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07.31
 バシーーーン!
 ストライクツー!
 信じられないようなストレートを投げている。それはいままで見たことのあるストレートとは全くもって違うものだった。湯子が覚醒でもしたのかと思うぐらいの変わりぐあいだった。
湯子「(なにこれ…思いっきり投げやすい!!)」
 シュゴオオオ ブンバシーーン!
 ストライクバッターアウト!!
 別人だ。もう間違いない。完全に覚醒している。巴美羽は腕を組んで口笛を吹いている。なんでこの人がこんなアドバイスができるのだろうか。天才は努力するものを打ち砕くことがあって良いのか…。おこるべきなのだろうか。これだけすごいと…普通なら悔しいという思いがなくなってくる。だけど私にとっては悔しい。あんな人には絶対に負けたくないという思いがこみ上げていく。
 シューーー ギィイン!
巴美羽「あ、きたのね。」
 巴美羽は余所見しながらボールを捕って適当にファーストに送球する。
 バシン! アウト!
巴美羽「あー面倒。」
 巴美羽はその後のボール回しも適当にとって適当に返している。なにより余所見をして正確に捕球し、正確に投げる。それが気に食わないというかなんというか…。私には真似できない芸当だった。

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07.31
「やーほーい!」
「ありるさん、メイド服のまま…どうしてここに?」
「うーん、ちょっと電波を感じたので。」
 全く意味不明な会話をしてきた。でも…この子らしいというべきなのかな? これが人気の理由? 作っているのかあるいは…素なのか。
「それにしてもメイド服似合っているね!」
「本当ね。うらやましい限りよ。」
 楓も恭花さんもありるさんのことを褒めている。でも…この人の名前っていったい何なんだろうか。本当の名前は。
「あの…ありるさん。」
「そうだ! お話したいことがあったんだ! ちょっとどこか話せる所ってある?」
「えっと…私たちこれから会議があって…。もしよかったら来ていいわよ。」
「ワーイ!!」
 ありるさんの突然の行動に私は戸惑っていた。でも…何か話しがあるって何なんだろう。
「でもその服でいいの?」
「着替えは?」
 楓と恭花さんが少し気にかけて声をかけてくれた。確かにこの格好で行くのはちょっと…。
「着替えはここにあるよー! 向こうつくまでこの格好でいくー!」
 な、なんて猛者なんだろうか。人前でメイド服のまま歩けるなんて…私だったら恥ずかしくてどこか逃げ込みたいぐらいだ。私はちょっと恥ずかしい気持ちを抑えながらうなづいて歩き始めた。
「そしたら会議早めにして後でもう一度秋葉原行く?」
「いいね!」
 恭花さんのアドバイスで私は少しほっとした。私はありるさんをつれていつもの会議場所へと向かっていった。行く途中の人々の目がちょっと痛かったのがちょっぴり恥ずかしかったけど…私じゃないし。うん、大丈夫。
「わーいわーい!」
 会議室に入ると同時に飛び跳ねていた。そして私たちの方を向いてお辞儀した。いったい何だろうか。
「おねがいします! ピュアプラチナのメンバーにしてください!!」
 …………えっ!?
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07.31
ジャーーン
 曲が終わると同時に藤浪は決めポーズをとって終わった。そして会場から拍手が沸き起こった。これだけ上手いと後から歌う人に大きなプレッシャーがかかるだろう。
「ありがとう!」
 藤浪の一声でまた会場が沸いた。やっぱりこれだけおもいっきり歌えるのは良いな。藤浪は手を振っている。おそらく磯見に向かって手を振っているのだろう。磯見もそれに答えるように手を振り続けている。なんだかんだでお互いに仲良くいっているみたいだな。そして藤浪が戻っていくと同時に別の人が入ってきた。
「え、エントリーナンバー2番、三年の三上紗江です。」
 いかにも地味そうな女の子がやってきた。こういう人に限って歌とか上手そうだな…。しかも完全に選んでいる曲がバラードって…。
「ただいまー。」
 藤浪が手をピッとあげて戻ってきた。藤浪が席に座ると女の子が歌い始めた。ってか上手い、なにこの上手さは。カラオケ大会ってこんなに上手い人たちがそろって出るような感じなのか? おそろしいなこれって。この後のプレッシャーもでかいじゃないか。というか優勝誰になるか分からないぞ…。

 十四人目の発表が終わって俺は舞台裏に到着した。そして次に歌う人は…。
「エントリーナンバー16番、姫宮小町です。」
 まさかの姫宮会長が前にいるなんて…。絶対レベル高いだろ。…って思っていた俺がバカだったかもしれない。音痴ではないけど、なんだかかわいらしく歌っていた。これはこれで味があるかもしれない。いや、ウケは良いみたいだ。本人もいたって本気で歌っている。俺も曲に合わせて拍手はしている。ここまでカンペキではなかったか。そして…俺の出番がそろそろってことか。

