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03.31
暁美「戻った! さてと、バッティングセンター行こう!」
小見川「おお、ここからなら近いよな。」
 俺は暁美の手を握ってバッティングセンターへと向かった。この夜の時間であってもバッティングセンターしっかりとやっていた。
暁美「よっしゃ!」
 ギィイイン!
小見川「お、誰かやっている。」
 奥の方で一人打っている人がいる。暁美が速い球を打っていたときの場所だ。いったい誰が…。
 ギィイイイン!
桜「ふぅ…。あ、暁美ちゃん。」
暁美「桜先輩!」
小見川「どうも。」
 山茶花が打っていた。それも当たりはすべて良い所に飛んでいっていた。さすがは四番なだけある。守備がものすごい人なのに四番でもバッティングがすごいだなんて…。
桜「楽しかった? 私はバッティング終わったから帰るね。」
暁美「楽しかったですよ! はい、お疲れ様です。」
 そういって暁美と山茶花はハイタッチをしてバッティング場所から交代した。
桜「小見川さん、暁美のことしっかり考えてあげてください。」
小見川「考える?」
 そういって山茶花は扉をあけて帰っていった。暁美はすぐにお金をいれてバッティングを始めた。
 ギィイン!
暁美「あれ?」
 暁美のバッティングがおかしい。何かいつもの違うような。圧倒的な威圧感がなくなっているというより、ものすごい緊張したままバッティングを続けていた。
 ギィン ギィイン!
暁美「おっかしいな。しっくりこない…。」
 暁美のバッティングが完全に崩れてしまったのだろうか。でも心当たりがない。暁美の調子が悪いというわけではない。心の問題なのだろうか。
暁美「……ごめん、今日はこれでおしまいにするね。」
小見川「いいのか?」
暁美「これ以上やっても上手くいかない気がする。」
 そういって暁美は出口の方へと歩いていった。俺はそれを呆然と見た後、追いかけるように暁美の後ろを追っていった。

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03.31
「ん…もう朝か。」
 俺は太陽の光で目を照らされて起きた。俺は大きく腕を伸ばすと目をこすった。そして横を見ると撫子がまだ寝ていた。
「すー…。すー…。」
「ふふっ、寝顔かわいいな。」
「ふにゃ!?」
「うわっ!? 起きているのか!?」
 その瞬間俺は体制を崩して布団から落ちそうになった。俺はあわててどこかにつかまろうとしたが、手は届かなかった。
 ドシン!
「あたたた…。」
「ん……ふゎあ……。」
 撫子がこの振動に反応して腕を大きく上げた。まさかさっきの反応は寝ていての反応なのだろうか。だとしたらめちゃくちゃかわいいな。
「おはよ…拓斗。」
「ああ、おはよう。」
 俺は倒れたところから立ち上がって布団を綺麗に戻した。そして洗面所へと移動しようとした。
「いかないで…。」
 撫子が俺の腰あたりを抱きしめてきた。俺は撫子の方をむいてため息をつきながら撫子を撫でた。
「大丈夫、行かないよ。でも顔洗わないと。」
「一緒にいく…。」
 撫子は俺の腰をつかんで立ち上がった。撫子も眠いまぶたをこすりながら歩き始めた。
 ジャーーーー
「ぷはぁ。やっぱり冷たい水で顔を洗うのは最高だな。」
「すっきりするよね。」
 撫子と俺はフフッと笑って歯磨きも始めた。朝6時45分、朝食は7時から空いているからそのときに食べに行こう。ところでヴィクトリアは起きているのだろうか。意外とああみえてものすごく寝るタイプかもしれない。
「拓斗、朝ごはんの前にコーヒー飲もう?」
「そりゃいいな。」
 俺は歯磨きを終えるとインスタントコーヒーを手にとってお湯を入れ始めた。

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03.31
?「あれって由紀か。相変わらず構えは変わっていないみたね。でも格段にうまくなっている。テレビをつけた価値があったね。」
「来谷里! そろそろ練習だぞ。」
来谷里「えー。しゃあないですね。」

由紀「よっしゃあ!!」
 由紀が大きな声を出して構える。由紀からものすごいプレッシャーが感じられる。味方からしてもあの威圧感は尋常でないものを感じる。
佐奈「相手も気づいたみたいだね。」
真菜「それよりはあのバッターの雰囲気がものすごく良いものを感じるわね。センスだけなら世代でも…。」
 シュゴオオオ ズバーン!
 ボールワン
早田「(くそ、ストライク入れにくいな。変化球も試してみないとな。)」
 シューーー グンッ バシン!
 ボールツー!
萩「(ちっ、けどまけられねえ!)」
「どうせなら塁にだして次のバッターでしとめればいいのに。なんでここで勝負するのだろう。」
阿湖音「プライドね。負けられないという気持ちがあるから。」
「おお、阿湖音が珍しく普通にしゃべった!」
 グググググッ バスン
 ボールスリー!!
近沢「攻めろ攻めろ!! どんどん投げてこい!」
芦毛「これは逃げられるか?」
府中「いや、勝負で来るだろう。」
 シュゴオオオオ
由紀「ふん!」
 ズバーーーン!! ストライクツー!
 ゆ、由紀が空振り!? こんなの珍しい。必ず振ったときは当ててきたのに…。由紀も緊張やプレッシャーを感じているのだろうか。
由紀「(かっこ悪いまま終わってたまらないよ。亜弓にかっこいい姿みせたいもの!)」
 シュゴオオオ
早田「(やべ、ボール球!)」
 ギィン! ガシャン!
 ファールボール!!
萩「(助かった。)」
由紀「ファーボールで終わってたまるか。」
早田「勝負ってことか。よっしゃ、気合いれていくぞ!!!」
富坂「っしゃあ! いつでもこい!」
梅岡「しゃあこい!!!」
 相手選手が思いっきり気合を入れてきた。それと同じように由紀も大きく深呼吸をした。そして相手の方にバットを向けると。
由紀「しゃあああ!!!」
 由紀が大きく叫んだ。由紀ならできる。だって私のことを助けてくれた人だし、あんなに努力を惜しまず最後まで全力で戦い抜いてきた由紀なら…!
亜弓「由紀!! 打って!!!」
萩「らああ!!」
 シュゴオオオオオ
 ギィイイン!!!
早田「ショート!!」
富坂「らぁああ!!」
 ショートの頭上にボールが飛んでいく。抜けて!!
 ポーン
「わぁあああああああああ!!!!!」
亜弓「抜けた!!」
府中「セカンドランナーホームに行け!!!」
 セカンドランナーの新天がサードベースを踏んでホームに突っ込む。それを見た前進守備のセンターがボールをつかんでバックホームをする。
近沢「らぁあああ!!」
海鳳「新天、外タッチ!」
 ボールの返球と共に新天が滑り込む。きわどい!!
 ズザザザザザ バシン!
審判「セーフ!!」
新天「っし!!」
 やった、やった!! これで勝ち越した! 4対6で二点勝ち越しだ!!
由紀「やった…やったやった!! ったあああああ!!!!!」
完成品
 由紀がファーストベース上で大きく右手を突き上げて声を上げた。スタンドもその声と同時に大きく声を上げた。
亜弓「由紀!! ナイスバッティング!!」
 私は由紀に大きな声で叫んだ。私と由紀の目にはうっすらと涙が見えていた。




今回はリン☆ユウさんに描いていただきました!ありがとうございます!
リン☆ユウさんのpixivページ
リン☆ユウさんのツイッターページ
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03.30
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。




