 優衣さんの声が聞こえてくる。そして…スノーフェアリーのメンバーが…ステージに立つ!
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11.20
 六実さんがバッターボックスに入る。先ほど義手を変えたばかり。それもまだ調整が済んでいないはず。それなら…今が抑えるチャンスでもある。だから…決められるところは決めていかなければ。そうでないと…私も負けてしまう!
 シュゴオオオ バシン!
 ストライクワン!
六実「(ストレートはすごいね。でも体力がどこまで持つのか。)」
武蔵「(無理はするなよ…。)」
 私は大きく息を吸って前を向く。目の前には六実さんが真剣なまなざしで私を見ている。だからこそ…思い切り抑えるのが私に出来る礼儀!
 シュゴオオオオオ ブシィ バシン!
 ストライクツー!
六実「くっ。」
淳和「六実…。」
 六実さんが本気でバットを振っている。これが…意地というものなのだろうか…。
由紀「バッチコーイ!!」
 由紀が大きな声を出している。それに影響されてほかの人たちも声をだす。そして…両方のスタンドから大きな声が沸きあがった。私の応援と六実さんの応援…。六実さんはこれがしたかったのだろう。最高の…試合を!
亜弓「っし!」
 シュゴオオオ
六実「(振る!)」
 ブン! ズバーン!
 ストライクバッタアウト!
亜弓「しゃああ!!」
 私はまた人一倍と大きな声を出してガッツポーズをとった。三振…まだ私たちにも流れは来ている。だから…!
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11.20
撫子、そろそろいくぞ。」
「わかったー。」
 撫子は景色を眺めているのをやめて俺の所へと近づいていった。そして俺の隣にくっついて歩き始める。
「3か月ぶりだけど秋に変わったから違うよね。」
「ああ、そういえば高校一年生の時もここに行ってたよな。」
「あったね。あの時もきれいだったよね。」

 俺と撫子は過去のことを思い出しながら歩き続ける。一年生の時、そういえばあの時は記憶を失ったりしてたっけな。でも…思い出せたおかげでこうやって撫子とずっと一緒にいられる。それが幸せでうれしかった。そして…これからもっと幸せな日々が続いていく。
「フランスの後はドイツだっけ? たしか展覧会が開かられるのって。」
「そうそう。10日後だね。」
「なんか俺、ヒモみたいになっているな。」
「そんなことないよ。」
 撫子はえへへと笑いながらギュッと俺のほうを抱きしめてた。俺もやさしく抱きしめる。
「私の大事なパートナーなんだから。秘書とプロデューサーも任せているんだから。」
「まあ…そうだよな。この後ヴィクトリアも来るんだろ? 何時ごろになりそうなんだ?」
「そうね…。もう少しだと思うよ。」
 俺と撫子はヴィクトリアが来るのを待つ。それに…久々に生田や目黒、藤浪と磯見にも会うことができる。もしかすると姫宮さんもやってくるといってたから…一年ぶりだなぁ。皆も結婚しているって話だし…ヴィクトリアの相手と姫宮さんの相手も気になる所だ。
「あ、でもね…ドイツで展覧会終わったら…いったん産休に入ると思うから。それまではここで一緒にいようね。」
「ああ、たしか…3月頃出産予定だっけ? その時は俺がいろいろとお手伝いしながら仕事をしないといけないよな。」
 俺は撫子のお腹を見る。今年結婚して、子供を授かった。まだ目立つほど大きくなってはいない。しかしこれからがもっと大変な時期になりそうだけど…撫子と一緒なら問題ない。薬指にはめている指輪が輝いて見えている。ずっとこの笑顔が見れることが本当に幸せなことだ。
「名前は…決まっているか?」
「私も今は考えているところ。だけど…二人で納得する名前にしようと思うの。それでもいいかな?」
「ああ、もちろんだ。」
 撫子は笑って返事を返してくれた。ずっと…一緒にいること…それが本当に幸せで…幸せで。
「ヘーイ! 撫子!」
「ヴィクトリア! 6月以来ね。」
 ヴィクトリアは走って撫子の所へと向かっていく。そして後ろにはやさしそうで大きな身長の男性がいた。何処かで…見たことが。
「こんにちは。もしかして…今話題を呼んでいる外国人漫画家の。」
「どうも、マークです。お久しぶりですね。」
 日本で今大人気の漫画を描いているマークさん、その人とヴィクトリアが結婚したのか。とても良い人だから幸せな家庭を築いてくれそうだ。ヴィクトリアも大人びているが性格はやっぱり変わっていない。それがヴィクトリアらしいというか。
「赤ちゃんできたのですネー! 出産する時は呼んでくださいネー!」
「うん、ありがとう。」
「おー! 拓斗!」
「お久しぶりだな!」
 遠くから声が聞こえてくる。そこには生田と磯見がやってきた。ずいぶんと大人っぽくなっていた。生田に至っては俺と同じ身長になっている。やっぱり…こういう友達がいて本当によかった。ずっと仲良く続いていく友達はそういない。
「撫子!」
「久しぶり! ドイツの展覧会では一緒になるよね。」
「美幸! 香織!」
 目黒と藤浪がやってきた。二人とも左手の薬指には結婚指輪をはめている。こうやっていつも仲良くしていた仲間たちが結婚することになるとうれしい気持ちでいっぱいになった。いつまでもこの幸せが続いてほしい。ずっと…いつまでも。
「こんにちは。」
「あ、姫宮さん!」
「どうもです。」
 姫宮さんが結婚相手らしい男性の方を連れてきてやってきた。とてもまじめそうでやさしそうな人だ。きっと良い結婚生活をおくっていそうだ。
「みんな…集まったね。本当にありがとう。」
「いえいえ、それよりも妊娠おめでとう! 早く子供みたいよ!」
「でも最初に見るのは私ネー!」
「それはないよ、俺が一番最初に見るんだ。だって俺は撫子の夫だからな。」
「えへへ、皆仲良くしようね。」
 俺たちはかつて高校で仲良くしていたかのようにお話し始めた。六道の目には藍のバラが、だけどもうか細くない。愛のバラが咲いている。俺たちはいつまでも…そう、幸せに過ごして…。
「拓斗。」
「何?」
 撫子が俺の顔を見て笑った。そして…いつものようにあの言葉を言ってくれた。