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07.31
横倉「すまない永瀬、無駄にしちまった。」
永瀬「大丈夫だ。俺にまかせろ。俺はこの学校のエースなんだからな。」
 ワンアウトランナー三塁、バッターばエースの永瀬が入ってきた。私はロージンバックに手を付け、残った粉を行きで吹き飛ばした。この回をしっかり抑えていかなければいけない。次に投げる投手が少しでも楽になれるように…そして私のためにも!
友亀「(コントロールがもう定まらないからな…全力投球で抑えていくしかない。勢いも球速も変わらないけど…やはり疲れは顕著にでてるな。あと身長と女子だという所だろうか、球が飛ばされやすくなっている。金属バットだったら大して変わらない気がするが…実際どうなんだ。)」
永瀬「(打つなら今しかない。チャンスなんだ。)」
 私はサードランナーを見ながら足を上げる。そして構えている所に向かって思いっきり投げる!
 シュゴオオオ ブンバシーーン!
 ストライクワン!
永瀬「(ふぅ…。見えるぞ。)」
暁美「球に勢いもあるし、投げるときの風格もある。」
桜「だけど疲れには負けているようね。」
瑞華「ここで負けたらダメだよ。一年生のメンツってものがあるから。」
 私はボールを受け取ると同時に額の汗をぬぐった。この暑い中、思いっきり投げることができている。しかしこの暑さが私の体力をどんどんと奪っていく。もしそうだとしても…投げなきゃいけない。マウンドはそういう所なんだ!
 シュゴオオオ
永瀬「(疲れの色が見えてるぞ。お前の気持ちは分かるぞ。だからここで打つんだ!)」
 ギィイイイン!!
友亀「センター!!」
卜部「センターバックだバック!」
 センターの海鳳が目を切って後ろに走っていく。そしておおよその落下点に入るとバックホームの準備をしている。タッチアップだ。しかしあの距離は厳しいのではないだろうか。
栗山「卜部先輩! カットお願いします!」
卜部「わかった!」
 バシン! アウト!!
緒方「っしゃあ!」
 サードランナーがタッチアップした。海鳳からの返球が戻ってきて卜部先輩が捕球する。そしてホームに投げていく。しかしこの距離じゃどうやっても間に合わない。
 ザザザザザザ
 セーフ!!
緒方「やったぜ!!」
 サードランナーがホームを踏んで3点目が入った。これで5対3、その差2点に詰め寄られていた。だけど…まだ怖いと思ってなかった。私は思い切り投げることが出来ているのだから…。もしこれで思いっきり投げられなかったら…本当に精神状態が壊れていたかもしれない。由紀がいなかったら…。
由紀「ツーアウト!!」
 由紀が手をあげて指示を出している。そうだ、ツーアウトなんだ。あと一人抑えればこの回は終わりなんだ。踏ん張れ、私。
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07.29
 みちるはバットをトントンとベースを叩くようにしてピッチャーの方を向いた。本当に身長高い…。男性審判と同じぐらいの身長って…。
チョンジャ「(でかいわね。でもこういうタイプの投手は…!)」
 ピッチャーが投げる体制に入った。そして腕をまわす。
 シューーー バシン!
 ボールワン!
みちる「(球速はそこそこある。当てれば飛んでいけそう!)」
 みちるはもういちどトントンとベースを叩いて構える。でもみちるって器用じゃないから…振り回すタイプだからこのピッチャーには厳しいかもしれない。
 シュッ ググググッ
みちる「(チェンジアップ…。)」
 ギィイイィイン!!
 打球はファーストへのフライ、いや、ライトへのフライになっていった。高いフライだがグングンと伸びていく。そして巴美羽は適当に走りながらまわっていく。みちるはちょっぴり悔しそうな顔をしていた。
 バシン! アウト!
 案の定、ライトフライで終わってしまった。でも私から見ればよくあの場所まで飛ばした感じだった。
湯子「さて…いきますか。」
夕菜「気合いれていこう!」
 湯子はグローブを叩いてマウンドへと向かっていった。巴美羽はあくびをしながらベンチから出てくる。
巴美羽「あ、そうだそうだ。湯子ー。」
 突然巴美羽が湯子の近くにやってきた。そして耳元でなにか言っていた。
巴美羽「体の軸とねじりを使って投げてみな。湯子は体が柔軟だからそれを上手く利用するの。」
湯子「本当に? …信じるよ?」
 何か分からないけど巴美羽は伝えると帽子の上にグローブを乗せて守備位置へと移動していった。いったい何を考えているのだろう。そんなことを考えている間に一回の裏の攻撃が始まった。
湯子「(…ねじり…ね。)」
 湯子はしっかりとサインを確認した。そして投げる体制に入る。
由紀「(フォームが!?)」
 湯子が投げる瞬間に私はあることに気づいた。フォームが違う。いつもより躍動感があって、力強さがみえている。
 シューーー バシーーン!!
 ストライクワン!
「おおおお!!」
 スタンドからも驚きの声が聞こえている。いつもの時よりも速く感じる。まさか巴美羽はアドバイスをしたのか?
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07.29
「やほー。この前はお疲れ様ー。」
「楓。お疲れ様。」
「こんにちは。この前の感覚が残っている感じがあるわよ。」
「恭花さん、こんにちは。」
 私は休日をつかって二人と会う約束をして秋葉原に到着した。そして私たちを見てうわさしている人たちがいる。なんだか嬉しそうな顔をしている。でもちょっぴり怖いのもある。
「大丈夫よ千代乃、何かあったら私がやっつけるから。」
 恭花さんが心強い言葉を言ってくれた。私はうんとうなづいて歩き出した。目的はアイドルのCDやグッズを買って参考にすること。どんなのがあるか確認しなきゃ。
「わーい! っておお! これって!!」
 楓が突然大きな声をだして店の近くに寄っていった。そして食い入るように見ている。私と恭花さんはなんだろうと思って覗いた。しかし私たちはそれをみてあんぐりと口をあけた。嘘でしょ…まだグッズは売ってないけど、私たちのレビューや写真が貼られている。この写真って紅音さんが私たちに写真の許可をお願いしたときのものだ。こんな笑顔でライブしていたのか…。そして紅音さんの知り合いのカメラマン、とても綺麗に撮れている。
「すごいよね!! なんだか…嬉しいね!」
「うん! 本当にこれはすごいことだよ!」
「私…こういうの始めてだよ。」
 私は手が震えていた。嬉しさのあまり、飛び跳ねたい気分になるぐらいだった。私たちは嬉しい気分のまま、店の中に入った。
「あ、アレはアイリング!」
「すごいわね。人気急上昇中って書いてる。」
 アイリングの知名度がどんどんと上がっていく。この人たちに出会えたことすら嬉しいことだったのかな。
「見て! この人って…。」
 私は楓の指差す方を見た。そこにはあの会ったことのあるメイド、ありるさんのコーナーだった。メイドアイドルかぁ。この人かわいいから…うらやましい。
「私の見てくれているんだ! うわーい!」
 後ろでピョンピョンとはねている女の子を見つけた。私はその顔に見覚えがあった。…ありるさん!?
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07.29
「それでは、事前にエントリーした方は番号を取りに来てください。今から参加する方はこちらに並んでください。」
「それじゃあ拓斗、又後でね。」
「ああ。」
 俺は撫子とは別行動になった。俺は今日登録しなきゃいけない。撫子は事前に登録してあったのでそのまま番号札をもらいにいく。というか上手く歌えるのかな?
「白羽根拓斗さんですね。17番でお願いします。」
 俺は17番か。おそらく撫子たちは先に予約していたから先になるのだろう。きっとそうだ…。
「ただいまー。私30番だったよ! 一番最後だって。」
「マジで!? 俺17番だった。それじゃあ先に決まったからといって順番が速くなるとかそういうのは無いのか。」
 まさかそんなことがあるのか。俺の方が撫子より早くやるのか。それじゃあ予約した人が後ろになるのか?
「私トップバッターだって。」
 隣では予約していた藤浪がいた。うわお、ということはこっちの考えも無いってことか。いったいどうなっているんだ? そういえば目黒も予約していたよな。何番だったのだろうか。
「目黒、番号いくつだった?」
「私? 私は20番だよ。」
 なんとなく分かってきた気がする。きりの良い場所を選んでいるのだろう。それなら納得できるかもしれない。まあ…順番がいくつであっても楽しんでやるだけだ。曲は一番だけだし、やるっきゃないな。そしてしょっぱなから藤浪か。
「よいしょ、それじゃあいってくるね!」
 藤浪は磯見に手を振って開場裏へと入っていった。そして前から出てくる。
「エントリーナンバー1番、藤浪香織です!」
 挨拶が終わると指定した曲が流れ始める。ロック? というかものすごく激しい曲調だ。バンドみたいな雰囲気だ。そして歌い始めている。かっこいいな! こんな声出せるなんてうらやましいぜ。
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07.29
池之宮「落ち着いていこうぜ。」
友亀「お前ならいける。怖くないだろ?」
亜弓「怖くないよ。負けてないから。でもちょっと流れは向こうに持ってかれちゃったね。」
卜部「それなら取り戻せばいいだけさ。」
栗山「後ろは任せておけよ。」
新天「全力投球でいこう! それの方が守っている方としても安心する。甲子園だから強い相手がいるのは当たり前だよ。だとしても向かっていこう。」
 皆が声を掛け合ってくれる。監督の目を見てもがんばれと伝えてくれているようだった。そして遠いのにもかかわらず由紀もマウンドに来てくれた。
由紀「なに打たれてるのよー。」
 そんなことを言いながら私のほっぺをプニプニしてくる。由紀だから笑って言ってくれている。冗談なのも分かってる。
亜弓「ごめんね。」
由紀「いいのいいの。でも私は亜弓が打たれている所は見たくない。だから…思いっきりいって!」
亜弓「ありがとう。」
 由紀が肩をポンポンと叩いて守備に戻った。これなら心配ない、私はまだ投げられる。
府中「こっちに打たせてこいよ! 次はとってやる!」
海鳳「こっちでもいいぞ!」
 私はグローブをパンと叩いて気合を入れた。そして五番バッターの横倉がバッターボックスに入った。
永瀬「打ったのになかなか崩れないな。」
久保「打ちやすくなったのは確かだ。あの投手のメンタルは…皆に支えられているものだと思う。信頼があってこそ力強さを発揮してるな。」
永瀬「まあ見た感じで分かるよ。ものすごく闘志にあふれている。だけど…崩してしまえば一瞬で崩れてしまいそうだな。あと一本が欲しい。」
 私はサードランナーを気にしながら足を上げる。まだ…三点もある。されど三点、もう点はやりたくない。だから思いっきり投げる!
 シュゴオオオオ
横倉「っらぁ!」
 ギィイイン!
 打球はファールグランドへと飛んでいくフライになった。サードが追いかけるがおいつか無そうだ。
由紀「(捕れる!)」
 由紀がダッシュで落下点へと向かっていく。そして思いっきり飛んだ。
 バシン! アウト!!
「うぉおおおお!!!」
瞳「すごいすごい!!」
真希「ナイスキャッチ!!」
 由紀のファインプレーで一つのアウトをとることができた。本当に由紀様々だ。
亜弓「由紀! ナイキャッチ!」
由紀「イエーイ!!」
横倉「すげぇな。」
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07.28
「おはよう。」
 私は疲れた顔で教室に入った。するとクラスの数人が私のことを見てきた。そして近づいてくる。
「やっぱりそうよね…。」
 私の顔をまじまじと見てくる。そんなに私、疲れた顔しているのだろうか。無理もないよね、昨日の今日だし。
「昨日、アイリングと一緒にライブしてたでしょ? たしか…ピュアプラチナって名前で。」
「……えっ!?」
 なんで? 私だってバレてしまったの? と、ともかく…。今はなんとかごまかさないと…。
「なんで? 私、そんなことしてないよ? ほら、体弱いし…。」
「えー。だって名前が千代乃ってそういないわよ。珍しいし、髪型もそのまんまだったもん。あと黄緑色の髪をした女の子とかっこよくてオレンジの髪色の人がいたわよ。」
 ダメだ、完全にばれているかもしれない。いや、ばれているんだ。私は大きくため息をついて自分の椅子に座った。
「人違いじゃないの?」
「だって…あ、友達が写真撮ったって。」
 だめ、こんなことで反応しちゃいけない。そしたら本人だってバレちゃうから…。なんとかしなきゃ。
「おはようございます。」
 先生が教室に入ってきた。先生が入ってくると同時に私たちはすぐに自分の席へと戻っていった。これで少し落ち着いたかな…。
「さて…千代乃さん。昨日アイリングのライブにいたでしょ?」
「はへっ!?」
「ほらーやっぱり。」
 なんで、先生まで見ているの!? というか…ここまで来たらもう逃げられないじゃない…。
「私、アイリングの大ファンだったのよ…。でも私もピュアプラチナのファンになったから。これからもがんばってね、千代乃さん。」
 これは…褒められているのかな? そしてクラス中から拍手喝采が沸き起こる。こんな思いをしたのも初めてだ。クラスの皆に褒め称えられるなんて…。うれしくて涙がでそうだ。