 群馬県の代表は強豪校の渋川大学第一高校が甲子園への切符を手に入れた。4年ぶり11回目の出場となる渋川大一高は今回は豊作の年、エースの南条「3年」がものすごいスタミナをみせてすべての試合を投げきった。また打撃においても三番として活躍、四番の長岡「3年」も地区大会3本のホームラン、六番の小林「2年」が絶好調の打撃をみせている。投げて打ち勝つ野球をモットーとしたこの学校、はたして甲子園でこの豊作年の高校が牙をむくだろうか。
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03.30
暁美「おお! 綺麗綺麗!」
 暁美は大通公園内を走ったりステップしていた。たしかにここから見える景色は本当に綺麗だ。こんなところでゆったりとしているのもいいな。
暁美「ねっ直幸さん、写真撮ろうよ!」
小見川「そりゃいいな。」
 俺が取材用のカメラを取り出すと俺たちに向けて写真が取れるようにセットした。
小見川「スタンド持ってきてよかった。これでタイマーをセットしてっと。」
暁美「タイマー機能いいですね!」
小見川「よし、それじゃあ十秒後捕るぞ。よし、時間と一緒にジャンプしようか!」
暁美「ナイスアイディア!」
 俺と暁美は写真が綺麗にうつる位置に移動してタイミングをはかった。あと五秒、タイミングよく飛んで写真を撮るにはジャンプの滞空時間も考えないと。
小見川「いいかい。」
暁美「おっけ! いっせーのーでっ!」
 俺と暁美は手をつないだまま大きくジャンプした。そしてシャッターが切られた。俺が着地すると少しだけおくれて暁美が着地した。というかなんというジャンプ力なんだ。こんなところまですごいなんて…。
暁美「ちょっと飛びすぎたかな?」
小見川「いや、大丈夫だと思うぜ。どれどれ…。」
 撮れた写真を見てみると丁度よく並んで飛んでいる写真が撮れていた。これは綺麗に撮れている。
暁美「おお! これはいいね!」
小見川「よし、東京に戻ったらこれを送るよ!」
暁美「ありがとう! …そっか、戻っちゃうんだよね。」
小見川「まあな。」
 俺と暁美はそのまま歩き、駐車場の場所まで移動した。帰りには札幌ドームの外側を通って帰る予定だ。

暁美「ねえ直幸さん、東京ってどんなところ?」
 俺が車を運転していると暁美が突然聞いてきた。
小見川「東京か? 北海道よりずっと都会さ。もっとでかいビルがいくつもあって、町中ビルだらけだよ。」
暁美「そっか。あ、札幌ドーム!! 大きいね!」
小見川「こりゃでかいよな。普通に考えたらこれだけあれば十分なんだよな。東京では東京ドームの近くに遊園地があったり、神宮球場の近くには公園があったり。」
暁美「そうだね。本当にすごいよね。でも札幌ドームは北海道の野球の聖地だよ。」
 そういって暁美は札幌ドームを眺めていた。そして車をすすめて富良野に戻ることにした。そうか、俺と暁美が今回一緒にいられるのは明日が一応最後か。楽しんでもらえただろうか…。
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03.30
「拓斗……。」
「撫子すまない。いきなりこんなことになって…。意識してやったことじゃないんだ。」
 俺は下を向いて謝った。撫子は俺の方に近づいてきてきた。何を言うのだろうか。と思っていると撫子は俺の背中から抱きしめてきた。そして撫子は顔を俺の横に寄せてきた。
「ちょっと…怖かったけどうれしかった。だって…私のことをそう思ってくれているから…。ドキドキしたんだよ、私だって…。正直………いいかなって思ってた。」
「撫子…。」
 撫子は俺の方を向いて顔を近づけてきた。そして俺も顔をよせた。
「ん…。」
 撫子からキスをしてきた。撫子の心臓の音が俺の背中からバクバクと伝わってくる。そして口が離れると撫子は笑って横に座った。
「拓斗の約束だから結婚するまで待っているけど、ずっとそばにいることは大丈夫でしょ。」
「ああ、もちろんさ。」
 撫子は横でおれに寄り添ってきた。今度はおれが撫子の頭を撫でた。そして撫子はもう一度笑ってキスしての準備をした。俺は顔の部分を押さえて撫子にもう一度キスをした。この時間がずっと続けば良いなあ。
「拓斗、添い寝ならいいかな?」
「添い寝? ああ、いいよ。その前に寝る準備しようか。」
 俺は立ち上がって歯を磨きに行った。洗面所で鏡を見ると自分の顔がニヤついていることに気づいた。やばい、こういうことがたくさんあるからニヤつきがとめられない。まあそれだけ最高だってことだから本当に嬉しいのだけどな。
「たーくと。」
 俺と撫子は寝る準備を整えると撫子が布団をあけてまっていた。
「おわお、まさかそう待っていてくれるとは。今入るからな。」
 そういって俺は撫子のあけてくれた布団の中に入った。俺と撫子は向き合うように寝るとふふっと同時に笑った。そうして上を向き、電気を消した。
「おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」
 俺と撫子はゆっくりとまぶたを閉じた。朝起きたら展覧会の準備か。そして明後日が本番だ…!

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03.30
早田「タイムお願いします。」
審判「タイム!」
 キャッチャーがタイムの指示を出して内野陣をマウンドにあつめさせている。由紀はその様子を見ながら素振りをしていた。
萩「すません。俺のせいで点をとられて同点にされてしまって。」
富坂「大丈夫だ、何があっても俺たちが点を取り返してやるって。」
梅岡「俺たち三年生だけどいまは自分のためだけに投げてみ。」
山下「そうだ。俺たちのためになんて今は忘れておけ。」
古木「すべてぶつけて思いっきりやってこい。いままでそうやって後半最高のピッチングをみせてくれたじゃないか。」
早田「相手はほぼ8割を超えた打者だが臆することはねえ。俺たちは一度アウトとっているんだ。アイツの弱点だってわかっている。だからこそできることだろ! お前しかできないんだよ!」
萩「…わかった。なんとしても俺が抑えてみせる!」
富坂「その意気だ! しゃあみんないくぞ!!!!」
「しゃああああ!!!」
 マウンドで内野の人たちが声をあげて気合をいれる。それと同時に相手のスタンドから大きな拍手と声援が返ってくる。どちらにとっても負けられないこの一打席になりそうだ。でも由紀なら勝ってくれる!
由紀「お願いします!」
 由紀が左バッターボックスに入った。そして大きくスタンスを広げて構える。特に構えに関しては自分のやり方を貫き通す感じだ。相手の守備もそれ相応に前進守備を整えている。
萩「(俺が…俺が甲子園で最高のピッチングを見せるんだ! だからここでなんか負けられないんだよ!!)」
 シュゴオオオオオオ ズバーーン!
 ストライクワン!!
由紀「(さっきより速いし威力もある。)ふぅ…。っしゃあ!!!」
 由紀はもう一度気合をいれて大きく構える。最大のチャンス、狙うべきはここだ。