「大好きだよ。」


 そう…ずっと。俺も…大好きだ。俺たちは…幸せに生きている。そして…これからも…。いつまでも…。


「大好きだ。」




あわらさんに描いていただきました!ありがとうございます!

あわらさんのpixiv
あわらさんのツイッター


あとがき

 皆さん、最終回までお付き合いありがとうございました。初めての長編を完結させることができました。本編としては完全にこれで終了ですが、まだ企画があったり要望があればアナザーストーリーも考えています。次回作の報告もいずれさせていただきます。
 最後になりましたが、本当にありがとうございました。
 これからもよろしくお願いいたします!

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11.20
 六道は夕日に照らされて風で髪が靡いている。まるで…藍いバラをみているかのように。だけど…それは弱々しく、か細かった。
「六道…。」
 俺は独り言のように小さく呟いた。それに気づいた六道は振り返った。その目は涙で溢れ出ていた。俺はゆっくりと六道に近づいていく。
「…見る?」
 六道は一枚の紙を俺に渡す。俺はその絵を見る。クラスの皆が描かれた絵だ。その世界観に引き込まれそうになる絵は言葉を失ってしまうほど凄かった。だけど…。何故だろうか。そこには六道の姿は無かった。
「六道。なんでこの中に居ないんだ?」
「私は…この中には入れない…。」
「どうしてだ…?」
 六道に絵を返すと机の上に置く。まるで自分は入りたくないと言っているかのように。
「私は…この中に入ってもいいのかな…。」
六道は泣き始める。弱った心を必死に支えるかのように。何で俺は守れなかったのだろうか。何故こんなにも苦しんでいる六道を…。
「六道も入るべきだよ…。」
「私なんか入れないよっ! さっきのも見ていたでしょ!? あの中に入れずに…。私は!」
「六道!」
 俺は六道の肩をガシッとつかむ。六道の…藍色の目が見える…。そこには…。
「…バラ?」
「えっ…。」
 バラが…見える?そしてもう一つ…撫子…。
 チャリン
 六道の首から何か出てきた。藍色の…ペンダント…?あれ…何かが入って…くる。時間が急にゆっくりになって…。
「拓斗…。」
「待って!」
「えっ。」
 六道の声にはすぐに反応できた。だけど何か来そうな気が。これは…。

『これって…ネックレス?』
『撫子のために用意したんだ。その目に合うように藍色のを。』
『うれしい…ありがとう!』

「クリスマス…プレゼント?」
「拓斗?」
 そうか…俺は六道とクリスマスデートを。思い…出せる。

『 ねぇ、見てみて! この道の景色、とても綺麗だよね! 』

 これは…。秋のデート? その間には姫宮さんを助けるために。

『 ヴィクトリア・レーフグレーン!! 六道撫子!! 』

「そうだよな。俺はイギリスに行ったんだよな。」
「そうだよ…。拓斗…!」

『どう、私の水着…。似合っている?』

 最近のことから思い出していく。俺は…。俺は…。

『 ……えへへっ。私からキス…しちゃった。まだ口は勇気が出ないから…頬に。 』

「夕日とキスが…。」
「そうだよ、拓斗…!」
 まだ…思い出せる。俺が思い出したいのは何故六道と付き合うことに。そして好きな理由…。

『 何で私のことを優しくしてくれるの…。私はそんな好かれるような人じゃないよ…。 』
『 六道のことが…大好きだから。 』
『嘘つかない?…うっ…こんな私でもいいの?…ひぐっ…。』
『あぁ、もちろん。』
『 約束…だよ。 』

