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11.10
「はぁ…。」
 結局のところいつまでも俺の記憶は戻ることはなかった。いつまでたっても…そう、六道と一緒にいても一人でいても変わることはなかった。もう一年生の終わりの時期、明日は終業式だというのに…。昨日は三年生の先輩たちが卒業して今は俺たちと二年生だけ。もう…俺の記憶は戻ることがないのだろうか。考えるだけで嫌になる。
「おはよう。」
「おはよ…。」
 六道も少しずつ返事が悲しげになってきている。俺といることでもうボロボロになっているのだろう。俺からも避けるようになり、六道も一緒にいられるとき以外は一人でいる。目黒や藤波とも話さない。俺は生田や磯見と話したりすることはあるが、…それでも不快感があった。二人で一緒にいたとしても…もう…このままなら関係が戻らない可能性が大きい。だとしたら…俺はいる意味があるのだろうか。もう…ないのだろうか。
「六道。思い出せないままでごめんな…俺はもう。」
 俺は六道に聞こえないように小さくつぶやいた。もう…俺はいらないのかもしれない。必要がないのかもしれない。六道を助けられることはいったい何なのだろうか。それは…おそらくもう…。

 キーンコーンカーンコーン
 学校が終わり、俺は鞄を持って立ち上がる。六道は自然と俺の隣に移動すると普段通りに歩き始める。ただ何も話しかけずに歩き続ける。これが俺の求めていたことなのだろうか。違う。だけど…もう…。
「六道…ゴメン。俺と一緒にいると辛いか?」
「私は…そんなこと…。」
「そうか…わかった。でも…ごめんな。ちょっと一人にさせてくれ。」
「…うん。」
 俺と六道は離れて歩き始める。もう…これでいいんだ。明日…別れることをしっかりと伝えよう。そうでもしないと…。
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11.10
由紀「ナイスピッチング。」
亜弓「ありがとう。」
 私がベンチへ戻っていくと味方スタンドから大きな拍手が沸いた。私が…点をとられて負けているというのにもこんな大きな応援。私は…このチームにいて本当によかった。
日下部「泣くなよ日高。まだ終わっていないんだ。最後まで終わっていないんだからな!」
亜弓「はい!」
芦毛「日高! 遠慮せずに思いっきり投げろよ!」
亜弓「わかりました…!」
卜部「さて、反撃にいきますか!」
府中「こっからだな!」
 卜部先輩と府中先輩が声をかけてバットを持つ。もう終盤に入っている。この回から攻めていかなければ…負けてしまう。私も…精一杯応援しなければ…!
卜部「っしゃっす!」
 六回の裏、卜部先輩からの好打順。こっからならいくらでもチャンスを作ることができそうだ。六実さんも負けていない表情を見せている。だけど…私たちも負けていられないから…!
六実「(ストレートのサイン。内角低め!)」
 六実さんがサインに頷いて腕を上げる。卜部先輩は打つ気がこちらにも伝わってくるように見える。着替え終えた私は飲み物を飲みながらその様子を見る。
 シュゴオオオ
卜部「(初球から叩け!)」
 ギィイン!
対馬「センター!」
六実「くっ。」
府中「よし、落ちる!」
 ポーン
「わあああああ!!」
 球場が沸く。初球から叩いた打球はセンター前へと落ちるクリーンヒットになった。さすがは先輩! そして…府中先輩へと回っていく…!
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11.08
「ワー! ワー!」
 控え室からも聞こえてくるこのものすごい歓声。私たちはそれを聴いただけで身震いしてしまった。こんなすごい所でやれるのが嬉しくて…たまらない。
「楓、恭花、アリス。そろそろだね。」
「わっくわくだし緊張だよ!」
「まるで全日本大会のような気分ね。見たことしかないけど…。」
「宇宙からの中継は…大丈夫!」
「アリスは変わらないね。」
 私たちは立ち上がって控え室を出る。そして目の前にルナさんが通る。関係者の人たちも慌しく動いている。そろそろ始まるということで準備をしているのだろう。
「ルナさん! 頑張って!」
「アリス! もちろんよ。あなたたちのライブも見てあげるからね。」
 ルナさんは挨拶をした後、グーポーズをとって舞台裏へと移動した。そして…会場のライトが一気に消える。
「キャアアアアア!!」
 嬉しそうな声が会場全体に響く。私たちの耳にもその声はしっかりと届いていた。そして最初にムービーが流れる。このムービーが終わった瞬間から…ルナさんの曲が始まる!
