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01.31
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。




 山形県では大友学院鶴岡高校が甲子園の出場権を手に入れた。3年ぶり17回目の出場となるチームにはある一つの願いがあった。一年生の時から四番サードとして活躍してきた多野上 弘樹(たのうえ ひろき)選手「3年」はプロから注目されながらも甲子園でアピールする機会に恵まれなかった。そこに今年一年生で入学した畑(はた)投手が入部。畑投手は県代表に選ばれるほどの投手で、地区大会を総なめしていった。二人の友情はあっという間に厚いものとなった。今年の甲子園、二人が一暴れ見せてくれるかもしれない。
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01.31
野本「ナイピッチ!」
佐奈「ありがとう。……ふぅ。」
堀近「大丈夫か? 汗もかいてきてるし息もあがってるし。」
佐奈「あのフォームには負担がかかるの。かなり大変よ。」
堀近「そうだよな。(かなり疲れてるな。いい加減ヒットとか何とかして粘っていかないと…。しかし相手だって同じはずだ。)」
 シュゴオオオオ バシューーーン!!
 ストライクワン!
堀近「(なんで姉は問題なしなんだ…。)」
 真菜姉の球にバッタバッタと三振をとられていた。同じように投げていて何故私だけこんなに疲れているのだろうか。はっきりとはわからない。けれども何かがあるはず。
 バシーーン!!
 シュバーーーン!
 ググググッ
 バシーン!!
 ストライクバッターアウト! チェンジ!
 もう終わったの!? 私の休憩時間なんて全くないじゃない。私は休む暇もなく立ち上がり、マウンドに向かった。

 バシーーン!!
 ストライクバッターアウト!
佐奈「っし!!」
 三振をとれた。けれども体が重い。こんなに体力を消費したことっていままであっただろうか…。恐ろしい。体力を消耗するということがこんなに恐ろしいことになるなんて。

真菜「ふぅ。」
雨宮「大丈夫か?」
真菜「さすがに辛いわね。あの子もまだまだ粘るのね。」

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01.31
「あ、金魚すくい。」
「私、やったことないデース!」
 撫子とヴィクトリアは金魚すくいのところにたちどまって座った。金魚すくいかぁ、意外とこれって難しいんだよな。あわてると逃げるし破けるし、かといって遅くすると魚が暴れて穴があくし…。こいつはアレに似てるかもな…。
「一人一回ずつでやってみよう!」
「イイネ!」
「はいはい。」
 俺はおじさんにお金を渡してすくう網をもらった。さて、上手く取れることができるのだろうか。
「最初に私がやるね。」
 撫子は魚の様子をじっくりと見て網を近づける。ここだと思った瞬間、すぐに水の中に網をいれて魚を捕まえた。
「よし!」
 撫子は二匹同時に手に入れることができた。しかしそのぶん、網に穴が開いてしまった。残ったところでとろうとしたけれども上手くいかなかった。
「ふぅ。とりあえず取れてよかった。」
「次、ワタシ!」
 ヴィクトリアが目を輝かせてとろうとした。しかし初めての金魚すくいとなって、なかなか上手くいかなかった。すぐに破けてしまい、取れなくなってしまった。
「シット!!」
「難しいよね。」
 そして自分の番になった。意外と上手くいくかもしれない。まずある一定の場所に追い込む方法を考えたがすばしっこい。だから一匹に集中して背後からゆっくりと近づけて…。
「よし。」
 パシャン
「拓斗うまい!」
「スゴイデース!」
 俺はその言葉で調子に乗ってしまった。あの黒い金魚を狙うことにした。
「黒いの頑張ってとるデース!」
「こいつは難しいからな。」
 俺はゆっくりと網を近づけて…ここだ!
 パシャン!
「やったデス!」
「うわっと!」
 とった後、穴が開いた。しかしその下には自分の容器の中に入っていた。穴は開いてしまったものの、とることができた。
「すごいデス!」
「拓斗やったね!」
「っし!」
 俺は思わずガッツポーズをとった。こうやって祭りで楽しむこともアリかなと思った。そして袋に入れてもらった金魚をヴィクトリアに渡した。
「せっかくだからもらって。ヴィクトリア取れてないでしょ?」
「いいの!? ありがとうデス!」
 そういってヴィクトリアはまたピョンピョンと跳ねた。本当に子供だなぁ。

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01.31
 ノーアウト二塁で五番の新天がバッターボックスに入った。監督が細かい指示を出す。サインプレーがあるのだろうか。新天はバントが得意なわけではない。どうするのだろうか。
理鳴「(ヒットを打たれたか。この状況を考えるとバントはない? このチームはバントが多いわけではない。かといってバントが確実にないとも言い切れない。)」
真田「…。」
理鳴「(心配する必要もないと…。はいはい、そういうことですか。)」
 真田投手はバッターに集中し、ランナーは気にしないようになった。池之宮に気にしたところであの足では警戒するようなものでは無い。流石に走りはキャッチャーに見破られていたか。
 シュゴオオオ ドスーーン!!
 ストライクワン!
新天「(相変わらずむかつく球だぜ。)」
亜弓「新天は打てると思う?」
海鳳「新天のパワーがあればホームランの可能性もあるけど、今は狙う時じゃない。確実に三塁に行かせて由紀で返すか、あるいは一か八かで長打か単打を狙うか。」
府中「送る場合はリスク低いが、由紀のパワー不足が気になる。長打を狙うならリスクが高いが確実に返せる。」
芦毛「それでも一番良い方法は右打ちだ。」
 シュゴオオオオ ドスーーン!
 ボールワン!
沖田「まあ単打がとれたら最高って思っていいかもな。」
栗山「それだけヤバイピッチャーってことか。」
 シュゴオオオオ ブン バシーーン!
 ストライクツー!
新天「(たしかにストレートは池之宮じゃないと厳しいな…。)」
中山「でもあいつならやってくれそうだぜ。」
 ツーストライクワンボール。追い込まれた。相手投手は無表情で威圧感を押し付ける。新天もそれに負けないほどピッチャーにプレッシャーをかけている。どうなるのだろうか。
 シュッ
新天「(フォークか!)」
理嗚「(よし、良いコース!)」
 ギィン!
 打球は弱々しいあたりでセカンド方面に。その間に池之宮がサード方面へと走っていった。
友亀「よし、必要最低限!」
 セカンドがファーストに送球し、アウト。しかしワンアウト三塁にすることができ、そしてバッターには六番の由紀に回ってきた。

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01.30
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。




