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04.29
「………ん? 寝てたのか?」
 俺はベッドから起き上がって背伸びをした。あの後、ゆっくりとかえって…すぐに風呂入った後寝たっけ…。そうだ、あまりの疲れで一気に寝たんだった。時間は7時半、ちょうど良い時間に起きたのか。
「すー……すー……。」
 撫子はぐっすりと枕にしがみつくように寝ている。こりゃ相当疲れたんだろうな。まあ昨日のことがあるしな、撫子の心は落ち着いてきているのだろうか…それとも…。
「拓斗……おはよ…。」
 そういって撫子は重たい瞼をこするように起き上がった。そして背伸びをすると俺の方を向いてにっこり笑った。
「おはよう。今日発表だね。」
「おはよう…。てっきり緊張しているのかなって思っていたけど…案外楽そうな表情だな。」
「だって…拓斗がいるもん…。」
「そうかい…。ありがとう。」
 そういうと撫子はえへへと笑って外を眺めていた。でも…本当は緊張しているのだろう。俺にはそう見せないだけであって…。でも今日の結果ですべてがわかる…そしてどんな結果であろうとも撫子を守っていくのはこれからもずっと…。というか撫子、本当にデレデレだな。心が壊れる前はずっと明るくて…前向きで…。でも…。
「変わったな、撫子。」
「えっ?」
「最初にあったときは自信なさそうな顔ばかりしていたけど、今は明るい顔をしているな。うれしいよ。」
「本当?」
「ああ、俺にはそう見えるよ。」
 撫子は少し頭をかいて照れながら笑っていた。俺も微笑んで撫子の頭を撫でた。サラサラの髪が俺の心を落ち着かせる。
「本当にサラサラだな。何使っているんだ? それとも元々なのか?」
「家系がみんなサラサラだからね。お母さんもサラサラだし父もそうだったから。私もサラサラになるのかな。でもポニーテールには似合わないような気がする。」
「そうか? 俺は良いと思うけどな。」
「ふぅん。」
 撫子は不思議そうな顔をして自分の着替える場所に移動した。俺も着替えることを察して自分の着替えを始めた。
「今日…か。準備は大丈夫か。」
「私は大丈夫。」
 そういって撫子はすぐに出てきた。俺もちょうどよく着替え終えて二人で手をつないだ。そして撫子がニッコリと笑う。
「行こう、拓斗。」
 撫子が俺の手を引っ張る。その明るさがいつまでも続いてくれることを願いたい…。それは今日の結果によって変わってくるかもしれない…。

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04.29
日下部「よくやった…さあ、まだここで終わりじゃないぞ! 甲子園で思いっきり暴れていくぞ!!」
皆「はいっ!」
由紀「ねえあれ…。」
 由紀が後ろを向くとそこには相手のキャプテンが歩いてきた。府中先輩も相手の方へと歩いていく。
富坂「まずチームに、これを。」
 相手の目は赤くなっていて泣いた後だった。まだ声がしっかりとしていない。そして出したものは相手チームの千羽鶴だった。「必勝祈願」と書かれた文字にはいろんな人の汗と思いが詰まっているはずだ。それをしっかりと受け止めたかのように府中先輩は受け取った。
富坂「それと…こいつもだ。」
 そういって渡したのはバッティンググローブだった。
府中「これを俺にか?」
富坂「ああ。頼む、受け取ってくれ。」
 そういうと府中先輩はゆっくりと受け取った。そこにも文字が書いており、「常に全力」と書かれていた。府中先輩はそれを握りしめて相手のキャプテンの顔を見た。
府中「わかった…。これを使って甲子園で打ってくるぜ。」
富坂「ありがとう…。応援しているぞ。」
 そういうと相手キャプテンは自分のベンチへと戻っていった。なんて男らしい人なのだろうか。
府中「よし、片づけるぞ!」
 私たちは荷物をまとめてベンチから去ろうとした。そして出口近くで右側を見ると府中先輩と三由先輩が話していた。
府中「蒔苗。閉会式終わったら二人きりになってくれ。」
三由「えっ…ええっ!? あ…うん。」

瞳「亜弓! 由紀!」
真希「すごかったよ! 私感動したよ。」
亜弓「ありがとう。私…やったよ!」
恵美「さて、これからもがんばらないとね。」
千恵美「そうよ。甲子園ではもっと強い相手が出てくるんだから。ファイトだよ。」
由紀「はいっ!」
美琴「すごかったわよ。声援も皆の驚きも。」
綾「すごいねすごいね!! それじゃあこのプリンあげる!」
亜弓「あ、ありがとうございます。ここでも甘いもの食べるのですね…。」
優衣「私たち一生懸命応援したよ。」
香澄「すごいよね、すごいよね!」
三由「最後の夏、行けてよかったよ。」
久美「本当におめでとう。」
萌「お疲れ。がんばったわね。」
美和「お疲れ様。それにしても熱いわね……。」
 いろんな人たちからおめでとうの祝福が来る。こんなにうれしい気分なんてめったに味わえないや。
真希「あ、理恵からメール。おめでとうだって!」
 理恵からもメールが……本当に良い仲間に出会えてよかった。ずっと一緒に…いたいぐらい…。
涼香「すごいわね。おめでとう。後でアイシングしてあげるからね。」
由紀「ありがとうございます。」
阿湖音「亜弓…悔しいけど私たちの負けだ。その素晴らしい魔力を持ったストレートを甲子園でも思う存分発揮するがよい。」
亜弓「阿湖音…ありがとう。」
 厨二病が混ざっているけどあいさつに来てくれた…。そうやって敵でも応援してくれる人がいるとうれしいものだ。
真菜「ちょっといいかな…日高亜弓と羽葉由紀。」
亜弓「はい、なんでしょうか………。」
由紀「……えっ、ええっ!?」
皆「えええええええっ!?」
三由「東光大学の椎葉真菜さんと椎葉佐奈さん!? なななっ、なんでっここに!?」
亜弓「うそ……あの姉妹?」
 目の前にはあの大学野球で有名…そして女子が男子と野球を始めるきっかけとなった椎葉姉妹がなんで私たちのところに……。
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04.28
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。




 今大会チーム打率3割のバッティングが決勝の舞台でも火がついた東光三島高校4年ぶり10回目の出場を決めた。この強打者がそろう高校にひときわ目立つ選手がいる。七海 和也(ななうみ かずや)外野手。今大会で打率5割、出塁率7割とセンスあるバッティングと、足においても一試合平均2.5盗塁という驚異的な走力を持つ。さらにはファインプレーで幾度と無く仲間を助けてきた。七海の存在に隠れがちだが投手の青山「3年」も忘れてはいけない。多彩な変化球を武器にここまで防御率2.4点台と落ち着いている。静岡が甲子園に打撃の嵐を呼び起こすか。
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04.28
「なあ撫子。」
「どうしたの拓斗。」
「…これはどういう状況なんだ…。」
 俺は周りを見渡して唖然とした。俺と撫子とヴィクトリアは飲めないが、ほとんどの人が酒を飲んでいた。それだけでは収まらず、かなり暴れていたり大声で討論していたりする。中には周りのことも気にせずキスをしている人たちまでいる。どういうこっちゃ、芸術家はこんなに変わり者が多いのかよ!!
「うぇーい!! もっとだ! 酒をプリーズ!!」
 うわ、ニコラスさんまで酔って狂っている。俺には全く手がつけられない。よく見ると隣に肩を組んで笑っているロイーズの姿もあった。
「そうだそうだ! ワインだワイン!」
「いいねそりゃ!! でも飲み終わったらテキーラも行くか?」
「飲もうぜ飲もうぜ!!」
 わお。酒飲んでいたら二人意気投合するんだな。これは変わった一面を見た気がする。
「ヘーイ!!」
 ヴィクトリア! まさかお前までお酒飲んでいるのか!?
「な、撫子! ヴィクトリアが!!」
「どうしたの?」
「酔っている!」
 そういうと血相を変えてヴィクトリアの方を向いた。
「オレンジジュース、イチリットルお願いネー!!」
「あ、アレは通常運転だね。」
 そういってすぐに表情を戻して自分の食事に戻った。おいおい戻って大丈夫なのかい!? まあ…とめなくてもいいか、ヴィクトリアだし。
「その…撫子はさ…。」
「ん?」
「……今日、あの場でキスしてよかったのかな…。」
「私は良かったと思うよ…あれが無かったらたぶん良い気分じゃなかったと思うし、何よりも…嬉しかった。」
 その一言で俺は撫子に抱きついた。撫子はそれに答えるかのように抱きしめてきた。こうやって暖かい人がそばにいるだけで嬉しい。ずっと…撫子はこのやさしい人であって欲しい。だから可愛いし…守りたい。付き合いたかったんだ。
「なーでしこ!」
 そういって後ろからヴィクトリアも抱きしめてきた。ヴィクトリアも撫子にとっては無くてはならない存在。ヴィクトリア、ありがとうな。