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11.08
「六道。本当に優しいよな。」
「私? …拓斗のおかげだよ。拓斗がいたからこうやって…一緒にいられる。一緒にいられるから優しくなれる。だけどわがままで傷つきやすくて。」
 六道は本当に俺のことを考えていてくれている。それが嬉しいのに…思い出せないでいることが悔しくて。ネガティブなことを考えてはいけない、ポジティブにいかなきゃと思っていても最終的にネガティブになってしまう。
「本当に…俺なんかおかしくなっちゃったみたいだな。」
「……なんで?」
「だってさ…俺って記憶を失った瞬間からもう…変わっちまったよな。」
「……そうね。」
 また自分の不幸を相手に押し付けてしまっている。なんでいけないことだと分かっているのにこうなってしまうのだろうか。もう…うんざりだ。
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11.08
亜弓「ふぅ…。よし。」
日下部「(踏ん張れよ。…だが念のためとプレッシャー与えるためにも準備はしておくか。)館川! 芦毛! 」
館川「はいっ!」
芦毛「なんでしょう監督。」
日下部「相手にプレッシャーを与えるためにブルペンに入れ。もし何かあればいつでも出れるようにも準備だ。」
芦毛「わかりました!」
館川「っしゃ!」
 私は深呼吸をして前を向く。まだ…私のことを信頼して守ってくれて、応援してくれる人たちがいる。そして…隠れる場所なんてない。だから…立ち向かっていかなければ…!
 シュゴオオオオ ズバン!
 ストライクワン!
対馬「(ストレート衰えてないな。コントロールがアレだが。)」
友亀「いいぞ! ナイスボール!」
 友亀がサインは返さずにただミットを構えている。そこに向かって思い切り…ストレートのみの勝負。コントロールが多少悪くても…!
 シュゴオオオ バシン!
 ストライクツー!
友亀「ナイスボー!」
対馬「やっべ…。」
 ツーストライクと追い込んだ。私は…このメンバーで…甲子園で勝つためにやってきたんだ。だから…最高のピッチングを!
 シュゴオオオ ブシィ バシン!
 ストライクバッターアウト!
亜弓「しゃあ!」
由紀「ナイスピッチング!」
 私は大きく声を上げてマウンドを降りていった。この回、二点を取られてしまった。だけど…まだ終わってはいない。終わっていない!
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11.07
由紀「なんでアレを打つのさ…あれも戦法なの…?」
亜弓「うそ…。」
 あまりにもありえない攻撃に失点。そして三点目…この重い一点が体にのしかかってくる。そして皆が集まってくる。私は…チームを守ることが出来なかった。私のミスで…こんな…。外野まで私たちの所にやって来る。
池之宮「ドンマイドンマイ。気を取り直していこう。」
卜部「まだ終わっちゃいないよ。」
府中「ああ。勇気を持て。日高のピッチングはまだ負けてはいない。何故なら俺たちがこれから点を入れるからな。」
由紀「私が打って返すよ。このチームの一人として。」
海鳳「俺も負けられないからな。絶対に打つ!」
新天「だから…俺たちがいるから安心して。」
栗山「後ろを信じろ。俺たちがいるんだ。」
友亀「さあ…ここをまずしっかり押さえよう!」
 私たちは声をかけあってそれぞれの場所へと移動していった。私が…踏ん張っていけば…問題ない。まだ…皆は負ける気にはなっていない。わたしが…!
対馬「(悪いがここで決めさせてもらう!)」
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11.06
「衣装チェックどう?」
「私は問題ないわよ。」
「それにしてもすごいね! 会場はもう人、人だよ! 人だらけでめちゃくちゃ多いよ!」
「宇宙からも中継されているんだよ! 私楽しみで仕方がないよ。」
 みんながテンションをあげてきている。私たちだけではなく周りの人たち皆がテンションをあげている。その中でもトップバッターであるルナさんはいつも見せない集中力を見せていた。一人で目をつむって集中している。そしてアイリングのメンバーもすぐ出番がやってくるために集中している。私たちはアイリングの次の出番。私たちも落ち着いていけば問題ない。あと一時間も切っている。たしかにそれだと集中するはずだ。
「千代乃、準備は大丈夫そう?」
「問題ありません。紅音さんたちはすごい集中力ですね。それに衣装がとてもかわいい!」
「ありがとう。集中するのは当たり前だもの。私たちの大きな舞台としてはここが初めてだから。ドームなんて誰もが経験できることじゃない。アイドルとしてだけでなくても良い人生経験になるわよ。」
「そうですね。私たちは…初めてまだ数か月なのにこんな場所にいていいのかなって思うぐらいですもの。」
「この世界はいつ有名になっていくか。そして変わっていくかはわからないものよ。だからここいられることをうれしく思っていいよ。」
「そうだね。アイリングもまだ一年たっていないのにここにいられることがすごいよ。それに今は人気になってきているから…。これからも応援しているよ。」
「もちろん私たちもよ。最高のライブにしましょう。」
「それは私たちもそのつもりだよ!」
 私たちが話していると楓や恭花さん、アリスが後ろについてきて笑っている。紅音さんの後ろにもメンバーがそろっている。私たちは笑い合ってライブを成功させると誓い合った。そしてルナさんも成田さんも、スノーフェアリーのみんなも私たちのところにやってきた。ほかのグループも…皆。私たちは…最高のライブを見せるために集まった最高のアイドルグループたちだから。そして…皆を笑顔と感動であふれさせてみせる!