 ピロロン
「ん?」
 昼休み中、楓からメールが来た。と思ったら恭花さんからもメールが届いた。私はすぐにメールの中身を確認した。それはお互いに同じものだった。クラスの人たちにばれちゃったって。でも…すごくうれしそうな言葉が詰まっている。やっぱり…こういうのはうれしいのかな…。

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07.28
「おめでとうございます!」
 拍手で藤浪のお母さんが景品をもらう。そして藤浪に向かって手を振っていた。藤浪もこれには嬉しくて手を振っていた。さて…ビンゴ大会は始まったばかり…次は何番だ?
「それでは行きます…29番!」
 上から二番目の右端が当たった。撫子も当たっていたらしく、順調に穴を埋めていく。ヴィクトリアはだれよりもリーチになったのにそこから先に動きがない。まあゲームだからこんなものか。
「次は…15番!」
 なんだか不思議な所が当たるな。真ん中左端が当たった。このままならリーチかからずに穴が開いていくぞ? どういうことなんだおい。
「33番!」
 だから何でこんな所が空くんだよ。真ん中から左下、リーチになってないのに穴が空いている。もう…これは。
「やった、リーチ。」
 撫子が立ち上がった。これならきっと当てることが出来るだろう。俺は当たらなくてもいいから撫子が当たって欲しいものだ。
「28番!」
「当たった!」
「当たったネー!」
 二人の女性の声が聞こえてきた。撫子とヴィクトリア、同時にビンゴしたらしい。おめでとう撫子、ヴィクトリア。
「それでは景品をどうぞ。」
「ワーイ!!」
 二人は野菜セットを受け取った。さらにヴィクトリアの喜びっぷりに開場も沸いていった。面白いよな、たった喜んでいるだけなのにこの盛り上がり。やっぱりヴィクトリアは何か持っているよな。そして撫子は嬉しそうに俺の方を向いて笑顔を見せてくれている。よし、コレに続いて俺もビンゴを狙うぞ!!

「8番!」
「わーい!!」
 最後の当選者が決まった。結局あの後は穴を開けることはできるものの、ビンゴにはならなかった。なんて運が悪いんだ、俺。リーチすら出来ないって。
「拓斗、そういうときもあるよ。」
「ありがとう…。」
 俺は撫子に頭を撫でられて慰められた。俺にとって撫子に撫でられることが一位の景品よりも嬉しいものに感じられた。そして…。
「それではお待たせしました! カラオケ大会の開始です!!」
 いよいよだ、本日のメインイベントが来た!

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07.28
卜部「キャッチャー惜しいよ惜しいよ!」
府中「ピッチャー、切り替えていこう!」
 ストライクは入った。あとは抑えていけばよいだけ。サインは…ストレート。思いっきり投げれば打たれることはない!
 シュゴオオオ ブン バシーン!
 ストライクツー!
緒方「(何力んでるんだよ俺、ここで決めなきゃ…いけないのは分かっているんだ。だけど落ち着け、もうツーストライクなんだ。そうだ、俺たちは勝っているんだ。気持ちがそう行けば気楽になる。よし…こい!)」
 よし、ツーストライクで追い込んだ。あともう一球ストレートを投げ込んで…終わりにする。
友亀「(サインは…カットボール。と言いたいが…返事はどうだ?)」
 サインが来た。…カットボール。ストレートとほぼ同等の球速のこの球なら相手はストレートだと意識して振るだろう。ん? 偽のサインもある…。わざと首を振る…そういうことね。
緒方「(首を振った? ストレートじゃないのか? だとしたらカットボールか? このキャッチャーのことだ。相当頭がキレてやがる。あーもう深読みするな。来た球を打つ!!)」
 私はセットポジションに入って足をあげ、踏み込んで…投げる!
 シュゴオオオオ
友亀「(ここから曲がる!)」
緒方「(ノビる感じじゃない。カットボールだ!)」
 グッ ギィイイイイン!!
亜弓「あっ!」
友亀「ライト!!」
緒方「(上げすぎたか? いや、伸びてくれるはず!)いけぇえええ!!」
井上「(タッチアップか?)」
 打球がグングンライトに伸びていく。府中先輩が走って追いかけていく。府中先輩が思いっきりジャンプする。届いて!!
府中「ぐっ。」
 ドッ! フェア!!
緒方「しゃあああ!!」
 打たれた。外野の奥まで飛ばされていった。打球ははねた後、フェンスに当たって跳ね返っていく。ランナーが一人、二人と本塁に帰っていく。そしてバッターランナーがサードベースに向かって走っていった。
 バシン! セーフ!!
緒方「っしゃあうったぞ!!」
久保「ナイバッチ!!」
桜「ついにつかまったわね。」
桃音「欠点は全力投球によるスタミナ不足ッスね。」
暁美「がんばれ、亜弓。」
 ついに失点した。甲子園で始めて点を許してしまった。これで5対2、3点差に縮まっていった。そして次は…五番の横倉。まだ終わってない。次を抑えていけば良いこと!
由紀「ドンマイドンマイ! 切り替えていこう!」
 由紀からの声で私の気持ちが落ち着いた。そしてマウンドに守備陣が近づいてくる。こう集まってくれるだけで本当に嬉しい。

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07.27
「今日はありがとう!! またライブ見に来てね!!」
 紅音さんたちが最後の曲を歌い終えて降りていった。会場からは大きな拍手が沸き起こっていた。そして戻ってくると紅音さんたちがハイタッチし合っていた。やっぱりこの人たちはすごいな。こんな風に人をひきつける力があるからこれだけ人気が出てくるのだろう。そんな彼女たちがうらやましい。
「お疲れ様です。」
「千代乃! ありがとうー!」
 紅音さんはテンションが高いまま、私に抱きついてきた。汗が体についた。これだけ必死に踊っていたんだと実感できる。
「千代乃たちよかったわよ。これなら自信をもっていいと思うよ。」
「本当に!? ありがとう。」
「私たち、本当にライブやったんだね。」
「こんなたくさんの人に歌を聞いてもらえたのは始めてだよ!」
 楓も恭花さんもそれぞれがいろんな思いを持っていたようだった。それならこのライブは大成功だ。
「ピュアプラチナさんですか?」
 一人の大人の女性が私たちの所に近づいてきた。いったい誰なんだろう?
「あ、どうも! 千代乃、この人が前にお話していたCDの人。」
 私はえっと手を軽く上げるように驚いた。そして相手の方が名刺を取り出してきた。
「私はこういうものです。」
 私は名刺を受け取った。堀川千夏さん…。CD制作会社のプロデューサーみたいな人かな?
「あなたたちの曲をぜひCDにしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええっ!?」
 あまりに突然のことに私たちは口をあんぐりさせていた。私たちが…CDデビュー? ほ、本当なの?
「それって…お店にCDが並ぶってことですか!?」
「もちろんよ。」
 私たちは顔を見合わせた。そして…。
「やったぁああ!!!」
 私たち三人は大盛り上がりで声をあげていた。うれしくてうれしくて…しょうがなかった。
「そのために条件があるわ。一曲だけじゃさびしすぎるからあと数曲つくってもらおうと思うわ。どうかしら?」
「はい!」
 ここまで言われたらやらないわけにはいかない。頑張らないと…!

