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09.30
真希「ねえ亜弓。」
 昼休みが始まると真希と瞳が椅子を持ってやってきた。由紀は自然と机を私の方に向けた。
亜弓「どうしたの?」
 私は真希の方を見てから予測した場所に手を伸ばし、弁当の箱を手に持った。
真希「今日吹奏楽部とアイドル同好会に挨拶しに行こうとおもうの。」
由紀「いいね! でも吹奏楽部は分かるけど、なんでアイドル同好会にも? それにいつの間に出来たんだね。」
瞳「スノーフェアリーの三人が作った同好会だよ!」
由紀「そのまんまじゃない!」
亜弓「でもチア部だって挨拶あるんじゃないの?」
真希「ちょうど大会がかぶっていてね。四・五回戦からは出れるらしいからその時に挨拶しに行こうと思っていてね。」
由紀「なるほど、食べ終えたらいきすか。」

 昼食を食べ終えた私たちはお話の予定場所となっている吹奏楽部の部室前に移動した。すると、部室前に二人の女性が立っていた。
真希「あ、蓮沼先輩。」
蓮沼「こんにちは。これで一年生全員?」
真希「はい。」
 な、なんて美しい人なんだろう。髪もさらさらして高嶺の花のイメージが合いそうな女性だ。私よりも身長が高い。
蓮沼「私が部長の蓮沼よ。よろしくね。」
由紀「よろしくです。羽葉由紀です。」
蓮沼「由紀ちゃんね、よろしく。」
亜弓「あ。」
由紀「ち…ちゃんは入れなくて大丈夫です! 恥ずかしいです!!」
蓮沼「ど、どうしたの?」
瞳「由紀はちゃんと呼ばれるのがなれていないのです。」
蓮沼「そうかぁ…かわいいなあ。」
由紀「あうわぁ……。」
 プシューーーーーー
亜弓「あ、落ちた。」
蓮沼「あらら…。申し訳ないことしちゃったね。それと…あなたが日高亜弓よね。」
亜弓「え? 知っているんですか?」
蓮沼「もちろん! けっこう有名だよ、学校内では。」
亜弓「そんな、私なんてぜんぜん。」
瞳「人気だよー。すごいじゃん。」
亜弓「ソレを言うなら瞳の方がすごいじゃん!」
橋風「ふん、アナタたちなんてまだまだよ。」
 部室から出てきた女性が強気な口調で私たちに言ってきた。
蓮沼「こら橋風、この人たちは挨拶しにきているのよ。」
橋風「なんで私が泥臭いような人たちとお話ししなきゃならないのよ。」
瞳「なによそれ! キミは橋風だよね。音楽がすごいできるからっていきがっているんじゃないよ!」
橋風「そんなあなたは瞳よね! 柔道でバンバン投げているだけじゃ脳筋しか発達しないわよ!」
瞳・橋風「ぬぐぐぐぐぐ……。」
亜弓「瞳おちついて。」
蓮沼「こら、やめなさい。」
由紀「二人とも、結局はすごいんだから。争う必要なんて何処にもないよ。」
瞳「そ…そうよね。ごめん。」
橋風「ふん、すまなかったよ。」
 バタン!
蓮沼「あー…ごめんね。あの子気難しい子だから…。」
 橋風…ああ見えてものすごく真剣な目をしてた。きっと音楽に対する情熱はすごいのだろうな。

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09.29

 その四日後
 抽選会場
日下部「準備は良いか?」
府中「抽選ですね。それでは入ってきます。」
 ガタッ
三由「監督、今年の甲子園は例年より暑くなりそうですね。」
日下部「そうだな。選手の体調管理はしっかりたのむぞ。」
三由「まかせてください。今年こそ甲子園で優勝させてみたいですね。」
日下部「甲子園で優勝するなんて誰だって考えている道だ。そんな中をあいつらは勝ち抜いていかなければならない。俺は勝つための指示を出すことが一番の仕事だ。それと選手の実力をしっかり引き出すことも必要だ。」
三由「大変ですよね。私もしっかり働きます。」

 学校にて
芦毛「どこになるのだろうな。」
卜部「何処が来たって俺達がしっかりやれば勝てるさ。」
 ザワ…ザワ…
 皆が部室内で芦毛先輩の携帯を見つめている。ものすごい集まりだ。
亜弓「由紀、抽選会ってうちらシードだよね。」
由紀「そうだよ。でもそのブロックが良いか悪いかも気になることろだし。」
亜弓「そうなのか…。」
 ピロロン
芦毛「お、きたぞ!」
皆「おおお!!」
 メールが届いたらしい。
芦毛「Bシードだ。随時対戦相手などが決まったら報告すると。」
栗山「Bシードか。」
亜弓「いよいよだね。」
由紀「うん。がんばろう。」

 抽選会場
 95番、春日部工業。
日下部「お疲れ様。俺は用事があるから先に失礼するぞ。」
府中「わかりました。後で対戦相手の報告をさせていただきます。」
三由「うふ、可愛い男子たちがいっぱいだね。」
府中「こら、ここにきてそんなことするんじゃねえ。」
三由「だってぇ~。」
 46番、吉川西高校
三由「あ、決まったよ。」
府中「吉川西か。メール打たなきゃ。」
 48番、埼玉明治高校。
府中「ん?」
三由「まさか…埼玉明治高校が近くに。」
府中「これ…勝ち進んでいったら二回戦で当たるぞ。」
三由「気合…入れていかないとね。」
府中「そうだな。ここまで決まったならもう出るぞ。」
三由「あ、うん。」
府中「それと蒔苗。」
三由「何?」
府中「必ず甲子園つれてって見せるからな。」
三由「う…うん。 (な、何今ドキッとしたの? え? なんなの!?)」


 ピロロロン
芦毛「お、また来た!」
栗山「今度はなんだろう。」
芦毛「初戦は吉川西高校だってよ!」
海鳳「おお! やってやるぜ。」
芦毛「まじかよ!?」
亜弓「えっ?」
 皆が一瞬静まり返る。そして芦毛の顔色を見ると険しい表情に変わった。
芦毛「二回戦にいけば…おそらく埼玉明治と当たる。」
皆「えぇ!?」
 埼玉明治高校。甲子園にも出場している強豪高だ。まさかこんなところで当たるなんて…。おそらく総力戦。周りからみれば死のブロックになるだろう。
由紀「いいじゃん。強い相手ほど先に倒してしまえば楽だよ! みんな元気だしていこう!」
 由紀が元気な声で皆を勇気付けている。
友亀「そうだな。やってやるぜ!」
池之宮「俺が打てば良いことだろ。」
中山「お前だけじゃねえぞ。俺だっているぜ。」
卜部「絶対後ろにはそらさせねえぞ。」
 皆気合が入っている。誰もがそうだ。勝ちたい気持ちで一杯だ。私だって負けないぞ!