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04.28
富坂「……。」
近沢「…整列しよう。」
富坂「俺たちさ…恵まれているよな。」
山下「…恵まれている?」
富坂「だってさ……最後にこんだけ強い相手と戦えたんだぜ…。」
梅岡「そりゃそうだけどよ…。」
富坂「でもまあ…悔しいものは……くやしいよな…。」

 私たちが喜んだ後、整列をしようとした。しかし目の前には涙を流している人たちがたくさんいた。悔しい顔をしている人もいればすがすがしい顔で泣いている人もいる。……ここまで勝ち上がってくるまでどれだけの人の涙を見てきたのだろうか…。私たちは埼玉県球児全員の意思をついで甲子園で戦わなければならないのか…。それが甲子園に行くことの重さになる。今の気持ちはとても嬉しい。優勝できて仲間たちと甲子園にいけることがものすごく嬉しい。でも…なにか悲しい部分もある。特にこの決勝では痛いほど相手の気持ちが伝わってくる…。
審判「礼!」
皆「あらっしたぁ!!」
 挨拶を終えると相手選手たちが握手を求めてくる。
富坂「さすがだぜ。府中、甲子園で暴れてこいよ。そして…プロにいけよ。」
府中「ありがとう。精一杯やってくるよ。」
早田「……がんばれよ…ううっ…。」
海鳳「わかりました…。必ず県代表として恥ずかしくない試合をしてきます。」
 そして私の目の前にはあの先発投手、萩がいた。
萩「すごいなお前。良い物持っているな……体は大事にしろよ。そのピッチングを甲子園で俺たちに見せてくれ。」
亜弓「……はいっ。」
近沢「羽葉って言ったよな。……プロに入れよ。」
由紀「プロ……はい!」
 挨拶が終わると私たちは後ろにもう一度整列して校歌を歌い始めた。私はここで初めて甲子園に行くという実感があふれ出した。そして…涙が流れ始めた。

松江学園 校歌

 時代を繋ぐ千本松原
 胸に宿望の炎ともし
 友と手を取りあい 助け合い
 無限の空に いざ 羽ばたかん
 希望と誇り 松江学園

皆「っしたああ!!」
亜弓「…っしたぁ!」
 私は涙を流しながら校歌を歌った。そして歌い終わると一斉に走り出してスタンドまで移動する。
「よくやった!!!」
「甲子園だ! 甲子園だ!!」
 スタンドでは大きな声援が聞こえてくる。皆の前で最高のピッチングが出来て嬉しい…本当に嬉しい!
由紀「亜弓……ここまで来たんだね。」
亜弓「うん…。あとは優勝だけだね…。」
由紀「言うねー。前の亜弓だったそんなこと言わなかったのに。」
亜弓「そうだね…。でも今は…!」
由紀「そうだね!!」
 私は由紀の手を強く握ってお辞儀した。
皆「ありがとうございました!!」
亜弓・由紀「ありがとうございました!!!」

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04.24
「ウワー! スゴイネー!」
「撫子、これは俺も食べていいのか? 豪華すぎないか?」
「いいのよ。ここに来たもの。食べなきゃ!」
「ま、マナーとか俺あまりわからないぞ…。」
 なんだこの綺麗に並べられたテーブルに豪華な料理の数々は…。しかも目の前で調理してもらってやっているのもあるじゃねえか。うわ…なにこれ怖い。
「ウワーイ!!」
「ヴィクトリア、走るなよ。」
 こんな中走るのかあいつは。でもアレがあるから天才と呼ばれているのだろう。…たぶん。
「ギャ!」
 あ、こけたし。でも周りの人たちは陽気に笑っている。ヴィクトリアはそういうやつだって皆が知っているのか。
「撫子。アイツをとめられないのか?」
 俺が振り向くと撫子はすでに食べ物をよそっていた。俺の話よりおなかが減っていることが優先かよ。しゃあないな。おれもたくさんとって食べまくってやる!!
「拓斗、とるのは良いけど食べきれるの?」
「問題ないよ。俺はこういうときに限って大食いになれるぜ!」
「なにその特殊能力的な考え方、厨二病っぽいよ。」
「うっせ!」
 俺はそのまま皿をもって自分の食べる場所へと移動していった。左には撫子、そのまた左にはヴィクトリア。右側にはニコラスさんもいる。
「あ、どうもニコラスさん。」
「おお、君か。こういうところで食べるのは始めてか? すごいからだがガチガチしてるぞ。」
「そうです。慣れないですよこういうところ。」
「まあ俺がいくつか教えてあげるから。」
 そういってニコラスさんがフォークとナイフを持って言った。しかしニコラスさんの手は震えていて皿がカチカチ音を立てている。もしかしてニコラスさんも慣れていないのだろうか。

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04.24
 ツーアウト満塁、バッターは三番の富坂。キャプテンでここ一番の打席にはめっぽう強い。でも私だって負けてられない。ここまで奪三振を重ねてきたもの。いままでの積み重ねたものをここで全部ぶつける!!
由紀「(大丈夫、亜弓の実力なら確実に抑えられる。ここだよ、ここに投げて!)」
富坂「(キャプテンとして…俺がしっかりと結果を残していかなければならない。だからこそ俺の目標は甲子園…勝たなきゃいけないんだ!)」
 最初のサインはストレート。ど真ん中に構えている。思いっきり投げれば…あの場所に!!
 シュゴオオオ ブン バシーン!
 ストライクワン!
由紀「ナイスピッチー! 亜弓!」
富坂「落ち着け、俺なら大丈夫だ。」
近沢「キャプテン!! 打てるよ打てる!」
 一球一球が息が詰まる。ものすごいプレッシャーとの戦いでもあるし、自分の体力との勝負でもある。そしてなによりも自分自身の実力が左右される…! 次のサインもストレート。あのミットめがけてなげれば!!
 シュバァアアア ブン! バシューン!!
 ストライクツー!!
由紀「ナイスボール!!」
府中「あと一球だ!」
卜部「落ち着いて行けよ!」
「あと一球! あと一球!!」
 スタンドからものすごく大きな声で一球コールが出ている。私がこの場面でマウンドに立っていることでさえ驚いているのにツーストライクと追い込んだ。私の努力…皆の協力があったからこそここまでこれた…。だから私は…!
萩「キャプテン!!」
早田「先輩なら打てます!! 頼みます!!」
富坂「(俺だってキャプテンだ…。ここまでいろんな辛い思いを誰よりもしてきたんだ。キャプテンという大きな仕事も任されて…。ここで決めてやる!!)」
由紀「(ストレート。セットじゃなくていいよ。ワインドアップで!)」
 由紀の指示はワインドアップでのストレート。私は真正面を向いて腕を高く上げた。
富坂「(決めにくるかい!!)」
 足を上げて自分のグローブを由紀のミットにめがけるように…。大きく踏み込んで腕をしならせて…。
投げる!!!
 シュゴオオオオオオ
 ブシィ!! バシーン!!!