 大好き…。俺は…六道のことを…。

『 今日はありがとう! 明日も学校でね! 』


「……撫子…。」


 俺の目から涙が溢れ出てきた。俺は撫子の顔を見て心が癒されていく。俺は…撫子のことを…。
「拓斗…。」
「あぁ、今までごめんな…やっと…思い出せたよ。撫子。何故好きになったのかを。そして…一生撫子のことを守ることを…。」
 俺は顔をしわくちゃにさせながら泣く。撫子の顔は嬉しさでいっぱいになっていた。か細い藍のバラと…明るい撫子、そして優しい愛が…。
「もう…心配かけないからな。ずっと一緒だ…。」
「うん、いつもの拓斗に戻って…。良かったよ…。」
「撫子…。」
「拓斗!」
か細い藍のバラ2
 撫子は俺に抱きついた。強く…だけど優しい…。辛い思いをしてきた俺は強く抱き締める。
「ありがとう…ありがとう…。」
「これから…ずっと一緒だよ…。」
「ああ。」
 俺は抱き締めたまま顔を近づける。そして優しくキスをする。撫子の心がまるで綺麗になっていくかのように…。もし神様がいるのなら本当におれは恵まれている。こんなにもタイミング良く…。感謝、感謝だ…。
「白羽根!」
 後ろから友達たちがやって来た。俺は笑った。こんな仲間たちと出会えたことが奇跡だと。そして…永遠のパートナーが目の前にいる。撫子は泣きながらも俺に笑顔を見せた。

「大好き!」



 目の前には世界一最高の笑顔でいる撫子の姿があった。




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11.19
「…皆…ありがとう。」
 舞台裏に戻ると大粒の涙を流しながら三人に言った。目の前がかすみ始め、涙をぬぐう。そして目の前に見えるのは…泣いている三人。
「私も…よかったよ。こんな舞台で四人で立てて。」
「最高の思い出だよ…。始まったばかりだけど…このことは一生忘れない…。」
「宇宙一最高のアイドルだよ…私たちはっ!」
 私たち四人は抱き合いながら大泣きした。紅音さんたちもそれを見ていてくれた。泣いている姿を見ることができた。まだ終わらない…。これからも…ずっと先まで…このアイドルを続けていきたい。だから…そのために私たちは最高のライブを!
「千代乃…。よかったよ。」
「紅音さん…うん。ありがとうございます。あなたに出会っていなければ…。」
「それは私たちもよ。…これからもよろしく。」
「うん…。」
「さてと…私も感動させにいきますよ!」
 笑顔で真由美さんが声をかけてくれた。まだ終わらない…感動の嵐。そして…最高峰のアイドルたちが…まだまだやってくる!
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11.19
「それじゃあみなさん、今日は楽しみましょう!」
 俺たちはコップを持ってそれぞれパーティーを楽しみ始めた。リクリエーションでビンゴ大会をしたりして盛り上がっている。しかし俺と六道は何故かその中になじめずにいた。六道のことばかりが頭の中をよぎっている。分かっているのにもかかわらず、周りの空気を壊してしまいそうだった。六道は端っこによって一人でいる。藤浪はその様子を見ているが、この辛い表情の中で一緒にいさせるのは余計苦痛なのだと思い、呼ばなかった。俺も…生田と磯見から呼ばれていたが俺は声を返すだけで入ることができなかった。…なんて情けないんだ俺は…。

