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05.31
「ねえねえ、私一つ意見があるのだけどいいかな?」
 楓は突然私たちの方をむいて言った。
「意見?」
「ニッシシシ、メイド喫茶なんてどうかな?」
 突然ニコニコしながら言葉を発した。それはなんというか、予想外のことだった。
「メイド喫茶?」
「そう、メイド喫茶!」
 恭花さんは驚いた顔で私と楓を見る。そりゃいきなりメイド喫茶なんて…でも…何か引っかかることがある。
「もしかして…メイド喫茶ってお客さんを笑顔にさせる職業だから?」
「ピンポーン!」
 楓は手をビシッとあげてピョンピョン跳ねた。
「だってメイド喫茶って笑顔を作るためには最適なところじゃない。ただ、ただのメイド喫茶じゃアレだからアイドルのようなものもあるところに行けばいいかなって。」
 すると恭花さんも手をポンと叩いて納得した顔になった。
「確かにそれは一理ある。お金も少し余裕あるから問題ないよね。」
「私も大丈夫…。楓は?」
「もっちろーん! でも私、メイド喫茶始めてなのよね。」
「私も…。」
「もちろん私も。」
 そして私たちは一つの目的ができた。アイドル活動がありそうなメイド喫茶を探すことだった。
「上を見れば見つかるんじゃないかな…。」
 そんなことを私がつぶやいた瞬間、ある看板を見つけた。私は指をさして二人に知らせた。
「あのお店ってメイド喫茶で間違いないよね。アイドルやっていますって書いてあるから…。」
「あ、本当だ。間違いないよね。」
「さっすが千代乃ちゃん!!」
 私はちょっと誇らしげにあの店の場所へと移動していった。楽しみだな…。

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05.31
 俺たちはあのコーヒー屋によって二次会をしていた。たくさん食べ物と飲み物を注文した。注文のものが届くまで撫子はぐでーんとテーブルに横たわっている。よほど疲れたのだろう。目黒にいたっては藤浪の肩に寄りかかってぐっすりと寝ている。生田も磯見、それに藤浪は元気そうだった。なんというか…さすが運動しているだけあるなと思った。
「拓斗は疲れてるのか?」
「いや、俺は微妙だな。別に疲れてもないし疲れているし…。なんだかわからない。ブランクあるからかな。」
 俺は腕をグルグルまわしていた。
「拓斗…ご飯食べたい…お腹減った…。」
「学…私も…。」
 二人は完全につかれきっているな。こりゃそうとう食べたい気分なんだろう。でも疲れたときこそ食べられない気がするのは俺だけなのだろうか。
「わかったわかった。でもお店なんだから少しは待ってくれよ。」
「はいよー。スペシャルセット六人分ね。」
 そして大皿に多くのおかずが置かれた。撫子と目黒はそれを見るとすぐに体勢を整える。そして箸を持った。
「食べよう、拓斗!」
 急に変わりすぎだろ。まあでもこれでたくさん食べられる。今日は思いっきり楽しもう!
「それじゃあ…リーダーの磯見、乾杯の合図を。」
「といっても俺たち未成年だからジュースだけどね。」
 そういうと俺たちはコップを手にして飲み物を持って手を上げた。
「それでは…体育祭の優勝を祝って、乾杯!」
「かんぱーい!!」
 コップをあてて飲み物を飲んだ。小皿を取り出すとそれぞれ自分の食べたいものをそよって食べ始めた。
「うめえ…こりゃうまいな。」
「やっぱりここじゃないとな。」
 俺たちはおいしい料理に箸が止まらなかった。ガツガツと食べ始めるとあっという間に食べ終えてしまった。足りないと思った俺たちはそれぞれ自分の食べたいものを注文することにした。こりゃ思いっきり金を使うな。

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05.31
海鳳「32番といったら…これでこのブロック全部埋まったんじゃねえか?」
池之宮「おもしろいところに入ったな。こりゃやりがいがあるぜ。」
芦毛「……松本…。」
 私は耳と目を疑った。いや、でも間違いない。32番のところに私たちの学校が張り出されている。一回戦の相手は富山県代表、小川山実業水橋高校に決まった。そして同じブロックにはあの御影大松戸高校までいる。順当に勝ち進んでいけば三回戦で当たる…。つまり…あの人と投げ合えるかもしれない…! しかしそのためには二回戦で当たるであろうチームにも勝たなきゃいけない。宮城県代表の大龍鳥(だいりゅうとり)高校と鳥取代表の佐々大倉吉高校の勝者と勝たなきゃいけない。
由紀「たしかに当たるかもしれないけど…その前にまず一番最初に戦う相手のことを考えよう。」
亜弓「由紀…。」
由紀「大丈夫、思いっきり戦っていけば必ず勝てるから。」
府中「ふぅ…。」
卜部「お帰り。どこが相手でも俺たちは戦いぬくだけだぜ。」
栗山「府中先輩、俺たちも勝てるように協力します!」
中山「絶対に負けられないですし。最後の甲子園ですから。」
三由「優勝しようね。」
 私たちは意気込みをそれぞれ感じながら抽選会を眺めていた。
「東向洋高校、43番。」
 最後に広島代表の東向洋高校が呼ばれて甲子園それぞれの対戦相手が決まっていった。私たちの試合は5日目で対戦相手は富山県代表の小川山実業水橋高校になった。たしか良い投手がいたと思うはず…。だから…私たち投手がいかに点をとられずに投げるかが重要になってきそうな気がする。
館川「俺たち…準備しておかないとな。」
亜弓「うん…芦毛先輩が先発しそうな気がするけど…私たちだって準備しないと。」
芦毛「いや…先発は日高か館川だな。」
 芦毛先輩は目を細めながら言った。いったいどうしてそんなことを言ったのだろうか。
府中「お前の相手はアイツってことか。」
芦毛「中学でも高校でも投げあったことがある。……宮城県代表の松本が俺の目指している相手だ。」
 そういって芦毛はニコニコと笑った。

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05.30
 楓がびっくりした顔で私を見つめる。たしかに服は作ったことがある。でもこんなハデな服は作ったことない。でも絵で最初デザインしてから服を作ろうと思えば…。
「うん、できるかもしれない。」
「それはすごい有利な点ね。そしたら千代乃が服を作っていく形になりそうね。」
 恭花さんも納得した顔で私の顔を見た。私は苦笑いながらもうれしい気持ちになった。大変だけど…やれることはどんどんやっていかないと。
「あ、ここにはCDあるよ。」
 そういって楓は視聴用のCDが入っているヘッドフォンを持って音楽を聴いていた。楓の頭がゆっくりと動いている。そしてヘッドフォンを外すと顎に手をあてて考えていた。
「この曲調なら…テンポはこのぐらいで作れば…。」
 あ、そうか。楓って自分で音楽を作れるはずだった。だからテンポとか曲調とか考えているのだろう。その次に恭花さんがヘッドフォンをつける。恭花さんもうんうんと言っているような顔をしていた。そしてヘッドフォンを外すと私に渡してきた。
「この人たちの音楽はとても良いよ。アイドルとして聞くだけじゃなくて歌も本当にうまいと思う。」
 私はヘッドフォンをして一番の曲のボタンを押した。
ラーラーララー……
 あれ? この始まり方には聞き覚えがある。間違いない、アイリングの曲だ。あの人たちの音楽、ここでもピックアップされて売られている。そう考えるとあの時であってお話したのは貴重な体験なんだなと思えてきた。しかも紅音さんとは今でもメールのやりとりをしている。私って恵まれているのかな…。
「すごいね…私の初めてあったアイドル、この人たちに影響されてアイドルになろうと思っていた人たちが…。」
「なるほどね…。たしかにアイドルやりたいと思えてくる理由がわかるかもしれない。」
 恭花さんは私の顔をみてにっこりと笑った。私の気持ちをわかってくれているのだろうか。だとしたらちょっとうれしいかもしれない。だから…私はアイドルを最後まで頑張りたい!
「それじゃあ、もっとほかのグッズとか見に行こう!」
 楓は目をキラキラさせながら店の中を回っていた。私と恭花さんもそれについていくように店の中を眺め続けていた。そして共通点が一つだけ浮かび上がった。笑顔でいることだった。