 長崎県では一昨年、去年と続き圧勝で甲子園の出場を決めたのが安藤竹松高校。3年連続9回目の出場となった。去年でエースの浅倉がいなくなったことにより、投手の不安を抱えていたが問題なし。二年生の控え投手だった左の土屋がエースになった。浅倉と同じ、速球タイプで抑えていく土屋。今年の夏は144キロをマーク、一躍注目を浴びた。守備は無難にこなすがこのチームは打撃が魅力的。徹底的に極められたバントとサインプレーは上手い。チームプレーが光るチームだ。ここぞという大きなバッターこそいないが、ヒットヒットとつなげていくチーム。甲子園で破壊力。そして土屋の投球が炸裂するのだろうか。
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01.30
 バシーーン!!!
 ストライクバッターアウト!!
佐奈「しゃあ!」
雨宮「ちっ。」
 やった、雨宮さんから三振を奪った。私はまだ一本もヒットを許していない。このままおさえていけば絶対に勝てる! 私が打たれなければ堀近さんが打ってくれる!
雨宮「すまねぇ。」
真菜「今は仕方ないわね。」
雨宮「今はって、おいおい。この調子でずっと進んで行ったらどうするんだよ。勝ったら決勝戦だろ? 明日も投げるって言ってたよな。」
岸「早いところ決着つけないとまずいぞ。」
真菜「大丈夫よ、いずれ打てる。」
岸「いずれってお前なぁ。」
雨宮「延長なんてさせられねぇよ。負担かかるだけだし。」
真菜「なら三打席目、確実に打っていきなさい。」
雨宮「え?」
真菜「確かにあの打ちにくい球、そしてソレを編み出したフォームは自分自身でまずまねしてみたのが始まり。その後私が教えたというのもあるわね。」
雨宮「それじゃあわざと相手に楽させてるものじゃないか!」
真菜「いえ。あの投げ方はかなり負担がかかる。私でさえも最初は苦労した。佐奈だって同じはずよ。佐奈は体力の消耗を知っていてあのフォームを使っている。私にどうすればよいかを聞いた。だから私は威力のある球を教えた。けれども…。ペース配分に関しては教えてない。」
岸「なるほどな…。」
真菜「こちらも相手も休憩時間が短いのはしかたがない。私だってこのようなペース配分は始めてよ。」
雨宮「心なしか汗かいてるよな。」
真菜「でも佐奈は私より体力がない。それは毎日のランニングをやっていてわかっていることよ。」
 バシーーン!!!
 ストライクバッターアウトチェンジ!
真菜「さて、いきますか。」
岸「よいしょ。」
雨宮「しっかり抑えていきますか。」

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01.30
「あ、これはうまい。」
 俺はたこ焼きを食べながらあるいていった。ヴィクトリアはお面の売り場で何を買うか迷っている。一体何を買おうとしているのだろうか。
「これもイイナー! でもコレモ!! 全部買っちゃおうかな…。」
「ヴィクトリアは選ぶことできないの?」
「マヨウノーー! そしたら撫子も一緒に買わなイ?」
「私は遠慮しておくよ。」
 撫子は苦笑いで遠慮するジェスチャーをした。しかしヴィクトリアは一つのお面を撫子の頭にのせた。
「あっはははっ、オニっ! オニッ!」
「こらヴィクトリア!」
 子供っぽいところもヴィクトリアらしいのか。それでも撫子は振り回されっぱなしのようだ。俺も近づいてみると、ヴィクトリアがニシシと笑ってお面をかぶせた。
「アオオニ!!」
「ちょっとまて、俺が鬼ってどういうことだ。」
 だめだ、ヴィクトリアについていけないのは俺もかもしれない。でもヴィクトリアはものすごく楽しそうにしている。なんかそんな表情を見ていると憎めないし…。和むというのもある。
「まるで妹みたいね。」
 撫子が俺の隣に近づいてよりそった。確かに…ヴィクトリアは妹みたいだった。でも俺はちょっと違う気もした。
「でも俺は…娘のように思えるな。」
「ちょっ、ちょっと! 私たちまだ結婚してないでしょ!」
 撫子が顔を赤くしている。俺も今の発言を振り返って恥ずかしくなってきた。
「す…すまん。」
 そういって俺たちは照れてた。その間にヴィクトリアは天狗のお面を購入した。まさに日本らしいお面だった。
「オニガワラ!」
「ヴィクトリア、それは違うよ。」

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01.30
海鳳「池之宮からかぁ。」
新天「あいつって何かと神話あるからな。」
府中「神話って何だ?」
 私も気になって耳を傾けた。
ウグイス嬢「四番、ファースト、池之宮くん。」
理嗚「(なんだこいつは、めちゃくちゃでかい…それにとてつもない威圧感だ。)」
真田「(…これはヤバイやつだな。)」
 池之宮はゆっくりと地面を整えて構える。ピッチャーに大きく見せるフォームは誰もが押し付けられる威圧感を感じた。
真菜「あいつ、やるね。」
海鳳「よく言われる神話は満塁、サヨナラ、記録のかかった打席では妙に打つことだ。」
 バシーーーン!
 ボールワン!
理嗚「(くっ、簡単に攻め込めない。)」
新天「そしてもう一つ…。あいつは自分のチームが負けているといつも以上の力を発揮する。」
友亀「それってどんだけヤバイやつなんだよ。」
米倉「それが中学硬式野球で準優勝まで行った理由だよ。」
沖田「普通じゃ考えられないけどな。」
芦毛「じゃあこの打席は。」
卜部「打ちそうだね。」
 池之宮は冷静に相手ピッチャーの様子を見ていた。それはあの表情の裏まで心を読み取っているかのようだった。その威圧感に真田投手の様子が少し変わっていた。なにやら焦りを感じるかのような…。
真田「ぐっ!」
 シュッ!
池之宮「(ここだ!)」
 シュゴオオオオ ギィイイイイイイイン!!!
皆「マジだ!!」
 皆で声を合わせて驚いた。打球はライナー一直線で左中間へと飛んでいく。しかもこれホームランになるんじゃないか?
池之宮「入れ!!」
理嗚「センター、ライト! 追え追え!」
 ガシャアアアン!
池之宮「ちっ。」
中山「うわおしい!」
栗山「というか今の音やばくないか!?」
 フェンスにあたった打球はそのまま強く跳ね返っていった。池之宮はセカンドに向かって走っていく。あぶないかなと思ったが、意外にも打球処理に遅れていてセカンドまでらくらく到着した。
スタンド「ナイバッチー!! イッケ!!!」
 ノーアウトからランナー二塁とチャンスがまわってきた。この状況は池之宮からでないと打開できなかったはず。ありがとう池之宮。