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09.29
亜弓「……あ、はい!」
 よ、呼ばれた。私の努力が報われた。よかった…。まだ野球を続けていてよかった。
日下部「頼むぞ。」
亜弓「…はいっ。」
日下部「泣くな泣くな。」
 そういわれたって涙はでる。すごくうれしいもの。こんな人たちと一緒に野球ができるなんて。
日下部「それと日高もここに立っていてくれ。」
亜弓「え、あ、はい。」
日下部「次、十一番! 館川!」
館川「はいっ!!」
 ここまでで一番大きい声で返事をしたのは館川だった。選ばれて良かった。
日下部「日高、芦毛、館川。トリプルエースは任せたぞ。」
芦毛「はい!!」
亜弓「は、はい!」
館川「うっす!」
日下部「よし、もどっていいぞ。」
 私たちがトリプルエース、これは重要だ。私たちはしっかり抑えるという使命が渡された。しっかり果たさなければ。
日下部「十七番までいっきにいくぞ! 呼んだ順が背番号だ。田辺! 杉地! 沖田! 米倉! 野中! 池田!」
 ここまで伊沢と由紀が呼ばれてない。どうしてなのだろう。まず由紀は確実なまでの成績を残しているのに…。
日下部「十八番! 羽葉!」
由紀「はいっ!!!!」
 誰よりも大きな声で返事をしたのは由紀だった。よかった。由紀が選ばれて。
日下部「羽葉、お前はこの背番号だが秘密兵器だ。ここぞという場面と使いたい試合ではドンドン使っていくからな。この番号は相手に油断させるためもある。俺は期待しているからな。頼むぞ!」
由紀「はいっ!」
 由紀が信頼されているからこの番号ということなのだろうか。ものすごく意味がありそう。そして由紀のあの笑顔、とてもうれしそうだった。これで後は…伊沢が呼ばれていない。これも野球だからこその運命なのだろうか。
日下部「十九番! 堀川!」
堀川「はいっ!」
 三年生の先輩が呼ばれた。これであと一つ。二十番だ。果たして選ばれるのだろうか…。
日下部「最後だ! 二十番!」
 最後だ、これで選ばれるのは…。
日下部「伊沢!」
伊沢「はい!!!!」
 伊沢が呼ばれた。よかった。本当によかった。そして背番号が決まった。
日下部「呼ばれた奴は呼ばれなかった奴のために精一杯戦え! そして呼ばれなかった奴は悔しさがあるだろうが、応援してくれ! みんな、今年こそ甲子園で優勝するぞ! わかったな!」
皆「はいっ!」
 私の出番が来たら絶対に抑えてみせる。そんな気持ちで行くことにした。

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09.29
 ガラッ
「おはよう。」
 俺は教室に入って挨拶をした。
「おはよ。」
 後ろについてきた六道も一緒に挨拶した。それを見た生田がびっくりしたような顔をして俺に近づいてきた。
「おい、なんで六道と一緒に入ってきたんだ!?」
「え?」
 まさかもうばれたのか? いや、いつかはばれる日が来るのは分かっている。どっちにしても皆が知るのも時間の問題だろう。
「まさかな、そんなわけないよな。ごめんごめん。」
 といって俺の肩をポンポンと叩いてきた。本当に分かっていないのか!? 勘付くはずだろ。でもそうならそうやって振舞っていけばいい。
「そうそう、そういえばさ。」
 そういって俺は生田に腕を掴まれて引っ張られた。後ろをチラッと見るとニコニコしている。そうか、友達とは仲良くしてってことなのだろうか。それならまた後でだな。

「ん~。」
 四時間目の授業が終わった。やっと昼食の時間だ。伸びを終えると横には椅子を持った六道がいた。
「食べよう。」
 ニコニコしながら俺を見つめてきた。やっぱり可愛いぜ。
「いいよ。」
 俺は机を下げて六道のスペースを作った。
「おお!?」
 クラス全体がざわつき始めた。

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09.28

キーンコーンカーンコーン
由紀「ついにこの日が来たね。」
亜弓「うん。」
 そう、今日は背番号の発表日。私と由紀は選ばれているのだろうか。一年目で選ばれた正直嬉しい。でも皆すごい人たちばかりだから私たちの入る場所なんてあるのかどうかという心配もある。でも由紀ならきっと入るだろう。一番最高な番号はやはり1番だ。ほかのメンバーに私は勝つことができるのだろうか。

 ガラッ
 私は今日野球部が借りている教室のドアを開いた。すでに部員のほとんどが座っている。皆険しい表情をしている。中には負けてたまるかのようなにらめつけてくる人でさえいた。私は気持ちを一気に切り替えて席に座った。
 私と由紀が座ると日下部監督が入ってきた。
日下部「お前たちに取ってみれば大事な時間だと思う。私も深沢と共に夜遅くまで考えた。その結果がこの紙に書いてある。これから読み上げていくからな。気持ちの整理は良いか。」
皆「ハイッ!」
日下部「よし、始めるぞ。」
 いよいよだ。私たちの一年目の夏の背番号が決まる。
日下部「まず一番!」
 ドキドキ……
日下部「芦毛!」
芦毛「はいっ!」
 芦毛先輩だった。すこし期待はしていたが、ここは先輩の威厳を見せたようだった。ちょっと悔しい。
日下部「そうだ、芦毛はここで立っていて待ってくれ。」
芦毛「わかりました。」
日下部「次、ドンドン行くぞ。二番、友亀!」
友亀「はい!」
 友亀が選ばれた。となるとキャプテンはどうなるのだろうか。
日下部「三番、池之宮!」
池之宮「はい!!」
 池之宮が選ばれた。これは順当だ。
日下部「四番、卜部!」
卜部「うっす!」
 卜部先輩が四番。セカンドのレギュラーだろう。
日下部「五番、新天!」
新天「はい!」
 新天が選ばれた。あの打撃力が評価されたか。
日下部「六番、栗山!」
栗山「しゃっす!」
 栗山先輩だ。あの二遊間は固いだろう。そして次は由紀のポジションだ。
日下部「七番、中山!」
中山「はいっ!」
 中山先輩だった。由紀じゃなかったのか。私たちはまだまだだったのだろうか。
日下部「八番、海鳳!」
海鳳「おっす!」
 海鳳がセンター。これは固い。
日下部「九番! 府中!」
府中「はいっ!」
 えっ!?
 ザワザワ…
 室内がざわつく。それもそのはず、いままでキャッチャーをやっていた府中がライトに行くなんて…。
日下部「キャプテンとして頼むぞ、秘密の外野特訓の成果を見せてやれ!」
府中「ありがとうございます!」
 そんなことをやっていたのか。それなら納得できる。さて、ここからがベンチ入りメンバーだ。
日下部「十番!」
 果たして私は選ばれるのだろうか。そして由紀は選ばれるのだろうか。私の努力の結果は…。
日下部「日高!」

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09.28
ここに書かれることは史実とは全く関係がありません。ご了承ください。  小説内での出来事です。