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03.29
暁美「あ、そうだそうだ! 野球の道具とかで欲しいものがあったから買いに行ってもいいかな?」
小見川「ああ、かまわないよ。」
 俺は暁美のためにスポーツ用品店を探した。そして歩くこと5分で見つけた。店の中に入るといろいろなスポーツのポスターが張ってあった。手前にはそれぞれのスポーツ雑誌があった。そこには…。
小見川「なあ、これって暁美だよな。」
暁美「あ、そうだね。」
 いくつかの高校野球雑誌があった。その中には自分の手伝っている会社のものもあった。さすが暁美、ほとんどの雑誌で暁美がトップ記事になっている。
暁美「直幸さんが書いた記事の本は持っていますよ!」
小見川「そいつはありがたいな。」
 俺はそんな会話をしながら歩いていた。そして野球コーナーにつくと暁美はグローブとスパイクの手入れをするための道具コーナーに移動した。おそらく在庫が切れたから買いにきたのだろう。さすが暁美、自分の道具は念入りにしっかりとするんだな。これぞ野球選手の鏡だ。
小見川「買うものはそれだけか?」
暁美「あとはソックスが穴が開いてしまったから買わなきゃ。」
 暁美はそれぞれ買うものを手に入れてからレジに向かった。俺は周りの様子を見ているとこちらを向いてひそひそと話している。まあ暁美は北海道じゃ英雄みたいなものだからな。そりゃ人気者になるな。問題は俺と暁美が一緒にいることだ。これは問題にはならないのだろうか。しかし写真を撮ったりしている人は誰一人といない。これなら問題ないのだろう。
暁美「買ったよ! それじゃあまた歩こう!」
小見川「そうだな。バッティングセンターもよるなら早めにここを出ないとな。あと少し観光をたのしもうぜ。」
暁美「うん!!」

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03.29
「ねえ拓斗。恥ずかしいけどさ…私をそう見えてしまったりする?」
「そうって?」
「だから…えっちいこと…。」
「……まあな。でも結婚するまではしないように思っている。結婚ってまだ早いか、でも撫子とは結婚したいと思っているよ。」
「ありがと…。も、もうこのお話は終わりにしよう! そうしよう! 自分から話題にしちゃったけどごめん!!」
 撫子は恥ずかしがりながらあやまっていた。まああやまるようなことじゃないんだけどな。
「あーー!!! 私のバカバカバカ!!」
 撫子の大きな声と布団をたたくような音が聞こえてきた。めちゃくちゃ恥ずかしがっているのだろう。やばい、撫子がどんな状況なのかめちゃくちゃみたいけど今この状況でシャワーから出たら完全に変態になってしまう。おちついて…体を拭いてから出よう、そうしよう。
「さっぱりしたぜ。」
 俺はシャワーからでると撫子は枕に頭をうずめていていた。俺は撫子のところに近づいて頭を撫でた。撫子はわたわたと足を動かしていた。なんというか…ごめん、かわいいぞこれは。
「撫子…おちついてくれ。」
「うう!! 拓斗!!」
 そういって撫子が俺のことを蹴ってきた。そしてその衝撃で俺はバランスを崩した。撫子の上に覆いかぶさるような体制になってしまった。
「あっ。」
「……はうっ!?」
 俺と撫子は目を合わせたままだった。そして無言のまま時が過ぎていく。俺の心臓がバクバクと動いている。息も荒くなり、平常心が保てそうもないぐらいだった。おちつけ、落ち着けよ俺!!!
「あ、……ごめん撫子。」
 俺はこの体制からもどってベットの上に座った。なんということをしてしまったのだろうか…。

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03.29
 次は五番の新天、池之宮がバントをしてツーアウト二塁。ワンヒットで一点がとれるような状況だ。そしてここ一番の場面に新天、がんばって!
早田「(こいつの調子はあがってきているはず…でもなんだ? すべてを出し切れていない気がする。)」
梅岡「萩! 落ち着いていけ!」
山下「俺たちが守ってやるから!」
萩「ああ。」
 ピッチャーがすぐにセットポジションに入る。自分を見失っているようにも見える。でもこういうときこそチャンスだ!
 シュゴオオオ バシーン!
 ボールワン
早田「いいよいいよ! 球は来ているよ!」
新天「(いや、さっきよりは打ちやすい。なら変化球を狙ったほうが早いか? けど直球が来たならそれをたたく!)」
 またセットポジションにすぐに入って投げてきた。
 シュゴオオオオ
新天「らあ!」
 ギィイイン!
府中「良し抜ける!!」
 打球は力強くピッチャーの頭上を越えていった。そして海鳳がダッシュでサードベースへ向かって本塁へと向かう体制をとる。
早田「センターバックホーム!!」
 センターがボールを捕球して助走をつける。センターは四番、肩も強いはず。これでは…アウトになってしまう!
富坂「近沢! 投げるな、フェイクだ!!」
近沢「らぁあ!!」
 センターからボールがものすごい勢いでキャッチャーの所へと向かっていく。あれ? 海鳳がサードに戻っている。そしてファーストが叫んでいたのは何だろう。しかしすぐにわかった。新天はファーストベースを蹴ってセカンドへと向かっていった。
卜部「よっしゃ作戦成功!!」
 バスーン!!
 ようやくセンターからの返球がキャッチャーへと届いた。しかしときすでに遅し、ツーアウト二三塁へとチャンスを広げていった。そしてこの場面で由紀の打順が回ってきた。
ウグイス嬢「六番、レフト、羽葉由紀。」
由紀「っしゃあ!!」
「うぉおおおお!! 打てーー!! 羽葉!!!」
 味方スタンドの応援席からものすごい応援が聞こえてきた。まさに最高のバッターがこの場面で出てきた。由紀、がんばって!!

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03.28
暁美「それにしても周り大きいですね。これに鉄道も地下鉄あったり…バスも多かったり。便利ですね!」
小見川「まあな。東京になるともっと数は多いんだぜ。」
暁美「へえ!」
 俺と暁美は外を歩きながら景色を眺めていた。大きなビルに建物、そして多い交通量、そして人! まさに暁美にとってみれば未知の世界なのだろう。
暁美「東京ってこれよりもーっとたくさんの建物に人がいるんでしょ! 人だらけなのかな。」
小見川「まあな。東京に限らないと思うぜ。大阪だって名古屋だって…。他にもたくさんあるはずだよ。」
 そういって歩き始めていた。俺は暁美の手を握って歩いていた。
「あの二人お似合いじゃない? ってかあの選手かな?」
「でかい二人だな…。」
 周りからいろんな目で見られている。暁美は少し顔を落として恥ずかしがっていた。俺も少し照れていた。でもなんだかんだでうれしかった。しかも暁美といっしょにいられるということが。
暁美「やっぱり…照れるね。」
小見川「そうだな…。」
暁美「でも…うれしいな。」
 そういって暁美は俺によりそってきた。なんと大胆なことを…。それだけ思ってくれているのだろうか。

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03.28
 ザーーー…
「ふんふふんふふん~。」
 撫子は今、シャワーを浴びている。そして鼻歌を歌っている。いかん、変な妄想をしてはダメだ。撫子の裸姿なんて…。あー畜生! 頭から離れねえ! なんて変態なんだ俺は。でも男子ってそういうことを考えたりするのだろうか。だとしてもダメだ、撫子に対してそんな変なことなんて!
「ふーすっきり。」
 俺はビクッと体を動かしてしまった。おそるおそる後ろを見るとそこには…! よくある寝間着を着た撫子の姿があった。頭にはタオルをのせていてまだ拭いているところだ。これからドライヤーとかで乾かすのだろうか。
「髪を結んでいない撫子ってめったに見ないよな。初めて見たのはプールのときだったっけ?」
「そうだね。でもそんなに珍しかったっけ?」
「ああ、ずっとポニーテールのところしか見てないはず。」
 俺は撫子と話しながらシャワーを浴びるための準備をしながら話していた。
「ねえ、もしよかったらお話しながらシャワー浴びれる?」
 話しながら? どういうことだ? つまりドアを開けておきながら話をするというのだろうか。
「ちょっと…怖いから…。」
「まあ見えない程度にあけておいて話すなら問題ないんじゃないか? 俺はかまわないぞ。」
 俺はそう言ってシャワールームの部屋へと入っていった。シャワーの水を出した。
「拓斗って…やっぱり男だから…その…えっちなこととか考えたりするの?」
「そ、そりゃあ男だから…でも撫子にそんなひどいことさせられないし…。」
 そしてその会話をした後は少しだまってしまった。そりゃきまずい雰囲気になってしまうわけだ。