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01.30




キャラクター紹介 
名前 定峰 涼香(さだみね すずか)大学二年生 20才
誕生日 2月22日
身長163cm

大学生をやりながらスポーツ科学を学ぶ女子大生。スポーツ科学の知識が豊富で常に選手の体調や怪我などに気を配っている。好きなことには非常に真面目でとことん打ち込む。しかし、男が少し苦手なためにインストラクターとして手伝うときは女性選手を見るように心がけている。




今回はえるさんに描いていただきました!ありがとうございます!
えるさんのpixivページ
えるさんのツイッター
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01.29
 大きな誤算だった。私はここで動揺を誘って点を取ることを考えていたけれども、ヒットを打ったことによって真菜姉のリミッターが外れたみたいだ。いままで私がキャッチボールをしたときにも…決勝戦でも見せたことの無い球が放られていた。
岸「!?」
 相手のキャッチャーも驚いている。サインも気にせずにまた腕を上げている。真菜姉の目はバッターに集中している。とんでもない集中力だ。そして…ここからも伝わる。ものすごい打たせてたまるかという威圧感が…。
 シュバァアアアアアア バシューーーン!!!
 ストライクツー!
野本「(なんだこれ…目がおいつかねぇ。体験したこと無い球だからか? くそったれ!)」
 唸りを上げるストレートはバットを振らせないかのような威圧感を発していた。ボールにこめられた思い。それはあまりにも強いとバッターだけでなく、観客席からも何かしらの感情が感じ取れるのだろう。私にはひしひしと伝わってくる。「もう絶対誰にも打たせない。」って。
 シュゴオオオオオオ バシューーン!
 ストライクバッターアウト!
野本「手が出なかった…。」
真菜「しゃああああ!!!」
雨宮「うおっ。」
 あまりの大きな叫びに私も驚いた。真菜姉のあんな姿をみるのは初めてだ。そして気合の入った顔つきでベンチへと戻っていった。誰も真菜姉に近づこうとはしなかった。あの雨宮さんでも…キャッチャーでキャプテンの岸さんであっても…。
堀近「すまん、点とれずに。しかし椎葉の姉はとんでもない球を投げるな。」
 なら…私はそれに答えなければならない。姉を失望させることのない最高の球を投げること。それが妹である私の役目だ。
佐奈「でも…私も点取らせなければ良いことです。」
 私はそういいながらマウンドに向かった。マウンドが遠く感じる。真菜姉の意思がまだ残っているような気がした。圧迫されて、何もかもなくなってしまいそうな…そんな押しつぶされそうな気持ちが…。でも…今までの私とは違う。
堀近「さあこい!」
雨宮「よっしゃ。」
 バッターは雨宮さん。こんなにすごいバッターでも私はもう…。
 シュッ!!
佐奈「っし!」
 シュゴオオオオ バシューーン!
 ストライクワン!
真菜「そうでないとね…。」
 怖いものなんて、何も無い!!

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01.29
「すみません! たこやき一つ!」
「あいよ!」
 たこ焼き。熱々の生地の中にタコが入っている。そしてトッピングはいろいろと種類がある。俺も詳しいことはわからないが、とにかくたこ焼きは好きな方だ。あの食感といい味といい。
「あいよ、300円ね。」
「どうもですー!」
 そういって俺はたこ焼きを購入した。そして後ろで待っていた撫子とヴィクトリアと合流した。
「これがたこ焼きネ?」
「そうだよ。拓斗、爪楊枝二つあるよね。」
「ああ、じゃあヴィクトリア。食べてみて。熱いから気をつけてね。」
「ハーイ! あーんっ!」
 うわ一気に口に入れやがった。熱いって言ったそばからこれかよ。一体何なんだヴィクトリアは。
「んまーーーい!」
「それはよかった。」
「熱くないの?」
 撫子がヴィクトリアに問いかける。ヴィクトリアは口に含みながらうんうんとうなずいた。しかし…。
「あ………あふーーー!!!!」
「「やっぱり」」
 俺と撫子は二人で声を合わせてため息をついた。言ったそばから無茶するからこうなるんだよ。まったくヴィクトリアは。
「ん。」
「どうした撫子。」
「あーん。」
 撫子が口をあけて待っている。ここにたこ焼きを入れて欲しいということか。俺はゆっくりとたこ焼きに爪楊枝を刺した。
「あ、ふーふーもして。」
「わかった。」
 俺はたこ焼きにむけてふーふーと息を吹きかけた。たこ焼きの上に乗っていたカツオ節が少しヒラヒラと舞っていった。
「はい、あーん。」
「あーーん!」
 撫子はたこ焼きを口に入れるとニッコリと笑顔になった。
「おいしーー!!」
 撫子がホッペタに手をあてていた。その様子がとても可愛かった。俺も食べてみないとな。

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01.29
友亀「(ストレート主体が一番だな…。そう考えると府中先輩のリードはよっぽど良いのだろうな。しっかりしなきゃ、俺。)」
 七番の但馬が右バッターボックスに入る。構えがどっしりとしていていつきても打てるという体制に入っている。このバッターは強い。気合を入れていかなければ…。
由紀「大丈夫、ストレートなら抑えられる。」
 私は大きく腕を上げてキャッチャーミットめがけて自分のグローブで目印をつけるようにして…そこに向けて!
 シュッ!
シュゴオオオオオ ブン! バシーーン!
 ストライクワン!
理嗚「(うおっ、これは…ストレートは打てねえわ。)」
 思い切りの良いストレートが決まった。ここに投げれば絶対に打たれない。私のストレートは…。変わった!
 シュゴーーーー バシューーン!
 ストライクツー!
瞳「すごいね。」
真希「どしたの?」
瞳「亜弓の成長がすごいの。」
優衣「亜弓ってこの前あんな感じだったっけ?」
香澄「ちゃうちゃう。」
久美「すごいよね…。」
美和「なんというか、ねぇ。」
萌「まるで別人みたいにすごい人になってるね。」
 バシーーン!!
 ストライクバッターアウト!
友亀「しゃあ!」
亜弓「ふぅ。」
由紀「ナイスピッチング!」
 私はゆっくりとベンチに戻るとき、ちょっとガッツポーズをとった。ストレートの勢いが増しているのが、投げている自分が実感できたことが嬉しかった。こんな気分で投げれるのは初めてかもしれない。
友亀「すまない。アレは俺のリードミスだ。」
亜弓「大丈夫、きっと援護点をとってくれるはずだから。」
日下部「そうだ、お前の武器はストレートだから思いっきり投げるのが一番だ。時には変化球も必要だが、ストレートは主体として攻めていけ。わかったな。」
亜弓「はいっ!」
池之宮「大丈夫、俺が点取ってくるから。」
亜弓「ありがとう。」
 私はベンチに座って汗をタオルで拭いた。横から手が伸びてきた。三由先輩がスポーツドリンクを差し出してくれた。
三由「おつかれ。水分補給はしっかりね。」
亜弓「ありがとう。」
 とにかく次は池之宮からの打撃。ここからおいかけていきたい。