 今年も甲子園に向けて戦う熱い球児たちがそろった。今回は埼玉大会の見所を紹介いたしましょう。
 まずなんといっても松江学園。8年ぶりの春のセンバツ甲子園に出場した実力はいまだ健在、一年生も大型補強し9年ぶりの甲子園出場、13年ぶりの甲子園勝利を目指す。
 昨年の夏甲子園に出場した東光大付属越谷高校も固い。昨年甲子園で登板した萩 清和(はぎ きよかず)2年 は今年はエースとして活躍。甲子園の土を踏んでいる人の一人でもあり、人一倍意識が高い。彼の成長と共にチームの成長も見所だ。
 さらには昨年の夏、地区大会で惜しくも甲子園を逃した埼玉明治高校はリベンジに燃えている。今年のチームは打撃の軸が固く、どこに来ても打てるバッターが多い。その打撃力に注目が集まる。
 和光大学付属和光高校はドラフト候補の真田 太一(さなだ たいち)3年がいる。投手力と守備で甲子園の切符を手に入れることができるか。
 ほかには星名(ほしな)監督の機動力野球に定評のある三菱東松山高校、おととしのベスト16から順調に評価を上げてきている熊谷学院が有力どころか。

今年、甲子園への切符を手に入れるのは何処の高校か。一瞬たりとも目が離せない試合に注目していただきたい。

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09.28
由紀「亜弓、亜弓!」
 由紀の声にハッと気づきものすごい勢いで起き上がった。
亜弓「うぁあっ!? ……あれ?」
 起き上がると由紀と深沢コーチ、真希や瞳もいた。
亜弓「私は…?」
由紀「意識失ってたよ。脱水症状だったから無理やり水を飲ませたけど。今は体調どう?」
亜弓「悪くは無いけど良くもない…。」
真希「無理しすぎないでね。心配したんだから。」
瞳「熱は…無いみたいだね。はい、スポーツドリンク。」
亜弓「ありがとう…。」
 私はスポーツドリンクを飲む。勢いよく飲む。すごく体に染み渡った。私は無理をしすぎていたのだろうか…。……あっ!
亜弓「そういえば! 試合どうなった!?」
 私が記憶を失ってから試合はどうなったのだろう。不安になっていると由紀がニコニコと表情を変えて言った。
由紀「勝ったよ。点数変わらず5対1。あの後館川が四奪三振で抑えたよ。唯一設楽に打たれたぐらいだったからすごく良いピッチングだった。」
亜弓「そっか…よかった。」
 私はほっとした。何よりもチームが勝てたことにすごく嬉しかった。
由紀「それと亜弓、勝ち投手おめでとう。」
亜弓「えっ?」
由紀「よく投げきったよ。」
 私もよかったのか。褒められた。それがどれだけ嬉しいことだろう。私は嬉しさで涙が出てきた。私はただ、
亜弓「ありがとう。」
 この言葉しか出てこなかった。

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09.28
 俺が六道と付き合うことになって初めての学校。今日は六道と一緒に登校することになった。きっと俺達が付き合い始めたことに誰もが驚くだろう。でもなるべくみんなの前でイチャイチャしたいという気はしない。控えめでも愛し合っていきたい。俺はドアを勢いよく開けて外の空気を吸い、六道との待ち合わせ場所に向かった。
「六道!」
 俺が壁に寄りかかっていた六道を見つけた。もしかして待たせたかな?
「ごめん、待った?」
「ううん、私が早く着きすぎただけ。」
 そういって六道は俺の横にちょこんと寄ってきた。
「行こう?」
「そうだな。」
 そういって俺と六道は一緒に歩き始めた。
「ねえ…。」
「ん?」
 六道が俺の顔を見上げて問いかけてきた。
「あの…ね。二人で一緒にいるときだけ、名前で…呼んでくれる?」
「な、名前!?」
 女子の名前を呼ぶってのはいままで無かった気がする。なんか恥ずかしいな。でも今は彼女なんだ。呼んであげなきゃ。
「な…撫子。」
「えへへっ…なんだか恥ずかしいね。」
 六道が赤面しながらもニコニコと笑っている。可愛い過ぎて俺は…
 ギュッ
 また抱きしめてしまった。
「嬉しい…でも学校の人たちが見えたら抱きしめるのはやめておこうね。」
「そうだな。」
 そういって俺と撫子は学校に向かった。

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09.28
時槻「てか、国立の方行くの?」
レシア「そうよ。」
時槻「うちと向こうって通路でつながってるじゃん。でも何か向こうって異様な雰囲気かもし出しているから行きにくいのよ。」
若丸「たしかにな。」
リレン「ソレよりも以前に依頼受けたメンバー全員が呼ばれるってそうないことだと思わないかしら。」
レシア「そうね。でもそれに意味があるのかもしれないよ。」
 呼び出しといっても確かにこの前のメンバーがむこうに呼ばれるのは珍しい。しかも瞬奏先輩からなんて…。なにかまた依頼があるのだろうか。
 俺達は廊下を渡っていって隣の新立国立高校に入った。周りがチラチラと俺達を見ている。変な気分だ。
時槻「み、見られてる。」
若丸「た、たしかにな。」
 どうして俺達を見るのだろうか。そんなことを考えている間にも瞬奏先輩がいる場所についた。

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09.26
「どうした?」
「私といて楽しかった?」
 なんで突然そんなことを聞くのだろう。でももう答えは決まっている。
「もちろん楽しかったよ。」
「私が有名な絵師だから付き合うとかじゃないの? 一人の女性としてみてくれるの?」
 俺が答えると涙声になりながらさらに問いかけてきた。
「そりゃそうさ。」
 それしか答えが見つからない。スキだから。
「何で私のことを優しくしてくれるの…。私はそんな好かれるような人じゃないよ…。」
 ついには号泣までしてしまった。どうしたら良いのだろう。ただ、今は思ったことを口に出すだけだ。

「六道のことが…大好きだから。」

 六道が泣きながらも俺の方に近づいてきた。そして俺の顔を見てさらに問いかける。
「嘘つかない?…うっ…こんな私でもいいの?…ひぐっ…。」
「あぁ、もちろん。」
 俺が答えると六道は。
……ギュッ……
「約束…だよ。」
 抱きしめてきた。
「あぁ。」
 俺は六道を抱きしめた。強く抱きしめたら今にも壊れてしまいそうな、バラが枯れてしまうかのような、そんな感じだった。心から棘を出していたものを、必死にしまいこむようにしている。かわりに六道の名前と同じ「撫子」の花も心の中で芽生えてきそうな感じだった。
 俺は六道を大切に守ることを誓った。
 そして……