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07.27
「それでは、豪華賞品が当たるビンゴ大会を行います! みなさん、それぞれビンゴ表はもらいましたか?」
 俺たちはビンゴ表を取り出して準備をし始めた。相当な豪華賞品だというが何が当たるのだろうか。
「商品に関してですが、優勝商品は国産黒毛和牛のA5ランクになります!!」
「うぉおおおお!!!!」
 あまりのすごいもので俺たちは目を丸くした。まさかこんなものが出来るなんて…。もし当たったら本当に最高だな。しかしこの人数だ。当たるのだろうか…。
「ルールに関してですが、リーチになりましたらその場から立ってください。そして当たった方は手をあげてください。」
 俺はルールを聞きながら遠くにおいてあるほかの景品を見ていった。普通に二番目以降のも良いものばかりだった。野菜セットや高級ゼリーがいくつか入ったもの。本当に良い物ばかりだった。さて…誰が当てるのだろうか。
「それでは始めさせていただきます。ではまず最初は…。」
 あの抽選会でよく見るようなものをまわしている。そして…まず一つが落ちた。
「49番!」
 真ん中から右下の部分を一つ当てることができた。さて…次は…。
「43番!」
 ここは無かった。まあ、そんな簡単に当たるわけないよね。次だ次。
「22番!」
 お、真ん中上が当たった。これなら順調に…。
「リーチ!」
 ヴィクトリアが大きな声で立ち上がった。なんて強運なんだ、もうリーチがかかったのかよ。普通ありえねぇぞ、こんなの。
「35番!」
 といってるそばに俺は真ん中一番上のところを当てることができた。これなら追いつくか? いけるんじゃないか? と思っていたら数人が立ち上がっている。まだ、まだ終わらないよ。
「50番!」
 一番右上の部分だ。順調に埋まっている。景品はあれだけあるんだ。きっと…。
「当たった!!!」
 一人の女性が声をあげて手を万歳していた。大人の女性が立っている。もう当ててしまったのか。
「お、お母さん!?」
 藤浪が驚いて指をさした。まさか…あれって藤浪のお母さんだったのか!? となると…PTAか何かで参加したのか? なんてうらやましいんだ。
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07.27
久保「(こいつを打ち崩すには…ストレートを打つしかない。しかしそのストレートはかなり厳しいものがある。まず落ち着いて…一つずつ打っていこう。)」
 相手バッターがバットをゆっくり振って落ち着いていた。ランナーは一塁に一人、落ち着いていけば大丈夫。
友亀「(初球、スラーブからいくぞ。変化球でカウントを稼げるかどうか確認だ。)」
 友亀からのサインは変化球。ここでストライクが入らないと厳しいということかな…。だとしても思いっきり投げることは忘れずに…外角へ!!
 シューー
久保「(いきなり着た! これを逃したらもう無い!)」
 ギィイイイン!!
友亀「(打たれた!?)ショート!!」
 打球は力強くショートの頭上を越えていこうとしている。ショートの栗山先輩がジャンプする。
栗山「ぐっ!」
 ドッ フェア!!
久保「っしゃああ!!」
 ヒットを許してしまった。それも長打になりそうだ。一塁ランナーが三塁に向かって走っていく。海鳳がボールを捕球した。
由紀「サードは間に合わない! セカンドベースになげて!」
海鳳「わかった!」
 海鳳がセカンドベースに向かって投げた。カバーには卜部先輩が入っている。そのおかげでバッターランナーはセカンドまで進まずにすんだ。長打を許してしまい、これでノーアウトランナー一三塁になってしまった。そしてここで四番、緒方が入ってきた。完全に相手のペースになってしまった。
緒方「(ここで決めなきゃいけねぇ、打たなきゃいけないんだ!)」
友亀「(変化球狙われているな。…ならストレートで抑えていくしかない。)」
 私は大きく深呼吸してバッターを見た。どっしりと構えている。でも…私だって負けられないんだ。サインは…ストレート、高めでも良いから思いっきり…。セットに入って…ランナーを見て。
 シュッ
池之宮「走った!」
 一塁ランナーが走った。
 シュゴオオオ バシン! ストライクワン!
友亀「(セカンドは…間に合わない! ならこれを!)」
 友亀がボールを握ってセカンドに投げようとする。するとサードランナーが突っ込む準備をしていた。このままじゃ!
 シュッ
亜弓「えっ!?」
 友亀は投げた。しかしそれはただ上にふわっと上げた球だった。サードランナーは驚いて戻ろうとする。そして友亀が素手でボールをつかむ。
 パシン シューーー
新天「ットオ!」
 きわどいタイミング、これはアウトか? セーフか?
審判「セーフ!!」
 ギリギリセーフになった。しかしこれでプレッシャーをかけることができた。ノーアウト二三塁、ワンストライクになった。

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07.27
巴美羽「うーん、なんか面白くないな。」
 巴美羽はだらんとした格好でバッターボックスに入った。なんて挑発的なんだろうか。いくらなんでも相手に失礼すぎないだろうか。
チョンジャ「(何この子、ふざけてるの…信じられない。)」
 ピッチャーは完全にバッターをにらみつけている。カンペキ本気モードに入ったようだった。
 シューーー バシン!
 ストライクワン!
巴美羽「なんだ、ヘボい球だな。」
チョンジャ「何…?」
 今ヘボいって言ったよね…そんなこと言っていいの? 私には分からない。巴美羽の頭の中で何が起こっているのか…もうついていけない。信じられない領域に入っている。お願いだからこれ以上人を馬鹿にするようなことはやめて…!
チョンジャ「(ふざける…なっ!!)」
 シューーー
 ものすごいストレートだ。いつも以上に速い球だ。
巴美羽「ひゅーー。(そうだよ、これだよこれ。)」
 巴美羽がいきなり打つ体勢に入った。そして…信じられないようなゴルフスイングをする。

 ギィイイイイイン!!!
 打球はピッチャーの頭上をかすめるかのように飛んでいった。しかもかなり伸びていく。この打球のノビならフェンスに当たるだろう。
チョンジャ「何っ!?」
 ガシャン!!
 打球がフェンスに当たった。それを確認するとゆっくり私はホームベースを踏んだ。これで先取点を取ることができた。しかも巴美羽はセカンドベースを蹴って三塁まで向かっていく。
「させるかよ!」
 センターから良い送球が返って来る。しかし巴美羽はどんどん加速していき、スライディングをした。
 ザザザザザザ セーフ!!
巴美羽「ふーん。」
 巴美羽はガッツポーズもとらなければ嬉しい顔もしていなかった。なんて人なんだ。
みちる「ナイスバッティングです。」
由紀「ありがとう。みちるもがんばって。」
 私はみちるとハイタッチしてベンチへと戻っていった。ツーアウトランナー三塁でみちるの出番がやってきた。