 俺は荷物をまとめて帰ろうとした。六道の姿はそこにはない。もう夕方だ。いつまで廊下で考えていたのだろうか。もう…あいつとはかかわりを持たないほうが…その方が六道にとっても良いだろう。もう…俺は。
「帰るの…?」
 聞いたことある声が後ろから聞こえてきた。そこには目黒の姿があった。それだけじゃない。生田や磯見、藤浪や姫宮さんまでいた。
「私の大事な友達を…見捨てるの? あなたが好きになった子を…捨てれるの!?」
「俺は…そんな資格なんてないよ。」
 俺の言葉を聴いて藤浪が近づく。そして大きく手をあげて…。
 パシン!!
「それでも…それでも撫子の彼氏なの!? 付き合い始めた頃の…あの時の白羽根は何処に行ったの! 私は……私はそれじゃ…なんだったのよ!」
 藤浪が泣きながら俺の胸倉をつかんで問いかけてくる。顔を見ることができない。どうしようもない俺だ。
「俺は…お前がいて本当によかったんだ。記憶が失う前も後も…お前はお前だ。だから…いってきてやれ。」
「思い出せるさ。愛情があれば…。そして…本当に好きだという気持ちを伝えるんだ。」
「私は…白羽根くんを巻き込まなければ…こんなことにはならなかった。撫子にも…本当に悪いことをしたと思う。私は…何も出来ない弱い人間だよ。でもね…あの時の白羽根君は強かったよ。その時に戻って欲しいとずっと思っているよ。今の心の中はボロボロだと思う。だけど…取り戻せるチャンスよ。…教室に行って。」
「六道…いるのか。」
 姫宮さんが教室に六道がいることを伝える。俺は…伝えなきゃいけないことが…。あの時の…そう、初めてあった時のこと…思い出すために。
 ダッ
 俺は走り出す。六道のいる教室へと。俺は…六道がいなければ…あいつも…俺がいなければ…そして。全てを思い出すための…最後のチャンス。
 ガラララッ!
 ドアを開ける。そこには…一人ぽつんと座っている子が…六道がいた。
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11.19
伊勢「(くそ、さすがは甲子園で伊達に勝ってきただけある。)」
日向「まだ終わっちゃいないさ。俺たちは勝っているんだからな。畳み掛けられるところは攻めていく!」
 ワンアウトをとって次のバッターは日向さん。日向ここでどう押さえていくかがカギになる。六実さんはきっと振ることが出来ない。だけどバントならまだ望みはある感じになりそうだ。だからここでアウトにしないと流れ的に悪くなる。大きく振りかぶり、前を向いて投げる。
亜弓「っらああ!」
 シュゴオオオ バシン!
 ストライクワン!
日向「ちっ、まだノビてきやがる。」
友亀「ナイスボール! いいぞ!」
 ストレートがしっかりと決まる。コントロールは定まらないけどストレートの勢いだけで…!
 シュゴオオオ
日向「(負けてたまるかよ!)」
 ギィイイン!
卜部「っと!」
 バシン!
 ど真ん中に入ったストレートを叩かれたが、卜部先輩が難しいゴロをしっかりと捕球してくれた。そしてファーストに投げる。
 バシン! アウト!
日向「くそっ!」
 よし、これでツーアウト。そして…次のバッターは…。
六実「よし…。」
淳和「無茶はしないでね、六実。」
六実「わかっているよ。」
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11.17
 曲が流れ始め、歓声がよりいっそう大きくなる。緊張なんてもうない。あるのはただ、この思いを伝えるだけ。私たちの…歌を、ダンスを。そして皆に笑顔を!
「キャアアアアアア」
 歌い始めるとさらに盛り上がりが増していく。しかし…少しずつ声が小さくなっていく。しかしそれはただ小さくなっているのではない。見入っている…。そして笑顔が見える。中には笑いながら泣いている人までいる。わたしたちの歌は…皆の心に…届いている! 私の目指したかったアイドルが…見えた!
「ワァアアアアアア!!!」
 そして一気にその声があふれ出るかのように盛り上がっていった。私たちも…涙が出てきた。歌いながら…うれし泣きを…。楓も恭花さんも、アリスも。皆。これが私たち…ピュアラチナ!
「ありがとう!!!」
 私は歌いきり、大きく声をあげた。この盛り上がりは…やっぱり…本当に最高なものだった。この舞台に立てることが本当によかった。そして…教えてくれた紅音さんに感謝したい…さらには…他のアイドルメンバーにも…。お母さん、お父さんにも。そしてなによりも大切なメンバーに。ありがとう。
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11.17
「皆さん、来月からは一つ上の上級生として過ごすことになります。その自覚を持って学校生活を楽しんでいってください。私からは以上です。」