 俺と六道は付き合うことになった。

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09.26
 投球練習が終わると五番の野口がバッターボックスに入った。館川はどんなピッチングを見せてくれるのだろうか。
館川「(日高も良いピッチングを見せたけど俺だって見せ付けてやる。本当のエースは俺なんだと!)」
友亀「(初球からいくぞ!)」
 館川がランナーを気にしながら足を上げてサイドスローで投げた。
 ググッグッ
 なんだこの球は!?
野口「(ボールがこねぇ!)」
 ブン!   バシン ストライクワン!
 アレは何だ? チェンジアップか? いや、それにしては曲がりが大きい。すごい、いつの間にこんな球を投げれるように…。そしてまたセットに入る。
 …ザッ シュッ!
 あっ、牽制! ファーストランナーが出すぎている!
 パシンズザザザ… アウトーーー!
大島「……ちくしょお!」
友亀「ナイスピッチャー!」
池之宮「ナイス判断だ!」
 なんて上手い牽制なんだ。しかも私の出したランナーを刺してくれた。とても嬉しい。さらには自分の投球にも余裕が持てるようになった。これでツーアウト。館川はすぐさま打者に集中し始めた。
 グググッ ブン    バシン!
 ストライクツウ!
 全くタイミングが合っていない。これなら簡単に押さえられそう。私と違ってスタミナはたくさんあって配分もしっかりできそうだ。さらにはコントロールも良い。そして次の球を投じるとき、ワインドアップになった。
牛田「走れ!」
 もちろんセカンドランナーは走っていった。ワインドアップでは牽制ができない。フリーな状態だ。しかし、
 シュゴーーー バシーン!
 ストライクバッターアウト!
館川「しゃあああ!」
友亀「ナイピーー!」
野口「手が出なかった…。」
 相手のタイミングを見失えすれば空振りなんて簡単なことだった。すばらしい投球術だった。こんなピッチングが出来るところが私との大きな違いだ。
由紀「おっ、亜弓お疲れ様。」
 手を出してハイタッチした。
館川「見てたか日高。」
亜弓「うん、すごかった。」
 すごかった。私もあんなふうに…。
亜弓「あれ?」
由紀「どうした?」
 視界がふらつく。足に力が入らない…なんで…。
 バタン!
由紀「ちょっ、亜弓!?」
深沢「おい大丈夫か!?」
亜弓「水が欲しい……。」
 あぁ、たぶんこれ脱水症状だ…。疲れで動けなくなってる…あ…意識が…。

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09.25
 すこし歩くと目的の場所に到着した。時間も時間だからなのだろうか、空いている。俺と六道はガラスの中にある食べ物サンプルのクレープをみて選んだ。
「なにがいいかな?」
「たくさんあるから迷うよな。」
「私、メロンの入ったクレープが良いなあ。」
「メロンおいしそうだな。じゃあ俺はみかんとバナナのクレープにするよ。」
 そういってカウンターで注文した。もちろん今回は二人でワリカン払いすることにした。俺の財布事情のことも考えて…。
 すこし待つとクレープがやって来た。
「うわーおいしそう!」
「クリームがたくさんついているね。そして六道のメロンでかいな。」
「えへへ、良いでしょ。」
 そういって俺と六道はクレープにかぶりついた。
「んー、おいしい! このメロンとクリームの相性良いね!」
「口の中でふわっとした食感と生地がいいなあ。」
 そんな話をしながらゆっくりと食べて言った。
 俺と六道は食べ終えた後、いろいろな店をめぐっていった。ほしいものがあまり無かったのと、高すぎなものが多かったので見るだけにした。もともと今日大きな買い物をしたから財布の中身が…。そしてもう少しで帰ろうとしたとき、ある場所を見つけた六道が声をかけてきた。
「ちょっと…よっていい?」
 六道が指をさした場所は小さな絵の展示会場だった。
「いいよ。」
 俺が答えると六道はゆっくりと歩いていった。やっぱり絵はすきなのだろうか。
 中に入ってそれぞれの絵を見ていくと「黒と白」「働く小人」「花」などいろいろな題名と作者の作品が並んでいた。俺にはどれが上手くて下手なのかは分からないけどどれも綺麗な絵だった。その中でもひときわ目立って美しい絵があった。見ている人も多くいた。その絵は水中を想像して描いた絵なのであるかのような、あるいは森であろうか、大地であろうか、その中に人間が一人、ポツンとたたずんでいた。ほかの人とは明らかに違う。素人の俺にでも分かるほどだ。何か不思議な感じがする。これが天才なのだろうか。題名は…。
「自由、  」
 不思議な題名だった。「自由」の後に「、」があってその後が空白。何が入るのだろうか。もしかしてと思って作者を見た。
「無光闇無」
 やっぱり六道の作品だった。アイツには誰にもない才能がある。この才能が悲しみを生み出すのであろうか…。
「帰ろう。」
 六道が耳元でつぶやく。そして足早に展示会場から去っていった。俺は六道を追いかけるように歩いた。

 店を出て大通りに出ると、六道は俺の方を見た。六道の目には涙を浮かばせていた。

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09.25
 先頭は二番のの森口だ。ここまで二打席連続三振をとっているが注意だ。初球のサインはスラーブ。グローブにめがけて!
 ググッ パスン ボールワン!
 やや外に外れてしまった。次はストレート。
 シューーバシン!ストライクワン!
 相手は一瞬ピクッと動いたがバットは振らなかった。次もストレート
 シューーーバシン! ボールツウ!
 おっと、高めに浮いてしまった。力みすぎ力みすぎ。
亜弓「ふうー。」
 一回大きく深呼吸した。次はチェンジアップ。一呼吸おいて!
 グッグッ トッパスッ ボールスリー
 あれ? 低めに行き過ぎてしまった。次はなんとしても入れないと…。
友亀「日高、ファーボールになってもいいから思いっきりなげろ!」
 私が弱気になったとたんに心を読まれているかのような発言をされた。思いっきり、それが私の武器じゃないか。逃げてどうする。思いっきりだ!
 シューーーバシン! ボールファ!
牛田「もうけもうけ!」
野口「次もつなげよ!」
 ファーボールになってしまった。でも周りは怒っていない。
由紀「いいよいいよ! 思いっきり投げて!」
 由紀も後押ししてくれる。まだまだ全力で投げれるはずだ。そして次は三番の大島だ。サインはストレート。おそらくここから全部ストレートになるだろう。
 シューバシン! ボール
 シュゴーーバスン! ボールツウ
 シューーバシーン! ボールスリー!
 ダメだ、全くと言って良いほど入らない。なんでだろう。しかし私は思い切り投げれることが武器だから!
 シューーー バシン!
 ファーボール!
大島「しゃあああ!!」
塚和「よし、四番頼むぞ!」
 連続ファーボールになってしまった。それでもコーチは動かない。こんなに信用されているなんて…。次は四番、坂田だ。前の打席でヒットを打たれている。でも…立ち向かっていかないと。サインはストレート。みんなのために、私自身のために!
友亀「(思いっきり投げれば入る! 頼む、思いっきり投げてくれ!)」
 私は大きく振りかぶって…
 投げる!
亜弓「っらぁ!」
 シュゴーーーーズバーーン!
 ストライクワン!
友亀「よし来た!」
坂田「('ここにきてこんな球が投げれるのか!?)」
 やった、入った。このままドンドン投げていけば!
 シュゴーーー ブン! バシン!
 ストライクツウ!
友亀「(やっぱ日高はすげぇ、波に一度乗せることが出来れば底力で何とかしてくれる。なんてやつだ。)」
 今度は空振りをとった。このまま三振で…いきたい!
 シュウウウウ
坂田「ぐっ。」
 ブシィ バシーーーン!!
 ストライクバッターアウト!
亜弓「しゃああ!」
由紀「ナイスピッチング!」
 やった、また三振を取れた。これでワンアウトだ。でも思いっきり投げたせいか、疲れだドッと襲ってきた。
深沢「タイムお願いします。」
 タイム!
 ここでタイムがかかった。内野手とコーチ、それから外野から館川がやって来た。
深沢「よく頑張った日高、交代だ。館川! 出番だ!」
館川「はいっ!」
深沢「日高はベンチに戻っていいぞ。」
亜弓「はい。」
 ここで交代だ。今までより良い感じでこの試合を投げることが出来た。
 パチパチパチパチ……
 自分の仲間から拍手された。
池之宮「よく投げた。」
新天「ナイスピッチング。」
由紀「ゆっくり休んでね!」
 皆から声をかけられてとても嬉しかった。そして館川がボールを受け取ると話しかけてきた。
館川「お疲れ様、よく投げたな。」
亜弓「ありがとう。館川も頑張ってね。」
館川「おう、後は任せろ。」
 そして私はベンチに下がっていった。