今回はだ~じりん。さんに描いていただきました!ありがとうございます!
だ~じりん。さんのpixivページ
ツイッター
ホームページ
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07.26
チョンジャ「(なかなか良いバッターね。)」
 相手投手もこのバッティングで完全に目が覚めた顔に変わった。甘い球は一切来ないだろう。夕菜、出だしが大事ですからね。
 シューーー バシン!
 ボールワン!
 ストレートがしっかりと決まっている。やはり全国代表で選ばれる投手は強豪ぞろいだ。
巴美羽「なにこれ、こんなレベルなの世界大会って。」
由紀「えっ? なに言ってるの?」
 巴美羽、いくらなんでも相手のことを舐めすぎではないのだろうか。そんなこと言っていると絶対に痛い目にあうよ。いくら良いバッターだとしても…それは最低だよ。
 シューーー ギィイン!
夕菜「ちっ。」
 打球はセカンドフライ。ライズボールも持っているのだろうか。セカンドがゆっくりと構えてとる。
 バシン! アウト!
 夕菜さんはアウトになってしまった。さすがにこの投手から初見で打つのは厳しいものがあるのかもしれない。
そして夕菜さんがベンチに戻ってきた。
夕菜「由紀。」
由紀「どうしたの夕菜。」
夕菜「ストレートは由紀なら対応できる。ライズボールは相当伸びてくるから気をつけてね。」
 夕菜からのアドバイスだった。私はそれを十分理解してヘルメットをかぶってネクストバッターサークルに入っていった。湯子はバットを短くもって構えている。
 シュッ ググググッ
湯子「(なっ!?)」
 ギィイン
 ああ、湯子のバッティングの時に出る悪い癖が…。遅いボールに体が突っ込んでいって凡打になってしまった。サードが綺麗に処理してファーストに投げる。
 バシン! アウト!
湯子「うーん。」
 湯子も凡退になってしまった。湯子、この癖を直さない限りこういうバッティングは増えていくよ。といって私も凡退になったら元も子も無い。私が打ってこの悪い流れを断ち切らないと。
みちる「先輩、頑張ってください!!」
 私はバッターボックスに入ってバットを一回、二回と回した。あのピッチャーの球筋を調べていてはこの打席にヒットは難しい。だからいけるとおもったら行くしかない。
 シューーー バシン!
 ボールワン!
 あれがライズボール。かなり浮いてくる。真ん中より少し高めだとおもっていたけどかなり上に伸びてきた。だったら…狙うべきは…ストレート!
 シュゴオオオ ギィイイイン!
衣世「おお!」
みちる「二塁いけます!!」
 打球は左中間に飛んでいく。私は自慢の足を使ってセカンドベースまで一気に走っていく。そしてスライディングをした。いきなりツーベースを打つことができた。そしていよいよ巴美羽の出番…?
巴美羽「ひゅーひゅー。」
 口笛を…吹いているのか?

line-s
07.26
 ジャーーン!
「わぁああああ!!!」
 歌いきった、踊りきった。そして…最高のライブを見せることができた。私はほっと一安心した瞬間、体に力が抜けてきた。
「うわっと…。」
 私の様子を見てすぐに恭花さんは私の体を支えてくれた。最後の最後にこんな姿を見せてしまった。ああ、せっかく頑張ったのに。
「頑張ったぞ!!」
「お疲れ様!!」
 パチパチパチパチ…
 しかし拍手と歓声が沸き起こっていた。私たちに惜しみない拍手を送ってくれている。こんなたくさんの人たちに応援されたのは…初めてだ。楓の目にも、恭花さんの目にも涙が見えていた。私はもう今にも号泣しそうになっていた。私は涙であふれた目をこすってファンの前に立った。
「皆さん……ありがとうございました!!」
 私たち三人がお辞儀をするとまた大きな拍手が聞こえてきた。大成功と言っていいだろうか。でも悔いは無い。最高のライブが出来たのだから。
「おつかれ!!」
 一人の女性の声が聞こえてきた。いつも聞いているような声に反応して声のする方を向いた。そこには私のお母さんが手を振っていた。そして…お母さんも泣いていた。
「ありがとう!!」
 私はお母さんに向けて手を振った。お母さんに最高の晴れ姿を見せることができてよかった。
「おかーさーん!」
「来てくれていたんだ。」
 楓も恭花さんも親が見に来ていたようだった。本当に…よかった。
「お疲れ! それじゃあ後は任せてね!」
「はいっ!」
 紅音さんが手を出してきた。私はそれに手を当ててハイタッチした。そして退場すると私たちは全員で顔を合わせた。全員が泣き顔になっていた。でも…それと同時に嬉しさがこみ上げてきた。
「や、やったぁあ!!」
 私は大きな声で喜んで楓と恭花さんを抱きしめた。同じように楓も恭花さんも抱きしめてくれた。本当に…よかった。
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07.26
「皆さんお疲れ様でした。それではまずバイキングを楽しみましょう! コップを持ってください!」
 姫宮会長の声で私たちはコップを手にとった。撫子も少し顔色が変わりながらもコップを手にとった。他のクラス人たちも先輩たちも来ている。それだけではなくOBの人たちやヴィクトリアみたいな一般の人もいる。
「それでは、乾杯!」
「乾杯!」
 私たちはコップをあげて乾杯をした。俺と撫子はコップをあてて笑顔になった。そして目の前の料理を見る。高校のバイキングにとってはかなり豪華だな。
「私の知り合いが用意してくれたバイキングはどうですかネー!?」
「ヴィクトリアが用意したのか?」
「そうそう、ヴィクトリアがいろんな人たちを呼んでくれたの。」
 俺は驚いた顔のままだったが、撫子はいたって普通の態度をとっていた。まあそうだよな、長くヴィクトリアと一緒にいるから…。それにしても…豪華だな。とっていこう。
「よいしょ…。」
「美幸、どれがいい?」
「うーん、これ!」
「なによ! 勝手に取っていかないでよ。」
「ちょっとまて、これ香織のために用意したのに。」
 生田や目黒、藤浪に磯見も楽しんでいるようだった。これで気軽に撫子と一緒に食べることができる。俺は撫子の隣に座ってご飯を食べ始めた。
「本当に美味しいな。」
「うん! でもこの後カラオケ大会でしょ?」
「カラオケ大会はたしか…何かイベントがあった後にやるらしいぜ。たぶんビンゴ大会とかじゃなかったか?」
 それを聞いた撫子は少しほっとした。少し考えたい時間が欲しかったのだろうか。まあじっくり考えて欲しいものだ。とおもっていたらパットを取り出した。そして…絵を描き始めた。
「やっぱり…こういう楽しいことは写真に収めたいのもあるけど…今は絵に収めたい気分なの。すごく楽しいから。」
「やっぱり撫子は絵が好きなんだな。」
「うん、大好き!!」
 撫子は嬉々として絵を描き続けていた。そんな俺は撫子をずっと眺め、やわらかい気持ちになっていった。撫子、いつまでもそうでいてくれ。

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07.26
池之宮「上げすぎた…。」
新天「仕方ない。相手の投手もそれだけ気合が入っているってことだ。俺も気合いれていかないとな。」
 次のバッターは五番の新天、まだチャンスは残っている。ワンヒットで一点は必ず返してくれるだろう。新天も気合の入った構えをしている。
緒方「(こいつは変化球で攻めていくぞ。)」
 ググググッ バシン
 ストライクワン!
新天「変化球か。俺だって変化球打ちを練習してきたんだ。ここで決めてやる!」
 私が応援席で見ていると由紀が私の肩をポンと叩いてきた。
亜弓「どうしたの?」
由紀「疲れてるでしょ? だとしても亜弓の武器は全力投球だからね。自信を持っていけば結果はでるよ。」
亜弓「うん、わかっているよ。思いっきりなげてこの試合勝ってみせる。」
 ギィイイン!
 会話している間に金属音が聞こえた。打球はレフトに大きな当たり。しかし定位置より後ろで守っていたレフトは落下点に入っていった。
 バシン! アウト!!
永瀬「っしゃああ!!」
 相手投手は大きな声をだしてガッツポーズをとった。相当気合が入っている。そしてこの流れ、相手はもっと私の球をとらえてくるだろう。だけどこの点差、そしてここまでの成績のことを考えるとまだまだいける。だから…思いっきりなげて抑える!
友亀「リードは任せろ。」
 友亀はバシンとグローブを叩いて座った。後ろも気合を入れて守っている。私も…それに答えたい!
井上「緒方、お前の前に必ず塁に出てやるからな。」
緒方「よし、頼むぞ。」
 七回の裏、相手チームの攻撃は二番の井上からだった。私は相手バッターを見つめてみた。かなり気合が入っている。なら私も…気合を入れてストレートを…投げ込むっ!
 シュゴオオオ バシーン!
 ボールワン!
友亀「いいよ、良いコースに来てるよ!」
 初球は外角に外れてボール。次も外角へのストレート。あのミットめがけて!
 シュゴオオオ バシーン!
 ボールツー!
府中「大丈夫だ! 塁に出してもかまわない! 思いっきり投げることは忘れるな。」
 味方から全力で投げるように指示を出されている。私も答えないわけにもいかない。それに…全力で投げると気持ちいいから!
 シュゴオオ バシーン!
 ボールスリー!
由紀「(疲れが来ている。踏ん張って、亜弓。)」
 三球連続でボール球。こうなるとボールは投げられない。でも…全力投球のサイン。あのミットめがけて!
 シュゴオオオ
井上「(これは入るっ!)」
 ギィン! ガシャン!
 ファールボール!!
 カットでファールボールになった。私はボールを受け取るとまたサインを見た。次は…カットボール。ここまでストレートを見せてきたからここで変化球を…。内角に!
 シューーー グッ バシーン!
 ボールファー!
井上「っしゃ!!」
友亀「(コレが入らないか。)ドンマイドンマイ! 次に切り替えていこう!」
 入ったと思った球がボールになってしまい、ファーボールにしてしまった。だけど一人ランナーが出ただけ…ノーアウトからのランナー、意識してもしなくても、バッターには思いっきり投げないと。
久保「しゃあぁあ!!」
 三番の久保が気合を入れてバッターボックスに入る。敵の応援席からもものすごい声援が聞こえてくる。ここがチャンスだと思っているのだろう。抑えたい…ここを抑えて次のピッチャーにつなげたい!