審判「ストライクバッターアウト!! ゲームセット!!!」

 審判が腕を思いっきり振って三振のポーズをとる。やった……やった!
由紀「やったああああああ!!!」
 由紀が全力で私の元へと走っていく。驚きのあまりに声が出ない。会場は今日一番の大きな声援になっていた。マウンド上に仲間たちが寄ってくる…。私、勝ったんだ!!
亜弓「ったあぁあああ!!!!!」
 私は大きく右手を上に突き上げて人差し指を立てた。それは頂点にたったというポーズだった。由紀は私の胸に飛びついてきた。
ドクターK少女
由紀「亜弓! ナイスピッチング! やった、やったよ!!」
 由紀は少し涙声になりながら抱きしめてきた。私も目にうっすら涙を浮かべながら天にむけて手をあげていた。
府中「やったんだな! 俺たち! 甲子園だぜ甲子園!」
卜部「よかった…本当によかった!」
芦毛「甲子園で投げられるんだ! やったぜ!」
 何よりも一番喜んでいるのは三年生の先輩たちだった。最後の夏、甲子園の舞台に立てるのだから相当うれしいに違いない。スタンドではたくさんの人たちが大喜びしていた。抱き合っている人たちもいたり、泣いている人たちまでいた。
日下部「よくやった、本当によくやった。」
深沢「甲子園に行けるのですね。」
 私たちは勝ったんだ。地区大会を勝ち抜いて…甲子園に行けるんだ!!



今回はinfinoteさんに描いていただきました!ありがとうございます!
infinoteさんのホームページ
infinoteさんのpixivページ
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04.24
「そういえば撫子、明日授賞式なんだろ?」
「そうだよ。今日はこの後いろんな人たちと夕食を食べるから。拓斗も一緒に来てね。」
「もちろんだよ。」
 そういう話をしていると展覧会の時間が終わった。俺と撫子は手を握って歩き始めた。そしてそばにヴィクトリアが近づいてきた。
「お疲れ様ネー!」
「ありがとう。」
 撫子とヴィクトリアは二人笑って歩いていた。あれだけ二人とも評価が違っていてもこれだけ仲良くいられるのか。それは本当に素晴らしいことだと思う。歩いているうちに撫子のまわりに多くの芸術家たちが集まってきた。俺にはあまりわからない海外の言葉を使っていたが、撫子は楽しそうに会話していた。撫子と会話する人たちもすぐに笑顔へと変わっていった。ヴィクトリアの会話にも楽しんでいるみたいだ。二人はやっぱり違うのかな…。
「ねえ、そこにいるのは彼氏の白羽根くんですかい?」
「はい、そうですが。」
「なるほどね、君が…。君なら撫子を助けられると思うよ。がんばってね。」
「あ、ありがとうごさいます。」
 いきなり外国人が日本語でしゃべってきた。日本語で話せる人がいるのか…。こう考えると本当に英語勉強しなきゃなと思ってしまう。なんというかものすごくうれしいのと意欲が湧いてくる。がんばらないと。
「よし、今日は食べ放題だからいっぱい食べるぞ。」
「私も少し多めに食べようかな。」
「それがいいと思うよ。今日はいっぱい食べて気分よくなろう。明日に向けての気分調整とも言えるけど。」
「そうだね、それならいいかな?」
「なら私も一緒に行くネー!」
 そういってヴィクトリアが俺たちの間に入ってきた。こいつは本当に子供みたいだな。いや、子供か。

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04.24
山下「よっしゃ来い!」
 ノーアウト満塁、一番バッターの山下がバッターボックスに入った。由紀はすぐにサインを出してミットを出した。ストレートをど真ん中、思いっきり。足を上げて腕をしならせて…。
 シュバアアアアア バシューーン!! ストライクワン!!
山下「(なんだこの速さは!?)」
 よし、ど真ん中にストレートが決まった。これなら抑えることはできそうだ。いや、絶対に抑えられる!
近沢「くそっ、なんだあの投げ方は。出所がわからないというのはこういうことだったのかよ。」
富坂「いや、俺が打ってお前につなげる。一発は任せた。俺は確実に一つを狙いにいく。」
 シュバァアアアア ブンバシューーーン!
 ストライクツー!!
府中「おけ!! 振り遅れてるよ!!」
瞳「亜弓すごいすごい!!」
真希「抑えられるよ! 亜弓の投球が通用してるよ!!」
 私の球で振り遅れている。この強豪相手にも十分戦えている。私は…自分のやり遂げること…勝つことを!!
 シュゴオオオオ ブンズバーーーン!!
 ストライクスリーバッターアウト!
亜弓「っしゃあ!」
由紀「ナイスピッチ!! ワンアウト!」
木下「…くそっ!!」
 私はガッツポーズをした。三振をとってワンアウトになった。私の投球は十分通用している。すごくうれしいし、もっと投げたい。次のバッターも三振に仕留めたい!
山下「……すまなかった。」
梅岡「それだけ強敵だということだ…。気合入れて俺がやってやる! おらぁあああ!!」
 次は二番の梅岡がバッターボックスに入る。由紀はすぐにサインを出している。
由紀「(ここだよ。ここに投げれば抑えられるよ。)」
 私はうなづいてミットめがけて投げ込む。
 シュゴオオオオオ ブンズバーーン!
 ストライクワン!
梅岡「(想像より速い、こいつはマジでやばいかもしれねえ。)」
 私の一球一球で会場が声援でいっぱいになる。相手も必至の応援をしている。相手も押せ押せムード、私たちもイケイケムード。ぶつかり合っている中、私は投げている!
 シュゴオオオオ バシーーーン!!
 ストライクツー!!!
由紀「(これが入ったのはデカい。それにしても本当にすごい。奪三振をたくさんとっている。球の速さ、キレ、ノビ、変化球がすごければ奪三振を稼げるというけど、亜弓はノビの良さとこの見えにくい投げ方が大きな武器になっている。まさにドクターKみたい…。)」
梅岡「これが入るのかよ…。」
阿湖音「(亜弓すごい、あれが神によって与えられた力…でも今は味方の応援しないと…。)」
 ストレートの勢いとコントロールがかなり良く投げられている。由紀がキャッチャーだからだろうか、今までの中で一番良い球を投げられている気がする。やっぱり由紀はすごい…。私の力を最大限に発揮させる術を知っている!!
 シュゴオオオオ ブン!バシューン!!
 ストライクバッターアウト!!
亜弓「ったぁ!」
由紀「ツーアウト! ツーアウトだよ!」
梅岡「……くそっくそっ!!」
 由紀が指で指示を出してアウトカウントを教える。いよいよツーアウト。あと一人で…試合が終わる!!
梅岡「キャプテン…。」
富坂「浮かない顔するな。まだ終わったわけじゃない。俺が…打ってくる。」
近沢「キャプテン! 打てなかったら招致しないぞ!」
 やってきた、一番気を付けなければいけないバッター、キャプテンの富坂。
ウグイス嬢「三番、ファースト、富坂くん。」
富坂「ふぅ………よし!!」

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04.23
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。




 19年前、都立として春の甲子園に出てから今日夏の舞台へと帰って来た。東上高校が夏初出場を決めた。三年のエース、町田はコントロールを武器にする投球が持ち味な投手だ。野手としては特に注目すべき一番の西門 透(にしかど とおる)内野手「1年」だ。高校に入るまでは注目されなかったが、練習試合で出塁率9割を誇る結果に注目が集まった。そしてその力は地区大会の舞台でも遺憾なく発揮することができた。投手と一番がカギを握るこのチーム。この二人が甲子園で粘り強い野球ができるかどうかが勝敗を左右するだろう。
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04.23
 撫子はそのあとも絵の前にいて周りの人たちの様子をずっと見ていた。絵を見てくれた人たちはみんな感動していたり、泣いたりする人たちまでいた。撫子はその人たちをみて嬉しそうに笑っていた。俺も撫子の様子と絵を見られているという気持ちを考えると自然と涙がでてきた。男のくせに何泣いているんだということになるかもしれないが、こんなのを見ていると感動するしかないじゃねえか。
「ねえ拓斗、私の絵がこんなに見られたの始めてだよ。」
「え? そんなもんなのか? すでにいろんな人たちに絵を見られているのかなって思っていたけど。」
「たしかにいままでのを見るとたくさんの人に見られているだろうと思うかもしれないけど、私にとってみればいつもより多くの人に見てもらって感動させることができた。そしてなによりも自分の気持ちが伝えられたことが嬉しい。」
「そうか…自分の伝えたい気持ちがちゃんと伝わってよかったな。」
「やっぱり拓斗のおかげだよ…ありがとう。」
 そういって撫子は背伸びをして俺の口にキスをしようとした。俺もそれを拒まず顔を近づけた。
 チュッ
「大好きだよ、拓斗。」
「俺もだよ、撫子。」
 なんという場所でイチャイチャしているんだろうか。でも話している内容は日本語だし、さっきのマスコミたちも日本語がわかる人たちだけでよかった。英語とかだったら今頃どうしていただろうか。通訳のおじいさんを連れて一緒に話していたのだろうか。でもさすがにそんな迷惑はかけられないしな。
「撫子。…やっぱり最大のライバルとしてはヴィクトリアなのか?」
「そうだね…。あの子の絵もすごいからね。ほら、あれを見てみて。」
 俺はヴィクトリアの方を見た。やはりすごかった。ヴィクトリアのところに人が集まっていて泣いている人もいた。やはり教えられてきただけあって素晴らしいものを持っている。天才と天才はつながっているのだな。
「たしかに最優秀賞とらなかったら引退するって言ってたけど…どっちにしても最高の作品だよ。二人ともすごいけど…俺は撫子の方がすごいなと思うよ。」
「ありがとう。あとは周りの人たちの意見に任せるよ。私もヴィクトリアなら少し許せそうな気がする。それでもできれば最優秀賞とりたいな。」
「撫子は強気にいけばいいよ。」
「わかった。」
 そういって俺は撫子の手を強く握った。撫子も強くにぎっていた。お互いの気持ちが大きく伝わってきた。