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09.24
 ガラッ
 試着室から六道が出てきた。なにやら困ったような顔をしている。
「でもこの服高いよ?」
 六道が値札を見せてきた。一万円と一万二千円、合計二万二千円だ。今あるお金で買えない値段ではないが痛い出費だ。でも六道のためを考えたら…。よし、覚悟を決めた!
「六道、全部おごるよ。」
「いや! それは悪いって!」
「いいのいいの。」
 そういって俺は六道の手に持っていた服をサッと取ってレジに向かった。
「ありがとう。」
 六道が小さな声でしゃべった。「ありがとう。」その言葉を聴けるだけでとても嬉しい。そのためなら俺は…。なんでもしてやる!
 …………
 あの後六道の甘えもあってか、アクセサリーや帽子なども購入し、四万円強はすっ飛んでいった。何でもって考るのはまだ早いか。そしてもう3時半、すこし小腹が空いてきた。六道は何が好きなのだろうか。
「なあ六道。」
「ん? 何?」
「おなかすいた?」
「んー、ちょっとね。」
「じゃあなにか食べようか。何が食べたい?」
「私ね、クレープ食べたい!」
「お、いいね。ここに確かフルーツとクレープの組み合わせに定評のある見せがあるんだ。そこに行かない?」
「フルーツとクレープかぁ、いいね!」
 やった喜んでくれた。六道はウキウキさせた様子で足早に歩いていった。ちょっと、おいてかないでくれ。

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09.24
亜弓「ヒット打てなかったよ。」
由紀「仕方ないよ。疲れだってあるし。」
 由紀がフォローした言葉の中には「疲れ」が原因のようにいった。私自身としては疲れてなんてあまり感じない。でも由紀が見てそういうのであれば本当のことなんだろう。相手の選手は私と違ってスタミナがある。抑え方は私より多くあるはずだ。私はまだまだ走りこみが足りないのだろうか。
 コポポポ
 ジャグからスポーツドリンクが水滴がポタポタと落ちるように出てくる。そろそろなくなりそうだ。すこししか入れなかったが、飲むと体に染み渡るかのような感覚が私の体をめぐった。
 シューーキィーン!
 打球音が聞こえたので振り向くと館川の打った打球はサードに。良い当たりだがサードの守備範囲だった。綺麗にさばかれてアウト、スリーアウトチェンジになった。
由紀「さて亜弓、頼むよ!」
 そういって由紀はクルリと一回転してセカンドに向かっていった。由紀は絵になるなあ。あんな選手に私もなりたい。私も笑顔を出すために、そして気合を入れるため。
亜弓「しまっていくよーーー!!!」
 私自身への気合だけれども叫んだ。
由紀「おーー!!!」
海鳳「しゃああああああ!!」
友亀「よし日高、いくぞ!」
館川「たのむぞ!」
 自然に周りがノッてくれる。だから私も「よしっ!」とグローブを自分の胸にあてて心の中で叫んだ。そして私のこの試合最後の投球回の七回のマウンドが始まった。

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09.23
 ベンチに戻ると深沢コーチが待っていた。
深沢「日高ナイスピッチング。次の回の途中で交代だ。いけるところまで投げてみろ。後ろは館川がいる。頼むぞ。」
亜弓「はいっ!」
 次の回まで。七回の途中で交代ということになる。気を緩めずにしっかりやっていかなければ。
 この回は八番の友亀からだ。私はその次の打席だから準備をしなくてはいけない。私は額の汗をぬぐいながらバットとヘルメットを取った。
 キィーーーン!
 えっ、もう打ったの? だけど打球はセカンドゴロ。綺麗に取られてファーストアウトとなった。次って私だ。いそいで準備しなければ。
 次は私だ。相手の投手はまだまだスタミナがありそう。それが私との大きな違いだ。羨ましい。でもそんな選手が甲子園に行けばゴロゴロいるんだろうと考えるとぞっとする。いや、今は相手の投手に集中することが専念だ。
 シューーーバシン!
 ストライクワン!
 やっぱり早い。ここはどうやって攻めるべきか。ストレート一択で打つしかない!
 シュゴーーー
 来たっ!
 キィーーーン!
塚和「センター!!」
 けっこう良い当たりがセンターまで跳んでいった。しかし、簡単に捕られそう。センターが落下地点に入って捕球した。
 パシン! アウト!
 当たりは良かったものの、アウトになってしまった。

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09.22
 やった、ダブルプレーだ! 後ろを信じていけば負けることはない。皆が私のことを信じてくれてるから私だって信じれる。
 友亀がキャッチャー防具についた砂をはらいながらこっちに来た。
友亀「ピンチを消したぜ。思いっきり投げてこい。」
亜弓「はいっ!」
 そういって友亀は戻っていった。入れ替わりのように由紀がこっちに来た。
由紀「自信もってね! 亜弓ならいけるよ!」
亜弓「うん! 後ろは任せたよ!」
由紀「任せろっ!」
 由紀も戻っていく。私はどんなことがあっても投げなければならない。相手がどれだけ強い人であろうとも!
 ツーアウトで打者が三順目に入って次は一番。ここまできたらもう引き返せない。おもいっきりなげるだけ。後ろには皆が、由紀がいる。
 シュゴーーーー バシン!
 ストライクワン!
 構えたところから外れてしまったがストライクゾーンに入った。サインはもう一球全力投球。思いっきり!
 シュゴーーーー
飯田「ぐっ。」
 キィン!
 当ててきた。だけどセカンドの真正面だ。由紀が綺麗に処理をしてファーストに投げる。
 バシン アウト!!
亜弓「よしっ!」
 六回、一失点されたけれどしっかり抑えることができた。
由紀「ナイスピッチング!」
 すぐに由紀が近づいてきた。由紀は手を差し上げてハイタッチを要求してきた。
 パチン
 私もそれに答えてハイタッチした。
由紀「いえーい!」
 