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03.28
芦毛「よっしゃ、よっしゃ!」
 芦毛先輩と栗山先輩がホームベースを踏んだ後に府中先輩が戻ってくるのを待っていた。府中先輩はホームベースを踏むと両手を突き上げて大きな声で叫んだ。目には涙が見えていた。芦毛先輩と栗山先輩はハイタッチを要求していた。
栗山「ナイスバッティングです!」
府中「ありがとう。」
芦毛「本当にすげえや。府中、お前はすげぇよ。」
「府中! 府中!」
 スタンドから府中コールが巻き起こっている。これで4対4、同点にまで追いついた。これで振り出しにもどっていく。今は六回、この流れのまま勝ち越しまでしていきたい!!
海鳳「よっしゃ、俺たちも意地見せてやろうぜ。」
池之宮「当たり前だ。」
新天「俺だってやってみせる。」
 ワンアウトのまま三番の海鳳がバッターボックスに入る。一点とれば勝ち越し、でも相手だって必死に戦ってくるはず。負けられないのはどちらも同じだ。
海鳳「恵美先輩見ていてください!! めっちゃ綺麗なヒット打ちますから!!」
恵美「うっさい! 試合に集中しろ!!」
千恵美「いいねぇいいねぇ。」
 二人のやり取りが面白おかしく繰り広げられている。海鳳にとってみればこれも一種のリラックス法なのだろうか。しかし言われている恵美先輩にとってみれば迷惑なのではないだろうか。
萩「なんで打たれたんだ? 最高のコースだったじゃねえか。」
 シュゴオオオオ
早田「(甘い! 打たれる!)」
 ギィイイイン
海鳳「っしゃあ!」
 打球は一二塁間を抜けてライト前ヒットになった。スタンドの応援と歓声はどんどんと大きくなっていく。
レナ「完全に流れがもっていかれたね。」
可奈「そうともいえないよ。」
真菜「守っている三年生は気持ち的に負けていないな。」
佐奈「あとは投手がいつ気づくかだね。」
 次は四番の池之宮、長打力のある池之宮なら一発逆転が狙えるかもしれない。最高の場面だからこそ狙えるはず!
深沢「さっきの打席で感覚はつかんだか?」
新天「はい。次は絶対に打てます。」
 コツン
萩「うそん!」
新天「池之宮がバント!?」
 まさかの池之宮がバント、まさかの展開に球場内がざわつく。ボールを処理したピッチャーはすぐさまファーストに投げた。
 バシン アウト!!
「池之宮がバントだと…?」
「次は新天だろ? 確実に一点を取りに来たって言えばいいのか?」
池之宮「新天、思いっきりぶつけてこい。」
新天「わかった。お前のバントは無駄にしないぜ。」
 池之宮と新天がハイタッチして新天がバッターボックスへと歩いていった。ここが大きな山場だ。もしヒットを打てば次は由紀にも回ってくる。一点、必ず取りにいきたい!

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03.27
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。



 あの県立強豪校が再び甲子園に戻ってきた。鹿沼商業高等学校は夏の甲子園に10年ぶり3回目の出場を果たした。今年は地元の有名選手たちが集まった地元チームともいえるだろう。その中でも注目すべき選手は今大会で毎試合2盗塁以上を記録している蓮田(はすだ)内野手「2年」だ。圧倒的足の速さとスタートダッシュの速さは陸上部に声がかかるほど。足だけでなく大きな守備範囲を持ち、打撃も折り紙つき。出塁率が高く、一塁にでも出たら三塁打と同じにしてしまうほどの実力だ。甲子園でも蓮田が塁に出るか出ないかが勝負のキーポイントとなるだろう。
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03.27
暁美「ふー食べた食べた。」
小見川「すごい量食べたな。」
 俺は暁美の食った量に驚いた。大盛りご飯四杯にお肉をおおよそ4・5人前ぐらいは食べた。お昼だというのになんだよこの量は、信じられねえ。俺は食べ放題でよかったとため息をついた。もしこれが食べ放題でなかったら…諭吉が何枚飛んでいったことだろうか。すこし安心したぜ。
暁美「デザートもいいかな?」
小見川「ひえー! マジで食うのかい。」
暁美「うん! 直幸さんは?」
小見川「俺はいいかな、遠慮しておく。」
 そういうと暁美は店員を呼んでチョコレートパフェを一つ頼んだ。それもドでかいやつ。肉これだけ食った後にデザートって…。
暁美「食べたはいいけど運動したいな…。ねえねえ! デートで回った後にバッティングセンター帰りに寄って良いかな?」
小見川「やっぱり野球がないといけないんだな。ああ、かまわないよ。」
 暁美はニシシと笑ってパフェが来るのを待っていた。そしてパフェが机の上におかれるとよだれをたらしそうになりながらパフェを食べ始めた。
暁美「んまい!」
 暁美が喜んで食べているところを見ると俺も笑顔になる。かわいいなあ。
暁美「直幸さん。」
 暁美が俺の名前を呼ぶとスプーンの上にアイスクリームと生クリームをのせたものを差し出された。
小見川「なんだこれは。」
暁美「その…あーんってやつしてくれますか?」
小見川「お、おう。」
 俺は口をあけると口の中にスプーンを入れてきた。口を閉じると甘い味が口いっぱいに広がった。
小見川「おいしいな!」
暁美「でしょ!! でもこれ以上は私のものね!」
 そういって暁美はガツガツと食べ続けた。おもいっきり食うな。……あれ? さっきのってもしかすると間接キスじゃねえか? いいのか、こんなこと。まあ暁美が気づいていないみたいだし、良しとするか。
暁美「ご馳走様でした!」
小見川「はやっ!」
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03.27
「それじゃあ私はここデ。撫子、また後でネ。」
「うん、また後で。」
「それじゃあ拓斗、当日はよろしくな。」
「はい、よろしくです。」
 俺はニコラスさんに挨拶をした。ヴィクトリアとも別れて撫子と二人になった。俺は再び撫子の手を握って歩き始めた。撫子の手は少し冷たかった。怖がっていたのだろうか。俺は撫子の頭を優しく撫でると固くなっていた撫子の顔が笑って優しい顔へと戻った。
 エレベーターに乗って少し歩くと、自分の泊まる部屋が目の前にあった。ドアは頑丈に出来ていて、大きかった。
「鍵は二重になっているのね。」
「さすがセキュリティは抜かりないな。」
 撫子はカードと部屋の鍵を取り出した。先にカードを挿入すると認証が始まり、緑色に光ると鍵を指すところが出てくる。そこで鍵を入れてまわすとドアの鍵が開いた。俺が撫子の変わりにドアを開けた。中をのぞくと、さすがというべき部屋があった。部屋中アートだらけでさらにめちゃくちゃでかい。二人がいるのにはでかすぎるほどだ。
「こりゃすげえな。撫子、外の景色もすげえぜ。」
「本当ね…ロマンチック。」
 俺と撫子は外の景色にみとれながらキャリーケースを置いていった。時間はもう夜、そろそろシャワー浴びたり寝る準備をしなければいけない頃だ。けっこう疲れているからな。あとは当日に向けて体調を整えておくことだ。
「シャワー浴びるだろ? 先に浴びてきていいよ。」
「本当に? それじゃあ私が先に入るよ。あ、覗いたりしたらダメだからね!!」
「んなことしないよ。」
 撫子は着替えの寝間着を持ってシャワールームへと入っていった。俺は大きく背伸びをしてソファーに座った。外を眺めながら撫子のことを考えた。あれがすべて撫子の敵なのか。良い人であっても悪い人であっても撫子にとってみれば今回の出展はすべてがかかっている。だから敵にしか思えなくなってきているのだろう。だから気持ち的にも硬くなっている。なんとかして撫子を落ち着かせないとな。