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01.28
 バシーーン!! ストライクバッターアウト!
佐奈「っし。」
 バシューーーン!! ストライクバッターアウト!!
真菜「ふん。」
 すぐに攻撃が終わってはすぐに守備が終わる。かなりのハイペースで試合が進められていた。それもこれも私と真菜姉が最高のピッチングが出来ていることが良いことだ。私も四回表の攻撃をきっちりと抑えてすぐにベンチにもどった。今日の真菜姉からは簡単には打てない。というか打てるのかどうかすら心配になってきた。それぐらい調子が良く、休む時間なんてほとんどない。
 バシーーン!!
 バッターアウト!!
 この回もすぐにツーアウトになってしまった。全く誰も手が出せない状況だ。だけれども次は堀近さん。きっとあの心理戦の続きになるのだろうか。ヒットを打ってくれると本当に嬉しいけれども…。
堀近「(狙うべきは…ストレート! 一か八かで思いっきり振れば!)」
岸「(フォークはまずいな…狙われている。ここはストレートだ。)」
 真菜姉はうなづくと大きく振りかぶり、捻って投げる。
 シュゴオオオオオ
堀近「(いけっ!)」
 ギィイイイン!
佐奈「やった!!」
岸「なっ!?」
真菜「…!」
 真菜姉のストレートを思い切りはじき返した。そして打球は左中間にグングンとんでいく。
 ポーン
堀近「しゃあ!!」
 堀近さんは右手を大きくあげて叫んだ。そして二塁に向かって走っていく。
 ズザザザザ
 そうしてもう一度堀近さんはガッツポーズをとった。顔には笑顔がこぼれている。さすが堀近さん、チャンスを作ってくれた。そして四番にまわった。これならきっと一点は取れるはず! よし、真菜姉が動揺している今がチャンスだ!
岸「(まさかヒット打たれるとは…。椎葉、ここは落ち着いて。)」
真菜「……。」
 真菜姉は全く表情を変えてなかった。さすがに多くの修羅場を越えてきただけある。いたって冷静、そしてすぐにバッターの方へ集中する。
野本「よし、俺が決めてやる!」
坂本「頼むぜ野本!」
 ここはもう打てのサインしかない。ここで打たなければ後チャンスがいくつあるのか…いや、もうないかもしれない。だからここで決めたい!
岸「(ここは落ち着いて初球フォークで…って!?)」
 すぐに真菜姉が腕を上げる。ワインドアップ? なんで?
堀近「!?」
 堀近さんは戸惑いながらもすかさず三塁に盗塁した。真菜姉は全くその様子をきにしていない。
岸「(おいおい。俺のサインの途中で腕あげるなよ。しかもワインドアップじゃねえか。サインはどうしたサインは。)」
 そうして捻ったからだを思いっきり回した。
シュッ
真菜「っらあ!!」
 シュバアアバシューーーン!!!
 ストライクワン!!

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01.28
 パコーーン!!
「お、大当たり。」
「ニッシシシ!」
 パコーン! パコーン!!
 おおおおおお
 屋台の周りに人だかりが出来る。金髪の外国人女の子が射的で大当たりの景品を全て落とすという信じられない結果が出た。
「ま、まいどあり…。」
 屋台のおじさんは白い目になっていた。というよりは燃え尽きた何かのようだった。
「というかこの荷物、どうするんだよ。」
「私たちが今は持っているけど…本当に。」
「ダイジョブ! おじいさん達がやってくるデス!」
 そういってヴィクトリアは次にお面屋に移動した。こいつの頭の中身は一体どのような状況なんだろうか。お花畑? いや、違う。あいつの目には俺達とは絶対に違う何かが映っているのだろう。おそらく全てのものが輝いて見えるほど。
「ヴィクトリアならさ…。撫子にもそう見えてるのかもしれないけど。」
「どうしたの急に?」
 撫子が首をかしげてたずねてきた。
「全ての物が芸術に見えるのかなってさ。」
「あー。私もそういうのはあるよ。感じ方は私とヴィクトリアとでは全く違うけれどもね。だって描くスタイルが違うもの。」
「でもアイツは撫子に影響されたって言ってたぜ?」
「そこから自分のスタイルを確立していくのよ。誰だってそうでしょ? まねごとだとしても最終的には自分のやり方になってくる。基本はどれだって同じ。拓斗が野球をやっていた時だってそうでしょ?」
「まあな。」
 俺と撫子は次第にヴィクトリアの様子が微笑ましく思えてきた。この両手に持っている荷物をどうにかして欲しいのは別として。
「お待たせしました。」
「あ、おじいさん。」
 そういって俺と撫子は荷物を預けた。再び俺達も屋台をまわることにした。
「撫子は何やりたい?」
「私は…たこ焼きとか?」
「おっけー。じゃあ俺のおごりで。」
「ありがとう!」

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01.28
 よし、ストレートで三振をまたとれた。私の武器はこれなんだ。ストレートがあってこその私なんだ。まだ攻められる場所はいくらだってある。ストレートだったらあの真田選手だって抑えられる! だから…思いっきりなげるのみ!
 シューーーー バシーーン!!
 ストライクワン!!