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05.30
「只今より、体育祭閉会式を行います。」
 俺たちは列に並んで立っていた。全員の顔が自身に満ち溢れた顔だった。おそらく学年ではトップになっただろう。あとは全学年合わせて何位かだけだ。最大のライバルは…姫宮先輩がいたあのクラスだ。
「それでは発表いたします。一年生、第三位E組。第二位C組。第一位はB組です!」
 その声で俺たちは一度大きな声を出して喜んだ。隣のC組も大健闘だったため、喜んでいた。目黒は生田と手を取り合って二人で喜んでいる。
「二年生…第一位はB組です!」
 二年生は無難に姫宮先輩のいるB組だった。やはり二年生はここが上がってきたみたいだった。三年生はA組が呼ばれていよいよ総合優勝を決める表彰になった。
「それでは、総合結果です。第三位、1年C組。」
 俺たちは驚いて思わず拍手した。目黒も驚いた顔で喜んでいる。ということは俺たちは二位以上確定なのか。それを聞いてものすごく期待していた。そして…。
「第二位は…。」
 俺たちは息をのんで待っていた。この時間だけものすごく長く感じる。頼む、勝っていてくれ。
「……二年B組です!」
 その瞬間、俺たちは歓喜に沸いた。つまり俺たちは総合でも優勝したということだ。そして待ちに待った言葉がやってきた。
「そして第一位は一年B組です!」
「よっしゃああ!!」
 クラスの皆が手を取り合って喜んでいた。撫子はうれしさのあまり藤波と目黒と三人で抱き合っていた。本当によかった。優勝してよかった。
「拓斗っ!」
 撫子は俺に真正面からまた抱きしめてきた。しかし今回は勢いもあって俺のほほにキスもしてきた。ちょっと人前でそれは…。いや、誰も見ていない。たまたまだから大丈夫か。
「やったな、撫子。」
「うん! 本当によかった!」
 磯見と藤波も喜びあってハイタッチしていた。そして変なポーズをとって笑い合っていた。それを見た俺と撫子も笑っていた。
「では代表者の方、前に出てください。」
 代表の磯見と藤波はしっかりと整列して賞状と優勝トロフィーを受け取った。そして受け取り終わると俺たちの方を向いて磯見が優勝トロフィーを大きく上にあげた。そして俺たちは大きな声でおー! と叫んだ。
 そして総合優勝という最高の結果で体育祭を無事終わることができた。

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05.30
「ただいまより、夏の甲子園大会、抽選会を始めます。」
 開場が大きな拍手でつつまれている。いよいよ始まる、甲子園大会初戦の相手が…。
由紀「ねえ、甲子園の抽選ってどうやるの? ソフトボールと似てるかな?」
 私はちょっと上を向いて考えていた。たしか…間違いなかったはず。
亜弓「えっとね…たしか今は一回戦だけ決めて勝つごとに相手を決めていく形になると思うの。だから最初っからトーナメントが決まっているわけじゃないの。でもそれは去年から決まったことだから今回は違うかもしれない。」
由紀「へぇー。」
「まずは、会長の言葉です。」
府中「緊張するか?」
三由「マネージャーだけどちょっとね。それより戸井は緊張しないの?」
府中「まあ一度出てるからね。」
「なお今回は、前のようにベスト8までの抽選を行います。」
 あれ? いままでのに戻ってしまった。前のは無かったことになったのだろうか。
「それではまず、北北海道と南北海道、東東京と西東京の主将は、前にでてください。」
 その声と同時もう始まってしまうのか。最初に抽選をするのは桜先輩、富良野学院だ。どこを引くのだろうか。
「富良野学院高校、21番。」
 かなり良いところを引いてきた。そして次は城洋大付属高校だ…。
「城洋大学付属高校、7番。」
 7番、そこそこ良い場所にはとれた。南北海道と西東京も決まってそれぞれの抽選が始まった。私たちは30番目になる。府中先輩、良いところとってください。
「武士山高校、8番。」
 もしかして…瑞華さんの高校の対戦相手が決まった。相手はあの片岸ディア投手がいる所だ。これは激戦の予感がする。
「御影大松戸高校、30番。」
 勝浦さんが引いたのは30番、三回戦まで勝つとベスト8の場所だ。ちょっと楽しみかもしれない。
「関西大阪高校、11番。」
 富良野学院とは隣のグループ。割れた気がする。これならベスト8までいかないとあの人たちとはあたらなさそうだ。
 ………
由紀「いよいよだよ、私たちの番。」
 私たちの順番がやってきた。いよいよこのときを迎えることになったのか。それぞれあの人たちとの場所は埋まっている。二回戦以降は可能性がありえる。府中先輩、良いところ当ててください。
「それでは、松江学園高校。お願いします。」
 府中先輩が手を入れた。私たちは手をつかんで祈る。番号は…番号は!
「松江学園高校、32番。」

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05.29
 日曜日、私は集合場所になった駅前で待っていた。秋葉原、いろんなアイドルグッズなどが売っている場所。それにしても人が多いのなんの、迷ったり待ち合わせで会えなかったらどうしよう…。
「千代乃!」
 そんな心配を打ち消してくれるように楓がやってきた。何かかわいらしい服を着ていた。私も新しい服でよかったかな。
「楓ちゃんすごく似合っているよ。かわいらしくてなんだかいいね。」
「アイドルだからかわいくしなきゃね。そういう千代乃もかわいい服着てるよね。」
「ありがとう。あとは恭花さんだけかな。」
 私は靴をトントンとして整えていた。すると、遠くから恭花さんが見えてきた。
「あ…こっちです!」
 私は手を挙げて居場所を伝えた。恭花さんは気づいてくれてこっちに来てくれた。
「どうも、カラオケ以来ですね。夜桜恭花です。」
「どうもです。九石千代乃です。」
「旋風楓でーす!」
 私たちはそれぞれ挨拶すると予定していた場所へと歩いていった。まずアイドルがどういうものなのか、グッズを見て確認することにした。いまどきの流行、服装や曲。いろいろなものを見なければいけないからだ。
「千代乃は何でアイドルやりたいなって思ったの?」
「自分が変わりたかったからです。いままで部活動やったことなくて…。体も弱かったのですが、今回勇気を振り絞ってやってみようと思ったからです。」
「なるほどね。それはとても良い考えだと思うよ。顔つきも本気に見えるし。それじゃあ楓は?」
「私はいままでバンドとかで音楽を続けてきたのですがなんか…違うなって思って。新しい音楽性を探しにアイドルを始めようと。」
「それはいいね。私は運動部だったからこういうのやってみたかったし…。でもまだ決めきれないところがあるのよね。」
 そんな会話をしている間にアイドルグッズショップにたどり着いた。私たちは店の中に入ると男の人たちが多くいた。ちょっと入りがたい雰囲気だったため、私は思わず足を止めてしまった。
「大丈夫、私たちは参考にするために来たのだから。ファンは大切にしないと。」
 そういって楓はてくてくと店の奥に入っていった。私と恭花さんもそれについていくように歩いていった。
「ほら、こんな服装が今人気らしいね。」
 そこにはアイドルの写真集があった。制服をちょこっと派手にしたもの、それこそフリフリのかわいらしい服もあった。しかもよく見るとひとりひとり違う服を着ているようにも見えた。ものすごく凝っていることが写真だけでもわかってきた。
「すごいね…。服、私デザインして作ってみようかな。」
「えっ!? 千代乃ちゃん服作れるの?」

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05.29
「この距離なら抜ける!」
 俺の前にいる姫宮先輩と同じクラス、この走者はかなり速い。ゴールまでに抜けることができるかギリギリのところだ。しかし一位を独走している目黒のクラスも負けてはいない。これだけの差があったらふつうなら届かないと思うだろう。でも…撫子や目黒、磯見に藤波も手伝ってくれたんだ。だからそれの期待に応えなければ。
「っらああ!!」
 俺は声を出して加速していく。前にいる2年クラスのランナーをぶち抜いていく。そしてカーブを抜けたところで10mぐらい先の目黒のクラスをとらえる。
「拓斗! いけるよ!!」
 撫子がゴール地点へと走っていく。他の仲間たちも目の前で待つ。そこに向かって全力で走っていく。後ろからは何にも来ない。あとはこれを抜くだけ!!
「らぁああ!!」
 俺は最後の力を振り絞って加速していった。そして…。
 パァン!!
「やった!! 拓斗やったよ!!」
 俺は最後の最後で目黒クラスのランナーを差しきってゴールした。俺はゴールすると腕を上げて喜んだ。それと同時に疲れがどっときて膝に手を置いた。撫子は俺のところに向かって走っていく。
「拓斗! おめでとう!」
 そういって撫子は俺を抱きしめてきた。俺は抱きしめられて恥ずかしくなり、撫子の頭を撫でた。すると撫子も恥ずかしくなってきて顔を赤らめた。
「ありがと…。でも人前じゃちょっと恥ずかしいぜ。」
「えへへ…。そうだね。」
「拓斗、よくやった。」
「白羽根くんは本当に今日、ヒーローだね。」
 俺は仲間たちに囲まれて頭をたたかれ続けた。祝福のはたきだ。
「いてぇいてぇって!」
 すると自分のクラスの人たちが俺のことを囲む。そして背中を持つと体が上にあげられた。そして…。
「わーい!! わーい!!」
「うわわわ!!! 怖い、怖いっつーの!!」
 俺は胴上げされた。人生初の胴上げだったが、まさかここまで怖いとは。高いし体が宙に舞うときなんてなんて怖さだ。落とされたらひとたまりもないぞ。下手したら死ぬかもしれねえ。
「おおっとと。」
「拓斗っ!」
 撫子はもう一度俺を抱きしめてきた。俺は撫子を抱きしめて口を開く。
「撫子もありがとう。あそこまで粘ってくれなきゃ勝てなかったよ。」
「そう…? ありがと。」
 俺たちは喜びあいながら自分たちの席へと移動していった。計算が終わったらいよいよ結果発表だ。