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03.27
三由「大丈夫、府中なら打てるよ。」
府中「ありがとう。行ってくるよ。」
卜部「お前においしいところを持ってきてやったぞ。俺は信じているからな。思いっきり打ってこい!!」
府中「ああ。」
「打てー! 府中!」
「キャプテンが頼りだ!!」
 スタンドから大きな府中コールが巻き起こった。絶好のチャンスにキャプテン、これだけおいしい場面はそうない。そして府中先輩のバッティングによって私たちの流れも変わってくる。打ってください、府中先輩!
早田「タイムお願いします。」
 相手キャッチャーがタイムをかける。そしてキャッチャーだけがマウンドに向かって走っていく。
早田「どうする。敬遠するか? それとも勝負か?」
萩「ここは勝負だ。満塁にしたところで三番と四番に勝負を挑むのはかなり厳しい。それならここでアウトをとるか一点やってでもツーアウトとりに行ったほうが良い。」
早田「わかった。かなりくさいところにリードするかもしれないが頼むぞ。」
 相談が終わってキャッチャーが戻る。府中先輩が左打席に入り、プレイが再開された。
「府中!! 府中!!」
 応援が始まった。ものすごく大きな応援でチアガールも一生懸命踊っている。吹奏楽部も暑い中最大限の力を発揮して応援している。
府中「(キャプテンにはな…周りの期待や声援を背負って戦ってきているんだ。それを忘れちゃだめだ。チームのために、そして支えてくれたみんなのために!!)」
 シュゴオオオ ズバーーン!
 ストライクワン!!
早田「(ナイスボール!!)」
萩「(俺だって負けられないんだよ。先輩を差し置いてのエースナンバーもらっているんだ。それだけ期待されているし先輩の気持ちの分まで背負っているんだ。だからこそ背負うものは大きいんだよ!!)」
 シューーー ブン!グンッ バシーン!!
 ストライクワン!
近沢「よっしゃナイスボール!!」
富坂「いいぞ!!」
 相手も必死だ。まさに意地と意地のぶつかり合いだ。ここを制したものが流れを持っていきそうだ。だからこそ…府中先輩! たのみます!
 ググググッ バシン!
 ストライクツー!!
海鳳「ボールだろ! まじかよ。」
 内角低めの厳しいところにストライクが入ってしまった。もうツーストライク。追い込まれてしまった。
早田「(同じコースにストレートだ。思いっきりいけ!)」
萩「(ああ!)」
 相手投手がセットポジションにはいる。府中先輩は落ち着いて構える。そして…!
 シュゴオオオオ
早田「(ドンピシャ!!)」
府中「(いけ!)」
 ギィイイイイイン!!!
早田「レフト!!!」
芦毛「いけ! 入る!!」
青野「よじ登ってでも捕ってやる!!」
 レフトへ強く大きな打球。グングンとホームランゾーンへと伸びていく。レフトが金網に足をかけてよじ登った。
青野「らぁあ!」

 ポーン

府中「っしゃあああああ!!!!!」
「やったああああああ!!!」
 打球はレフトスタンドへ入った。やった、やった! スリーランホームランで同点だ!!

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03.26
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。




 あの注目する選手三人がそろった高校が今年も出場した。西央大学白河高校が3年連続24回目の出場を決めた。なんといっても三人の活躍が大いに期待される。まずエース投手の北 雄一郎(きた ゆういちろう)。140キロ台のストレートにシンカーを使って投げている投球術が魅力的である。また、そのリードを最大限に生かし、肩も良くバッティングもパンチ力のある松木 匠(まつぎ たくみ)捕手。そして地方大会では多くの打点を稼いできた門田 西木(かどた にしき)内野手がいる。この三人だけではなく回りもしっかりとした選手がそろっている。プロが注目する三人の選手、これだけの実力をもって、どこまで甲子園で勝ちあがれるのだろうか。期待が高まる。
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03.26
暁美「おお! 食べ放題でもメニューはこの中から好きなものを選んでいいんだね!」
小見川「何にするか決まったか? 俺はだいたい決まったから暁美が好きなものを選んでいいぞ。」
暁美「本当に!? それじゃあ…最初ラム肉で塩ジンギスカンかな。ついでにタン塩もたのんでおこう! すみませーん!」
 暁美が店員を呼ぶとまず暁美からお肉のメニューを言ってご飯を頼んだ。暁美は最初から大盛り二杯を頼んでいた。俺もご飯大盛りとウーロン茶を頼んだ。そしてサラダも注文しておいた。暁美はワクワクしながら座っていた。
暁美「楽しみだなー。ワクワク。」
小見川「暁美って好き嫌いあるか?」
暁美「何でも食べるよ! ゲテモノと呼ばれるものだって食べるし。イナゴとか蜂の子とか。」
小見川「すげえな。さすが暁美ってところだな。」
暁美「えへへ。直幸さんは?」
小見川「一応好き嫌いは無いがゲテモノは厳しいな。」
「お待たせしました。」
 店員が肉と野菜の入ったお皿を置いてくれた。それと同時にサラダがやってきた。俺と暁美はさっそく野菜を置いてからお肉を置き始めた。
暁美「うまそー!」
小見川「火が通るまではサラダを食べるか。」
 そして俺と暁美はサラダを食べ始めた。シャキシャキした食感とドレッシングがとてもおいしかった。暁美は俺が半分食べたところですべてたいらげていた。なんつうやつだ。
暁美「いっちばーん!」
 暁美はお肉と野菜をすぐに取った。そしてたれをつけて口を大きく開けて放り込んだ。
暁美「うんまあああい!!!」
小見川「そりゃよかった。」
 そしてここから怒涛の食事ラッシュが始まった。暁美は皿にあったお肉の三分の二をたいらげ、ご飯も大盛りを食べ終えていた。俺はというと三分の一を食べてご飯もまだ残っていた。そして暁美は次のお肉を注文した。
暁美「たれのついたジンギスカンと牛カルビ!! あと和牛カルビも一つ!!」
 暁美はニコニコ笑いながら注文していった。こりゃあ元は簡単にとれそうだな。