?「お久しぶりー。」
美琴「あっ、涼香先輩!」
定峰 涼香(さだみね すずか)「やっほー。準決勝なんだってね。」
千恵美「先輩?」
恵美「知り合いなんですか?」
美琴「私が一年生の時、マネージャー部長だった人。」
涼香「どうもー。」
瞳「うわー、綺麗。」
真希「おねえさんだね。」
涼香「あら、ありがとう。…って瞳ちゃんじゃない。」
瞳「私の名前知っているんですか?」
涼香「去年のジュニアオリンピック後、ケアで手伝っていたのよ。」
瞳「そうなんですか。ありがとうございます。」
涼香「いえいえ。それで…今守っているのね。」
 ブン! バシーーーーン!!
 ストライクツー!!
涼香「!? …あの子だれ?」
美琴「一年生ピッチャーの日高亜弓です。」
涼香「亜弓ちゃんかぁ…。」
 シュゴオオオ バシューーーン!
 ボールワン!
亜弓「(あっ、惜しい。)」
涼香「(あの投げ方は何? 相当な柔軟性を持っていないと出来ない投げ方よ…。下手したらすぐに壊れるほどのフォームなのに…。出所がとても見難いのが特徴だけれども、体全体で投げなきゃすぐ肘を痛めるフォームなのに…。)」
 シュゴオオオオオ!
境「ぐっ!」
 バシーーーン!
 ストライクバッターアウト!
涼香「ねぇ。この回に点取られたみたいだけれども、変化球で打たれた?」
美琴「はい、そうです。」
涼香「(そうよねぇ。あんなストレートは高校生で打てる人なんてめったにいない。)」

 よし、これでツーアウト。しっかりと押さえ込んだ。けれども次は気をつけてと教えてもらったあの七番、但馬選手。たしかにちょっと風格が違う。真田選手の次に怖いバッターかもしれない。

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01.27
 シューーーー バシーン!
 ボールワン!
雨宮「(こいつがストレートか…。たしかに速いし勢いもすごい。威圧感もある。)」
 じっくり見てきた。でも…そうかんたんに打てるような球ではないはず。それに…ストレートだけが私の武器ではない。
堀近「(ここは変化球で…。)」
 サインは…アレだ。真菜姉から教わった変化球で!
 シュッ!
雨宮「!」
 グググッ ブン! バシーーン!
 ストライクツー!!
雨宮「(フォーク! 鋭さなら真菜姉よりも良いかも?)」
真菜「前よりあのフォークようなったわね。」
岸「切れだったら…。」
真菜「確実に私のフォークより良いね。」
 よし、フォークも切れ味が増している。このフォークは大きな武器になれる。そしてサインは…ストレート。ここは力で押していきたい!
雨宮「(フォークは無理だ…ストレートで勝負だ!)」
 大きく腕をあげ、体を捻る。そして…。
佐奈「ふっ!」
 シュゴオオオオオ
 ギィイン!!
雨宮「ちっ、あげすぎた。」
堀近「センター!」
 思いっきり投げたストレートはセンターまで運ばれた。思いっきり投げたストレートだったのに…。
 バシン アウト!!
 私は打ち取ったけれども悔しかった。あの渾身のストレートが簡単にセンターまで運ばれたことが…。それでも、まだまけているわけでもない。点をとられているわけでもない。さらに言えばあの大学ナンバーワンとも呼ばれたバッターを抑えたのだから誇りに思うのが一番だろう。
堀近「大丈夫! ここからもっと気合いれていけば抑えられるよ!」
佐奈「わかった!!!」
 私はもう一度気合を入れなおして、バッターのほうを向いた。

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01.27
「ヒー、ヒー。」
 ヴィクトリアが疲れながら階段を上りきった。俺たちも息をすこし切らしながら上りきった。
「ふぅー、久々に上ると辛いな。」
「私は…疲れるわよもう。」
 俺たちは上りきった後の景色に感動した。その中でも一番感動していたのはヴィクトリアだった。
「いやっほおおおおおおおおおおおおお!!!!」
 ヴィクトリアは先ほどの疲れが嘘かのようにはしゃぎまわった。いったい何なんだ…。俺たちはもうついていけない。
「コレ! ワタアメ!」
「そうだね。」
 そういって俺たちはヴィクトリアに近づいて屋台の人に声をかけた。
「すみません、これください。」
「あいよー!!」
 そういうとヴィクトリアは何も言わずにわたあめを持って目をキラキラと輝かせた。いったいこのテンションは…。
「オジイサン、アリガトウ!!」
「おー! 外国人の浴衣姿見れるだけでさいこうだぜ!」
「アリガトウデース!!」
 ヴィクトリアはワタアメをほおばる。そしてニッコリと笑う。
「オイシイデース!!」
 そしてまたワタワタと歩きまわり始めた。俺たちもあいつに負けないぐらい元気にならないとな…。
「次はこれがいいデス!!」
 そして指差したものは…射的だった。
「だめ!! ヴィクトリア、それだけはダメ!」
「イヤデス! 得意なのをやらずにはいられないデス!」
 そういってヴィクトリアはおじちゃんにお金を渡した。いったいなんで撫子は止めようとしたのだろうか。
「あ~あ…。」
「どうしたんだ撫子。」
「いや…あの子…。」
 パァン! パコーーン!
「イェイ!!」
「大当たり!!」
 なっ。いきなりゲームの箱たおしやがった。一体何故!?
「あの子、射撃とか趣味でやってる子なのよ。」
「まじかよ…。」
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01.27
 真田選手がホームを踏んで一点がとられた。けれどもここで諦めては行けないきっと友亀もリードの仕方を変えてくるだろう。
友亀「すまない! (アレで打たれた? ぐ、偶然だろう。けれども…。)」
 私は再び構えた。そして相手バッターは五番の倉持。ここからどうやって攻めていこう…。サインは…また変化球? どうしてなのだろう。さっきも変化球でホームランうたれたのに…。
友亀「(ここは我慢だ。)」
 しかたない、ここはサイン通り、スラーブで…。
 シュッ
 ググググッ
倉持「(ここか、変化球ならねらい目!)」
 ギィイイン!
亜弓「あっ!」
 打球はサードのベースを越えてファールゾーンへ。
 ガシャン!
千恵美「うわっ。」
恵美「あぶないじゃない! ちょっと亜弓ちゃん、頼むよ。」
 また引っ張られて打たれた。でもファールになっただけよかった。でも…サインはどうするのだろうか…。
友亀「(戦略変えるか? いやしかし…。)」
由紀「亜弓!!!」
 そのとき由紀が声をかけてきた。由紀はニッコリと笑って手を振っている。
由紀「強気でいこう! 友亀も強気のリードでいこう!!」
 そういって私は友亀の顔を見た。友亀もそのことに気づいてうなづいた。そして座ってサインをだす。サインは…ストレート。やっと私の武器ともなれるストレートを投げられる。さっきも二球しか投げていない。これじゃなきゃ…私じゃない!!
 シュゴオオオオオ
倉持「(!?)」
 バシーーーン!
 ストライクツー!!
佐奈「やっとだね。」
真菜「気づいたみたいね。」
 よし、ストレートも走っている。これなら思いっきり投げても問題ない。全部抑えられる!
友亀「(すまねぇ、俺がわるかった。)」
 次のサインもストレート。やっと思いっきり投げられる! これなら!!
 シュゴオオオオオオ
 ブン!バシーーーン!
 ストライクバッターアウト!!
亜弓「っし!!」