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04.23
亜弓「ふぅ…。」
優衣「亜弓ちゃんだ!」
久美「ガンバレー!!」
香澄「ファイト!」
綾「みんな、もっと声出して応援するよ!!」
 スタンドから大きな声が送られてくる。ノーアウト満塁、この場面で私の出番が来るなんて…。怖くなってきた。さっきまでの自身がどこかに行ってしまいそう。今すぐ逃げ出したいぐらい、この場が怖い。私のせいで負けたらと考えるとさらに怖くなる。
海鳳「すまない。」
友亀「お前、指は大丈夫か?」
 友亀の言葉に海鳳は何のことだかわからずに手をみた。しかしそれで初めてあることに気付いた。
卜部「うわ、血出てるじゃねえか。」
栗山「まさか爪割れている状態で投げていたってことなのか?」
海鳳「コントロールが入らなくなった理由ってこれだったのかよ。…すまない。」
亜弓「仕方ないよ…。私がなんとか抑えるから。」
友亀「なんとか抑えるじゃなくて確実にだな。ノーアウト満塁、外野に飛べば同点になる可能性はかなり高い。」
亜弓「そうだよね…。うん。」
府中「(日高…気持ちが負けているぞ。どうしたんだいつもの気持ちは?)」
 怖い、本当に怖い。私のせいで負けるのが怖い。次からは一番バッターが入る。いままでの実績とかを考えると自信持ってよいのだろうけど、どうもそれが怖い。抑えられる気がしない。相手の勢いも増すばかりな展開になっている。…どうすれば…。
ウグイス嬢「守備の変更をお知らせいたします。」
亜弓「えっ?」
 守備の交代? 何を変えるのだろうか。
ウグイス嬢「キャッチャーの友亀くんがレフト、レフトの羽葉由紀がキャッチャーへと変わります。」
「羽葉!? ばばああああああああああ!!!!」
 会場が由紀のコールでまた大きな声援に変わる。キャッチャーが由紀…。由紀が…。すでに由紀はキャッチャー防具とミットをつけてマウンドにやってきた。
友亀「頼むぞ。」
由紀「任せて。」
 友亀と由紀はグローブでハイタッチをした。友亀はベンチに戻るとグローブを取り換えて防具を外していた。
亜弓「由紀…。」
由紀「公園で私と初めて投げたときのこと覚えている?」
亜弓「初めて…。」
 全力投球ができたときのこと。あの時…私は…。
亜弓「今どうしたいのか…私のやること…。」
由紀「そう、あなたのやりたいことは。」
亜弓「ここで投げ勝って優勝したい。甲子園に行きたい。」
由紀「私も同じ。だから…思いっきりいこう。亜弓ならできるよ。私、前に家に来てくれた時のこと忘れていないよ。私がそばにいるから。この言葉がどれだけ嬉しかったか…だからこそ私も亜弓の気持ちに答えたい。だから私は亜弓の力を最大限に使えるように言ってるの。……勝とう。」
亜弓「ありがとう……うん、勝とう!」
 私のやるべきことが見えてきた。確信して思える。由紀は私のことを守ってくれているんだ。まわりの人たちも私を守ってくれている。だから…それに応えなきゃいけない。それと…自分の意思でも!
由紀「グータッチ、しよう。」
亜弓「うん。」
 私は手を出して由紀のこぶしに自分のこぶしをぶつけた。そして由紀が座ると大きく構えた。小さい体が大きく見える。あそこに向かって投げれば大丈夫。
 シュバァアアアア バシューーーン!!!
山下「(いいね、こういうのを待っていたぜ!)」
 ピッチングを終えると由紀がマスクを外して声を出した。
由紀「ノーアウト満塁! 最終回! 声出して、しまっていくよ!!!!!」

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04.22
「何でお前の作品が評価されるんだよ!」
 ロイーズが俺たちのところに来て声を震わせながら叫んでいる。
「俺は絶対に認めないからな!」
 そう言い残して自分の場所へと帰っていった。それに続いて他何人かのマスコミたちが言う。
「そうだ。お前の作品なんか評価されてたまるか!」
「そうだ! お前の作品なんて最優秀賞とる資格なんて無いんだよ!」
 マスコミの一部はそのまま帰っていった。言うだけ言って帰るってか。負け犬の遠吠えじゃねえか。
「あんなの相手にするな。」
「俺たちは気持ちが変わったよ。すまなかった。」
 さっきまで文句を言っていたマスコミたちが急に態度を変えて接してきた。さっきの目とかを見てそうおもったのだろうけど、いくらなんでも話がうますぎる。絶対裏がありそうだしまた文句とか言ってきそう。そうなる前に俺がとめてやらないと…。
「拓斗。」
「どうした撫子。」
「いいの…大丈夫。私はこう思ってくれているだけで本当にうれしいから。それに私のそばには拓斗がいるもの。」
「て、照れるな…。ありがとよ。」
「いえいえ。」
 そういって撫子は笑いながら記者の人たちとお話ししていた。たしかに俺も撫子が楽しそうに会話しているところを見ると本当にうれしくなってくる。本当に幸せな相手に出会えたものだ、俺は。でも…あまりにも良すぎて怖くなってくる。いつか撫子が俺から離れていくのではないのだろうか…。いや、そんなことは絶対にありえない。撫子の気持ちは変わらない!

「失礼します。」
「おお、どうしたんだ?」
「実は頼みたいことがありまして…。今回の展覧会の六道撫子に関してなんですが…。」
「あの子の絵か。それがどうしたというのだ?」
「これです…。」
 ドサッ
「お金を渡して私にどうしろというのだ?」
「あの人の作品を最優秀賞から外してください。そうでないと世間の目が変わってしまいますから。」
「……はぁ、そうですか。お金は受け取りますが確実にそうするとは限りませんよ? それでもよろしいですか?」
「どうしてですか。これまで私と共に協力してきたじゃないですか。」
「それはあくまでも合法の中でだ。賄賂なんて一度も使っていない。」
「あなたがどういおうと私はお金を渡しておきます。あなたは必ず私の話を聞いてくれるはずだと思っています。信じています。」
「…さあな。」
「失礼します。」