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03.26
「ロイーズ、またそんな格好しているのか。」
 ニコラスさんが奇抜な格好をした男性に声をかけた。ロイーズという人なのだろうか。どこの人だ?
「あの人はフランスで近未来的な絵を描いているロイーズ・フォルタンさん。あんな感じだけど個性あふれる人なのよ。」
「どうも…。」
 俺が握手を求めようとすると無視して撫子の元にあるいていった。
「こいつが彼氏か? 何ができる?」
「私のことを…守ってくれる人です。」
 撫子の言葉にロイーズさんは俺の方を向いた。そして舌打ちをして近づいてきた。
「お前のせいで撫子がどんな目にあっているのかわかっているのか?」
「わかってます。ですが昔からこういうことはあったのでしょう? だから撫子を守るため、そして撫子のことが好きだから付き合っているんです。」
 ロイーズはふんと見下すような目で俺の目を見ていた。なんで俺がそんな目で見られなきゃいけないんだよ。
「それにヴィクトリアと一緒に来てるとは。なんとまあ天狗でいること。」
「私は天狗になんかなっていない。一度も手を抜いたり浮かれたことなんてない。あなたとは違うのよ。」
「浮かれてるのはあんたの方じゃない?」
 後ろにいたヴィクトリアが前に出てきてロイーズの顔に向けて指をさした。ロイーズはヴィクトリアに近づいて鼻で笑った。
「ほう、ずいぶんと余裕な表情じゃねえか。痛い目にあうぞ。」
「あっそー。」
 ヴィクトリアは言いたいことを言って帰っていくように俺の後ろにまた戻った。俺はもういちどロイーズさんの方を向いていった。
「付き合っている付き合っていないからでそんな問題にすることではない気がしますが。どうしてそういう目線からでしか物事を考えられないのですか?」
「ああそうかい。それじゃあお前らが一つの賞も捕れずに落胆しているところを楽しみに待っているさ。落ちぶれたものが何をいう。」
 ロイーズさんはそう言い残して帰っていった。しかしあれでもこの展覧会に呼ばれるだけのことはある実力者だろう。俺からみればそれだけの実力があるから文句が言えるやつなのだろう。だけど撫子にまで矛先を向けるのはおかしい。なんでだろう…。

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03.26
 栗山先輩がバッターボックスに入って構える。自信に満ち溢れた顔になってきている。あの声をかけたのは正解だったようだ。あとは私たちが信じるだけ。
 シュゴオオオオ ズバーン
 ボールワン!
早田「(見てきたかランナーは投手、走る様子はまったく見せないな。バッター集中でいこう!)」
萩「(そのつもりさ!)」
 グググッ ブン バシーン!
 ストライクワン!
府中「いいぞ、振れてる振れてる!」
近沢「(空振りしてほめるのか…。)」
 栗山先輩はもう一度大きく構えるようにみせて構える。相手投手もかなり集中して打者を見ている。そしてクイックモーションで投げる。
 シューーー
栗山「(いけっ! 振りぬけ!)」
 グンッ ギィイイン!
芦毛「っしゃ!」
 打球はファーストとセカンドの間を抜けてライト前へと転がっていった。やった、栗山先輩がヒットで続いた! 芦毛先輩はセカンドベースで止まっていた。これでノーアウト一二塁、チャンスが大きく広がった
栗山「っしゃあ!」
深沢「ナイスバッティングだ!」
日下部「スライダーに引っ掛けられそうになっても振りぬいたおかげでしっかりとした打撃ができた。」
海鳳「かっけえ!」
 スタンドが大きな声で栗山先輩のヒットを喜んでいた。そして次は一番にもどって卜部先輩。ここは卜部先輩にまず一点決めて…。
日下部「(ここは確実にな。)」
卜部「(わかっています。)」
 シュゴオオオオ コツン
萩「俺が捕る! 送球は!」
早田「サード間に合わない、ファースト!」
 卜部先輩がバント!? そしてピッチャーはファーストへと送球した。
 バシン、アウト!
 ファーストはアウトになってワンアウトでランナーが二三塁。絶好のチャンスというところで府中先輩の打順が回ってきた。

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03.25
暁美「おわーー! うおーーー!!」
小見川「暁美、どんだけはしゃいでいるんだよ。」
暁美「だって、だって! でかい建物に囲まれてまともに歩いたことなんていままで経験したことないもん! もしくは記憶が無いときにしか行ったことないよ!」
小見川「となると赤ちゃんの頃には都会に行った事があるということか。」
暁美「たぶん。直幸さんにとってみれば東京に住んでいると思うので慣れていると思いますが。」
 暁美は大きな建物に囲まれていることに驚きながら歩いていた。暁美は本当に純粋で可愛い女の子だな。でかいけど。でも何かひっかかるなぁ…、あ、そういうことか。
小見川「でもさ、神宮大会に行ったことあるよな。となると東京の様子見ていただろ?」
暁美「それはそうですけど、降りてゆっくりと歩いたことが無いのでわからないです。桜先輩の実家に行ったときはありますが、そのときは住宅街ばかりでした。」
 そういうことだったのか。だからこんだけ驚くのか。俺は納得しながらどこかおいしそうな店がないか探していた。そう思っていたとたん、俺にとっては好都合なお店を発見した。
小見川「あ、これいいんじゃね。」
暁美「おお! ジンギスカン食べ放題!! やっほーい!」
 暁美は猛ダッシュで店の前へと走っていった。俺はそれを追いかけるように走った。しかしどんどんおいてかれる。なんという足の速さなんだ、ついていけねえ。
暁美「二千五百円で食べ放題! 私なら元取れますよ!」
小見川「まあ俺も腹減っているしな。というか暁美で二人分の元が取れるんじゃないか。」
暁美「そうだね。じゃあここにしよう!」
 俺と暁美はジンギスカンの店に入った。メニューをチラッとみるとジンギスカンだけに限らず、焼肉も食べ放題になっている。お昼から焼肉なんておそろしいぜ。まあ食ってその分を消費する暁美にとってみれば普通になっていくのだろう。俺はどこまでいけるかわからないが多く食べることにした。

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03.25
「無光闇無じゃない、あれ。」
「本当だ。ついに来たか。」
「ヴィクトリアまでついていってるぜ、さすがだぜ。そして隣にいるのが…。」
 俺と撫子、ヴィクトリアが歩くと周りの人たちがこちらをじっと見てきて何か言っていた。全く知らない言語や、英語で喋っている人もいる。俺と撫子のことで何か言っているのだろう。撫子は雰囲気で察することができそうだから撫子の顔色を見ればなんとなくわかるかもしれない。
「大丈夫か?」
「大丈夫。今は暴言吐かれたりしてないから。」
 俺は歩き続けると目の前にめちゃくちゃ身長の大きな人が立っていた。いったい何者だろうか。
「無光闇無さん、ヴィクトリアさん、お久しぶりです。」
「ニコラス・ジャクソンさん、どうもです。」
 ニコラスという人は撫子とヴィクトリアに握手した。この人は何の人だろうか。
「拓斗、この人はニコラス・ジャクソンさん。この建物のデザインをした人。」
「あ、どうもです。えっと…マイ、ネームイズ、タクト、シラバネ。」
「タクト、シラバネね。よろしく。」
 おそらく英語でよろしくといっているのだろう。この人はとても友好的で優しい人だなぁ。俺は握手して笑った。
「この人がボーイフレンド?」
「そ、そうです。」
 ニコラスさんは俺の方をじっと見つめてきてうなづいていた。そしてもう一度撫子の方を見ると笑顔になった。
「良いボーイフレンドを持っているな、うらやましいぜ。」
「ありがとうございます。」
 この人は良い人だ。こんな感じで交流がうまくいくから建築デザインの仕事や自分の職を大きくできてきたのだろう。そういう仲間との信頼関係も絵やデザインなどに大きくかかわってくるのだろう。
「おうおう、彼氏さんまで連れてきちゃって。天狗になったこった。」
 奇抜な格好をした男が後ろから近づいてきた。髪は赤色でおもいっきりたたせている。この人はいったい…。