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01.26
佐奈「しかたないですよ、堀近さん。」
堀近「…次は打てそうだな。」
佐奈「えっ?」
堀近「いや、心理的なものさ。さてと、いこう椎葉!」
佐奈「はい!」

雨宮「どうしたんだ椎葉、嬉しそうな顔しないのはいつものことだが、険しい顔して。」
真菜「あの人、相当特訓したらしいね。私もそれに答えないとね。」
岸「あいつフォーク振ったよな。よく逃げ腰にならずに向かっていったよな。」
雨宮「あれか…。たしかにアレは俺も怖い。とにかく、あの捕手の気合は俺からでもわかった。ビリビリと伝わる風格。ありゃプロいっても間違いなく良い選手になっているだろうな。」
真菜「それならなおさらね。」
雨宮「おいおい、そんな怖い顔しないでくれよ。」
真菜「安心して…。私は楽しんでいるから。」
岸「そのために雨宮、一本打ってこい。」
雨宮「あいよ。」

 二回の表が始まる。バッターは四番の雨宮さん。偵察にきていたあの人だ。…他のバッターとは明らかに違う。大学ナンバーワンバッターとも呼ばれるだけあるかもしれない。間違いなく今まで戦った中でかなりの強敵かもしれない。
堀近「(初球はスライダーで…。)」
 私は変化球でもフォームを意識して、放つ瞬間思いっきり!
 シュッ!
雨宮「(あせったか?)」
 グンッ! ブン! バシーーン!!
 ストライクワン!
雨宮「(あせっていたのは俺のほうか。)ふぅ…。」
 スライダーを空振りした。けれども余裕の表情をしている。何がなんでも気をつけていかないと…。

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01.26
 ざわざわ…
「まだ行く途中なのに人多いね。」
 ヴィクトリアはわたわたと動き回っていた。何でも素晴らしく見えているのだろうか。元気すぎて俺たちはついていけるかどうか…。
「これ、提灯ネー!」
「こら、はしゃぎ回ると転けるよ!」
「おわっと !」
 あ、転けそうになった。だからいったのに。
「アブナイアブナイ。」
 危なっかしいなあ。それがあってこそのヴィクトリアだもんな。その元気さは俺たちも見習うべきだ。
「この先に峠があるネー。ここをのぼるの?」
「そうだよ。私が前に展覧会で発表した絵もここがモデルだよ。」
「へぇ、はじめて知ったよ。」
 ここを少しだけのぼると目黒神社に到着する。しかしその前が意外なほど大変な場所がある。
「さあて、ここからだな。」
「いつ見ても長いね。」
「ワーオ!」
 階段。段数があって着物でのぼるのは辛いことだ。しかしここをのぼりきれば楽園とも呼ばれる屋台が並んでいる。頑張ってのぼろう。
「イクデース!」
 ヴィクトリアはどんどんとのぼっていく俺たちもそれを追いかけるようにのぼった。何段も何段も…。
「疲れたデース…。」
「はやっ!?」
 あの元気はいったいどこへいったのやら…。

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01.26
友亀「しゃーない。日高、いくぞ!」
亜弓「はいっ!」
 私はすぐに気持ちを切り替えてマウンドに向かった。
佐奈「あの投手、普段はストレート主体だけど今日は変化球にたよっているね。」
真菜「キャッチャーの指示だね。でもどのバッターにもそのような指示は禁物だね。」
佐奈「私は…変化球で打たれてからキャッチャーもスイッチ入れてきそうな気がする。その前に気づけばいいけど。」
 次は…あのピッチャーが四番、真田さんだ。ってでかい!
友亀「(でかいな…。ピッチャーとは違って、バッターになったとたん力任せに振りそうな気がする。ここは遅い変化球で振らせるか。)」
 最初の球はサークルチェンジを低めに…。ボールになっても良いように!
 シュッ ググググッ
 バシン! ストライクワン!
真田「(ちっ。)」
 これが入ったのは大きい。うまくストレートを使わずに変化球を入れられるみたい。これなら抑えられそう。
友亀「(よし、これなら…。)」
 次はスラーブ。内角の厳しいところからストライクゾーンに!
 シュッ
真田「ふん。」
 ギィイイイイインン!!!!
亜弓「えっ!?」
友亀「なっ、レフト!!!」
由紀「そこでスラーブ投げるの!?」
 由紀が後ろへと追いかける。しかし打球はグングンと伸びる。由紀はフェンスにたどりつくとのぼり始めた。
由紀「これは…。」
 由紀はフェンスの一番高いところに立った。
瞳「あぶない!!!」
真田「まじかよ…。」
 由紀がジャンプの構えをした…。しかし、
真菜「ダメ、入る。」
 ポーン。頭上のはるか上をボールが通り越した。そのままスタンドにボールが入った。審判が手をグルグルと回す。ホームランを打たれた。
真田「ふう。」
 くやしい。二回に早くも一点取られる、しかもホームランで…。私の特訓の成果とは一体何だったのだろうか。…でも。私はまだ投げなきゃいけない。それに肝心のストレートでホームランを打たれたわけではない。まだ試合は始まったばかりだ。
真希「あぁ…。」
由紀「これは…届かない。」
 由紀は金網から飛び降りた。その表情はくやしそうだった。そして由紀は私のほうを向いて帽子をとった。
由紀「ごめん。」
 由紀が謝った。でも…由紀は悪くない。
亜弓「大丈夫! …私、まだ投げられるから!」
由紀「…。」
 由紀はすぐに笑顔になってグローブをパンパンと叩いた。
 私は一点取られた。でも…まだ二回、ここから絶対に打たせなければ良いこと。抑えてみせる!!!