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05.29
瑞華「ふー。お風呂から出た後の牛乳はおいしい…。」
羽計「よく飲むよな。それって身長と関係あるのか?」
瑞華「いや、遺伝だと思うよ。家族が皆身長大きいし。」
羽計「そうか…。甲子園でもしっかりリードしろよ。」
瑞華「なによ、信頼していないわけ? 大丈夫わよ、誰が相手でも私たちは勝つんだから。そういってノーヒットノーランをやってきたでしょ?」
羽計「あれは俺の力だ。」
瑞華「ふーん。」

淳和「誰もいないわよ。入れるよ。」
六実「ありがとう…。ちょっと甲子園に行くと不便なところあるわよね。」
淳和「まあ義手は風呂の中に持っていけないからね。何かあったら私がかくして行くから。」
六実「そうだね。…それにしても良い温泉だね。」
淳和「ええ。…甲子園優勝しようね。」
六実「もちろん!!」

亜弓「ねえ由紀。」
由紀「何?」
 私は外の景色をずっと眺めながら口を開く。
亜弓「すごいよね…あの人たち。私とは全然違うよ。」
由紀「たしかにすごいよ。でも亜弓も負けてないじゃない。」
亜弓「そんなことない…由紀も含めてあの人たちは特別。何かその…私にしかわからないのかもしれないけど、すごい風格を持っているように見えるの…私にはそれがないから…。」
由紀「私にはあるように見えるよ。輝いて見えてるし。」
亜弓「…由紀。」
 私は由紀の優しさに心が癒されていた。何度由紀に助けられてきたことだろう。私も助けてあげたいし、助けたこともある。でも…迷惑かけすぎじゃないのかな。
由紀「何にも心配する必要はないよ。」
亜弓「えっ?」
由紀「ん。」
 由紀は右手を出して握手のポーズをしてきた。私は由紀の手を握った。そしてお互いに強く握る。
亜弓「…わかったよ。私やってみせる。」
由紀「自身を持って。頑張って!」

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05.28
「もしもし? 楓ちゃん?」
「そうだよ! えっとね、この前声かけた人からメールって届いた?」
 私は通話しながら宿題をこなしていく。ペンを回しながら上を見る。
「まだ来てないのよ。向こうも忙しそうだし、気長に待つことにするよ。せめてものの…一週間ぐらい?」
「そうだね。それじゃあ私も気長に待つことにするよ! それじゃあまたね!」
 そういって電話を切った。私は画面を消してテーブルの上に置いた。よし、たまった宿題やらなきゃ。
 メールダヨ、メールダヨ。
 メールの届く音がなった。私はすぐに携帯を開いて内容を見た。まさかと思っていたけどそのまさかだった。恭花さんからのメールが来た。
『こんばんは。夜桜恭花です。アイドルのお誘いありがとうございます。ですがまだ私自身突然のことなので戸惑っている所があります。そこでですが、今度の日曜日一緒にお出かけしてもよろしいでしょうか?』
 まだ迷っている。無理には押したくないけど、ここはチャンスかもしれない。私はすぐに携帯でメールを打ち返した。
『メールありがとうございます、九石千代乃です。もちろん大丈夫です。では日曜日にお出かけしましょう。』
 私はすぐにメールを返して宿題に手をつけた。考えてくれているというだけで嬉しい嬉しかった。そのおかげか、宿題がものすごくはかどる。早く会ってお話したい。そして共にアイドルとしてやっていきたい!
「あ、そうだ。」
 私は思い出したかのようにバッグの中から録音機を取り出した。そしてスピーカーに繋げると私が歌った曲を選んだ。
「自分で自分の曲聴くのは恥ずかしいかな…。」
 私は独り言を言って照れながらも再生ボタンを押した。
「…………。」
 自分の歌をじっくりと聞いた。こうやってカラオケではしっかり歌えてたところも録音してしっかり聞くと音程をはずしている所があった。そして息継ぎが早いかも。もうちょっと運動しないといけないかな。そして音楽をたくさん聴いてもっと覚えないと。
「……あ、でもここよかった。」
 自分でも上手く歌えていた所があった。そこは自分の得意なところだからどんどん伸ばしていかないと。せっかくの良い点を聞き逃して台無しにしたくない。絶対にアイドルで自分を変えてみせる!
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05.28
「いよいよ最終種目となりました。リレー決勝戦です!」
 アナウンスの声で会場が大きな声援に包まれていく。俺たちはそれぞれの位置に移動してスタートの合図を待っていた。
「竜太郎、長距離走の疲れはどうだ?」
「大丈夫だ、十分休めているから問題ない。スピードを落とさずに走り切ってやるからな。」
 俺と磯見は撫子のいる所を眺めた。藤浪と目黒、三人で何かお話をしている。いったい何を会話しているのだろうか。しかしその表情を見る限りでは作戦会議なのだろうか。いったい何を…。
「位置について…よーい。」
 バァン
 スタートの火ぶたが切って落とされた。自分のクラスは第一走者が陸上部なだけあって好スタート、二番手につけていった。一位はあの姫宮先輩がいるクラスだ。目黒のクラスは五位につけている。どこのクラスも差は縮まらず、順位が上がったり下がったりの繰り返しだった。そして藤浪の出番が来た。今は三位、十分逆転を狙えるほどの位置だ。
「よし…まずは!」
 藤浪は猛ダッシュで加速していく。先頭集団の二人を抜き、一気に先頭に出た。それに遅れじと最下位にいた目黒のクラスも5位にあげた。
「竜太郎!」
「こっちだ香織!」
 磯見にバトンタッチした。そして磯見はダッシュで走っていった。真後ろには姫宮先輩のクラス、そしてグングンと追い上げて三位には目黒のクラスがいた。
「六道、準備しておけ!」
「いいわよ! 美幸ちゃん、先行くよ。」
「大丈夫よ、追いつくから。」
 磯見から撫子へとバトンがわたる。それと同時に姫宮先輩がバトンを受け取った。撫子は一気に最初の加速で差を広げた。姫宮先輩もそれに負けじとグングンと加速していく。
「抜く、抜く!!」
 そして後ろから目黒が猛追してきた。カーブに入ると姫宮先輩は外に膨らんだ。抜くつもりか。
「させない!」
 大外から目黒がものすごいスピードで姫宮先輩をパスした。そしてすぐに撫子の隣に移動した。
「何するのよこの子たち…!」
 目黒がドンドンと加速していき、単独一位になった。さすがにきつかったのだろうか、バトンを渡す手前で撫子が失速し、姫宮先輩に抜かれた。けどこの距離なら…!
「拓斗!」
「撫子!」
 練習通り、いつものタイミングでスタートする。そして手を伸ばすとバトンと撫子の手が触れる。
「お願い…!」
 俺は大きな歓声に包まれた会場の中、撫子の小さな声がはっきりと聞こえた。俺は受け取るとすぐにダッシュし始めた。あの二人を…ぶち抜く!!

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05.28
亜弓「温泉きれいだね。」
由紀「うん、露天風呂もあって最高だよ。」
真希「瞳、温泉の中で何やっているの?」
瞳「私? 柔軟だよ。これで体を柔らかくさせているの。」
 一年生同士で温泉に入るのは合宿以来かな。外は月が明るく照らしていて、温泉はちょうど良い温度。祝福の時を味わっていた。
千恵美「恵美、そこのシャンプーとってくれない? 切れちゃったから。」
恵美「わかったわよ。」
千恵美「まだ海鳳のこと考えているの?」
恵美「そりゃ…気になるわよ。食事中皆の前であんなこと言われたら…。でもあの人は本気だと思うよ。真剣に答えを出さなきゃいけないし、本当に試合でホームラン打ってくれるかもしれない。自分の気持ちなんてどう揺れ動くかはわからないから…。」
千恵美「私は応援してるよ。自分の心を素直な気持ちにするのが良いと思うよ。好きだったら好き、嫌いだったら嫌い。ちゃんと決めておきなさい。あいまいな気持ちだったらもう少し待ってもらえれば良いと思うから。」
恵美「ありがとう。なんだかんだでこういう時は優しいのね。でも試合でヘマしたら思いっきり笑ってやる。」
美琴「府中とのデートどうだった?」
三由「うん、やっぱり優しかったよ。とにかくあの鎖骨もたまらないわね。うふふ、チラッと見えるあれがもうなんというか…。」
美琴「腐の気持ちは収まっていないみたいだね。」