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11.06
「ん…朝か。」
 俺は朝いつものように目を覚ます。しかしいつもと違う。六道の姿がそこにはなかった。俺は…六道と一緒にいることを拒んでいたのだろうか。いや、そうでもしないと六道の心が傷ついてしまうから離れた。思い出せなかったらもう…一緒にいる意味なんて全く無い。傷つけてばかりの人生なんて、どうにかなっちまいそうだ。もうどうすればいいのかわからない。
「拓斗。ごはんの時間よ。」
 お母さんの声が聞こえてくる。いつものことだというのになぜかその気になれない。家から出たくない。六道に会うと…もう…傷つけることしかできなくなってしまっているような気がする。
「早くきなさい。撫子ちゃんもいるんだよ。」
 俺はその言葉を聞いてハッと気づいた。まさかもう来ているというのだろうか。俺は着替えるとすぐにリビングへと移動してった。そしてリビングへと移動すると目の前に六道の姿があった。そこには泣きながら俺のほうを見ていた。なんで泣いているのだ? なんで俺と一緒にいることで傷つくということがわかっているのに一緒にいるのだろうか。
「私やだ…離れたくないもん。一人にしないでよ。」
 六道は泣きながら俺に抱きついてきた。返す言葉がない。たしかに一緒にいてあげたいけどそうなると俺だって…。
「ねえ六道。どうしても俺と一緒にいたいのか? 傷つくことがあったとしてもずっと一緒にいたいのか。」
「それでもいいの。だって拓斗じゃないと嫌なんだもん。一緒にいないと本当に嫌だからね。一緒にいないほうが辛いんだから…。」
「六道…わかったよ。でも…少しでもいいんだ。考えさせる時間をくれ。」
「わかった。それでも…一緒にいられるときは一緒にいてほしいの。」
「わかったよ。」
 俺は六道の頭を撫でて少し微笑んだ。だけど…これでよかったのだろうか。そうだよな。六道がいないと俺も何かおかしくなりそうだからな。そうでもしないと本当にこの後どうすればよいのかわからなくなったとき、一人で考えるしかなくなってしまう。俺の考えていたことは…悪いことだったのかもしれない。だけど…それでよいのか?
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11.06
 私はボールを受け取ると腕をあげてミットめがけて投げる。
 シューーー バシン
 ボールツー!
対馬「(このチャンスは絶対逃さないぞ。必ずヒットを打ってやるんだ。)」
 ここは敬遠が正解だ。逃げるという選択肢ではないけど、これも私たちの勝つための戦略なんだ。
武蔵「(次…いくか!)」
 私はサインに頷き、足を上げる。そしてミットに向けて投げようとする。
亜弓「…!?」
 勝浦さんから異様な雰囲気が感じられた。私は大きく踏み込んで思い切り投げる。
亜弓「っら!」
 シュゴオオオオ
友亀「(ボール球なのに思い切り投げるかよ!)」
勝浦「(間に合え!)」
 勝浦さんが腕を伸ばして振りにいく。まさか…当てる気なの!?
勝浦「おらああ!!」
 ギィイイン!