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09.22
 そうして歩いているとあるお店があった。
「ここにいかない?」
 落ち着いた雰囲気の店だった。なんて読むんだ? Φって…。
「いいよ。店の名前は…Φ(ファイ)?」
「ファイって読むのか?」
「うん。」
 そういって六道はテクテクと入っていった。そうだ、六道って頭良かったんだ。小テストでもいつも高得点だったはず。
「うーん、たくさんあってわからないよ。」
 六道がかかっている服を見渡していた。六道に合う服を探さなければ!
「そうだな…。」
まず手にとったのは黄土色のしたカットソーだった。
「落ち着いた感じでいいね。でもこれはサイズ違うから別のサイズなら着れそうだね。」
「そうだね。一応サイズはあるけど、いろいろと見てから決めよう。」
「うん!」
 いろいろと回っていくとショートパンツを見つけた。
「やっぱりはかなきゃダメ?」
「無理にはいわないよ。でもショートパンツとカーディガンって合いそうなんだよな。」
 そういって俺が手に取ったのはデニムのショートパンツと灰色にちかい白色レースのカーディガンを取り出した。
「これ可愛いね!」
「着てみる?」
「え、えと…恥ずかしいよ…。でも…。」
 そういって六道は服をじーっと見つめた。そして俺の持っていたハンガーをとって、
「着てみる!」
 そういって試着室にテテッと移動していった。やった、着てくれる。きっと自分で見てもすごく似合いそうだ。試着後がものすごく楽しみになってきた。
「うーん。お、おぉお! ふぁあああ! これ私だよね。うん、私だ。」
 なにやら試着室から独り言が聞こえる。こっちから聞くと百面相しながら鏡を見ているのだろうと思う。でもいくらなんでもテンション高いでしょ。
「うん、よし!」
 シャァーーー
 室内から覚悟を決めた声が聞こえると試着室から六道が出てきた。
「ど、どう?」
「………。」
 言葉が出なかった。なんだこれは、似合いすぎる。可愛すぎるだろ。あの藍い目とものすごく似合っている。それとこの体型があるからこそできるこのコーデ。フワフワとしたその表情はまるで天使のようだ。
「す、すっげぇ可愛いよ。」
 ようやく言葉が出た。でも可愛いの一言しか出てこない。いや、もう可愛い以外ありえない。
「は、恥ずかしいよ。」
「いや、は、恥ずかしがることなんて無いって。すごく似合ってるよ。」
「そ、そう? あ、ありがとう。」
 といって六道が照れながらピシャッと更衣室のカーテンを閉めた。
「すぐに着替えて買おう。待っていて。」
 うわ、なんて可愛いんだ。

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09.20
由紀「ドンマイドンマイ! 気を落とさずに! まだ1点しか取られてないよ! リラックスしていこう!」
 由紀が声をかけてくれた。ものすごく嬉しい。由紀が声をかけてくれなければ。いや、由紀がいなければ私は今頃崩れ落ちていただろう。まだ私には全力で最後まで投げきらなければならない使命がある。だから私は逃げない!
 次は9番の新田だ。さっきの当たりでランナーは3塁。ノーアウトだから何がおこるか分からない。気を引き締めていかなければ。
塚和「(スクイズだ。)」パパッ
設楽「(絶対ホームインしてやる。)」
新田「(まかせろ。)」
友亀「(よし、高めのストレートで相手の勢いで釣らせよう。)」
 サインは全力ストレートを高めに。ボールになってもいい。思いっきり!
サードランナーコーチ「ゴォ!!!」
 ダッ
 あっ、サードランナーが走る。スクイズだ!
 シュゴーーーー
友亀「(この球なら!)」
新天「(上がったら飛びつく!)」
新田「ぐっ!」
 コキン!
 これは小さなフライ。しかし突っ込んできた新天と池之宮が飛びついても届かない! これは安全にファーストに…。
友亀「らぁあああ!!」
 ズザァアアア
 友亀が飛びついた。そしてグローブにはボールがおさまっている。
 アウトーー!!
新天「サードだ! 米倉カバーだ!」
米倉「任せろ!」
 シュッ!
 友亀が送球する。ランナーは急いで戻る。これは間一髪のプレーになりそう。
 ズザザザバシン!!
 ……アウトッ!!
友亀「しゃああああああああ!!!」

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09.19
友亀「(アイツの球は決してものすごく衰えて来ているというわけではない。コントロールがずれてきてフォームが見えやすくなったのはわかるが、さっきのは構えたところにドンピシャだった。俺のリードのせいか? あんなに簡単に打たれるなら絶対そうだ。とにかく攻め方を変えなければ。変化球で打たせて捕るやり方はまだ試してない。だから変化球をなげさせる。)」
設楽「(たしか塚和が言うにはさっきの打席でストレートが来て、もし俺が打てたら設楽の初球に投じるのはゆるい変化球だ。といってたよな。アイツのいうことを信じてやってみるか。)」
 次は注意すべき八番設楽だ。でも後ろには守ってくれる人たちがたくさんいる。私は自信を持って投げるだけだ。弱気になるな、私! えっと…サインは。スラーブを外角ギリギリへ。よし、ゲッツーをとって楽にしたい!
 グググググッ
設楽「(来たっ!)」
 キィーーーン!!
友亀「(またタイミングを綺麗に合わされた!?)ライト!!」
 打球がグングンとライト方向に伸びていく。沖田がボールを追う。やめて、ファールになって。
 ポテン フェア!!
牛田「よっしゃ塚和回れ! ホームだ!」
坂田「ナイスバッチン!」
 打たれた。しかも完璧に。もう、だめかもしれない。ここからドンドン打たれそうな気がする。いくらリードが良くても私の球がダメになってきたらもう使い物にならない。ランナーがドンドン回っていく。いくら沖田の肩があってもこれだけの距離じゃホームはさせない。一塁ランナーがホームに帰って一点。5対1になった。