桃音「隣失礼してもいいッスか?」
 私は突然の声に上を向いた。そこに桃音さんがいた。そうか、私たちの学校と同じ宿だったのか。私はうなづいて隣に誘導した。
瞳「この人は?」
桃音「あ、マネージャーさんッスか? 初めまして、私は関西大阪高校三年の安富桃音ッス。」
真希「あ、見たことあります! 私はマネージャーの湯野沢真希です。」
瞳「森田瞳です。それにしても身長大きいですね。」
桃音「そうッスね、よく言われます。」
 そして桃音さんは大きく腕をあげた。まさかここでいっしょになるなんて予想していなかった。
真希「その…すごいですね。」
桃音「何ッスか?」
真希「胸大きいですね。」
由紀「ちょっと真希! 何聞いているのよ!! やめてよ恥ずかしい!」
 たしかに突然胸の話をされては恥ずかしい。私は思わずそっぽを向いてしまう。由紀にいたっては潜って別の場所まで移動していった。恥ずかしがりやさんだな。
瞳「うらやましい…私なんて。」
桃音「そうかな? 私より大きい人なんているッスよ。亜弓、私より桜はもっと大きいわよ。」
亜弓「わ、私。胸のことはあまり興味なくて…。」
三由「わほーい!! きょぬーと聞いて!!」
真希「一番来てはいけない人がやってきちゃった。」
三由「こら真希、何言うのよ! 失礼な。私は胸の会話をしに来ただけだ!」
 私はその場をゆっくりと離れ、由紀とともに温泉から出た。体は癒されたが、精神的には疲れてしまった。

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05.27
「…はい?」
 その女性は後ろを振り返って私の顔をじっとみた。そしてニッコリと笑ってさらに口を開いた。
「さっきの隣の子ね。何か私に用?」
「あ、あの……えっと。」
 私が戸惑っているうちに後ろから楓がやってきた。
「お話があります…。」
 私は緊張で声を震わせながら言った。な、なんて恥ずかしいのだろうか…。
「私に?」
 でも相手はすごい真剣に聴いてくれている。私はその言葉に少し落ち着きを取り戻して前を向いた。でも手はまだ震えていた。
「えっと、あなたの歌とても良かったです。」
「私たち、隣で聴いていたのですが、綺麗な声で良いなって思いました!」
 楓も私に続いてフォローしてくれた。突然のことに相手は目を丸くして驚いていた。そりゃいきなりこんなこと言われたらそうなるよね…。
「あ、ありがとう。そんなこと言われたの始めてだよ。」
 そういわれて私はもう一度大きく深呼吸をして声に出した。
「あのっ…私たち、アイドル始めようと思って。その…一緒にやってくれませんか?」
「あ、アイドルっ!?」
 相手の方はさらに仰天して身構えた。たしかにいきなりこんなの言ったら身構えるに決まっている。でも…ここで誘わないと…。
「えっと、私たち。アイドルを始めようと思っていまして。今はメンバーを集めている所なんです。そのときにあなたの歌を聞いてどうしても必要だと思ったのです。あなたと一緒ならもっと高いところが見えてくると思ったのです。」
 そういうと相手の方は腕を組んで真剣に考え始めた。…本当にどうなのだろうか。正直ダメな気がする。
「そうね…私、高校三年生だから…。」
「「申し訳ありませんでした。」」
「えええっ!?」
 私と楓は同時に頭を下げた。
「私、高校二年生なんです。」
「私は高校一年生です。」
 そういうとまた驚いた顔をして私たちを見る。そしてあの人は大きくため息をついて腕を組んだ。
「私、丁度受験は推薦で決めたのよ。もういけることは確実だし、運動の格好してるけど大学では運動部入らないつもりだったから…。それに今やることって無いしね。…ちょっと考えさせてくれるかな?」
 そういってあの人が携帯を取り出した。
「連絡先、教えてよ。私は夜桜 恭花(よざくら きょうか)。よろしくね。」
 そういって夜桜さんはスマホを取り出して連絡先交換モードを起動させた。私と楓は同じように起動させて連絡先を交換した。
「さざらし…って読むのかな?」
「はい。」
「九石千代乃と旋風楓ね。それじゃあ帰宅したらもう一度連絡するからよろしくね!」
 そういってスポーツバックをよいしょと調整して、歩いていった。あの人…夜桜恭花さんか…。連絡までとってくれるってなんて嬉しいことなんだろう。
「やったね! 一歩前進できたと思うよ!」
「うん! とりあえず…今は三人でやっていこうと思うの。いいかな?」
「それがいいよ! あ、そろそろ帰らないと。電車乗ろう!」
 そういって私と楓は歩いて電車のホームまで向かっていった。

「アイドルかあ…次見つけたら声かけてみよーっと! うわっと、自転車落ちる落ちる!」

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05.27
「撫子、俺やったぜ。」
「うんうん、見てたよ! すごかった! あとはリレーも頑張ろう。」
「そうだな。その前に…藤波だな。」
 藤波は一回二回とジャンプして体をほぐしていた。一番内側にはあの生徒会長姫宮さんがいた。そして隣には藤浪がいる。この勝負は二人の一騎打ちになりそうな気がする。頑張れ、藤浪。
「位置について、よーい!」
 パァン!!
 勢い良く走り出した。藤浪はいつものように少しだけさげて加速するための体制に入った。姫宮は最初から飛ばして先頭に張り付いた。藤浪もそれを見て先ほどとは違う姫宮をマークする形で追いかけていった。
「(よし…外から一気に抜く!)」
 藤浪がカーブで外側に移動した。外から一気に抜くつもりだ!
「!?」
「えっ!?」
 俺たちは声をあげて驚いた。驚いているのは藤浪自身かもしれない。姫宮が外側に行こうとした藤浪に合わせて外に膨らんでいく。外からいかせないつもりなのか?
「この…!」
 藤浪は外をあきらめて内側をついた。そして直線につくと横から出ようとした。しかし横にはもう一人走者がいた。このままでは抜けない。
「…ここ!」
 藤浪は一気に減速して外側に持ち出した。そして一気に加速していく。
「いけ! 香織! 抜けるぞ!!」
 磯見が声をかける。そして姫宮との差が縮まっていく。しかし姫宮も粘っている。
「らぁ!」
 藤浪が声をあげてゴールすると姫宮と同時にゴールしていた。微妙な判定の所だが藤浪は怒っていた。あの場所で邪魔されていたからだ。しかし文句を言おうとしない。相手は先輩で生徒会長。こんなところで問題なんて起こしてはいけない。そう思ったのだろう。
「一位、姫宮小町。二位、藤浪香織。」
 藤浪は上を向いて大きくため息をついた。そして姫宮をにらんだ。そのまま俺たちの所に戻ってくると藤浪は撫子に手を置いた。
「いい、リレーで絶対あの人に負けるんじゃないわよ。」
「わかってる…アレ見て確信したよ。美幸ちゃん、敵同士だけど…あの人だけには負けないようにしよう。」
「わかった…任せて。」
「アンカーは俺に任せろ。」
「香織…大丈夫だ、リレーで挽回しよう。」
 俺たちは一丸となって声をかけあった。あの人にだけは絶対負けたくない。そんな気持ちが沸いていた。
「美幸、怪我だけはするなよ。」
「学、ありがとう。」

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05.27
六実「あなたの投げ方はとても興味深いものがあるわね」
桜「私はとてもうらやましいと思うよ。その身長であの速さの球を投げられるのだから。」
桃音「それに投げ方。あれは本当に恵まれたものだし、そう誰もが簡単にできるようになるものではないからね。」
瑞華「テレビだけじゃ見つけられないものもたくさんありそうだからね。ぜひ一度戦ってみたいものよ。」
 周りの人たちがものすごく期待してくれている。これはこれでうれしい。だってこんなにすごい人たちに褒められているだもの。私も認められているのかな。
桜「でも私たちが甲子園優勝を持っていくわよ。」
 桜さんが突然たちあがってニッコリと笑った。そこからはとてつもないプレッシャーを感じられた。
暁美「今年の大会も無失点で切り抜けて見せるよ。」
六実「なるほど、でも私たちだって甲子園優勝できるほどの力はつけてきたわよ。」
淳和「外野は死守してみせるわ。どっからでもかかってきなさい。」
桃音「そうッスね。私が全部ホームランにしてみせるッス。」
瑞華「私たちだって力つけてきましたわよ。甲子園で最高の試合をみせてみせますよ。」
 みんなが立ち上がって言う。そして由紀も立ち上がった。すると私の肩をポンとたたいて笑った。
由紀「私が全部ヒットにして点を取ります。あとは亜弓が全部抑えてくれるから。全部三振だよね。」
亜弓「えっ!? ちょ、ちょっと由紀…。」
 突然のことに私は戸惑いの色を隠せなかった。なんで私のことを言うの? しかも周りの人たちは私の顔をじっと見てくる。つまりこの人たちを抑えるってことになるんだよね…。たしかに一緒に戦えたら本当に良い経験だしとてもうれしい。しかしそれと同時に怖いところもある。打たれたくないし…、負けたくもない!
亜弓「私、絶対に負けません。全員抑えてみせます。」
 私は自分の発言にしまったと思ってしまった。しかしほかの人たちはにっこりと笑っていた。いったいなんでだろう。
桜「そういってくれる人たちが集まって本当によかったよ。」
桃音「だね。いままで女子選手っていなかったし、ここまで意識高かった人ってそういないから…。今甲子園に出れてない女性選手にも弾みになるかもしれないし。」
暁美「そうだね。だから甲子園では最高のプレーをしよう。」
 そして桜さんが真ん中に手を伸ばしていた。それに合わせて暁美さんが手を合わせる。ほかの人たちもそれに遅れじと手をのせる。私も由紀の後に手を乗せた。
桜「私たちで盛り上げよう! そして優勝を目指して互いに戦いあいましょう!」
皆「おー!」
 私は手を押して声をかけた。これだけ一丸となっていればやるしかない。恥ずかしい試合は一切みせられないと思う。だから…最高のプレーを見せるんだ!