 生徒会長の姫宮さんのお話が終わった。おれ達は拍手するが、なんか気持ちがそんな気部員にならなかった。なぜなのかはわからない。けど…何か変な気持ちになっていた。本当に俺は…記憶を取り戻せるのだろうか。最後のきっかけとして出来ることは…授業が終わった後にクラスの皆で遊ぶパーティーだけだろう。学校内で行われるからまだ思い出せる部分もあるかもしれない。だから…思い出せるならそこで…。
「拓斗、本当に思い出せないでいるのか?」
「…ああ。まったく覚えていない。」
「じゃあおれ達とプールに行った時って覚えているか?」
「なんだそれ、初耳だぞ?」
「マジかよ…じゃあ六道の水着姿は覚えているか? 種類と色も。」
「六道も一緒に来ていたのか?」
「おいおい…本当みたいだな。でも…俺も協力するからな。」
「ありがとう。」
 生田は俺の肩をポンとたたいてにっこりと笑った。やっぱりおれの親友は…本当に良い奴だ。なんとしてでも記憶を取り戻すんだ。そして六道を…幸せにしてやる。それが俺の使命。もしそれができなければ…。六道とは…。
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11.17
友亀「(小細工なんて無理だ。ストレートなら望みがある。思いっきりこい!)」
 サインはストレート。しかもここからはサインを出さないともいえるような顔をしていた。私は大きく頷き腕を上げる。思い切り投げて…ストレートで押さえ込むんだ!
 シュゴオオ バシーン!
 ストライクワン!
伊勢「(勢いはまだ残っているか。さすがだ!)」
 私のストレートは構えたミットからは外れてしまったが、勢いはかなりあった。このストレートで押していければ…望みはある。後はバッティングで返してくれる人たちが出てくれれば!
由紀「(亜弓…本当にすごいよ。いままであんなに辛い思いをしてきたのに…今じゃ堂々と投げている。出会ってよかったよ。私ももっと頑張れる気がする。六実さんの球を捉えてみせる!)」
 シュゴオオオ ギィン! ガシャン!
 ファールボール!
伊勢「(球威もある!)」
友亀「(ボール球に手を出してくれた。これはでかい。ここで決めて来い!)」
 ボールを受け取り、ボークにならない程度に腕を上げて投げる体勢に入る。私の武器で…ストレートを!
 シュゴオオオオ ブシィ バシン!
 ストライクバッターアウト!
亜弓「っしゃああ!!!」
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11.15
淳和「義手の方は大丈夫? 違和感ない?」
六実「うん…今のところ問題ない。あとは投げてみて違和感があるかないかを確かめてみるだけ。」
武蔵「大丈夫、遠江ならしっかりと投げられる。俺は信じている。」
対馬「俺たちは心を一つにしてここまでやってきたんだ。簡単に打たれるわけにはいかないさ。」
六実「そうだよね…私たちはここまでやってこれたのだから弱い心を持っているわけがない。だから…私が思いっきりなげて抑えて…。」
 六実さんがベンチから姿を現した。それはいつもの普通に使っている義手のように見えた。帰ってくるだけでもこの大きな拍手。これは相手投手にとってかなり大きな支えとなってやってきている。だけど…こちらもバッターは三番の海鳳へと回ってきた。ここからなら…。
海鳳「(悪いけど…ここで叩いてしまえば俺たちの勝利も見えてくる。だから…ここは遠慮なく思いっきり振っていく!)」
 バッターボックスには海鳳、そしてセカンドランナーは卜部先輩、ファーストランナーには府中先輩。ヒット一本で一点が狙える場面。海鳳は…きっと…。
由紀「(チャンスだけど回りの雰囲気が尋常じゃない。下手に打つと…。)」
 六実さんが足を上げて踏み出す。そしてグローブめがけて投げる。
六実「っら!」
対馬「(少し甘いか!?)」
海鳳「(いけっ!)」
 ギィイイイン!!
上野「らあああ!!!」
 バシーーン! アウト!
武蔵「ランナー!!」
 セカンドの上野さんがジャンプして撮る。そして着地と同時にベースを踏む。
 アウト!!
上野「勝浦っ!」
 シューーーー
府中「(まにあえっ!)」
 バシン ズザザザザ
 府中先輩がヘッドスライディングでベースに戻る。タイミングはかなりきわどい。まさか…
 アウトーー!
上野「しゃあああああ!!」
六実「ったあああ!」
 まさか…こんなことまでおこってしまうなんて…。一気にトリプルプレー。チャンスが…一気に消えてしまった。
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11.15
「きゃあああああああ!!!」
 私たちがステージに姿を現すとそこには大きな声援が聞こえてきた。これが…観客。そしてライブを見に来ている人たち。最高の舞台、そんな所に今、私たちは立っている。
「こんにちは…!」
「こんにちはー!!!」
 私の声より観客の人たちの声が大きい。私は少しこの声に面を食らってしまった。だけど…臆することはない。だって私たちは…!
「ピュアプラチナの千代乃です…!」
「楓です!」
「恭花です。」
「アリスでーす!」
 私たちの名前を呼んだだけでこの盛り上がり…これが…クリスマスライブ!