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09.18
田垣内「うわぁ…終わった終わった。」
 おれは大きく背伸びした。今日の授業が全て終わった。
田垣内「なあ時槻。」
時槻「んにゃ…むぅ…。」
 ……爆睡している。よだれたらしながらとか汚いなおい。
時槻「心音ちゃーん…起き上がれないから起こしてー。」
 半分起きているのかこいつは!?
心音「はいはい、聖奈ちゃんおきてー。」
時槻「むくり。」
田垣内「自分で声に出してるのかい。」
時槻「よっ、田垣内。」
田垣内「お、おう。」
 なんだこの会話は。すごく気まずい。とりあえずこいつの行動には不可解なことばかりだ。前の依頼が終えたあともずっとスキップしたりピョンピョン跳ねながら帰ってるしな。どんな体力してるんだよ。
リレン「ちょっと時槻、寝すぎよ。」
時槻「キャー、リレンちゃんの眼光スナイパー。」
リレン「間違ってないけれど、あなたにはお仕置きが必要みたいね。」
 そういうとリレンは時槻の頭をぐりぐりとし始めた
時槻「あが、あがががが。」
 …ほっといておこう。
若丸「おっす田垣内。」
田垣内「若丸か。」
レシア「みんな、瞬奏(しゅんそう)さんに会いに行くよ。」
時槻「隣の国立の方いくの?」
レシア「そうよ。」
 瞬奏、俺達の先輩だ。

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09.18
 私は少々不安げになりながらマウンドに向かった。疲れてきてるということなのだろうか。私は腕を一・二回ぐるりと回した。
由紀「亜弓っ。何しょげた顔してるの? 元気だしてっ!!」
 そういって由紀はニコニコとしながら守備についていった。そうだ。私の後ろにはしっかり守ってくれる人たちがたくさんいる。だから私も信じて投げれば大丈夫!
 次は七番の塚和からだ。彼はたしかキャッチャーだったからいろいろと戦略を練ってきてるだろう。でも私は実力で抑えるだけ。リードは友亀にまかせる。
塚和「(初球にストレートを叩けば次の打者には変化球が来るはずだ。心理的に考えて可能性が高いのはそれだ。決めた! この打席は初球が勝負だ。ストレートに山を張る。)」
友亀「(相手はおそらくストレートが合っていない。山をはったとしても変なところに投げなければそう簡単に打たれないはず。しかし相手も強豪校だ。そんな過信するつもりはないが…ここはストレートだ!)」
 サインはストレートを低めに。思いっきり!
 シュゴーー
塚和「(当たり!)」
 キィーーーン!
友亀「ファースト!」
 打球は振り遅れながら一二塁間へ打球はファーストよりだが打球が早い。
池之宮「くっ。」
 池之宮がグローブを伸ばすが届かず。ライト前へと転がっていった。
設楽「ナイバッチ!!」
 またヒットを打たれた。しかも振り遅れだったが、ストレートを待っていたかのようなタイミングの待ちだった。これはリードが読まれているのだろうか…。それとも私の球がダメになってきているのだろうか…。

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09.18
 すこし歩くとワーキングアウトレットに到着した。けっこうたくさんの人が来ている。六道はこの光景を目にしてニコニコしていた。
「私、大きなイベントは良く行くけれど、大きな場所での買い物は初めてなの!」
 その声には驚きと嬉しさが入っているかのように感じられた。これは好印象なのだろうか。六道は俺の方を向いて言った。
「まず洋服見に行こう! 私に合う服を選んでね! えへへっ。」
 六道はワンピースをフワリとさせながら言った。それは過去の出来事があるからなのだろうか。とてもか細いけれども力強く咲く藍色のバラのようだった。何でこんなに優しい人が…。もしかすると優しすぎるのが原因なのではないだろうか? いや、思い込みをしているだけかもしれない。いやいや! 今はそんなこと考えている状況じゃない。「デート」を楽しまなければ!
 すると六道は歩きながら俺に聞いてきた。
「私ってどんな服が合うと思う?」
「どうかな…スタイルがよさそうだから…。」
「やだっ、私なんてスタイル良くないよ。」
 テレながら言うのやめてくれ、可愛すぎるぜ。それにしても本当に六道のスタイルは良い。人から見れば誰もが欲しがるような感じだ。スレンダーで足が長い。となると…。
「ミニスカートかショートパンツとか似合いそうだな。そこから上の方もあわせていくのもよさそうかも。」
「えっ…ろ、露出多いよ!」
 恥ずかしながら答えた。そういう系は苦手なのだろうか。でもすごく似合いそう何だけれども…。よし、ちょっと押してみよう。
「とりあえずさ、ためしで着てみよう。」
「えっ!?」
「ほら、何事も挑戦が大事でしょ?」
 俺が言うと六道は人差し指を頬につけて想像している様子を見せて答えた。
「そうね…。絵でも同じようなことが言えるし…。」
 おっ、自分から絵のことを持ち出してきた。やっぱりいろんなことがあるけれども、それでも絵が好きだという気持ちはものすごく俺の心に伝わってくる。やっぱり六道はすごい人だ。
「あっ…、でも恥ずかしいし…でもぉおお……。」
 そして かわいい!!!

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09.16






キャラクター紹介 
名前 沖田 修吾(おきた しゅうご)
誕生日 5月9日 一年生
身長173cm
右投げ右打ち メインポジション 外野手(ライト)

新天・米倉と同じ福一シニアの元一番。埼玉県の強豪校、和光大学付属和光高校に推薦されるがこの誘いを蹴って新天・米倉と共に松江学園へ。影で努力するタイプである。妹には口調的に弱いところがあり、部内ではそれがよくネタにされている。

絵はyukijiさんに描いていただきました!ありがとうございます!
yukijiさんのホームページ

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09.16
由紀「イェーイ!!」
塚和「はぁ!?」
 由紀の放った打球は軽々とセンター前に。もちろんだれも取れることもなくセンター前ヒット。これで猛打賞。もはや由紀を止められる人は誰一人といないのではないのだろうか。
由紀「亜弓! 見てた? 打ったよ!」
 見てたよ。でも試合中にそれはちょっと恥ずかしいよ。元気がものすごくあるのは良いことだけれども。
 相手の選手たちは唖然とした様子だ。投手にいたっては心の中で「解せぬ」とでもいってそうだ。由紀は野球センスの塊みたいだ。
 由紀の次は七番の米倉だ。彼の打撃も見たいけれどもキャッチボールを始めなければならない。私は友亀のかわりに控えキャッチャーの角田とキャッチボールを始めた。
 バシーーン
角田「日高、そういえば一回のときより構えたところにボールがこなくなってるぞ。」
亜弓「えっ?」
角田「ノビとか球の球威は落ちてないけど少しずつ投げ方もボールが速く見えるようになってるよ。もうひとつ言えば球の離す位置も。」
 バシーン ストライクバッターアウト!
角田「チェンジになったぞ。あと一・二回、踏ん張れよ。」
 そういって角田はベンチへと戻っていった。今言ったことは本当なのだろうか…。