由紀「うそでしょ!」
亜弓「えっ!?」
六実「こ、超える!」
 打球はサードとショートの頭上を越えそうになる。精一杯追いかけて飛びつこうとする。
新天「おお!」
栗山「とどけっ!」
 ドッ
上野「っしゃあ! ナイスバッティング!」
淳和「すごい! これは三塁に…!?」
由紀「させないっ!」
 サードランナーがホームベースを踏む。まさかの形で三点目…またとられてしまった。しかし由紀が全力で走って捕ったため、淳和さんがサードに向かわずにセカンドベースで止まった。私もカバーしておかげでこれ以上傷を広げることがなくなった。しかし…点を…とられてはいけない一点を与えてしまった…。

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11.05
「皆、こんにちは。今日は…最高のライブに出来るように頑張ろう!」
 リーダーであるスノーフェアリーの優衣さんが声をかけて皆を楽しませてくれている。これから最高のライブが始まろうとしている。これが…私たちのクリスマスライブになる。
「それじゃあ…皆さん! 本番に向けて頑張りましょう。」
「いえーい!」
 私たちは声を掛け合ってそれぞれ喜びあっていたこれから始まるということだというのにこの盛り上がり。だからこそのクリスマスライブ!
「楓、恭花さん、アリス。頑張ろう。」
「もっちろん!」
「私だって楽しみで仕方ないわよ。頑張るわよ。」
「イエース!」
 私たちもそれぞれ盛り上がっていた。いよいよ…ライブの時間が近づいてくる!

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11.05
「ただいま…。」
「お帰り。どうしたの?」
「いいんだ。何もないよ。」
 俺はお母さんに対して淡々と返事をした。なんというか…もう俺は辛い思いで一杯で仕方がなかった。悲しい現実が目の前にある。思い出せない。六道を傷つけてしまう。そして…本当にすきなのか分からなくなってくる。好きなのに分からない。この違和感がどうも俺の心を痛めつけていた。もう本当に一緒にいる意味はなくなっているように思えた。そして…傷つけてしまっているせいで…。
「本当に大丈夫なの?」
「……ほっといてくれ。」
「撫子ちゃんとでも何かあったの?」
「何かじゃないよ。…俺のせいなんだ。好きなのに傷つけてしまう俺が悪いんだ。」
 考えられることはこれしかない。もう…俺と六道は…。
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11.05
友亀「タイムお願いします。」
 友亀がタイムをかけて皆を集めた。ランナーが二人出ていてバッターは勝浦さん、そして点を取られているときという最悪の場面。内野に皆が集まって由紀もこっちまでやってくる。皆が声をかけにやってくる。私は…なんて答えればいいのだろうか。私がランナーを出してしまったのが原因でこんな状況を作ってしまった。
友亀「大丈夫だ。負けたわけではない。それに今伝えたいのは次の作戦だ。」
新天「ランナーはいるぞ。ここで打たれたらヤバいからな。」
卜部「だとしたら…。」
友亀「ここは敬遠だ。」
 敬遠。勝浦さんとの勝負を避けるということだ。そうでもしないとこの試合、勝つことが出来ない…。
由紀「大丈夫だよ。亜弓なら心配する必要はないよ。」
 私たちはそれぞれ声をかけてマウンドから離れていく。敬遠して…勝つために。
友亀「(ここを敬遠して抑えないと勝ち目ないぞ。頼むぞ日高。)」
 そして勝浦さんがバッターボックスに入る。ここから…踏ん張りどころだ。
六実「(打たせてくれないかな。)」
 サインを出さずに少し中腰になっている。少し速い球で敬遠をしなければ…。
 シューーー バシン!
 ボールワン!