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07.25
 ものすごい盛り上がり私は身震いしてしまった。だけど私は口をあけて話す。
「私たち、ピュアプラチナといいます! そしてリーダーの千代乃です!!」
「千代乃ちゃーーん!!!」
 私の名前が呼ばれている。なんて嬉しいことなんだろうか。それに続いて楓も前にでる。
「楓です! よろしくー!!」
「楓!! いいねぇ!!」
 楓にも良い返事が返ってきた。勢いにのった私たちは笑顔を取り戻しつつあった。そして恭花さんが前にでる。
「恭花です。よろしくね!」
「きょーーーかーーー!!!」
 客もまさにプロだ。盛り上げ方を知っている。私たちはそのプロの応援の人たちにも助けられていった。そして盛り上がりが最高潮に達したとき、私たちはいよいよ本番を向かえていた。
「ここに立っていられるのもアイリングのおかげです。そして…私たちはここからがスタートになります。」
「これからも、応援よろしくお願いします!」
 恭花さんと楓が挨拶をして…。
「それでは聞いてください!」
「「「私たちのドリーム」」」
 曲名を言い終えた後にポーズをとった。そして拍手が起こる。…本番だ。私たちの…デビューライブ…!!

 ジャーーーン!!
「わぁあああああああ!!!!」
 前奏が始まっただけでこの盛り上がり。私たちはすぐにダンスを始める。そして…皆で一気に声を出していく。そろえて…せーのっ!
「………!!!」
「ワァアアアア」
 出だしに乗れた私たちは勢いよく歌うことができた。そしてダンスもいつもよりキレがあって綺麗に踊れている。私はソロパートに入る。私が歌い始めると皆がびっくりした顔で私をみていく。私の歌が、皆に届いている。それは何よりもうれしかった。そして楓に交代するとまたもりあがる。この楓もこの開場の沸きにテンションがあがっていた。さらには私たちのダンスに支障がでないほどだけどアドリブまで見せてくれた。そして恭花さんへとハイタッチ。恭花さんの声にまたおどろいている。それぞれ違った声で個性がある。これは私たちにとって大きな武器だった。このまま最後まで…歌いきるんだ!
line-s
07.25
「拓斗、そろそろ行こっか。」
「ああ、いいよ。」
「待って、私も一緒に行くから。」
 俺と撫子が行こうとすると、藤浪が俺たちを呼んでいた。磯見も生田も準備を始めている。そろそろ後夜祭ということか。そしてカラオケ大会、どんな盛り上がりになるのかちょっぴり楽しみだ。
「撫子! やっとこの時間になったネ!!」
 ヴィクトリアがいきなり教室にやってきて撫子に抱きついてきた。本当に楽しそうだな。俺もこんな風にはっちゃけてみたいな。
「ねえ拓斗。拓斗も歌ってよ。」
「俺もか?」
 俺は少々戸惑った。けど撫子のやってといわんばかりの訴えかけた顔をされるともう我慢ができない。俺もやってみせなければ!
「いいよ、頑張って良い歌を届けられるように頑張るよ。」
「わーい!」
「ワーイ!」
 ヴィクトリアまで喜んでどうしたんだよ。まったく。
「学、こっち終わったよー。」
「おお美幸、お疲れ様。」
 こう考えると俺と撫子、目黒に藤浪、磯見と生田、そしてヴィクトリア。このメンバーはいつもの仲間たちになってきたな。なんだろうか、やっぱりこういう人たちが死ぬまでずっと仲良くしている仲間なんだなと考えると…すこし嬉しくなる。そして…ずっと一緒にいたい気分だ。
「それじゃあいきますか!」
 俺が声をかけると皆がおー! と声をかけて歩き出した。俺たちは今、青春をしてる!

「あそこ、もりあがっているわね。」
「どうしたの小町会長。」
「ううん、なんでもない。」
「にしてはうらやましそうな顔をしてましたわよ。」
「ふん、アレのどこが…。」

line-s
07.25
渡部「永瀬…!」
永瀬「ここまで良く投げてくれた…。俺ももう逃げたくないんだ。思いっきり投げる!」
渡部「っしゃ! 後は任せたぞ!」
久保「落ち着いていこうぜ! ワンアウトずつでもいいぞ。」
緒方「リードは任せてくれよ。」
岸蔵「センターに打たせてかまわないからな。」
 相手チームは一丸となって声をかけあっていた。私はその様子に勢いを感じていた。このチームは強い、この選手ではなく、チームが強いんだ。ここ一番の踏ん張りどころを知っている。追い込まれたときの強さは計り知れない。だからこそ私も自信が沸いてきた。このチームに投げ勝っているんだから。
池之宮「お願いします。」
 池之宮がバッターボックスに入ってプレー再開。ランナー二三塁のワンアウト。犠牲フライがでれば一点は取れるだろう。
永瀬「っしゃああ!!」
 シュゴオオオオオ ズバーン!
 ストライクワン!
永瀬「っし!」
緒方「ナイスボール!」
 勢いのあるストレートがミットに収まる。この投手はやっぱりすごいでも池之宮からもとてつもない集中力がただよっていた。まさに力と力の勝負だ。
 シュゴオオオ
池之宮「(いけ!!)」
 ギィイイイイイン!!
緒方「センター!!」
 打球はものすごく高く上がっていく。しかしこれはホームランにはならなそうだ。センターが前にでて構える。しかしボールは落ちてくる気配がない。池之宮もファーストベースで待っている頃にやっととる体制に入るぐらいだった。
 バシン! アウト!
岸蔵「っしゃ!」
緒方「ナイスキャッチ!」
 これはファインプレーだ。甲子園という舞台で風が強い中、このフライを取れるのだから。これでツーアウトになっていった。
line-s
07.24
夕菜「それじゃあオーダー発表するわよ!!」
 私たちは世界大会の初戦を向かえていた。私たちは先攻で相手は韓国代表、ここ最近はかなり力を付けてきた国だ。特に投手のソン・チョンジャという投手だ。韓国ナンバーワン投手と名高い彼女はソフトボール界で有名になるであろう選手だ。未知数の相手なだけに苦戦は覚悟していた方が良いだろう。そしてスタメンが発表された。

一番 ショート 夕菜
二番 ピッチャー 湯子
三番 レフト 羽葉
四番 セカンド 巴美羽
五番 ライト みちる
六番 ファースト 衣世
七番 センター 亜美
八番 サード 由香
九番 キャッチャー 絵里香