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05.26
「なんだか私たち気が合いそうね! 一緒にカラオケしていた中で一番楽しいよ!」
「ほ、本当に? ありがとう…。」
「あとは…どれだけ努力してやっていけるかだね。」
 私たちは会話をしながら飲み物を飲んで休憩していた。そんな中、隣から歌声が聞こえてきた。
「なんだろう…隣の歌っている曲。」
「アカペラ? 音楽は流していないみたいね。…でも良い声。」
 私たちはちょっと気になって飲み物を取りにいくという名目で隣の部屋を覗くことにした。
「うわ…美人。」
「それに上手いし声もはっきりとしている…。」
 そこにはスポーツバックを置いて歌っている女子4人がいた。何か運動部のオフにカラオケに来ているのだろう。にしてはこの人のレベルがすごい。体つきもしっかりしていて…まさに運動部って感じ。でも…アイドルばりの可愛さだし、ちょっぴりかっこよさもある。こんな人が入ってくれたら私たちのグループはもっと良くなるだろう。そんな考えが頭の中に浮かんできた。
「ねえ、あの人。」
「私も同じ考えだよ。」
 私と楓は飲み物を入れながら互いに見合ってうなづいた。あの人をスカウトするしかない。こんなのいきなりで変な人に思われるかもしれないし、呼ぶための自信なんて無い。でも…いけるならお願いしたい。
「あの人たちと終わるのをあわせるか、私たちが最初に終わったら声かけるようにしよう。一発勝負だけどがんばろう。」
 楓は右手でグーポーズをしていきごんていた。チャンスは一度きり……簡単に頼めるなんて思っていない。でももしかすると…。

「結構歌ったね。」
「うん…。そろそろかな?」
 そういって私たちが扉を開けると同時に隣の扉からあの女性が出てきた。
「あ…。」
 私は思わず声を漏らした。向こうの人はこっちを見て首をかしげている。私は恥ずかしくなって急いで会計の場所へと向かっていった。
「あ、ちょっと千代乃。」
 私は急いで会計を済ませた。隣で楓もお金を出していた。会計が終わると一息ついて外に出た。そして目の前にあった自動販売機の前まで移動した。
「ここで待とう…ちょっと恥ずかしかったけど…。もう決めた、緊張したって何したってあの人に声かけるよ。」
「そうだね! がんばろう!」
 両腕両足がプルプルと震えている。あの人にばれないように何とかしないと…。
「楽しかったね! それじゃあここで!」
 あの人たち、ここで分かれるみたいだ。あの女性は一人である方向へと歩いていく。私たちの帰る方面と一緒だ。
「行こう、今しかない。」
「わ、わかった。」
 後ろで楓が押している。私は走ってあの人の所へと向かった。
「あ、あのっ!」
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05.26
 撫子は膝に手を置いて順位がどうなるかを確認していた。俺は自分の出る200m走の準備をしながら結果を待っていた。せめてものの三位以内には入っていてほしい。
「一位、3年D組佐古彩音。二位、1年B組六道撫子。」
 撫子の名前が呼ばれた。一位にはなれなかったけど二位になることができた。撫子はほっとした顔で上を向いた。そして俺の姿を見つけると手を振っていた。俺はそれに答えるように手を振った。撫子の顔は楽しんでいる顔だった。
「白羽根、頑張ってね。」
 後ろで待機していた藤浪が声をかけてきた。俺はガッツポーズをとってやってやると心の中で言った。
「位置について!」
 俺の出番がやってきた。撫子の方を見ると俺の方をじっと眺めている。撫子が勝てなかった分、そして期待にこたえなければ…。相手は全員運動部。上等じゃねえか!
パァン
 スタートの合図が鳴り響いた。スタートは無難にこなしたが、前に出られるほどではない。 さらに外スタートだったため、 俺は作戦を変えて速度を緩める。最後方に移動し、カーブで外を回らずインコースで足をためるやり方に変えた。カーブの出口近くに来て、大外に移動する。ここからが勝負だ。
「拓斗! 頑張って!」
 ゴール地点に撫子が手を大きく振って待っている。俺は溜まりに溜まった体力と筋力を使って加速していった。一気に加速していくと隣にいる人たちを一人二人と抜いていく。そして一気にごぼう抜きする勢いまで達していた。しかしゴールまでに届くか?
「拓斗!!」
 撫子の大きな声にまた二の足を使うことができた。そのおかげで先頭の人を抜いてゴールに近づいた。
「っしゃあ!!」
 俺はゴールテープを超えるとそのまま撫子の前まで移動した。
「やったぜ撫子!」
「拓斗すごいすごい!」
 俺は撫子に抱きついて二人で喜び合った。一年生ながら優勝することができたのだ。

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05.26
暁美「お待たせー。」
桜「これで全員そろったわね。それじゃあそこのソファーに座ってお話しましょうか。」
 私たちは四角の形に整えられているソファーに座った。周りを見れば女子選手ばかりがそろっている。それも…すごく有名な人ばかりだ。
桃音「まず歓迎ッスね。改めて関西大阪高校の三年生、安富桃音ッス。」
桜「富良野学院高校の山茶花桜よ。三年生やっているわ。よろしく。」
暁美「同じく富良野学院二年生の八幡暁美です。」
六実「御影大松戸高校で二年生やっています、遠江六実です。」
淳和「同じく御影大松戸の二年、吉祥寺淳和です。よろしくお願いします。」
 一通り、先輩たちの挨拶が終わった。おそらくこの5人は私たちが知り合う前から知っている人たちなのだろう。
瑞華「私は城洋大学付属高校の袴田瑞華です。よろしく。」
由紀「松江学園の羽葉由紀! よろしく!」
 そしていよいよ私の番が回ってきた。どうしよう、緊張する…。
亜弓「わ、私…日高亜弓です…。よろしくお願いします。」
暁美「まあまあ、そう固くならずに。楽にいこう。」
 暁美さんが声をかけてくれたおかげで少しリラックスすることができた。私は一度深呼吸をして落ち着かせた。

桜「さてと…今回は一年生に優秀な女性選手が集まって本当に嬉しいわ。この中からプロになれる人が出ればもっと最高よね。」
淳和「桜さんと桃音さんは今年絶対選ばれますよ。それだけの実力がありますし。」
桃音「それを言うなら二年生世代も楽しみな人たちばかりじゃないッスか。」
六実「でもやっぱり椎葉姉妹の影響が一番大きいですかね…。」
暁美「私は昔っからずっとやってたよ。」
亜弓「私は…たしかに椎葉姉妹のプレーに影響はあります…。」
由紀「ソフトボール出身だったからあまり影響というものは親ぐらいからですかね。」
瑞華「ソフトボールだったんだ。」
桜「それに一年は甲子園出れなかった組も良い選手がそろっていると聞くわよ。」
 皆が仲良く話している。私もこの話の中に入れている気がする。でもなんだろう…この…。何か不思議なオーラを感じられる。皆風格あるし…袴田さんにはそんなのは見えないけど隠しているだけであるかもしれない。この中では暁美さんからものすごいオーラを感じる…。椎葉真菜さんと同じぐらい、メジャーに出れるほどの実力があると思う。私は…そんなものは無いと思う。実力ないし…。
暁美「でも…投手の私から見れば亜弓、あなたはすごく魅力的だと思うよ。」
六実「それは思う。ドクターKの異名がふさわしいわね。」
 私が……ドクターK? つまり…奪三振をたくさんとる人のことなのかな…。



今回は夜凪朝妃さんに描いていただきました!
夜凪朝妃さんのpixivページ
夜凪朝妃さんのツイッターページ
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05.25
「ねえ、明日カラオケ行かない?」
「カラオケ?」
「そう! どんな歌を歌うのか気になる所だし…。声も気になる!」
「私でいいなら…いいよ。何時にする?」
「えっとね……。」