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03.25
府中「中山、大丈夫か。」
中山「ああ、問題ないっす。たいしたことないっす。申し訳ないっす、怪我で交代してしまって。」
府中「怪我は誰にだってあるさ。ここは俺たちで逆転してみせるさ。」
日下部「府中、お前がキーポイントになるんだぞ。確実に点を取っていこう。」
府中「わかりました。」
芦毛「そのためなら俺たちも塁にでなきゃな。」
 この回は芦毛先輩からの打撃になる。気合が入っている芦毛先輩ならヒットを打ってくれるだろう。でも相手投手はどんどん調子をあげてきている。そんな中ヒットを打つのは本当に難しいことだ。
萩「ふぅ。よっしゃあ!」
 相手投手が声をあげて気合を入れていた。どうやって攻めていくのだろうか。
 シュゴオオオ バシーン!
 ストライクワン!
早田「ナイスボール!」
近沢「球走っているな!」
 芦毛先輩はストレートをしっかりと見てきた。球筋を把握したのだろうか。でも相手は上がり調子の投手、波に乗らせてはいけない。
 ググググッ バシン
 ボールワン
府中「芦毛、落ち着いているな。これなら問題なさそうだ。」
芦毛先輩が大きく深呼吸して構える。相手投手は笑いながら腕を上げる。
萩「らぁ!」
 シュゴオオオオ
芦毛「(振りぬけ!)」
 ギィイイイン
古木「わっ!」
 サード右横の強い打球。サードは対応できずレフト前へと転がっていった。よし、先頭バッターが出た!
海鳳「ナイスバッティングです!」
卜部「さすがだぜ!」
 芦毛先輩はベース上でガッツポーズをとった。ノーアウトランナー一塁でここまで不調の栗山先輩に打順が回ってきた。
日下部「栗山!」
栗山「はいっ!」
日下部「思いっきり振りぬいて来い! お前ならできるはずだ!」
栗山「監督…わかりました!」
 監督に声をかけてもらって気合の入った栗山先輩はバットを長くもってバッターボックスに入った。私たちも信じて応援している。栗山先輩ならできます!

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03.24
暁美「それにしてもすごいね。」
小見川「でかいデパートに行くのはあまり無いからな。こういうのは新鮮だろ。」
 暁美と共に回りを見ていると暁美が一つ気になったところを見つけて立ち止まった。そこはアクセサリーなどが打っている場所だった。たしかに綺麗なアクセサリーがたくさん並んでいた。暁美がこういうものに興味をもってくれるなんて…。
小見川「どういうのが欲しいんだ?」
暁美「派手じゃないやつかな。この服に似合いそうなネックレスが欲しい。手につけたりする指輪とかは私がちょっとなれていないのと派手なものはこの服には似合わなさそうだから。」
 俺は暁美に似合いそうなネックレスを探し始めた。派手じゃないやつが良いということはキラキラしすぎていないものか。真珠とかでできたものではないのがいいだろうし…首の部分は皮でできたようなものがいいかな?
暁美「私、これがいい!」
 そういって暁美が手にとったのは金属でできたネックレスだった。めちゃくちゃ目立つというわけでもないが、綺麗なネックレスだ。値段も手ごろ、これならプレゼントしても良いだろう。
小見川「よし、これ買ってやるよ。」
暁美「本当ですか! やった! じゃあその代わり、夏の甲子園優勝してみせます! 直幸さんパワーで勝ってみせるんだから!」
 暁美はニコニコと笑いながら俺の手を握っていた。俺はお金を払ってネックレスを購入した。袋はつけずにそのまま手渡ししてもらった。
小見川「はいよ。」
暁美「あっ…。」
 小見川は暁美の首にネックレスをつけた。後ろでカチカチとネックレスをつけて暁美を鏡の前につれていった。
暁美「わあ! 買ってよかった!」
小見川「そういってくれとよかったよ。大事に使うんだぞ。」
暁美「はい!」
小見川「俺はそろそろ腹減ったからご飯食べにいくか。デパートからでよう。暁美はあれだけ食ったがまだ食えるのか?」
暁美「もっち!!」
 暁美は俺の腕をつかんでワクワクし始めた。やはり飯の食う量はハンパないな。

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03.24
「な、なあ撫子。本当に俺たちはこんなところで泊まるのか?」
「そうよ。まあ私も慣れてないけどね。ちょっと緊張している。」
「私はそんなことないヨー!」
 となるとヴィクトリアはいいところのお嬢様ということになるのか? いや、そうしかありえないだろう。専属の通訳がいて車もおじいさんと共にやってきたということはヴィクトリア専属の運転手だろう。俺たちのところで泊まっていたときの宿泊費や娯楽費もバカにならない額だっただろう。なんだかヴィクトリアが怖くなってきたよ。
「ついター!」
 俺たちは車から降りると目の前に聳え立つ大きくて豪華な建物が建っていた。まるでお城のような、あるいはものすごく有名な芸術作品のような建物だ。
「この建物を建てた建築デザイナーも今回の展覧会に出展しているのよね。」
「ソウダヨー!」
 この建物を建てた人が今回の展覧会に出展…。おそろしくハイレベルな展覧会になるんだな。その中で最優秀賞に選ばれるのはたった一握りの人だけ。おそろしい世界なんだな。
「さてと、荷物を持って…。」
「私たちが持ちます。」
 スーツを着た人たちが突如現れた。そしてスーツを着た人たちは俺と撫子とヴィクトリアの荷物を持ち始めた。そして俺たちが歩くペースと同じように歩き始めた。まさかお手伝いさんというやつか? こ、怖いぜ。
「撫子、こういうのは普通なのか?」
「ヴィクトリアにとってみれば普通らしいよ。私も三回目だから慣れないよ。」
 そういって俺たちはロビーらしきところに入った。入るといろんな人たちが座ってお話をしていたり歩いていた。もしかしてここにいる人たちは展覧会の出展などにかかわっている人たちばかりなのだろうか。そう考えてみると相当な人数なのだろうな。俺はこんなすごい人たちに囲まれているのか…。
「お客様の部屋番号は411号室となっております。」
「あ、わかりました。」
 俺は自分の服装を見直してみた。周りはスーツや高級ブランド服ばかり。俺なんていつもの私服みたいなものだ。ヴィクトリアはあのコミケであったときの服をしていた。しかし撫子は普段着でいる。撫子もあせっているのではないだろうか。
「撫子、私服でも大丈夫なのか。」
「拓斗がいるから大丈夫。」
 そういって撫子は俺の手を握った。ここでは俺が守ってやらなければならない。俺が撫子を…!