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01.25
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。




 かつての古豪がよみがえった。16年前、夏の甲子園で優勝を果たして以来、甲子園という表舞台に顔を出せずにいたが、穏修学園が今年甲子園への切符を手に入れた。穏修学園は16年ぶり9回目の出場となった。今年の穏修学園は「走る野球」とモットーにして戦い抜き、足を生かした攻撃・守備と鋭い野球をみせてくれた。投手にいたってはものすごい量の走りこみをし、体力をガツガツつけた。その中でも古森(こもり)投手「3年」は準々決勝と準決勝を延長で投げ抜いている。この体力には誰もが驚いた。暑い日ざしが照らされる甲子園で、選手たちは「走る野球」をみせてくれるのだろうか。
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01.25
 プレイ!
 真菜姉の投球が始まった。腕を胸の部分にあて、一回深呼吸するとゆっくりと足を上げて体を捻る。そしてためにたまった力を一気に放つように投げる。
 シュバアアアアア ドシューーーーン!!!
 ストライクワン!!
 オオオオオ
 会場からは大きな声援と拍手が沸き起こる。初球153キロ。速いには速いけどそれだけじゃない。圧倒的威圧感に球のノビ。そしてダイナミックな投球から生まれる重い球。さらには…。
 シューーー
高坂「うわっ。」
 グンッ バシーーン!
 ストライクバッターアウト!
高坂「まじかよ…。」
 決め球のフォーク。恐ろしいほどに落ちる。しかもただのフォークではない。スライダー気味に横変化も与えるフォーク。球の回転をコントロールできるフォークは私にもまねできない。いや、まねできる人は本当に何年かに一度の人でないと出来ないかもしれない。とにかくあのストレートだけが大きな武器ではないことはたしかだ。
 シュゴオオオオオバシーーン ブン!
 ストライクバッターアウト!
坂本「くそっ!」
 まずストレートをバットに当てることが出来なければ何も始まらない。それぐらいすごい球だからだ。
堀近「ふぅーー。」
 堀近さんが大きな深呼吸をしてバッターボックスに入る。堀近さんは何か対策をとってきているのだろうか。
真菜「…。」
岸「(こいつの読みは鋭いからな。なんとかリードしないと。)」
 真菜姉がサインにうなづき、投げる
 シュゴオオオオオ ブン バシュゥゥウウウン!!
 ストライクワン!
堀近「っつ!」
 完全に振り遅れている。でもバットの位置なら当たってもおかしくない位置。これならもしかすると…。
 シュゴオオオオ ブシィ バシューーーン!
 ストライクツー!
 あぁ、ボール球を振ってしまった。本当に球は見えているのだろうか。
岸「(フォークで。)」
 真菜姉が足を上げる。そして…。
 シュッ
堀近「(来た! 恐れるな、振れ!)」
 体に当たるかもしれないというあぶない球。しかしそれは…。
 グンッ!
 フォークだ!
 ブン!! バシーーーン!
 ストライクバッターアウト!
岸「(怖がらなかった!?)」
真菜「ちっ。」
 三振になってしまった。けれども堀近さんは悔しがっていない。逆に真菜姉の方が険しい顔になってる。どういうことなのだろうか。

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01.25
「撫子、白羽根サン、ちょっとお時間、イイデスカ?」
「どうしたのヴィクトリア。」
 ヴィクトリアがいきなり小さなバッグを取り出した。そこにはA4サイズほどの紙があった。
「おばあさん、そこに座っていてこっちを見てください。5分で終わりマス。」
「は、はあ。」
 おばあさんは状況を飲み込めず、そのまま座ってヴィクトリアの方をみた。俺と撫子はすぐにわかった。おばあさんの絵を描くのだろう。俺と撫子は邪魔にならないようにヴィクトリアの後ろに立っていた。撫子に教わっていただけあって、ヴィクトリアも描き方が同じだった。相手の対象人物を見ながらちょこっとだけ描いているところを見て描く。サラサラと描いていく姿は本当にすごかった。鉛筆一本だけで光も影も表現し、なによりも立体感のある絵がすごかった。
「デキマシタ。」
「どれどれ。」
 おばあさんはゆっくりと紙を受け取った。
「まあ、これはすごいわねぇ。」
 おばあさんは受け取った紙をまじまじと見ていた。そのうちに目から涙が見えているのがみえた。それだけ感動させるほどの絵をかけるというのが本当にすばらしかった。
「喜んでいただけて、アリガトウデス。」
 そういってヴィクトリアはニコニコと笑っていた。
「それとこれ一つ、お願いシマース!」
 そういって髪留めをとった。
「ありがとうございます。」
 そういっておばあさんはゆっくりと歩いてカウンターに移動した。そして購入を終えたヴィクトリアはニッコリと笑って言った。
「良いところにつれてってくれて、アリガトウデス!」
 俺と撫子はにっこりと微笑んだ。

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01.25
 海鳳は左バッターボックスだ。一年生特待生組みの力を見せて欲しい。真田投手は変に意識しようとはせず、まるで鉄仮面のように表情一つ変えないでいる。今までの中で一番やりにくい相手だ。
理嗚「(こいつは…海鳳って言ったけな。注意していかないと。まず低めのストレートだ。)」
 海鳳はしっかりと構える。真田投手は足を上げて投げる。
 シュゴオオオオ ブン ドスーーン!
 ストライクワン!
海鳳「ひゅーっ。」
 初球は空振り、海鳳でも空振りしてしまう。恐ろしいストレートだ。
理嗚「(こいつは別物だ。初球から振ってボールとバットの差が近かった。)」
境「理嗚、打たせてとっていいぞ! さあバッチ来い!」
理嗚「内野しっかりまもっていこう!」
 キャッチャーの指示で内野が大きく声を出し、気合を入れた。
 海鳳! 海鳳!
 スタンドから精一杯の応援が聞こえてくる。海鳳の耳にもきっと届いているはずだ。打ってくれるはず。
 シュッ ググググッ
 これはフォークだ!
 ギィイイイン!
海鳳「っし!」
由紀「抜ける!」
 打球は三遊間のショートより、強い当たりだ。これならレフト前にヒットになる!
理嗚「東山さん! 間に合います!」
東山「っしゃああ!」
 ズザザザ バシン!
 あの打球を捕った!? ショートはすぐに立ち上がりファーストに投げる。
東山「っし!」
沖田「海鳳走れ!」
 ショートから速い送球が返ってくる。ファーストは目一杯足を伸ばす。海鳳も走る。
 ドンバシン!
 判定は!?
審判「アウトォ!!」
東山「しゃああ!」
前田「ふぃー。」
海鳳「っち、マジか。」
 アウトになってしまった。スリーアウトチェンジ、初回三者凡退で攻撃を終えてしまった。

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01.24
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。





 熊本からは強豪国士大学熊本高校を破り、川尻高校が初の甲子園への切符を手に入れた。川尻高校は創立30年目という節目に春夏通じて初出場。まさに学校の歴史に残る出場となった。原動力となったのは岡部監督の打順無視オーダーが吉と出た。決勝では川尻のマシンガン打線が火を噴き、17安打10得点でスタメン全員安打というオマケもつき勝利に導いた。投手は左の稲毛『3年』が全試合を投げぬいた。時と場合によって打たせてとる投球、三振をとる投球をし、相手打者を翻弄させていた。
 熊本からの新星は甲子園の舞台でマシンガン打線を見せることができるだろうか。