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04.22
海鳳「畜生、ファーボールだしちまった。」
友亀「ドンマイドンマイ! ゲッツー狙っていこう!」
 友亀はすぐに気持ちを切り替えるように声を出した。それに続いて守備の仲間たちが声を出していった。
亜弓「これ…大丈夫かな。」
 本当に心配になってきた。あの海鳳が力のないボールを投げているなんて。絶対何かあるはず…。私も用意しないと…。
 バシン! バシン!
 ボールツー!
友亀「(なんでだ? こんなに球の勢いってなかったっけ?それにこのコントロールは何が原因なんだ?)」
 海鳳は自分で落ち着けと思うようにクローブでボンボンとたたいている。それだけプレッシャーのかかる場面なのだろうか。
海鳳「とにかく投げねえと。こんなところでくたばる俺じゃない!」
 シューーー バシン!
 バシン!
 ボールファ!
青野「っしゃあ!」
富阪「もうけもうけ!!!」
卜部「どうした、落ち着け落ち着け!」
府中「…何か違う? いや、気のせいか?」
 やっぱり何かおかしい。これは本当に私の出番がくるかもしれない。こうなったらもう私が出てやる気持ちでやらないと!
亜弓「沖田! 投げていい?」
沖田「ああ、思いっきりこい!」
 私はこの球を最後にベンチに戻るつもりで思いっきり投げた。
 シュバァアアアア バシューーーン!
沖田「こうぇええよ!!」
 よし、準備万端。あとはキャッチボールをしてベンチに戻るだけ。そして監督の指示を待つ!
 バシン バシン バシン!
 ボールスリー!
恵美「どうしたの海鳳! だらしないわよ!」
海鳳「すみません!!!(やばいやばい、次はストライク入れないと…!)」
 シュッ
友亀「(バカッ甘すぎるよ!)」
 ギィイイイイイン!! ガサッ
 ファールボール!
古木「がぁあああっ! タイミング早すぎた!」
友亀「力いれてこい力!」
萌「あぶないなあもう。」
美和「ハラハラさせるわね。」
 海鳳の気持ち的には問題はないはず。でも何かが違う…手?
日下部「日高!」
亜弓「は、はい!」
日下部「ファーボール出したら交代だ。………たのむぞ!」
亜弓「……はいっ!」
海鳳「(思いっきりだ。もうやけくそだ!)」
 シュッ!
海鳳「っ!?」
 シューーーー バシン!
友亀「ナイスボール!」
古木「きわどいがどうだ…。」
 ボールファ!
古木「よっしゃあ!!」
梅岡「満塁だ満塁!」
近沢「最高の場面だ! 打ってこい山下!」
ウグイス嬢「一番、ショート、山下君。」
「うわあああああああ!!!」
 会場のボルテージが一気にあがる。この中で私は投げないといけないのか…。
日下部「タイム! 日高!」
亜弓「はい。」
三由「亜弓、大丈夫。自信持って!」
亜弓「わかりました…行ってきます!!!」
ウグイス嬢「松江学園、選手の交代をお知らせいたします。」
由紀「…亜弓。」
ウグイス嬢「ピッチャー、変わりまして…。日高亜弓。」
「うわあああああああああ!!!!!!!」

line-s
04.21
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。





 大阪の代表が今決まった。関西大阪高校が2年連続21回目の出場を決めた。なんといっても注目すべきは安富 桃音(やすとみ ももね)内野手「3年」だろう。今回の地区大会だけで9本のホームランは伊達じゃない。甲子園でもその持ち前の爆発的なバッティングを見せてくれるだろうか。投手も負けておらず、エースの葛西 智弘(かさい ともひろ)投手「2年」のピッチングは来年のドラフトに期待のかかるものがある。さらには五番で安富と共に4本のホームランを量産し、ダイナミックなセカンド守備で注目をあつめた豊田 秋人(とよた あきひろ)内野手「1年」もいる。重量打線が甲子園で襲い掛かる。
line-s
04.21
 ヴィクトリアは拍手しながら俺たちの所にやって来た。撫子はヴィクトリアを見るとさらにニッコリと笑った。撫子の目には少し涙が見えていた。
「撫子を傷つけるなら私が許さないデス。それも白羽根クンは、撫子の彼氏さんなんだから白羽根クンが最優先なんデス!」
 ヴィクトリアに続いて何人かの美術家たちが俺たちに近づいてきた。そのなかにはニコラスさんもやって来た。
「彼女の芸術は後世へと残る素晴らしいものなのです。世間の目がどうだか知りませんが、我々美術家は尊敬します。それに恋愛は美術家たちのメンタルに影響します。彼女は本当に恵まれています。」
 多くの美術家たちが拍手をしていた。撫子の仲間たちはこんなにいるんだ。それを知っただけでも、ものすごく嬉しい。世間がどう言おうが撫子は撫子なんだ。
「私は…。」
 撫子が突如口を開いた。いったいなんだろうか。
「私は拓斗に一生ついていきます!」
「撫子…。」
 撫子の目は真剣な眼差しだった。俺から見ると藍のバラが強く見えるほどの意志があるように見えた。ありがとう、撫子。
「目…目が…。」
 一人の記者が手に持っていたメモとペンを落とし、体を震わせていた。何か恐いものを見た様子ではなく、信じられないことに立ち会っているかのようだった。
「目が…青色?」
 もう一人の男性が目のことに気づいた。また一人と気付き、ほとんどの人がわかってきた。
「青…いや、藍…。」
「バラが、バラが見える!」
「あの事は嘘ではなかったのか。」
 口々に言い、会場がざわつく。撫子の目のこと、藍色のバラが見えると言うことに気づいた。それと同時に噂が本当だったと言うことがわかった。強い意志が他の人たちにも伝わったのだろう。
「拓…斗。」
「伝わったみたいだな。」
 撫子は俺をみると涙を再び流し始めた。涙が溢れるように出てきて大泣きしそうになった。俺はすぐに抱き締めて声をかけた。
「もう大丈夫だぞ…、撫子。」
「拓斗…ありがとう…。」
「いや、今回は俺の力だけじゃないぞ。伝えることができた撫子がえらいんだ。」
「私の…気持ち…。伝えられたのかな…。」
 撫子の気持ちは十分に伝わった。これだけできれば本当に上出来だ。きっと良い結果が待っているはずだ。

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04.21
友亀「最終回! しまっていこう!!」
海鳳「しゃああ!!」
 九回の表、先頭バッターは下位打線の七番木村からだ。海鳳のいつもの力を出しておけば抑えられる相手なはず。
木村「しゃああ!!!」
 しかしこれは地区大会。負ければ三年生は引退、さらに甲子園がかかった試合となればさらに負けてられない気持ちが出てくる。それが一番怖い。なによりもこういう大会に限って最後の追い上げがものすごい。そのプレッシャーに打ち勝てるほどの度胸もここまでくると必要になってくる。
 シューー バシン! ストライクワン!
海鳳「っし。」
友亀「ナイスボール!」
 海鳳のコントロールは絶好調だ。決して速いストレートでもなく勢いもあるわけではないけどバッティングと同じぐらいの確実性を持つ球を投げられる。この球を続けていれば問題ない。
沖田「日高! どんどん投げていいぞ!」
亜弓「はいっ!」
 バシーン!
 バシン ボールワン
 バシン ボールツー!
海鳳「(くさいところ見てくるな。ならこの球なら!)」
 シュッ! ググググッ ブン! バシン!
 ストライクツー!
友亀「追い込んだぞ!」
木村「(くそっ…どうすれば打てるんだ?)」
府中「落ち着いていこう!」
卜部「まず一つとろうぜ!」
 私がキャッチボールを続けている間に追い込んでいた。これなら問題なさそうかな。
 シューー バシン! ボールスリー!
海鳳「あれ?」
友亀「ん? なんか球の勢いが?」
 シューーー バシン!
友亀「おっと!」
木村「よっしゃ! 出たぞ!!」
沖田「えっ!?」
 沖田の声と同時に私も驚いた。海鳳がファーボール? 何があったのだろうか。そんな簡単にファーボールになるはずがないのに…。
沖田「日高、準備するんだ! 座るぞ。思いっきりなげろよ。そうじゃないと自分自身の持ち味が出せないからな。」
亜弓「わかった!」
 私は少し覚悟を決めてピッチングを始めた。急いで肩をつくって準備をしなければ…!
 シュバァアアアア バシーン!!
沖田「うぉおお! こええ!」
佐奈「何今の音。」
真菜「昨日の疲れは無いみたいね。」
 よし、いつもどおりの球が投げられている。それなら万全の準備をするためにもっと投げないと!!