 私は三番の役目を果たされた。私は声を出すとスタンドの方を見た。いままで仲間の選手たちが私たちを応援していた。そして…遺影を持ったおばあちゃんの姿もいた。私は…両親のために優勝することを約束した。そのためにはまず初戦ですべてヒットを打たないと。
審判「集合!!」
 審判の声で私たちはダッシュで整列した。しかし巴美羽はなんともいえない態度で並んでいる。おまけにあくびってなんて挑発なんだろうか。
チョンジャ「なにあの子、ふざけてるわね。」
 何て言っているのか分からないけど…とにかく怒っている様子は見られた。
審判「礼!」
皆「っしゃああっす!」
 挨拶が終わって私たちはベンチへと戻っていった。私はバットを持ってピッチャーの球筋をしっかり見た。
 シューーー バシーン!
 大きなウインドミル投法から力強い球が放られていた。これはやりがいがありそうな相手になりそうだ。夕菜はしっかりと素振りをしてバッターボックスに入った。
審判「プレイボール!!」
 審判から試合開始の声がかかった。そして相手投手が投げる体制に入る。
 シューーー ギィイン!
 ファールボール!
 いきなり当ててきた。でもただの当てた打球ではない。完全に威嚇するためのバッティングだった。

line-s
07.24
「こんにちは!!」
「こんにちはーー!!!」
 紅音の声に合わせて皆が声を上げている。相当な人数だ。この中にお母さんも来ているのだろうか。まずこの人数で見れる場所にいるのだろうか。
「今日は新曲を発表します!!」
「うぉおおおお!!!」
 ものすごい盛り上がり。そして横に並んでいたルナやハルミ、ユキノがポーズをとる。いよいよ始まっていくのか…。
「新曲、エレガントガール!」
 紅音さんが声をあげてポーズをとった。そして音楽が流れ始める。ギターから入るこのリズム、そしてこのカッコよい音楽に歌詞。紅音さんがマイクを近づけて歌い始めた。いつもの紅音さんとは違ってカッコよさが目立っている。そしてルナやハルミ、ユキノも歌い始める。全員がガツンとした歌い方でインパクトが大きい。この四人にはぴったりの曲だった。そしてサビに入るとものすごく盛り上がってきた。会場は即興だというのに盛り上がり方を知っているかのように手をあげていた。そしてこの盛り上がり、信じられないものが私たちの耳に届いていた。恐ろしいというか、感激する。そして身震いが止まらない。そしてカッコよく曲が終わる。そして決めポーズもしっかり決まった。
「うわぁあああああ!!!」
 盛り上がり方が尋常じゃない。これが本当のライブというものか。楓も恭花さんもかなりおどろいた様子で見ていた。
「ピュアプラチナさん、そろそろ出番です。準備お願いします。」
 いよいよ私たちの出番がやってきた。私は深呼吸した。だけど緊張は収まらない。どうすれば…。あっ。
「楓、恭花さん。ここに手を。」
 私は右手を伸ばした。何かわかった楓と恭花さんはその上に手を置いた。
「本番、思いっきり楽しんでいこう!」
「おー!!」
「さて、いきましょうか!!」
 私たちは準備を整えて出る準備に入った。
「今日はある発表があります! それは私たちの友達が新しいアイドルグループを始めました!!」
「うおおおおお!!」
 すごい盛り上がり。私はそれを聞いて涙が出そうになった。でも…まだまだ。これからなんだ。
「ピュアプラチナの皆さんです!!」
 私はその声を聴いてステージへと向かっていった。そして会場を見る。信じられない数、そして盛り上がり。こんなところでやれるなんて…最高以外の何もない!
「皆さん…初めまして!」
「うぉおおおおおおおおおおお!!!!」

line-s
07.24
「ねえ、この後はどんなことするの?」
「カラオケ大会まではもう少しあるよね。文化祭自体はもうそろそろ終わると思うけど。だから少し俺たちのクラスに行ってみるか?」
 俺は撫子の手を握って屋上から降りていった。降りていくとそれぞれのクラスが片付けの準備をしていた。俺たちもそろそろそんな時間になるのかな。そして階段を下りていくと、俺たちのクラスが見えてきた。片付けている。そろそろ終わりなんだな。
「おっす。お疲れ様。」
「おお、拓斗。こっちはそろそろ片付け終わりそうだぜ。」
「そうそう、全部売り切れたよ。六道の発想は本当にすごいな。」
 撫子は嬉しそうに笑っていた。たしかにそうだよな、自分が考えたものが皆に受け入れられてそれが成功するのだから。
「撫子、全部売り切ったよ!」
「香織! お疲れ様。本当に売れ残ったね。よかったよかった。」
 撫子はほっと一息ついて椅子に座った。俺もその隣で座った。皆の片付けはもうすでに掃除をするだけという部分までやってきた。俺が手伝うまでもないか。
「この後カラオケ大会に出るんだろ?」
「ああ、俺が出るわけじゃないけど、撫子が出るから一緒にいくんだ。」
「私も出るよ。たしか…美幸も出るって言ってたはず。」
 なるほど、藤浪も目黒もカラオケ大会に参加するのか。そしてヴィクトリアに噂では姫宮小町も。きっとものすごく盛り上がるのだろう。撫子はそんな中で歌っていったいどんな盛り上がりを見せてくれるのだろうか。また、目黒や藤波、ヴィクトリアの歌も気になっている。もちろん姫宮先輩にも…。
「ねえ拓斗、一つ質問いいかな?」
「ん? どうした撫子。」
 撫子は俺の袖をつかみながら見上げていた。
「私ってどんな曲歌ったらいいかな?」
「どんな歌かぁ。」
 撫子に合いそうな曲。そういわれてみるとまだわからないな。だけど…一つだけ言えることはある。
「撫子の好きな曲を歌うといいよ。いつも歌っている曲とか、十八番とか。自由にやってみよう。」
「自由ね…。ありがとう、少しわかってきた気がするよ。」
 撫子はニッコリと笑って片付けを手伝い始めた。俺は撫子をずっと見つめていた。撫子と一緒にいることがこんなに幸せなんて…。毎日どんどん好きになっていく。これが恋というものか。