「ねえねえ、あのテレビで写ってるのって…。」
「あ! 千代乃! うっそ!?」
「キャーーー! 楓ー!」

「…拓斗、あのアイドル知っている?」
「知っているよ。ピュアプラチナだろ? 撫子も好きなのか?」
「うん…!」

「私たちは…まだアイドルとしては短いですが…アイドルを愛する気持ちは誰にも負けません! そして…その愛をこめた新曲を…歌います!!」
 私たちが新曲の言葉をだすとさらに大きな声援がわく。後ろでは三人がポーズを取る。そして…大きく息を吸う。
「曲名は…ピュアプラチナ!!」
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11.15
「おはよう。今日は終業式だな。」
「拓斗…どうしたんだ?」
「そうだな…はは、ははは。」
 俺は笑いながら席に座る。もうなんだか頭がおかしくなってきている気がする。考えることがごっちゃごちゃ、そして本当に俺は何処に向かっているのかが分からなくなってきた。
「おい、拓斗大丈夫かよ。」
「六道と何かあったのか?」
「まあ…でも…うん。思い出せない俺が悪いだけだ。わざわざありがとうな。」
 二人は俺のことを気にかけてくれている。だけど思い出すことができていない俺がここにいる。そして…今日結論を出さなきゃいけない。そして…思い出さなきゃいけない。なんとかしたい。その思いで必死だった。
「おはようございます。今日で終業式、このクラスもこれでお別れですね。二年生から新しいクラスになりますが皆さん頑張っていきましょう。」
 先生が教室に入って俺たちに説明してくれる。すこし半泣きになっている人たちもいる。クラスが分かれるだけなのに涙が出てしまうことはある。まあ…これが普通の高校生というものか。
「それじゃあいきましょう。」
 俺たちは席を立ち上がって歩き始める。これから…終業式が始まる。
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11.15
由紀「まさか…そんな…。」
亜弓「一気に…トリプルプレーでアウトになるなんて…。」
 私たちはただ唖然としていた。日下部監督もこれには口があんぐりとしてしまった。確実にセンターに抜ける当たりだったのに何故セカンドがあんな所にいたのだろうか…。府中先輩も芦毛先輩も確実にヒットだろうと思って走っていた。それが普通なはず…。なのに…。
府中「すまない…日高。」
卜部「あんなことになるとは思っていなかった。」
海鳳「俺がもっと良い当たりをしていれば…。」
 三人が私に謝ってくる。だけど…謝っていても仕方が無い。起こってしまったものはそれが真実なんだ。だから…。
亜弓「まだ…試合は終わってないですから…。」
 私はグローブを持って前へと歩き始める。そう…私が抑えれば…!
六実「ありがとう…皆。」
武蔵「俺たちは守り続けるさ。ここは絶対に完封させてやる…!」
淳和「こんなに頑張っている六実をみて助けるわけがないでしょ。いままでだって守り続けるのは当たり前だけど…。今日の六実はすごいよ。」
上野「また飛んで来たら俺が捕ってやる。だから遠慮せずに投げろ!」
伊勢「次は俺からだよな。遠江、俺が打ってさらに楽にしてやるからな!」
 相手ベンチはかなり盛り上がってくる。この回からはかなり勢いがついてくるといっても間違いないぐらい。だから…私が抑えてみせる。
友亀「七回! しまっていくぞ!」
皆「しゃああ!!」
 七回の表、バッターは伊勢さんから。そして…六実さんにも回ってくる。でも…大丈夫。私だって伊達に甲子園で勝っているのだから…。負けない…!
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11.13
「いぇーい!」
 紅音さんの笑顔が皆の顔を笑顔にさせてくれる。他のメンバーも笑顔になって歌い、踊る。これがアイドル、アイリングの求めているアイドルというものがいまここで多くの人に伝わってきている。そしてこのライブの盛り上がり。さらには一体感。これほどまですごいライブは…ここでしか味わえない。だからこそ…最高に楽しむことが一番必要なことだ。
「サビ、もりあがっていこー!」
 ハルミとアイリングのルナ、ユキノが声をかけあって盛り上げる。さすがこの四人のメンバーというべきか、この人たちでないと出来ないライブをみせている。そしてサビの盛り上がりがとんでもないことになっている。私たちは…この盛り上がりを見て体が震えている。そして…最高のライブに出会えていることがとてもうれしかった。
 ジャーーン!
「ありがとう!!」
 紅音さんが声をかけてまた盛り上げる。これがアイリング最高の舞台。そして…次はいよいよ私たちの出番がやってくる。私たちの…最高のライブ。みんなに見せるべき出番がやってきた。
「本当にありがとう! そして…次はね、私たちを見てアイドルを初めてくれた…本当に大切な仲間たち。そして…見れば必ず笑顔になれます! 私たちが自身をもって送る、ピュアプラチナです!」
 大きな拍手と歓声が沸き起こる。入れ替わるように私たちは前へと進む。