line-s
04.20
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。





 最後は145キロの直球で空振りを取った。小川山実業水橋高校が6年ぶり13回目の甲子園出場を決めた。エース永瀬「3年」は一回戦からフルで投げ抜いてきた。実質失点は5、自責点は2というすばらしい投球を見せてくれた。ストレートとカーブだけで抑えてきた彼には特出すべき点がある。それはしなりをきかせたピッチングができるということだ。彼のストレートはノビが良く簡単には打たれない。このストレートはもしかすると甲子園で多くの打者を切り落としていくかもしれない。
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04.20
「すみません、無光闇無さん。今回の作品はすごい出来ですね。」
「ありがとうございます。」
「でもなぜ彼氏を連れてきたのでしょうか?」
 相手の記者の人たちが少しずつ囲んできた。なんで撫子に対してはこんなに当たりが強いのだ?
「私がついてきて欲しいとお願いしたのです。」
「ではなんでいきなり付き合うことになったのですか? あまりにも速すぎませんか?」
「それは一目ぼれです。」
「あなたは世間の目など気にせずに付き合うことになったのですか?」
「それは…。」
 撫子がどんどん極悪な質問攻めで攻め立てる。お前ら本当に何なんだよ…何だよ!!
「ちょっと待ってください。なんで撫子のことを攻め立てるのですか?」
「そういうあなたは彼氏さんですよね。」
「ああ、俺は白羽根拓斗だ。」
「ほう、では白羽根さん。なんで撫子と付き合おうと思ったのですか?」
「それは俺も一目ぼれだからさ。まず俺が声をかけたのが始まりだ。」
「どういう人かも知らずに?」
「そんなもの関係ないだろ。俺は一人の女性としてみたんだ。俺の大事な彼女なんだ、お前らの都合で動いてるんじゃねえんだよ。」
「では撫子の何を知っているというのか?」
「なんでそんなことをお前らに説明しなきゃいけないのだ? そんなもの付き合ったものにしかわからないものがあるだろ。まさか全員付き合ったこと無いのか?」
「はっ! なら好きだということを証明させてみせろよ!」
 おれはその言葉に怒りを覚えた。こいつらに俺たちが愛しあっているという証拠を見せ付けてやりたい。そうでもないとこの批判する人たちは黙らせることができない!
「撫子!」
「えっ?」

 チュッ

 俺は撫子の顔をやさしく支えてすぐにキスをした。愛し合いながらの目をつぶったキス。撫子も俺の体の部分をつかんでがっしりと抱きしめてきた。
「……拓斗…。」
 俺はキスをやめると会場に集まってきたマスコミの方を向いた。マスコミは唖然とした顔で俺たちを見ている。
「愛し合うのは誰もいいじゃない!!」
 遠くから女性の声がきこえてきた。それはヴィクトリアの声だった。

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04.20
新天「すみません。」
府中「いや、良い仕事ができたと思っていいぞ。よし、最終回しまっていくぞ!」
 府中先輩の声にあわせて回りの仲間たちが大きな声で叫んだ。グラウンドに出てくる松江学園の選手たちを見る応援団たちは大きな声援を送っていた。
海鳳「よっしゃ!」
友亀「準備万端だな。」
 友亀と海鳳も走ってマウンドとキャッチャーの方へと走っていった。二人の調整は準備万端の様子を見せていた。この調子なら最終回もしっかりと抑えて…甲子園が見えてくるかもしれない。
日下部「日高。お前もキャッチボールしておけ。」
亜弓「わ、私!?」
 私は体をビクッとさせて監督の方を向いた。まさか私の当番まであるのだろうか。いや、そんなことはないはず。
沖田「俺がキャッチャーとして受けるから。投げておけばいつでも準備万端だからな。」
亜弓「わかりました…。」
米倉「元気だせって! 日高なら問題ないよ!」
 私は周りの一押しもあってブルペンへと走っていった。でも海鳳が抑えてくれたら私の出番なんてないはず。
瞳「あ、亜弓。」
真希「本当ね。」
千恵美「なにか声かけたらどうかな?」
恵美「それこそプレッシャーよ。」
美琴「がんばれー!」
恵美「言ってるそばから!?」
 私は声のする方を向くとマネージャーの人たちがいた。瞳も真希も手を振っていた。私はそれに答えるようにすこし微笑んでキャッチボールを始めた。
 バシーーン! バシーン!

 敵ベンチ
富坂「最終回…。みんなあきらめてないだろうな。俺たちはここまでいくつもの試練を乗り越えてきたんだ。ここを勝ってもっと広い世界、甲子園で戦おう!」
近沢「当たり前だろ、三年間のすべてをぶつけてやる。」
早田「俺たちは二年生ですが最後までやりとげてみせます!」
萩「俺のところまで回してください…。そうじゃないと俺!」
木村「まかせろ。俺が先頭出てやるからさ!」
富坂「よし、声出していくぞ! しゃああ!!」
皆「しゃああああ!!」

line-s
04.18
「撫子、怖くないか?」
「私は大丈夫だよ。」
 撫子は俺の手をギュッと握り閉めた。撫子の目にはバラが映っている。真剣な様子の裏には嬉しさと怖さがたくさん詰まっているのだろう。でも怖くない。俺がいるからもう安心して良いんだぞ。
「展覧会を開始いたします。」
 アナウンスの声で会場から大きな拍手が聞こえてくる。撫子も拍手していた。遠くではヴィクトリアがピョンピョンと跳ね上がっていた。さて…どんな人たちがたくさん来るのだろうか。
「ざわざわ…。」
 スーツを着た人たちが大勢階段から降りてきた。さまざまなところを関心したような目で見ている。そして一人の男性が撫子の絵のところに着た。
「……これは…。」
 男性はゾクッときたように体を震わせて驚いていた。撫子の絵が他の人にも通じるということなのだろうか。
「すごい……。」
「パーフェクト…。」
 たくさんの人たちが撫子の絵の前で止まっている。中には目から涙が出てくる人たちまでいる。世間の人たちがアレだけ文句などを言っていたのがここで一転しているかのようだ。……本当に撫子はすごい。
「嬉しいね…。」
「ああ…。本当に良かったな。」
 俺は気になって横を向いた。するともう一つ大きく集まっているところがあった。あれはおそらくヴィクトリアのところだろう。あの作品もすばらしいからな。俺がみても撫子がみてもすごかったからな。これは…本当に最優秀賞取れるのだろうか…。

line-s
04.18
新天「(二人ともツーアウト…。俺も出たいところだけどかなりむずいな…。)」
 新天は構えるとバットを少し横に振った。何か考えているのだろうか。
海鳳「友亀、たのむ!」
友亀「わかった。」
 海鳳と友亀がキャッチボールをしている。二人は真剣な様子で次の回に向けてのウォーミングアップをしていた。九回、優勝が決まるかどうかのイニングになってくる。
 ギィン! ファールボール!
府中「おっけー! 当たるよ当たるよ!」
 あれ? なんだろう。いつものスイングのやり方じゃない。カットばっかりしている感じだ。まさか海鳳の肩を作るためにこうやって投げているのだろうか。
 ギィン ファールボール
 ギィン! ガシャン ファールボール!
萩「(粘るなこいつ。)」
 相手投手も嫌な顔をしている。その横で海鳳がビシビシとボールを投げている。
早田「(ならこの球で…。)」
 ピッチャーがサインにうなづくと大きく足をあげた。
 ググググッ ギィン!
 ファールボール!!
卜部「ナイスカット!!」
 ここもカットしてきた。しかも厳しい変化球をしっかりとカットしてきた。これは大きいかもしれない。
 ギィン! ギィン!!
 これで六球連続。そして新天が海鳳の方を向いてピッチングの様子を見ていた。
 バシン!!
海鳳「しゃあ!」
 その様子に安心したのか、今度はバットを揺らさずにしっかりと構えていた。次は打つつもりだろうか。
萩「(またカットしてくるんだろ!)」
 シューーー
 ギィイイイイン!!
近沢「ちっ、伸びやがる!」
早田「センター!」
 センターに力強い打球が飛んでいく。しかし弾道が低いからホームランは難しそう。どうだろうか…。
 バシン! アウト!
新天「ダメだったか。」
 これでスリーアウトチェンジ、八回の攻撃が終わってしまった。