 私はカラオケ店の前で楓を待っていた。昨日会ったばかりの女の子とカラオケに行くなんて。二時間だからちょうどよかったかもしれない。
「おまたせー!」
 そんなことを考えていると楓がやってきた。昨日のようにかわいらしい私服を着てやってきた。
「あ、千代乃。新しい服を買ったのね!」
「そう。アイドルは身だしなみからしっかりしないとって言われたから。」
「似合っているよ! いいなぁいいなぁ。」
 楓は足をぴょこぴょこさせて羨ましがっている。なんというかかわいい。
「それじゃあ行こう。」
「おっけー!」
 私は自分の名前で予約を取っていて、店員に声をかけるとコップをもらって指定された部屋へと移動していった。
「カラオケっていつ振り?」
 楓が荷物を降ろしながら聞いてきた。そして荷物を降ろすとストレッチをし始めた。
「私は一か月ぶりかな。楓は?」
「週一には行くよ。」
 週一。やっぱりやりこんでいる人は違う。バンドをやっていただけあって、ストレッチもしている。私も真似事でもよいからストレッチしないと。
「よいしょ…。」
 二・三分ストレッチして、私は曲を探し始めた。
「どれがあるかな…。」
 そんなことを考えていると人気アイドルグループの曲を見つけた。そしてそれを入れると隣から拍手が聞こえてくる。
「あ、あまり期待しないでね。」
「いやいや! でもアイドル目指すんだからここから頑張ろう!」
 そういって励ましてくれた。私は少しリラックスすることができて歌い始めた。比較的歌いやすい音程、そして曲調も明るい。歌っていくうちに徐々に声がうまく出せるようになってきた。それを聞いた楓は少々目を丸くして私の歌を真剣に聞いていた。

「はぁ…はぁ…。ど、どう?」
 歌いきった私は息を切らしながら聞いてみた。体が少し熱い。息を切らしてしまいそうになったからだろうか。しかし楓は拍手している。
「うまい、うん。上手いよ! あとは体力とかしっかりつけておけば歌は問題ないよ! あとはダンスと含めてどうなるかってことだね…。」
 楓は拍手しながら自分の番だと思って立ち上がった。そしてマイクを持ち、構える。
「最初は自分の好きな曲で歌うね。」
 そういって歌い始めた。ややロック調な曲を歌っている。英語もネイティブな発音をしているし、そこにかわいらしさが混ぜあわさって良く響く。たしかにギターヴォーカルをやっていただけある。さらに落ち着いているところでは透き通る声を聞かせてくれた。すごい…。

「どう?」
「すごいよすごいよ! さすがヴォーカルやっていただけあるよ! それにぜんぜん疲れていないからうらやましい。」
「一応ランニングとかで鍛えているからね!」
 ランニング。やっぱりこれからアイドルやっていく上で必要なのだろうか。少しずつでもいいからやっていかないと。

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05.25
「いくぞ拓斗。」
「竜太郎、タイミングはずらすなよ!」
「「いっちに! いっちに! いっちに!」」
 俺と磯見はすぐに脚を動かして加速していった。先頭集団が並んでいる。これは大外から追い抜いていけば間に合うかもしれない。
「外回るぞ!」
 磯見は足を大きくずらして外側になるように移動してくれた。俺はそれに合わせて加速していく。よし、これで上手くいく。
「拓斗! 抜けるよ!」
「竜太郎! 絶対抜きなさい!!」
 俺と磯見は直線に入ると回転をあげて加速していく。先頭集団に追いつくと横に並んだ。そして一気に抜き去ると加速を落とさずにゴールへ向かっていった。ゴール前には生田と目黒も待っていた。
「っしゃああ!!」
 俺はゴールテープに触れてゴールした。そしてそのまま減速して、生田と目黒の前に移動した。
「二人ともやったな!!」
「すごいすごい! 私たちのクラスは負けちゃったけど応援したよ!」
 俺と磯見はハイタッチしてニヤニヤした。俺たちが勝って点数が大きくついた。そして勝ったことに心から喜んだ。
「よっしゃ、このまま他の種目も勝っていこうぜ!」

「次の種目は100m走になります。」
 三年生の二人三脚リレーが終わると次の種目がアナウンスされた。次は撫子の決勝だ。果たしてどこまで順位を上げてくるのだろうか。でも撫子のことだから上位に食い込んでくるだろう。
「拓斗、行ってくるね。」
「ああ。頑張ってこい。でも怪我だけは気をつけろよ。」
 俺は撫子を軽く抱きしめると撫子はスタート地点へと歩いていった。いよいよ撫子の100m走が見られるのか。
「位置について…よーい。」
 息を呑む瞬間だ。
 パァン!!
 スタートした。撫子は誰よりも速くスタートを切れた。そして前半、どんどんと加速していく。
「いけ! 撫子!」
「撫子ちゃん、頑張って!」
 俺たちは一生懸命撫子を応援した。撫子は中盤に差し掛かると少しずつ失速していった。いや、後続が追い上げてきた。
「粘れ!!」
 撫子は必死に走っている。ゴールに近づくと人一人分の差になった。そして…。
「やっ!」
 撫子が体を前に出してゴールした。しかし横並び4人のゴールだった。ギリギリ残ったのだろうか。それとも差しきられてしまったのだろうか。

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05.25
桃音「ん? 電話?」
 桃音さんが携帯を取り出して電話に出た。
桃音「はい。…桜か、どうした? …うん、わかった。それじゃあ買い物して待ってる。」
 電話を切ると私たちの顔を見て笑った。
桃音「富良野学院がミーティングで遅くなるらしいからコンビニで何か買い物するっす。」
六実「ごめんごめん。八幡にメール届いたからちょっと財布用意してきた。」
淳和「桃音先輩、お久しぶりです。」
 六実さんと淳和さんもやってきた。あとはあの二人を待つだけだ。その前にコンビニに移動してちょっとした買い物をする。私と由紀も運よく財布を持ってきている。何を買っていこうかな…。
 私たちはホテルを出てゆっくりと歩き始めた。そして二つ目の角を見るとコンビニがあった。私たちはゆっくりと店の中に入っていった。
桃音「あ…片岸さん。ちッス。」
ディア「おお、これはこれは。」
 で、でかい。でも一瞬で誰だかわかった。青森県代表、武士山高校の片岸ディアさんだ。190cm超えの身長を目の前でみるとここまででかいとは…。
ディア「女子同士の会話ですか?」
桃音「そんな所ッス。」
六実「ディアさんまた身長伸びました?」
淳和「もうここまででかいとさらに大きくなっても気づかなくなるかも。」
 そんなことを話していると瑞華が歩いて目の前に移動した。
瑞華「ディアさんですか。高いところからの投球は本当にすばらしいと聞いています。」
ディア「嬉しいね。そんな君は東東京の女子キャッチャーだね。」
瑞華「あなたの球、ぜひ打ってみたいですね。」
ディア「そうだな。対戦したときは一球もかすらせないよ。」
 早くもここで勝負の火花が散っていた。やはりだれもが戦う準備は整っているのだろう。みんなの目からは戦う意識が見えてくる。私もこの意志を持っていたほうが良いのだろうか。いや、持たなきゃいけない。
由紀「うーん、私はヤクルト飲もう。」
亜弓「由紀、もう買いに行くのね。」

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05.24
「ダークモカフラペチーノになります。」
「うひょー!」
 目の前に出された飲み物に黄緑髪の子が目をキラキラと輝かせている。私はすでに抹茶ラテがあったのでお互いに声をかけて飲み始めた。買い物を終えた私は、アイドルの話しに興味を持ったこの女性と共にコーヒーショップに入った。
「あ、そういえば忘れてた! 私は旋風 楓(つむじ かえで)! 高校一年生!」
 今になってやっと名前の紹介をしてきた。旋風楓…。一つ下の女の子なのか。
「私、九石千代乃。高校二年生だよ。」
「うぇえっ!? 先輩っ!? これは失礼しました。」
 そういってテーブルの上で頭を下げて謝った。そんな謝ることないのに。そして頭を上げるとストローで自分の飲み物を飲んだ。
「ぷはっ。九石先輩はなぜアイドルになりたいって思ったのですか?」
「先輩は要らないよ。実はこの前、アイドル活動している人がいて…それに一目惚れというか。私帰宅部だったし、何もいままで部活やったことないのよ。」
「そうだったんですか。やりたいことが見つかってよかったですね!」
「でもね…体弱いからやっていけるかどうか…。」
 私はカップを置いて下を向いた。体の弱い私が続けていけることなのだろうか。今になって心配になってきた。
「大丈夫ですよ、特訓すればそんなの関係ないですって!」
 この女の子はポジティブに声をかけてくれる。なんてやさしい人なんだろうか。そしてアイドルに欠かせない笑顔を持っている。たしかにこの人と一緒なら面白いかもしれない。
「ありがとう…。じゃあ旋風がアイドルについてお話聞きたいって思った理由は?」
 そういうと先ほどの私と同じようにコップをトンとテーブルの上におく。そしてふぅ…とため息をついた。
「私は音楽が大好きなの。だから高校では軽音楽部やバンドに入ってたくさん活動したいなって思ってたの。でも何だろうね…こう…私の求めているものとは違うっていうか…周りの意識が違うから。ほら、目標や音楽性が違うとメンバーとかみ合わないよね。」
「いわゆるお友達関係と同じものだね。」
「そうそうそう。…だからちょっと自分探しにでも合うのかなって…。」
 そういってもう一度飲み物を飲む。そして飲み終えると顔つきを変えて私の方を見る。
「ねえ、アイドルは本気で上目指したいって思ってる?」
「私は……。やるからには上目指したい…。」
 勢いで言ってしまったけど正直自信がない。こんなの上手くいくかわからないし、厳しい世界なのもわかっている。でもやりたい。
「……私もメンバーに入っていい?」
 突然、旋風が私の顔をじっと見てたずねてきた。それは本当に入りたそうな顔だった。たしかに一人でやるのもアレかなって思うし…。いいかな。
「うん、これからもよろしく。」
 そういうと旋風はニッコリと笑って一気に飲み物を飲み干した。
「ありがとう! これから楓って呼んで!」
「わかった。私のことも千代乃って読んでいいからね。」
 私と楓は握手して笑った。早くもメンバーが一人増えた。