「えええええ!!」
 球場がため息交じりの声が聞こえてくる。そして…ちょっとしたブーイングも聞こえてきた。
勝浦「(仕方ないな。だけど…これ届くのか? やってみるしかない。)」
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11.04
「紅音さん、こんにちは!」
「あ! 千代乃! 今日は頑張ろうね!」
 私たちは会場の総合控え室に移動するとアイリングの皆がいた。それ以外にもすでに集まっているグループがいた。そしてルナさんも目の前にいた。
「いよいよ今日ね。もう今日は朝からクリスマス気分でいる人たちがたくさんいたわよ。なんというか…リア充爆破!」
「ですよねっ! 私も宇宙から光線を発射するようにお願いします!」
 またアリスとルナさんが盛り上がっている。でもこれでモチベーションは保つことができそうだ。
「ありがとうね千代乃。私、この音楽を作って何かわかったことがあるんだ。」
「楓?」
 楓は突然私の顔を見て真剣に話し始めた。そして私の手をギュッと握る。
「一緒にいたからこそ…この音楽に出会えた。あの時一緒にあっていなかったら…。本当にありがとう! そして今すごく幸せだよ!」
「私も…あの時に声をかけてくれてすごく嬉しかったよ。楓がいなかったらこの曲は作れなかったよ。」
「私もよ。カラオケで声をかけられるなんて…まさかそんなことがあるとはね。でもその情熱が私を引っ張ってくれた。感謝だよ。」
「私も恭花さんにあの時声をかけることができてよかった。ダンスも恭花さんのおかげだし…私の体力もつくようになった。ありがとう。」
 私たちはそれぞれ思いを伝え合った。そしてアリスがやって来る。
「私もあの時の様子を見ることが出来たのが奇跡だよ。ライブを見ることが出来て、それ以前にカラオケであんなに真剣に話している所を見れて…。私は一緒についていこうと思ったよ。」
「それを言うならアリスがいたからこそこの盛り上がりをつかむことができたし、アイドルというものをさらに知ることができた。」
 思い思いをぶつけ、結果を出してきてここまでやってきた。私たちは自信をもってライブをすることができる。やれることはやってみせる。それが私たち、ピュアプラチナだから。
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11.04
「ねえ拓斗…。」
「何?」
「私はね…ずっと大好きだからね。どんなことがあっても…。」
 俺はその言葉に返事を返すことができなかった。もう情けなくて申し訳なさ過ぎて…。惨めな思いになってきた。
「ありがとう…。でも六道。俺は今思い出せないでいる…。悪い思いばかりさせていて…。もう一緒にいるだけで傷つけてしまうって思って。」
「そんな…私はそんなこと…。」
「少しでもあるだろ…。」
 俺が言うと六道は黙ってしまった。もう…これしか出来ない俺に何もやれることなんてない…。思い出せなければ傷つけるだけで六道の人生を台無しにしてしまう。だから…。
「ごめんな。一緒にいたい気持ちも分かるんだ。でも…少しでいいんだ。…一度一人にさせてくれ。」
「……!」
 六道はその言葉を聴いてすぐに涙を流し始めた。俺もその顔を見ることができなかった。辛い思いが心にのしかかる。
「だって…拓斗は…ずっと守ってくれるって…。」
「もう…守れるほどの自信が無いんだよ…。俺には…。」
 俺が答えると六道は泣き崩れてしまった。地面に座り込み、大泣きしている。抱きしめることもできず、撫でることも出来ずにいる。自分のせいで周りを傷つけさせてしまっている。だから…離れることができれば傷つくことも…。
「もう…いやだよ…こんなの私は望んでないよ…。」
 六道は顔をうずめて泣き続ける。俺は右手を強く握り、下を向く。自然と涙が流れてくる…。俺には…もう…。
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11.04
 池之宮の投げたボールは友亀の頭上の上へ。まさかまさかの暴投になってしまった。友亀は思い切りジャンプをするが届かず、私はカバーに入った。
下野「っしゃあ!」
上野「ナイス!」
 相手の作戦とこちらのミスでまた失点が入ってしまった。2対0で2点差へと差が広がっていった。そしてツーアウト三塁。バッターは三番の淳和さんの出番がやってきた。
淳和「(亜弓。悪いけどここで決めさせてもらうわよ。)」
 淳和さんが集中してバッターボックスに入った。ここで抑えておかなければチャンスで勝浦さんへと回っていく。それだけは避けたい…。
友亀「(踏ん張れよ。)ドンマイドンマイ! ここ落ち着いていこう!」
 友亀が回りに声をかける。周りの皆が声を掛け合って落ち着こうとしている。私も深呼吸をし、前を向く。
亜弓「ふぅ。」
 自分がしっかりしなきゃいけない。だから…ここで思いっきり投げて抑えるのが私のやるべきこと!
 シュゴオオオ バシン!
友亀「っと!」
 ボールワン!
 ストレートが全く持って入らない。構えた所とは別の場所へと投げてしまう。でも…これでしか抑えることはできない…!
 シュゴオオオ バシン!
 ボールツー!
由紀「落ち着いて!」
 由紀が声をかけてくれる。だけど何故か落ち着きを取り戻そうとしても何か変な感じがする。なんとかしなきゃ…!
 シュゴオオオ バシン!
 ボールスリー!
 まだストライクがない。次こそ入れないとという不安感にも襲われる。なんとか…なんとかしないと!
 シュゴオオオ バシン!
 ボーフファア!
淳和「(あせったね。)勝浦さん頼みます!」
武蔵「っしゃ。」
 ツーアウト一三塁。この場面で勝浦さんがやってきた。覚悟を決めなければ…。
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プロフィール

reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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