line-s
04.17
「ヴィクトリア、今日はあまり話さないようにしよう。周りからあなたも敵扱いされてしまうから。」
「大丈夫ネー! 私はいつでも一緒だネー!」
 ヴィクトリアはニッコリと笑っていつもの表情を見せてくれた。本当に撫子のことが好きなんだな。
「さてと、ついたか。」
 俺はヴィクトリアを送り迎えするときに使う車から降りると、撫子に向かってカメラを持った人たちがやってきた。
「いよいよ今日ですね! 大口たたいていましたが、それほどすごい作品を見せてくれるということですよね。」
 でたマスコミの批判。それに撫子が完全に悪者扱いされているところがまた気に食わない。なんとか言ってやりたいものだ。
「私は大口を叩いたつもりはありません。」
「ほう、隣に彼氏を連れてきているということはさらに自信があるということですね。」
 彼氏がいることと絵は関連性があるっていうのかよ。それとも撫子はアイドルかよ。撫子はアイドルでもないしお前らのものじゃねえ。
「撫子は俺のものだ。勝手にお前らが決めつけるんじゃねえ。」
 俺は撫子の手を握ってマスコミの間を通りぬけて歩いていった。ヴィクトリアにいたっては完全に無視して会場へと向かった。
「なんだよあいつらは…。ったく。」
「ごめんね、拓斗。」
「撫子が誤ることなんて何一つないよ。」
 撫子は何も悪くない。絶対にそうだ。あれだけ言われているのがずっと続いていけば撫子の心も壊れていくわけだ。人間はおもちゃじゃないんだぞ!
「撫子サン、私はいつでも味方デス。」
「ありがとう、ヴィクトリア。」
 ヴィクトリアは優しい声で撫子を呼んだ。俺だけでなくヴィクトリアもいることがどれだけうれしいことか。そして力強いことか。支えられてきている人もいると考えると、感謝すべきところがたくさん出てくる。
「会場まであとどのくらいだ?」
「あと10分だよ。」
 あと十分で撫子の絵が世界中の人たちに見られる。これほど素晴らしい作品が全員に見られるということは本当に名誉あることだ。俺にとってみれば歴史に名を残す人物になるのではないかと思っている。それほどの実力は持っているんだ。
「ヴィクトリア、そろそろ時間だからそれぞれの場所に行きましょう。」
「そうネー。……拓斗さん、お願いしマス。」
「任せておけ。」
 ヴィクトリアは手をたくさん振って俺たちのところから離れていった。さて、あともう少しで…撫子の絵が…!

line-s
04.17
海鳳「よっしゃ! こっちもクリーンナップからだ! こっちは点取っていこうぜ!」
池之宮「じゃあまず海鳳が塁に出ることだな。」
新天「二人とも落ち着いていこうね。俺も落ち着いていくから。」
 三人はバットを持って素振りをしていた。あの投手は尻上がりに調子をあげてきているのだろうか…。
 バシーーン!
 ミットの音がきれいに聞こえてくる。球の勢いが良くなってきている証拠なのだろうか。館川も相手ピッチャーの様子を見て何か感じたかのような表情をみせてきた。
館川「海鳳、落ち着いて行けよ。単打だけで良い気がする。」
府中「たしかに雰囲気が違うよな。疲れはあるだろうが意地はある。そこを狙うべきかどうかは…海鳳の打ち方次第だ。」
 海鳳はうなづいてバットの感触を確かめながらバッターボックスへと入っていった。そして左打席に入るとバットを寝かせて構えていた。相当力を抜いてバッターボックスに入っているのだろうか。
早田「(そう簡単に打たせてたまるかよ。もう八回なんだ。俺たちに残された少ないチャンスを無駄にしないようにここは三人で抑えるぞ。)」
萩「(おう。)」
 相手ピッチャーはゆっくりと足を上げて投げた。
 グググッ
海鳳「(パームボール。ためてためて…。)」
 ギィイイン!
萩「うわっと!」
 バシン! アウト!!
海鳳「おう、まじか!」
 打球はピッチャー強襲だったがファインプレーで捕られてしまった。これでワンアウト、次は池之宮の打順になった。
池之宮「ふぅ…狙うなら…。」
 池之宮は何かぶつぶつといいながらバッターボックスへと入っていった。相手バッテリーは警戒心を強めた。
早田「(こいつだけは別だ。クサイところ狙っていくぞ。)」
 シュゴオオオ バシン! ボールワン!
 ググググッ バシン
 ボールツー!!
館川「見えてる見えてる!」
由紀「でもあの球不思議…。厳しいところばかり投げていて…。もしかして勝負を避けるつもりじゃないかな…。」
 シューーー
 ギィイイイイン!
萩「うわっ!」
 ガサッ ファールボール!
 あああああああ。
 会場から大きなため息が聞こえてくる。打球は完璧なほどホームランな打球。しかしファールゾーンへと飛んでいった。
卜部「惜しいよ惜しい!」
 シューーーギィン!
池之宮「やべっ。」
 また大きなため息が聞こえてきた。今度は完全なるボテボテサードゴロ。これはもう何も言えないほどひどかった…。
 バシン アウトー!
新天「やっちゃった。」
 新天は二人の打撃状況を見て少しがっかりとした様子でバッターボックスへと向かった。そりゃ前の二人が期待されておきながら凡退したのは精神的にキツいものになる。
由紀「亜弓、点、取れそうもないね。」
亜弓「そうだね…。」
日下部「海鳳! ブルペンで投げておけ! 次だぞ!」
海鳳「うっす!」

line-s
04.16
「もうそろそろ時間か…。」
 俺は朝起きるとカーテンを開けて朝の陽ざしを浴びた。そして窓を開けると外の新鮮な空気が部屋の中に入ってきた。大きく深呼吸すると頭の中がすっきりした気分になった。よし、いよいよ今日だ。撫子を守るための一番大切な日だ。
「拓斗。いよいよ今日だね。」
「そうだな。」
 俺と撫子は外の景色を眺めると顔つきを変えた。いよいよ俺たちが向かうところは戦うべき場所になっているのだ。ヴィクトリアだって俺たちのことを敵に思っているに違いない。だからこそ戦いがいがある大きなイベントなんだ。
「私ならきっと…。」
 撫子は自分の胸に言い聞かせるように何度も何度も言った。拓斗はそれをずっと見ていた。手をつなぐと撫子はギュッと手を握りしめた。撫子の意思は固い。俺はそれを助けてやらなければならない。撫子の未来は俺にもかかっているのだ。撫子は俺が必ず…。
「行こう。」
「わかった。」
 俺は撫子の声に反応して出かける準備を始めた。忘れ物なし、必要なものはすべて持った。よし、いざ展覧会へ!
「おはよう。」
「おはようネー!」
 外に出るとヴィクトリアが待っていた。いたって表情は柔らかくいつもの様子を見せてくれた。やっぱりヴィクトリアは撫子のことが本当に好きなのだろうな。
「ねえねえ、ヴィクトリア。」
「なんでスカ撫子さん。」
「いよいよ今日だけど緊張とかしている?」
「そんなことないネー!」
 こいつには怖いものがないのだろうか。いつでも平常心でいられることがどれだけ大変なことか。それができればもう何も怖いものなんてなくなってしまう。
「拓斗、今の私にはヴィクトリアのような勇気はないけど…拓斗がいれば…。」
 撫子は俺の耳元でささやいた。俺は撫子の頭をもう一度撫でて耳に口を近づけた。
「大丈夫だよ、俺はいつでもそばにいてやるからな。」
「ありがとう…。」
 撫子は俺のほうに体を寄せてゆったりしていた。向こうにつくまでの大きなリラックス法だ。