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05.24
「邪魔した? もしかしてバトン渡すとき?」
「うん…。」
 藤浪が聞くと目黒はコクコクとうなづいた。俺たちは姫宮の方を向いた。笑っている。あの顔でそんな卑劣なことをしてくるのか、あいつは…。何かあれば生徒会長の権限だとか何か言ってきそうな雰囲気をしてるかもしれない。
「大丈夫、私が200m走で仕返ししてくるわ。」
「香織ちゃん、暴力的になっちゃだめだからね。」
 藤浪の言葉に撫子がなだめる。すこし嫌なムードが漂ってくるな。その前に俺たちは二人三脚に出なければならない。先生たちのリレーが終わったらになる。ここは大きな点数になるからしっかり走らないと。

「ただいまより、二人三脚を始めます。」
「竜太郎、足はしっかりつながっているか?」
「任せておけ。」
 俺たちは脚がしっかり結ばれているか、走っても問題ないかの調整のため、足踏みをした。全然大丈夫そうだ。
「撫子、しっかり合わせていこう。」
「うん、アンカーの彼氏にしっかり渡さないとね。」
「なに恥ずかしいこといってるのよ! バカ!」
「私はあなたよりバカじゃないわよ! しかも自分で言ってて恥ずかしくなってきた…。」
「もうわけがわからないよ。」
 パァン
 いつの間にかスタートされていた。俺たちのクラスはスタートは上手くいったものの、他の人たちが上手く出来すぎているせいか、最下位まで落ちてしまった。その後もいったん離されていくが後半組みが後ろから二番手に張り付く形まで追い上げていた。かなり団子状態になっていて誰が勝ってもおかしくない状況だった。
「いくよ、撫子。」
「まかせて!」
 バトンが撫子たちに回ってきた。撫子が前半引っ張る形で加速していく。そして後半は藤浪の瞬発力を生かした追い上げを見せていく形だ。それがピタリとはまり、3位まで浮上してきた。
「拓斗! おねがい!」
「竜太郎、ヘマするんじゃないよ!」
「「しゃあ!」」
 俺たちは声を掛け合ってバトンを受け取った。

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05.24
「ご馳走様でした。」
 挨拶を終えると私たちは一度部屋へと戻っていった。これからあの人たちと集まってお話をするのか。すごい人たちと会話できるなんてなんて嬉しいことだろう。でも…やっぱり怖いところもちょっとある。私なんて相手にしてくれるのだろうか。
由紀「真希、瞳。この後はどうするの?」
瞳「マネージャー同士でミーティングがあるからそれに出るの。」
真希「その間いないけどよろしくね。お互い戻ったらお風呂に入ろう?」
亜弓「わかった。私たちもちょっと用事があるから。由紀、一緒にいこ。」
 私たちはすぐに荷物などをまとめて大ロビーの方へと移動していった。エレベーターから降りると紫色の髪をした女性が腕を伸ばしていた。しかもけっこう身長が大きい。雰囲気あるなぁ。
「ん? もしかして日高亜弓と羽葉由紀ッスか?」
 その女性が振り返ると私たちは誰だかすぐにわかった。大阪代表の関西大阪高校の安富 桃音(やすとみ ももね)さんだ。本当に大きくてうらやましい。由紀は完全に見上げるようになっている。桜さんといい暁美さんといい、背の大きな人ばかりだ。
亜弓「安富桃音…さん?」
桃音「そうッス!」
由紀「始めまして。私は羽葉由紀です。」
亜弓「日高亜弓です。」
 私は挨拶すると黙ってしまった。しかし桃音さんはニコニコ笑いながら私たちに近づいて肩をポンポンと叩く。
桃音「まあ初対面だから慣れないッスよね。でも由紀はそんなことないみたいだね。」
由紀「こういうのは楽しまないといけないですから!」
 二人は楽しそうに会話をしている。私…置いてかれてるのかな。
「あれ? 安富さんですか?」
桃音「瑞華! よくきたッスね。」
瑞華「呼ばれたらもちろん来ますよ。もう会話だけに燃えているんですから!」
 このめがねかけた人って確か…。
由紀「もしかして東東京代表の?」
瑞華「あ、羽葉さんですね。私は袴田瑞華(はかまだ みずか)、同じ一年生です!」
亜弓「私は日高亜弓です。」
 この人が瑞華…桃音さんよりちょっと小さいぐらいだ…一年生なのにこんなに大きいなんて…。

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05.24
九石千代乃 (1)



キャラクター紹介 
名前 九石 千代乃(さざらし ちよの)高校二年生
身長158cm


ちょっぴりクールでおとなしい女の子。周りに左右されない雰囲気だが、引っ張られることはたまにある。几帳面で部屋はものすごく綺麗。やることに関しては完璧主義であり、やることはすべて完璧にこなしたいと思っている。しかし体が弱いため、思うようにやっていけない。ずっと帰宅部だったが本物のアイドルに会い、何か自分もやってみたい、変わってみたいと考えてアイドル活動を始める。


今回はカボちゃさんに描いてもらいました!ありがとうございます!
カボちゃさんのpixivページ
カボちゃさんのツイッター
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05.23
「えっと…まず鏡を…。」
 私はメモを見ながらどの物を買うかまよっていた。値段に関しては良いのだけど…好みの問題なのだろうか。ちょっと迷っている。
「うーん…。」
 そんな中、一つかわいらしくて大きな鏡があった。この大きさなら縦も横も十分足りそう。よし、これを買おう。
…………
「あとは…。」
 ビテオカメラを買った。化粧品も鏡も服も。後必要になるのはマイクとかになるかな? となれば楽器屋に行こう。といってもさすがに楽器はどれを買えばよいのかわからない。どうすればよいか、迷ったまま考えていると楽器屋についていた。
「うっわ。」
 私は思わず声を漏らした。広いしたくさんの楽器が置いてある。何が何だかわからなくなりそうなぐらい…。周りを見るとベースやギター、ドラムなど多くのものが並ばれていた。そして探していくと…。
「あった。」
 そこにはたくさんのマイクと録音機があった。びっくりするほど多く、値段もピンキリでたくさんある。これは…かなりまよってしまう。
「うーん。」
 見た目だけ気に入ったものだとマイクで2万というものがあった。でもこれが本当に良いものなのわからない。初心者の私にとってみればどれが良くてどれが悪いものなのかわからない。
「うーん……。」
 私は悩みに悩んでいた。見た目を選ぶか…それとも店員に聞いてほしいものはどれかを聞いた方が良いのだろうか…。
「ん? 何か迷っているの?」
 子供っぽい女声が横から聞こえてきた。私は声のする方を向くと黄緑色の髪をした女の子が立っていた。背中にはギターカバーらしきものをしょっている。音楽をやっている人なのだろうか?
「えっと、あなたは?」
「あ、ごめんごめん。ここの常連で! 見かけない顔だし、迷っているように見えたからどうしたのかなーって。」
「そ、そう…。私、マイクと録音機材が欲しくて…。」
「本当!? それならこのマイクとか良いと思うよ!」
 そういって指差したものは先ほど気になっていたあの2万マイクだった。これが良いものだったのだろうか。
「正確に音を拾ってくれるし、しっかりとした音が聞こえてくると思うよ。私もそれは持っているから是非お勧めするよ。」
「あ、ありがとうございます。…そしたらこれにしようかな…。」
 私は気に入ったマイクを手にとってずっと眺めていた。これからずっとお世話になるマイクになっていくのかぁ…。
「何か音楽始めるの?」
 黄緑髪の子がニコニコと声をかけてきた。
「えと……あ、アイドル。」
「わっ! すごいアイドルだなんて!」
「いや、でも私…始めようと思って今日買いに来たばかりだし…。」
 そういうと黄緑髪の子があごに手を乗せてなにやら考えていた。そしてぽんと手を叩くとこちらを向く。
「それ買い終わったらちょっとお話聞かせてよ! アイドルのこと!」