「皆、いくよ!」
「おおー!」
 紅音さんが戻ってくる。そして私は再びハイタッチする。
「最高の舞台だったよ! もう興奮が収まらない! 千代乃、楽しんで!」
「はい、紅音さん!」
 私たちはステージへと姿を現した。目の前には多くの人たちが見ている。私たちが…ピュアプラチナとしての最高の舞台を…!
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11.13
 六道は突然俺に悲しげな顔で問いかけてきた。なんでだ…俺は別れるとか何も言っていないはず…。しかし昨日の一人にさせてくれって言ったのがいけなかったのだろうか。もう何がなんだかわからないよ。
「ごめんな、俺のせいで戸惑わせて。もう…わけがわからなくなってきたよ。」
「そうだよね。拓斗の頭の中は今ごちゃごちゃになっているよね。ごめんね…私と一緒にいたせいで記憶を失うことになってしまって。」
「六道のせいなんて一言も言ってないじゃないか。全部俺の責任なんだ。そのとき自分自身を守れなかった自分も悪い。何をやろうとしても…俺が悪いんだ。」
「そっか……。うん、ごめんね。そしたら…。」
 六道は俺の方を向くのをやめて学校へ行く道を見ていた。
「………別れよう。」
 六道が小さな声でいう。えっ…別れる…。この言葉を六道の口から出てくるなんておもってもいなかった。それに…。あんなに好きだと言ってくれている六道が…そんなことって…。
「だって…自分のせいなんでしょ。つまり私を助けようとして頭をたたかれて…。それで自分のせいなんだね。まるで昔の自分を見ているかのようで嫌…。いやだから。」
 六道は泣きながら前を向く。振り返りさえしない。
「そうか…そうだよな。俺のせいだよな…ごめん。……俺は…六道を幸せにすることができなかったよ…。あの藍い目を見たかったよ。」
「……拓斗?」
「すまない…。」
「今……記憶思い出してなかった…?」
「記憶?」
「ううん…なんでもない。」
「そっか…。考えることはできないのか?」
「……わかった。でも…今日までに今後どうするかをしっかりと決めて。」
「わかったよ…。ごめんな、本当にごめんな。」
「うん。」
 俺と六道は離れて歩き始める。だけど…本当にこれでいいのか。思い出せずにでもいいのか。そんなのは絶対にいやだ…。絶対に思い出さないと。もしできないのであれば…その時は覚悟しなければ…。
「私は…信じているから。」
「六道…。」
 六道は少しだけれども希望を見出そうとしている。俺もその期待に応えなければ。俺が…彼氏だという証拠を…。
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11.13
府中「今の…何があった?」
卜部「うっそだろ…。」
六実「うっ……。」
 六実さんは痛そうな顔をしているわけではなかった。だけど必死に腕を隠そうとしている。利き手ではないほうの腕が義手だということがバレてしまう。そして…六実さんにとってとても辛い状況にもなってきている。ヒットにはなったけど…これは…。
淳和「六実!」
武蔵「……。」
 監督やチームメイトは六実さんの周りに集まっている。球場もざわつき、何が何だか分からない状況へと変わっていっている。ただ、その様子を心配する人が大半だった。この状況の中…六実さんたちは…。
対馬「大丈夫か…?」
日向「これは…どうするか…。」
 ただただ、あわてている。だけど…後ろで勝浦さんがグローブを持って六実さんの所へと向かっていく。
武蔵「まだ…終わってはいないだろ。技手は…予備あるか?」
六実「……一つ……。」
武蔵「だったら…取り替えていけ。泣くことないだろ。むしろ誇りに思った方が良いぞ。いままで義手でやってきたんだから。そんな中頑張ったってことは相当すごいことだからな。」
淳和「…そうよね。ここで泣いても仕方ないよ。」
六実「わかった…でも私は非難されないかな…?」
淳和「そんなことないよ。私の目を見て。信じて…。」
 六実さんは立ち上がって歩き始める。右手にグローブを持って。それを見ている球場の観客たちは大きな拍手を送った。全体が…そう、敵味方関係なく…。
暁美「まさか…そうだったのね。」
桜「でももしこれで腕があったらもっとコントロールと球威が…。」
桃音「こりゃもしかすると私たちやられるかもよ。」
瑞華「この試合…亜弓や由紀たちは勝てないのかな。」
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11.12
「キャアアアアアア」
「皆! 今日はライブに来てくれてありがとう! 私の応援もありがとうねー! それではこれからたくさん良い人たちが出てくるから応援してね! 次は…今人気急上昇中! アイリングです!」
 アイリングの名前が呼ばれるとまた大きな声援が聞こえてきた。そして後ろからアイリングの四人がやってきた。私たちは振り返って手をだす。それにあわせて紅音さんたちが手をだす。
 パシン パシン!
紅音「最高のライブを見せてあげるよ。」