line-s
04.16
萩「俺の出番か…はたして本当に打てるのだろうか。」
早田「萩! お前ならできる! 最後まであきらめずに戦ってこい!」
近沢「お前に任せたぞ! 打てよ打てよ!」
「萩! 萩!」
萩「みんな…っしゃあ!!」
 相手のエースである六番の萩がバッターボックスに入った。館川はこの勢いにのまれないように大きく深呼吸している。それに負けじと館川はピッチャーに目線を向けると、
館川「っしゃあ!!」
 大きく叫んでプレートをふんで準備をした。一球一球が勝負球になる重要な一打席勝負になりそうだ。
 シューーー バシン!
 ストライクワン!
友亀「ナイスボール! よい球が来てるぞ!」
 友亀は館川に調子づかせようと声を出している。それを後押しするように守備の人たちも大きな声で応援している。館川はテンポよくセットポジションに入り投げる。
 シューーーグンッ バシン!
 ボールワン!
 スライダーが外れた。でもこれは外すことを前提に投げていたのだろうか。そしてまた受けとるとすぐに投げた。
 グググググッ
萩「(これはパームボール!)」
 ブン バシン! ストライクツー!
 よし、これで追い込んだ。ここを抑えればかなり勝ちに近づくはず。頑張って、館川!
館川「(ここは無駄にさせたくない。だからこそ思いっきり!)」
 シューーー
早田「萩!」
萩「らぁあああ!」
 ギィイイン! バシン!
池之宮「っしゃあ!」
館川「おっしゃ!」
 打球はファーストライナー。やった、これでスリーアウトチェンジになった。八回の守備が終わった。一番怖いと思っていた打順がここで終わった。館川、ナイスピッチング!
府中「ナイスピッチング!」
芦毛「やるじゃねえか!」
館川「ありがとうございます!」
 館川はまわりの人たちにハイタッチで迎えてもらえた。館川は嬉しそうに笑いながらベンチへと帰って来た。
亜弓「館川、ナイスピッチング。」
館川「おう、意地をみせてやったぜ。」
 私は手のひらを出してハイタッチした。館川は気持ちよさそうに投げていたなあ。

line-s
04.15
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。



 城洋大学付属高校が甲子園へ5年連続15回目の出場を決めた。城洋大学付属高校は二年生と一年生の世代が大物そろいと呼ばれている、一二年生主体のチームになっている。来年のドラフト候補で長距離バッターとして知られている宋 偉殷(そう うぇいん)内野手「2年」を筆頭に一年生女子ながら大きな活躍を見せてくれた袴田 瑞華(はかまだ みずか)捕手、一年生エースで世代でもトップクラスの実力を誇る羽計 京介(はばかり きょうすけ)投手。一年生長距離砲の石倉 慎一郎(いしくら しんいちろう)外野手や、一年の一番バッターとして活躍する村瀬 智樹(むらせ ともゆき)内野手までいる。大物ぞろいのチームは今後、どんな試合を見せてくれるのだろうか。もしかするとドラフトにかかる人が大勢いるのかもしれない…。
line-s
04.15
「ふぅー。疲れた。」
 撫子は布団に飛び乗ってゴロゴロと動いていた。俺もかなり疲れた。案の定俺の財布の中身は飛んでいった。しかも足りないとわかっていたので一度ホテルに戻ってからお金をとりにいったのだった。所持金をかなり使ってしまってお土産を買ったらもうなくなってしまいそうなぐらいだった。
「撫子、俺のお金はもう尽きそうだからあとはワリカンでたのむ。」
「わかったよ。でも今日のお金は後でしっかりと返すから。気にしないでね。」
「そうだったのか、ありがとう。」
 俺は撫子の頭を撫でて笑った。撫子もそれに答えるように笑っていた。あまりにもかわいかったので俺は抱きしめた。撫子も抱きしめ返してきて、温かい気持ちになった。心が癒される。
「ねえ拓斗、明日からいよいよ本番だね。」
「ああ。自信のほどはどうだ?」
「周りの人たちは確かにすごかったけど自信はあるよ。やっぱり最大のライバルはヴィクトリアかな。想像以上に成長してきているのを目の前で見てきたからね。私の家に泊まっていたときからすごそうだなって感じたよ。」
「やっぱりヴィクトリアか…。いままで教えてきたからな。そう考えると難しいことばかりだな。」
 俺は少し溜息をついてもう一度撫子の体を強く抱きしめた。こいつに勇気づけさせなければ。
「大丈夫、撫子ならできるよ。」
「ありがとう。ちょっと早めに寝ようと思っているんだけど、どうかな?」
「ああ、いいと思うよ。」
 俺は撫子を離すとテクテクと歩いてお風呂に入る準備に入った。俺は撫子の力になれるのだろうか。後ろを追いかけているだけな気がして、置いてかれてしまいそうだ。本当に俺は撫子のことが大好きだ。しかしいつか撫子は俺を突き放してしまうのではないのだろうか…。
「撫子。」
「何?」
「…ずっと離れないでいてな。」
「うん!」
 撫子は元気に答えてくれた。それがどれだけ嬉しいことか…。明日…か。

line-s
04.15
ウグイス嬢「五番、キャッチャー、早田くん。」
早田「ふぅ…。」
近沢「大丈夫だ、お前ならいけるぞ!!」
 相手にとってみれば最大のチャンス、五番六番と続いていく打線。館川は絶対に意識しているはず。でもいつものピッチングができればきっと抑えられるはず。館川は汗をぬぐってセットポジションに入る。
 シュゴオオ バシン!
 ストライクワン!
友亀「っし!」
 友亀がすぐにファースト方面へと投げた。大きくリードしていたランナーを刺そうとしていた。
 バシン! セーフ!
池之宮「ナイススロー! 惜しいよ!」
 すこしでもピッチャーの負担を減らしたいためにやっているのだろうか。ピッチャーの心理的には少し余裕ができたはず。
 シューーー バシン
 ボールワン!
早田「(球はかなりノビてくるな。)」
友亀「(次はこれだ!)」
館川「(そこか…よし!)」
 シュッ
早田「(これは…入るか? いや、微妙だ!)」
 グン バシーン!
 ボールツー!
早田「っぶねぇ。」
友亀「ナイスボール!! (あれを見逃したか。)」
 かなり良いところに決まった気がしたけれどもバッターは見送ってきた。スライダーだからだろうか。難しい球を見逃してくるのはバッターにとってはかなり有利になってくるはず。次の球が勝負球になりそうだ。
 シュッ ググググッ
早田「まだだ…ためてためて…。」
 ギィイイン!
卜部「らぁああ!」
 バシン!!
 卜部先輩が一二塁間の鋭い当たりをダイビングキャッチして捕った! すぐに立ち上がってセカンドベースの方を向く。
卜部「栗山!」
 バシン アウト!
栗山「まにあえっ!」
 セカンドベースを踏んだ栗山先輩がファーストへと投げた。タイミングはきわどいけど間に合って!
早田「らぁあああ!」
 バッターランナーがファーストベースにヘッドスライディングをした。
審判「セーフ!!」
新天「惜しいですよ! でもツーアウトです!」
府中「ツーアウトだツーアウト!」
 ファーストはアウトになったがツーアウトになった。これであと一人抑えれば八回の守備が終わる。

line-s
04.14
「普通なら紅茶か?」
「いや、ジュースもいいネー。」
「何だっていいんじゃないかな?」
 俺と撫子とヴィクトリアは飲みながらいろんなことを考えていた。本当に何が何だかわからなくなるぐらい不思議な会話をしていた。なんだろうか、俺には全く意味がわからないだけで撫子とヴィクトリアにはわかっているのだろうか。
「私たちって何の話していたんだろうね?」
 撫子もわかっていなかったようだ。よし、こういうときは落ち着くような話題を探せばいいのか…。
「そろそろ行くネー!」
「うわあ! 俺考えていたのにタイミング悪い!」
「何を考えていたの?」
 俺が悲鳴を上げると撫子は俺のことをジーっと見つめてきた。何を話そうとしていたのかを期待しているかのような目だった。
「えっとな…やべ、度忘れしちまった。」
「たーくーとー。」
 撫子が頬に空気を入れて膨らませ怒っていた。ヤバイ、これなんだかかわいい。撫でてやりたいところだが、ここはしっかりと答えるべきだろう。
「また明日何かおごってやるよ。」
「本当に!? わーい!」
 やべ、俺何言っているんだ。自分で自分の首を絞めてなんの意味があるというのだろうか。落ち着け俺、いや今落ち着いたところでダメだ。もう取り返しのつかない発言をしてしまった。ああ、俺のお金が飛んでいく…。

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reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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