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05.23
「美幸! 頑張れよ!」
 生田が目黒に声をかけて応援している。そしてリレーがスタートした。目黒はラストから二番目の走者だ。目黒のクラスは良いテンポで走り、一位につけていた。そしていよいよ目黒の出番がやってきた。
「こっちだよ!」
 目黒は手をあげて指示をした。そしてバトンをしっかりと受け取る。
「バトン、こっちよ!」
 隣の女子がバトンを受け取った。良く見たらあの委員長、姫宮だった。そしてダッシュする。
「お先。」
「えっ?」
 姫宮が顔を横に向けて何かつぶやいた。そして隣を姫宮が追い抜いた。いったい何を言ったのだろうか。そしてカーブに入る頃には少し差が開いている。会場は大きな声援に変わっていく。
「あの人…!」
 目黒がいきなり足を大きく蹴り上げ、加速し始めた。その加速力は姫宮に追いつきそうなぐらいだった。
「!?」
 目黒は直線に入ると横に移動した。追い抜くつもりだ!
「この…!」
 しかし追い抜けずそのままバトンはアンカーへとわたっていく。目黒は少しだけの差までおいつめてバトンを渡した。
「姫宮…。」
 何がなんだかわからない状況のまま、姫宮のいるクラスが一位でゴールした。目黒はなにか不機嫌そうに下を向いている。何が…何があったんだ?
「美幸…どうした?」
「美幸ちゃん?」
 美幸が私たちの前に戻ってきた。すると何か怒りをあらわにするかのように力強く席に座った。
「あの人…私をバカにした…。」
「何?」
「…姫宮が?」
「そう……私の顔を見て見下したような顔をしていた。」
 見下した顔…いったい何があったんだよ…。
「そして…わたしの走りを邪魔した。」

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05.23
海鳳「おお、こりゃすごい夕飯だな。」
池之宮「おかわりは絶対にあるよな。」
 私たちは夕食の準備を始めていた。目の前には料理が並べられているが、ご飯はセルフサービスで準備をしなければならない。なぜなら量を自分で決められるからだ。
由紀「すこしは多めに食べようかな。」
亜弓「私も体力いっぱい使いそうだから準備しないとね。」
 私は自分の器にいつもよりご飯を多めに入れた。そして隣には瞳がいた。そしてご飯の量をみると、これでもかというぐらいのご飯タワーが出来上がっていた。
真希「ひ、瞳…相変わらずね。」
瞳「だって甲子園に行っても運動は欠かさないもの。外のランニングが楽しみよ!」
 外のランニングかぁ、私もやってみたいな。夜、由紀と一緒に走って行きたい。
「いただきます!!」
 皆が大きな声で挨拶をして私たちはご飯を食べ始めた。
新天「おお、これはおいしいね。」
卜部「本当にこれはおいしい。」
 周りの人たちがおいしそうに食べている。甲子園に出る人たちのためにの用意はしっかりされているのだろう。
芦毛「こいつはおいしいぜ…おかわり!」
府中「お前、始めから用意しておけばよかったものの。」
芦毛「それじゃ足りなかったんだよ。」
三由「戸井、私のプリン余ってるから食べる?」
府中「マジで? ありがとう。」
 三由先輩が府中先輩と仲良くやっている。あの告白から親密な関係になったんだよね…うらやましいな。
海鳳「恵美先輩」
恵美「…なによ。」
 とつぜん海鳳がやってきた。そしてグータッチポーズをみせて笑った。
海鳳「俺、甲子園で絶対ホームラン打ちますんで。絶対見ていてください。そして…ホームラン打ったら時間ください。」
恵美「えっ!? それって…えっ?」
海鳳「失礼します。」
 海鳳が丁寧に挨拶をして自分の席へと戻っていく。恵美先輩は何か理解できないような顔をしている。本当にあれは…うん。すごい勇気だな。

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05.22
 ピピピッ
 あ、メール。帰ってすぐにパソコンから送ったメールがもう届いていた。すごく丁寧な人に思える。私はすぐに受信ボックスを開いてメールを確認する。
『九石 千代乃(さざらし ちよの)さん、こんにちは。メールありがとうございます。アイリングのアカネです。本名は三ノ輪 紅音(みのわ あかね)です。』
 この人は三ノ輪紅音という人だったのかぁ。私も名前教えたしいいかな?
『質問の答えですがまず一つ目から。アイドルをしたいなら少しアイドルの勉強をして、少し真似事でも良いからカバーを一つやってみると良いよ。アイドルがどんなものかと、基礎ができないと個性なんて話しなんかできないからね。』
 なるほど、やっぱり一からやっていくことが大事かぁ。あまりレッスンとかのお金とかは出せなさそうだし…。独学で学ぶしかないのかな。たぶん必要なものでお金が飛びそうだし…。
『あと自分を磨くことも必要かな。やっぱりアイドルってかわいく見せなきゃいけないからね。ファッションや化粧も学ばないとね。』
 そうか、少しでも自分を磨かないといけないのか。そのための努力と費用も必要になるということになりそう。
『次は必要なものだったよね。本格的にやるなら今は録音できる機材やマイクが音楽系で必要なもの。ダンスのための鏡とか、できればビデオカメラとかもあると良いよ。あとは化粧品とか多少の服かな。最終的にはアイドルの衣装も必要になるし。だから今は用意できる物でやると良いと思うよ。』
 やっぱりその辺りが必要になるのかな…。そうなると…予算としては十万ぐらい必要なのかな…。たしか、私ってバイトで稼いだお金の使い道がなくてそのまま貯めていたはず。通帳は…、あったあった。
「私のお金って…。」
 ……50万…、服を多少買っていただけでもこんなに残っていたなんて…。正直自分に驚いている。まさかこんなことになっているなんて…。よし、たしか明日は休日だったはず。大型デパートに行って買いに行こう。

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05.22
「あと5分で午後の部が始まります。リレー予選に出場する方は列に並んでください。」
 アナウンスが集合の声をかけている。俺たちはウォーミングアップをしながら列の場所へと移動していった。生田だけ出場はしないので俺たちは生田に荷物の見張りを頼んだ。
「それじゃあ美幸ちゃん、次は敵だからここで。」
「うん、撫子ちゃんにも香織ちゃんにも負けないよ。」
 俺たちは足を念入りにストレッチして走る準備を整えていった。俺たちと一緒のグループは一年が1グループで二年が2グループ、三年が2グループだ。メンバー的に見れば多少楽なメンバーかもしれないが、最終的にはタイムで決勝出場チームが決まる。だから最初から全力なのだ。
「よし、それじゃあ位置に移動するか。」
 俺たちはそれぞれバトンを渡す位置へと移動していった。二番手に藤浪で三番手に磯見、六番手が撫子でアンカーが俺だ。出だしが一番肝心だが、佐々岡なら問題ないだろう。
 バン!
 スタートの合図が切られた。佐々岡は順調な滑り出しで三番手を追走していた。この難しい相手の中走っていくのはかなり大きいことだ。そして藤浪がバトンをもらう。
「いけー! 香織!!」
 藤浪はグングンと加速していった。その加速力は普通では考えられないほどであり、カーブで二人を抜いた。
「竜太郎!」
 磯見にバトンタッチした。磯見は持久力を生かし、最初から飛ばしていた。差は縮められるものの一位をキープしている。
「そのままだ!」
 四番手と五番手が無難に走ったが、相手の3グループが速く、四位に転落していた。そして撫子の出番が来た。
「よしっ!」
 撫子はバトンを受けると自慢のスタートダッシュを決め、カーブに入る所で一気に一位になった。そしてカーブの途中で失速するものの、相手は外側を回って走らなければならない。ここまでくれば上出来だ。
「拓斗!」
「撫子、こっちだ!」
 俺は瞬時に受け取りやすい場所へと移動し、撫子のバトンを受け取った。練習しただけあって一番スムーズにバトンパスができた気がする。隣も同時に受け取っていたが、走るのが得意な俺はすぐに先頭にたった。そしてタイムを残すために最後まで全力で走り切った。後ろを振り返れば多少差が開いていた。俺は一位のままゴールインして腕を上げた。
「よくやったな!!」
 目の前で磯見がグータッチを待っていた。俺はすぐにグータッチして喜び合った。
「さて、次は目黒の番だな。」
 俺は撫子と藤浪が戻ってくるのを待ち、到着したところで目黒が走るであろう場所に移動した。

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