line-s
07.24
海鳳「(よっしゃ、ここからだな。)」
 海鳳がバッターボックスに入ってゆっくりと構える。ワンアウト一塁からだ。海鳳ならきっと自信を持って打つことができるだろう。
渡部「(ここを抑えれば次につなげられる。このバッターだけは…どうしても!)」
 シュゴオーーー バシン!
 ストライクワン!
海鳳「(ギリギリの良いコースについてきたな。やはりコントロールがいいな。だったら…思いっきり振るしかない。)」
 海鳳はバットを長くもって長打の体勢に入った。海鳳の長打力はかなりのものがあるはず。府中先輩も足が速い。もしかするとワンヒットで追加点が狙えるかもしれない。
緒方「(ここだ。ここにスライダーだ。)」
 ピッチャーがうなづいて足を上げる。そして思いっきり投げてきた。
渡部「らぁあ!」
 シューーーー
海鳳「(変化球か? 振れる!)」
 ギィイイイン!!
緒方「レフト!!」
 緒方が指示を出している。打球は左中間のレフトよりのライナーだった。そして打球は落ちる。
卜部「走れ走れ!!」
 府中先輩は全力で走っている。海鳳のバッティングでまた一点が入るかもしれない。
永瀬「(やらせるかよ!) っらああ!!」
 レフトからものすごい大遠投が飛んできた。さすがの送球に府中先輩もサードベースへと戻っていく。もし突っ込んでいたらアウトになっていたかもしれない。
緒方「踏ん張れ渡部!」
久保「いけるいける!!」
渡部「あ、ああ。」
 この状況を見る限りもう気力がなくなってきている。ここから長距離砲の池之宮が入ってくる。完全に力で押されている相手投手にとってみれば厳しいところだ。
監督「タイム!!」
 相手の監督がタイムをかけた。いったい何をするのだろうか。
監督「永瀬…戻ってこい!」
 監督の声に球場が沸いた。さっき下ろされたばかりの永瀬をまたマウンドに上げるということだ。レフトにいる永瀬はグラブをバンと叩いて気合を入れた。
永瀬「っしゃあああ!!」
池之宮「面白くなってきたねぇ。楽しみだよ。」
line-s
07.23
「いよいよ本番だよね…。皆大丈夫?」
「だいじょばないよ。千代乃ちゃんだって大丈夫じゃないでしょ? ほら、足が震えてるし。」
「私も久々に緊張してきたよ。陸上大会の時は緊張していたけど、その時と同じように手が震えているよ。」
 私たちは皆堅くなっていた。このままじゃどうしよう。心配になってきた。服も着替えて、メイクも準備万端だというのに今になってものすごい緊張するなんて。
「千代乃、大丈夫よ。」
「紅音さん。」
 紅音さんが私の肩をポンと叩いた。私はその暖かな手で少し足が落ち着いてきた。
「私たちも最初は緊張したよ。それこそ千代乃たちみたいに頼れる先輩なんていなかったから。でも一つだけ言えることがあるよ。それは自信を持つこと。いままで一生懸命努力してきたなら必ず成功するよ。私が保証する。」
 私たちはその言葉に落ち着きをもらった。うんとうなづいて笑顔を取り戻した。
「それでは本番入ります。アイリングさん、ピュアプラチナさん。準備お願いします。」
「はいっ!」
 アイリングの四人が大きな声で返事をした。私たちも遅れずに立ち上がった。
「はい!」
 私たち三人は声を出して返事をした。アイリングについていくように私たちは廊下を歩いていった。
「それではピュアプラチナさんはこちらでお待ちください。アイリングさん、本番30秒前です。」
 紅音さんはその声を聞くと四人が肩を組んで円陣をとった。
「ライブ成功させるわよ! いくよ!」
「いえーい!!」
 楽しそうな声で盛り上がった。そして…いよいよ本番の時間がやってきた。紅音さんが先頭で開場に出て行く。
「わぁあああああああ!!!!!」
「やっほーーー!!」
 ものすごい歓声だ。さっきよりも数が多いはず。後ろからアイリングの姿だけを見れる位置にいるけど、こんなにすごいなんて…。いよいよなんだ…!
line-s
07.23
「皆! ありがとうっ!」
 軽音楽部のヴォーカルの人が声を上げると皆が同じように声をあげる。この一体感というか、盛り上がりが気持ちよかった。撫子も同じような気持ちで盛り上がっていた。撫子は手をあげてワイワイと楽しんでいる。やっぱり撫子も皆で楽しむのは好きなのだろう。
「撫子、楽しいか?」
「うん! とても面白いよ! 私は拓斗と一緒に見れて本当に嬉しいよ。」
「よかった。なあ撫子、ある場所につれて行きたいんだけど大丈夫か?」
「うん! いいよ。」
 俺は撫子の手を握ってそのまま学校の中に入っていった。そして階段を上っていく。上り続けて俺は屋上に到着した。
「あれ? 今日って空いてなかったはずだよ?」
「そうだっけ?」
 俺は確かめるようにドアにてをかけた。ドアを回してみてどうなのか…。
 ガチャ
「あ、空いてたよ。」
「本当だ。」
 俺はドアをあけてそのまま屋上を歩いていった。そして俺たちの家が見える方へと歩いていった。そして景色を一緒に眺めていた。
「やっぱり綺麗だよな。俺たちの町って。」
「そうだね…もう秋って感じが見れるからね。今度の公園デートが楽しみだよ。」
「うん。俺も楽しみで仕方がないよ。」
 俺はそのまま撫子の手を握ったまま景色を眺めていた。すると撫子は俺の顔をじっと見つめてきた。
「ねえ…キスして。」
「わかった。」
 俺は撫子の頭をやさしくもって顔を近づける。そしてお互いの唇が重なる。
「ん…。」
 撫子は数十秒俺の顔をつかんだままだった。そして離そうとしなかった。俺もそれに答えるようにキスをしていた。
「ん…拓斗…。」
 撫子の目からは涙が出ていた。俺は何かしたのかと思って口を離した。すると撫子はニッコリと笑顔を作ってくれた。
「ありがとう。拓斗にあえて嬉しいよ。」
「俺もだよ、撫子。」
 俺はその言葉で心があったまった。嬉しい一言だよ。
「泣くなよ撫子。ったく…泣き虫だな、撫子は。」
「泣き虫じゃないもん! …うれし泣きだよ!」

line-s
07.23
由紀「ナイスピッチング!」
亜弓「ありがとう。次は由紀が先頭バッターだね。またヒット打ってね!」
由紀「もちろんだよ!」
 由紀はヘルメットをかぶってバッティングの準備を始めた。ここから終盤に入っていく。この回は先頭バッターの由紀からの打撃だ。由紀ならまたヒットを打ってくれるだろう。追加点が期待できる所だからもう一点取って欲しいものだ。
由紀「(こういうバッターは得意なんだよね。)」
 由紀はバットをフリフリと動かして打撃の準備をしていた。相手投手はかなり意識をしている。そして外野もそれなりの守備をしてきた。由紀なら心配なくヒットにしてくれるだろう。
渡部「(とにかくくさい所だ。そこをついていかないと打たれる。)」
緒方「(ここだ、低めにこい。)」
 相手投手が足を上げると由紀は足をあげる。
 シュッ グググッ
由紀「(このコースなら!)」
 ギィイン!
 おっつけたバッティングはレフト前へ。しかしレフトが猛ダッシュで突っ込んできた。
佐島「らぁああ!!」
 バシン! ズザザザ
 アウト!!
横倉「ナイスレフト!!」
渡部「センキュ!!」
 ファインプレーでアウトになってしまった。由紀は残念そうにベンチへと戻ってきた。私は声をかけに立ち上がった。
亜弓「ドンマイ。そういう時もあるよ。」
由紀「ありがとう。あれは仕方ないよ。でも次は府中先輩、きっと打ってくれるよ。」
 府中先輩がバッターボックスに入る。ワンアウトとなってのこの打撃。もう府中先輩の打撃に任せるしかない。
 シュゴオオオ バシーン!
 ストライクワン!
 相手投手の球も走っている。簡単には打たせてくれなさそうだ。しかし府中先輩からは打ってくれそうな雰囲気が出ている。大丈夫、信じれば大丈夫。
府中「(次振るか…。思いっきりいくしかない!)」
 シューーー ギィイイイン!
府中「よっしゃ!」
卜部「回れ! セカンドいける!!」
 打球は左中間にライナーで飛んでいく。そしてそのまま落ちてフェンスにぶつかる。府中先輩がベースを踏んで二塁へと向かっていく。
緒方「中継二つ! 間に合うぞ!」
 ライトが捕球してセカンドが中継に入る。そしてセカンドから送球されてショートにわたる。ギリギリのタイミングだがどうか。
 ザザザザ セーフ!
府中「っしゃ!」
 府中先輩の足が勝った。これでワンアウト二塁、またチャンスで三番海鳳へと回っていった。

line-s
07.22
 パコン! パコン!
由紀「巴美羽。」
巴美羽「ちょっと! そこは私じゃないでしょ!?」
 私たちは湯子、夕菜ペアと戦っていた。第一試合の衣世、みちるペアは湯子、夕菜ペアに負けていた。このままでは私たちも負けてしまう。でもこの歯切れの悪さ、そしてチームプレーが全くできていない。巴美羽が自分でとりたいところだけ打っている感じだった。
巴美羽「もうー! このままだと負けるよ!?」
 巴美羽は愚痴を言いながらサーブを打つ。湯子は丁寧に打ち返す。私の所にやってきて私も打ち返す。どちらか微妙なところに飛んでいったが、ちゃんと二人で指示を出し合って夕菜が返す。そしてまた微妙なところに。
巴美羽「あ、由紀。」
由紀「おそいよ!」
 私は急いで反応したため、ボールがあさっての方向に飛んでいった。そしてそのせいで私たちは負けてしまった。
湯子「いえーい!」
夕菜「それじゃあ衣世、みちるペア入って。負けた方がジュースおごりね。」
 私たちは完全にリズムが合わないまま次の試合へと移っていった。巴美羽はめんどくさそうに手を後ろにあてていた。
巴美羽「ねえ、めんどくさいから微妙なのは全部由紀やって。」
由紀「なにそれ…まったく…。」
 私はため息をつきながらサーブを始めた。二人はそこそこのコンビネーションを見せていた。だけど…少しだけど微妙にずれが見えていた。私たちはそこを徹底的についていった。
衣世「このままじゃ負ける!」
みちる「そう言われても…。」
 ビチィ!
衣世「あ、負けた。」
由紀「ふぅ…巴美羽も少しは動いたわね。」
巴美羽「ちょっとだけね。」
 結局私がそこそこ動いて買った。そしてジュースをおごってもらうことになった。だけどなんでだろう。巴美羽にものすごく嫌な感じがしていた。
line
プロフィール

reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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