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03.24
沖田「俺…! はいっ!」
 沖田の名前が呼ばれた沖田はすぐにグローブをもって外野へと走っていった。
中山「頼むぞ。お前の守備なら心配することないからな。」
沖田「まかせてください。」
 沖田と中山先輩が怪我していない手でタッチすると拍手が沸き起こった。その拍手は敵のスタンドやベンチからもだった。あんなファインプレーを見せてくれたら拍手したくなるに決まっている。中山先輩、速く怪我を治して試合に戻ってくださいね!
三由「怪我の応急処置するからこっちきて。」
中山「すまねえ。」
 三由先輩はすぐに中山先輩の怪我の手当てに入った。私は治療の様子を見るのではなく、試合をみていなければ。試合はまだ続いている。だからこそ見ておかなければ。
府中「芦毛、中山のファインプレーを無駄にしないようにしっかりいくぞ。」
芦毛「ああ、やってやる。」
 みんなの気持ちが切り替わって次のバッターへと集中し始めた。次は三番の富坂だ。芦毛先輩の今の投球なら問題なく抑えられるだろう。
 シュルルルル
富坂「(まってたぜ! これをたたいて!)」
 ギィン!
富坂「(詰まった!?)」
新天「ファースト!」
 初球からたたいた打球はボテボテのサードゴロ、新天が軽く捕球してファーストに送球した。悠々とアウトになってツーアウトになった。たった二球でツーアウトになった。おそらく山は当たっているのだろうが、その想像以上に球が良いのだろう。今の芦毛先輩は気合が入りまくっている。
 グググググ
近沢「(カーブなら!)」
 ギィイイイン!
府中「ライト!」
 また初球から打ってきた。打球はライト正面の高いフライ。沖田はゆっくりと腕をあげて捕球体勢に入る。
 バシン アウトー!
芦毛「っしゃあ!」
近沢「確実に捕らえたはずだ。なのにあそこまでしか飛ばないって…。」
 なんと立った三球でスリーアウトチェンジにしてみせた。なんという投球術と気迫なのだろうか。気持ちがボールに伝わっていつも以上の球が投げられている。すごく良い流れがこっちにきている。おそらくこの回が勝負の回になるのだろう。
line-s
03.22
暁美「あ、これ食べたい!」
 まず暁美が指差したものは鮭の塩焼きだった。意外と高い値段だった。そりゃあカマの部分だからな。そういって一切れ買うと暁美はすぐに食べ始めた。俺の分は考えているのだろうか。
暁美「うっまーい!! 最高ですっ! 直幸さんも食べますか?」
小見川「もちろん食べるさ。」
 俺は暁美に箸で焼き鮭を俺の口に近づけてきた。めちゃくちゃおいしそうだ。というかこれってもしかして。
暁美「あーん。」
小見川「あ、あーん。」
 俺は口をあけると暁美は口の中に鮭を入れてきた。俺は口を閉じるととろけるような食感が感じられた。
小見川「おお、めちゃくちゃうめえ。」
暁美「でしょでしょ! あ、このじゃがいもコロッケも食べたい!!」
小見川「もう食うのかい!?」
 俺はお金を払うとすでに別の場所に並んでいた。暁美にコロッケを渡すとすぐに食べ始めた。
暁美「うんめえーーー!!!」
小見川「お前いくつ食うつもりだ?」
暁美「おいしそうだなって思ったものすべて食べる!!」
小見川「おい…俺のお金のことは?」
暁美「食べたいからいいのー!」
 そういって暁美はすぐに並んだ店で食べ物を頼んだ。俺はお財布を素手でもっていくことを考えた。
 …………
 相当な量を食べること一時間。俺の財布からは諭吉一枚がすっとんでいった。買いまくったせいだろうか…。遠慮ねえなあ暁美は。そして昼も食べるのだろう。そう考えるともう一枚諭吉が減っていくことを覚悟したほうが良いだろう。

line-s
03.22
 車が動き出した。移動するのに多少時間がかかるらしいが、話をしていれば問題ないだろう。ヴィクトリアはまた会えたことに喜んでいて、撫子の隣で寄り添っていた。そして俺は目の前で二人の様子を眺めていた。
「いよいよネ! 楽しみでたまらないよ。」
「そうだね。でも今回限りはあなたと競うことになるのよ?」
「それはもちろんですよ。でもお互いに良い作品を出し合えたら本当にうれしいです。お互い受賞できればいいですネ!」
「そうね。そうだといいね。」
 二人はライバルになっているけれども、お互い絵の気持ちだけは共有しているみたいだった。撫子の絵はヴィクトリアの絵とかなり似ていて、違うところがある。それだけ共感できる部分もあるのだろう。
「ヴィクトリアは今回どんな作品を出すつもりなんだ?」
「それは秘密デース! ただ、一度見せたことはありますネ! 名前だけは秘密ですヨ。というか拓斗サン、そういうのは本番のお楽しみっていうのがあるじゃないですカ。あせっちゃダメですよ。」
「ほほう、言うねヴィクトリア。」
「ネー撫子。」
「ねー。」
 撫子とヴィクトリアは二人で言い合っていた。まあ仲が良いことは確かだ。でも…今回の展覧会の授賞式でその絆が壊れてしまうのではないだろうか。俺は一番それが怖い。ヴィクトリアは撫子がどんな結果であろうとも褒め称えてくれるだろう。だけど撫子の方がわからない。そのせいで絶縁してしまったら…。守ってくれる人は俺だけになってしまうのか。…それも考えておかなければならないのか。そんな結果だけはならないように祈っている。俺は撫子に一生ついていくつもりだ。
「拓斗、何考えているネ。」
「ああ、なんでもないよ。ホテルはあとどのくらいか?」
「もうすぐね。敷地には今から入るヨ。」
 敷地? そんなでかいところに泊まるのだろうか。そうおもって外の景色をみるともうすでに豪邸の中にいるような場所にいた。マジかよ…。

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03.22
 ギィイイイン!
中山「よし!」
早田「ライトバック!」
木村「オーライオーライ!」
 ライトが声をあげて手を広げる。あたりは良かったけれどもとられそうだ。打球も失速してきている。
 バシン アウトー!
中山「あれが取られるか。」
府中「よし、切り替えていこう! みんな、声出していけよ。」
芦毛「羽葉。」
由紀「はい?」
芦毛「俺はお前が点をとってくれると信じている。だから俺は投げ続ける。次はたのむぞ、羽葉!」
由紀「任せてください。絶対打ってみせます!」
 由紀は気合を入れて守備に入った。次こそはヒット打ってくれるだろう。そんな気がしていた。でも相手の守備もかなり厳しいところを守ってくる。そこをどうやって攻略していくかが鍵になってきそうだろう。
 次は二番の梅岡からだ。このバッターもバッティングはなかなかのものを持っている。まずこのバッターをしとめられるかどうかが勝負になってくるだろう。
 シュゴオオオオ ギィイイン!
府中「ライト! いけるか?」
中山「いく!!」
 ライトのファールゾーンへとボールがふわりとあがっている。中山先輩はダッシュで落下点へと走っていく。でもギリギリだ。どうするのだろうか。
中山「らあ!」
 フェンス近くでとんだ。危ない! でも取れるのだろうか?
 バシン ガシャン!
中山「ぐっ。」
 中山先輩がフェンスにあたって倒れる。しかしすぐにグローブを上にあげてとったポーズをみせてきた。ファインプレーだ!
 アウトー!!
梅岡「あれはすげえ。」
 中山先輩のファインプレーですぐにワンアウトが取れた。…あれ? 中山先輩が立ち上がらない?
池之宮「タイム! 中山先輩!!」
 池之宮がタイムをかける。それと同時に監督がベンチを出てダッシュで中山先輩場所に駆けつける。
深沢「お前らはここで待っていろ!」
 深沢コーチも走っていった。守っている人たちはすぐに中山先輩のところに移動していく。私たちは遠くでその光景を見つめていた。怪我でもしてしまったのだろうか…。
三由「おおきな怪我ではなさそう。でも手をひねってしまってるのと多少打ち身があると思う。」
亜弓「それって…!」
三由「この試合は交代かも…。」
日下部「どこか痛むか? 動くなよ。」
中山「手首が…大丈夫っす。これぐらい問題ないです。」
府中「無理するな。お前にはここで大きな怪我はしてもらいたくない。」
芦毛「悪化しないように今日は休め。」
栗山「あとは俺たちにまかせろ。」
中山「すまねえ。」
 中山先輩が深沢コーチと栗山先輩ではこんでいき、日下部監督は主審に選手の交代を告げた。いったいだれになるのだろうか。
日下部「沖田、いくぞ!」

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プロフィール

reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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