千代乃「はい。その後は任せてください。」
 紅音さんたちは真正面の出入り口から入っていき、ステージの上に姿を現した。
「キャアアアアアア」
「いっくよー!!」
 紅音さんが声をかけると他の三人が声をかけて盛り上げる。これが…アイリングのアイドル…!
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11.12
「お母さん、おはよう。」
「おはよう。今日六道ちゃん来ていないわね。何かあったの?」
「いや、何も…終業式だから向こうも何かあるんじゃないのかな。」
 俺はいつもと違う光景に不思議な感じが胸の中でこみあげてきた。一人だとこんなに怖いなんて…。心のよりどころがなく…まったくもって手を貸してくれる人なんていない。そうでなくてもそんな気持ちになってしまう自分が怖い。孤独の怖さ、そんなことを知らずに俺は別れようと考えていたのだろうか。いや、それぐらい代償なんだ。六道を助けるためにはこれしかない。でも…何故俺の所に来ないのだろうか。何かあったのだろうか。俺が六道の所に行くべきなのだろうか。…なんだこの気持ちは。
「いってきます。」
 俺が玄関から出てもそこには六道の姿はない。本当に心配になってきた。いったいどこに…。六道の家に行くべきなのか? いくしかないか…。ってあれ? あれは六道だよな…一人で登校しているのかな…。何か…あるのか?
「六道…?」
「……おはよう。嫌だよね、一緒にいるのが。」
「…えっ。」
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11.12
対馬「(配球を読まれていたのか? いや、思い切り振っていったのが当たっただけだ。相手もそれだけ意地だということだ。かといってあのカーブを多投するわけにもいかない。アレは切り札でもあるし、投げすぎれば負担や羽葉に打たれる可能性がある。)」
六実「(ここからね。体力も辛い頃になってきたから踏ん張っていかないと。)」
 卜部先輩のヒットでノーアウトのランナーが出た。ここからだ、このチャンスは逃してはいけない。府中先輩、頼みます!
府中「お願いします。」
武蔵「ここだ! ここしっかりと抑えていくぞ!」
上野「よっしゃこい!」
 相手も相当気合を入れて待っている。だけど…私たちだって負けられない。だからここでいくしかないんだ。皆が必死に応援している。スタンドからも大きな声、そして府中先輩の集中力と六実さんの集中力。どちらが勝るのだろうか。
府中「(俺たちが…やっとここまでやってきたんだ。だから…こんなところで終わらすわけにはいかない!)」
六実「(初出場で迎えたこの大会。私たちのためにも、そして先輩たちのためにも多くの試合をしたい…! だから勝つ!)」
 六実さんがセットポジションからランナーを警戒しながら踏み出して投げる。
 シューーー グッ バシン!
 ストライクワン!
府中「(変化球。落ち着いていけば大丈夫だ。)」
 シュゴオオオオ バシン!
 ボールワン!
武蔵「さあ、バッチコイ!」
 相手の守備陣もしっかりと声を出している。簡単には打たせてくれなさそうだ。だけど…府中先輩なら…!
府中「(いくしかない。)」
六実「(ここはタイミングをはずして…。)」
 六実さんが足を上げて思い切り踏み込む。
六実「っし!」
 グググググッ
府中「(ふんばれ…ふんばれ!)」
芦毛「いけええええ!!」
 ギィイイイン!
六実「!!」
亜弓「あっ!」
 バキィッ!!
淳和「六実っ!!!」
六実「……えっ…。」
 グラブの付け根にあたった打球はコロコロとセンター前へと転がっていく。それよりも六実のグラブと…義手が一緒に飛ばされてしまった。それを見た人たちから悲鳴が上がっている。まさか…まさかそんなことが…。
line-s
11.10
「皆ー! いくよー!」
 ルナさんの声が聞こえてきた瞬間に会場がものすごく大きな声へと変わっていく。これがクリスマスライブっていうもの…! すごい盛り上がりにそして…この楽しさ! なんて素晴らしいライブ会場なのだろうか…!
「ルナー!」
「きゃああああ!!」
 会場からも大きな声が聞こえてくる。まさかこんなにすごいのを想像していたのだろうか。私たちのライブでもこんなに盛り上がってくれるのだろうか。それが心配で仕方がなかった。どうにか…私たちのライブでも…!
「いえーいえーい!」
 もうルナさんはサビに入ろうとしている。それなのに私の体には鳥肌が立っていた。これが…トップアイドルたちの盛り上げ方…! 私は今、目の前ですごいものを見ている!
「すごね千代乃…。」
「私たちはここでこれから!」
「人類と宇宙との!」
「最高のライブができるね…!」
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プロフィール

reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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