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01.24
 シュバァアアアアア ブン バシーン!!!
 ストライクツウ!
 シュウーーーー ドシューーン!
 ストライクバッターアウト!
小菅「っち。」
 よし、まず一人目を三振に切り取った。この調子で抑えていけばきっと大丈夫なはずだ。後ろにも仲間はいる。頑張って抑えよう!
 バシーーーン!
 ストライクバッターアウト!
 バシーーーン!
 ストライクバッターアウト!
佐奈「ふぅ。」
スタンド「おおおおおお!」
 三者三振で切り抜けられた。よし、これなら姉とも戦える! この試合、絶対に勝ってみせる!
雨宮「おいおい、やばいんじゃないか椎葉。」
真菜「問題ないわよ。私が打たせないから。」
岸「お前が言うと自然とそうなるからな。」
真菜「しっかり受けなさいよ。」
岸「へいへい。」

 スタンド内
下北「佐奈ちゃんすごいね。」
小田「本当にね。でも…相手って佐奈ちゃんのお姉ちゃんなんでしょ? それにすごい選手だって…。」
下北「佐奈がすごいんだもの。きっとお姉ちゃんもすごいはず…。」
 バシィイイイイイイン!!
小田「………。」
下北「本当に勝てる…のかな。」

堀近「相変わらずえげつない球してやがるな。」
佐奈「堀近さんが三番に入るのは良い作戦だと思います。」
堀近「アイツの情報を少しでも入手したいからな。なんとかバットに当てるよう頑張ってくるよ。」
佐奈「あとは私が抑えますので。」
堀近「たのんだ。」

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01.24
「どこ行くの?」
 ヴィクトリアは撫子に声をかけていた。しかし撫子は、
「秘密。」
 といってはヴィクトリアの手をとって移動していた。そこに自分の絵が飾られているとも知らずに…。
「お祭りは間に合うノ?」
「もちろん。ねっ、拓斗。」
「ここからなら全然間に合うさ。」
 そういっている間にも目的地に到着した。今日も店はやっている。おばあさん、どんな反応をするのだろうか。
 カランカラン
「いらっしゃい。あら、この前のお客さん、浴衣似合ってますね。」
 おばあさんがニッコリと笑ってこちらを向いた。
「こんにちは。今日はある方とつれてきて…。」
「コンニチハー。」
 するとおばあさんは目を丸くしてゆっくりと立ち上がり、こちらに近づいてきた。
「もしかして…ヴィクトリアちゃん?」
「ハーイ! ヴィクトリアでーす!」
「あぁ、あああ。」
 おばあちゃんはその場で涙を流し始めた。そしてヴィクトリアが近づいていった。
「私の絵を、飾ってくれて、アリガトウ。」
「まさか本人に会えるなんてねぇ…。私は生きていてこんなことがおきるなんて幸せじゃよ…。」
「そう思っていただけるのは、光栄デス。」
 そういってヴィクトリアはおばあさんに抱きついた。
「アリガトウ。」
「いいえいいえ…。」
 微笑ましかった。そして何よりもヴィクトリアの心の温かさがとても良かった。

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01.24
卜部「(たしかにこいつはヤバイ。)」
 ミットからものすごい音が出された。ものすごく重そうなストレートだ。そして速い、球速表示は143キロをマークしていた。
府中「(こいつは手ごわいな。)」
 シューーーー
卜部「(ならこれで!)」
 バントの構えをする。セフティーだ!
 ギィン! ガシャン!
 ファールボール!
 想像以上に伸びたのだろうか、バットの上にあてて後ろのバックネットに当たった。バットが押されていた。
卜部「(いてえなこんちくしょう。)」
理嗚「(パワーは押されている感じか。なら…ストレートで三振だ。)」
 大きく腕を上げて足を上げる。あのフォームはタイミングがとりやすいけど…とにかくでかいから打ちづらい。
 シューーーー ブシン! バシーーン!
 ストライクバッターアウト!
理嗚「ナイスー! ワンアウト!!」
前田「へいワンアウト!!」
 卜部先輩は三振に倒れた。あのストレートは打つのが辛いだろう。次は二番の府中先輩が右バッターボックスに入った。力には力で対抗ということだろうか。
 シューーーー バシーン!
 ボールワン!
理嗚「(良く見たな。)」
府中「(なるほど、重いわけだ。)」
 府中先輩はいたって冷静だ。さて、どのように打つのだろうか。
 シュッ ググググ
池之宮「アレはフォーク。」
 バシン!
 ストライクワン!
 フォークが投げられた。なかなか落ちるフォークで見分けが難しそうだ。
新天「高いところからのさらに落差のあるフォーク。なるほどね。」
 しかし府中先輩はフォークを見ても表情何一つとも変えずに構えている。
理嗚「(こいつには小細工は効かないか。チッ、めんどくせえ。なら力で押していきましょう!)」
 キャッチャーのサインにピッチャーの真田はうなづいた。そして大きく振りかぶって投げる。
 シュッ
府中「(ストレート!)」
 グッ
理嗚「(動いた!)」
 ギィイイン!
理嗚「レフト!」
海鳳「あげすぎた。」
府中「チッ。」
 ナカナカ良い当たりを見せたが打球はレフトフライになりそうだ。落下点に入ったレフトがしっかりと構えて捕球した。
 バシン
 アウトー!
谷川「ナイスピッチャー。打球死んでるよ!」
理嗚「ツーアウト!」
 これでツーアウトになった。いままでの中で一番あっさりアウトをとられている。当てられないということはなさそうだけれども、ヒットを打つのは難しそうだ。由紀は…大丈夫だろうか。
ウグイス嬢「三番、センター、海鳳君。」
海鳳「しゃあああ!!」
 海鳳が気合を入れてバッターボックスに入る。海鳳なら決めてくれる気がする。頑張って!

line-s
01.23
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。





 岩手はサヨナラで試合を決めた。ここまで四番で活躍してきた立山 快(たちやま かい)『3年』が最終回に小野寺学院盛岡高校のエース、伊東『3年』をついにとらえた。0対0のまま迎えた九回の裏、ワンアウト一塁。甘い球が来たらすぐに打つと決めていた立山。見事初球の高いストレートを見逃さずに捉え、レフトスタンドに運んでいった。これで一葉高校は2年ぶり12回目の出場となった。立山 快は今年のドラフト候補。パンチ力のある打撃は当たるとかなり飛んでいく。身長は平均だが、ガッチリとした体格はまさに日本人離れ。甲子園でこのパンチ力ある打撃を見せることができるのだろうか。
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プロフィール

reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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