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09.14
 6分ぐらい乗ると目的地の夏葉駅に到着した。ここから2分だけ歩けば目的地に到着する。それにしてもこの町はいつみても発展していると感じる。隣市なのにこの差はなんだろう…。
「ねえ白羽根くん。」
「何?」
 歩いてるとふと六道が声をかけてきた。
「デートプランを考えてくれたんだよね? どんな感じになるか楽しみだから今日は白羽根くんの決めたプランで進めよう。」
「ありがとう。」
 なんだろう、少しずつ落ち着いて来ている。変に意識する必要なんて無いんじゃないだろうか。これなら緊張せずにいける…。
「そしたら最初、服を買いに行こうかなとおもっているのだけど。どうかな?」
「やった! いつも一人だから選ぶの大変だったんだ!」
 六道がピョンピョンと跳ねている。天子じゃないか。しかも白のワンピースをきてこの動きは…可愛い過ぎる。
「じゃあ…どんな服がいいか一緒に考えてくれる?」
「ああ、かまわないよ。」
 そういうと六道は足早に目的地に向かっていった。あんなに元気になってくれるならいろいろと考える必要は無いかもしれない。俺は六道のために尽くせれば本当に幸せだ。そう思いたい。

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09.14
 次のバッターは五番の新天。池之宮はアウトにはなったが当たりはよかった。これなら新天もまだまだ打ってくれそうだ。
 ググッ ブン! バシン!
 ストライクワン!
新天「(初球からフォークか。)」
 新天はフォークを空振りした。あのフォークを打つのはまだ厳しいだろうか。
 ググッ トッ パスッ
 ボール!
 今度は大きく外れたフォークがワンバウンドになった。曲がりはすごいけど、まだまだコントロールが上手くいっていないみたいだ。高めからのフォークがきたら新天なら打てそうだ。
 ググッ
塚和「しまった。」
 キィーーン!
 鋭い打球がサード方向へ。
大島「だぁあ!」
 ガスッ
 サードがグローブにボールを当てたあと、ボールを体でとめて前に落とした。グローブに当たる際に打球を殺していたようだ。
牛田「ファーストだ! まだ間に合う!」
 新天が全力疾走でファーストに向かう。しかし打球が早かったため、送球も早くなげられてしまった。
 バシン! アウト!!
 これでツーアウトだ。なんとも惜しいところでやられている。これは悔しいところでやられてしまってる。だが次は由紀だ。由紀ならどんな球が来ても打ってくれるはず。由紀なら期待が持てる。
由紀「よっしゃああ!!」
 由紀が大きな声で叫ぶとゆっくりと構えた。あそこまで気合が入っていれば打てるだろう。
塚和「(初球からフォークだ。)」
牛田「(まかせろ。)」
 牛田が大きく振りかぶる。
 シュッ ググググッ
 今までの中で一番落ちるフォークだ!
 カキィイイン!!

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09.12
「それじゃあ…いこっか。」
「おう。」
 六道が声をかけると俺たちは駅の改札を通っていった。今回の目的地は隣町の夏葉市。夏葉(なつは)駅までは上代(かみしろ)線で2駅。到着したらワーキングアウトレット夏葉店で買い物だ。そこで六道に服を買ってあげるんだ。それで…。
「ねえ白羽根くん。」
「んあ?」
 六道はぼんやりと考えていた俺を呼んだ。
「どうしたの?」
「あ、いや。今日のデートでどこに行くかを頭でまとめていたんだ。」
「そんなに考えてくれてたんだ。ありがとう!」
 うわっ、その笑顔やめてくれ。めちゃくちゃ可愛すぎてたまらないだろ。そんなことを考えているうちにちょうど電車が到着した。俺たちは電車に入ると二人で椅子に座った。この時間帯はけっこう混んでいると思っていたが、意外と空いていた。別の駅から急行で行く人の方が多いのだろうか。
「あ、あれ。」
 俺はふと声をだした。俺が向いている方には六道のペンネーム、無光闇無の名で描かれた絵の宣伝があった。今度は美術展の画像だった。
「さすがだね。」
 俺は六道の耳元で囁いた。すると彼女はすこしうつむきながらうなずいた。そうか。絵のことはここであまり話さないようにしなければ。彼女のことを考えたらそれしかない。
「なぁ六道。動物って好きか?」
「えっ? 私?」
 しまった、いきなり話題を変えて反応できるわけがない。何バカやっているんだ俺は。
「好きだよ!」
「本当に!?」
 うわっ、結果オーライ。何とかなった。ちゃんと話すことは状況と場合を考えなければ。
「今度出かけるときあったら一緒に動物園いかないか?」
「いいの!? ありがとう!!」
 だからその笑顔やめてくれ、抱きしめたくなる。というか俺変態かよ!!

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09.12
由紀「いえーい!」
 そういって由紀は戻る途中に一回転ジャンプをした。どんだけ運動神経が良いのだろう。あのふわっとした動きは信じられない。運動神経の塊だ。
友亀「その調子でヒットも打ってくれよ。」
由紀「はーい! でもその前に池之宮も新天も打ってね!」
池之宮「よっしゃ! やってやるぜ!」
新天「やる気はあるけど気合を入れすぎて自分を見失わずにいけば必ず打てるよ。まかせて。」
 そういって二人は打撃の準備に入った。こうみると本当に頼りになる。わたしにも出来ることは全力で尽くそう。
 この回からは池之宮からの打席だ。前の打席でホームランを打っているから相手は警戒はしてくるだろう。その中でどうやって打っていくかだ。
 シューーー ブシィ! バン!
 ストライクワン!
 うわー、大振り。これは完全に狙っている。ちょっと厳しいかな…。
 シューーー
池之宮「ふん!」
 ガキィーーーン!!
 打球が早すぎて見えない!? 方向だけだったらセンター方向。目でとらえたときにはもうセンターの定位置のところまで飛んでいた。しかしこれは当たりが良すぎる。奥深くに守っていたセンターの真正面になりそうだ。
 バシーーーン! アウトー!!
森口「いてえええ!」
 センターがグローブをフラフラさせている。アレはどう考えても痛い。ものすごい音もしたし。

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09.11
※注意……実際の出来事とは関係ありません。小説内の出来事のみです。



 今年の春に初出場を果たした御影(みかげ)大松戸高校。二回戦で姿を消したが、高校野球ファンに与えた衝撃は大きかった。その後、猛特訓を初め、多くの選手が急成長していった。甲子園に六度出場経験のある名将の稲見(いなみ)監督は「今までいろんなチームをみてきたが、その中でも一番強い。今年は甲子園優勝だって狙える。」と自信を持った顔で答えた。
 その原動力は、高校三大バッターと呼ばれる三年生、勝浦武蔵(かつうら むさし)だ。春の甲子園では9打数8安打3本塁打の大活躍。プロ大注目の選手はこの短期間で打撃にものすごい飛躍を遂げたらしい。さらにもう一人、今年のドラフト候補である岩代上野(いわしろ こうずけ)『3年』も走塁、守備に磨きがかかった。二人は上位指名間違いなしだろうが、来年のドラフトの候補にも二人名を上げてきた。
 まず春の甲子園でも活躍した遠江六実(とおとうみ むつみ)『2年』選手だ。女性ながらエースピッチャーを勤め、コントロール抜群の投球は相手に的を絞らせない。春の大会では135キロが最速だったが、今では140キロに到達。大きな成長に期待がかかる。
 そしてプロと比べても1・2を争うほどの肩を持つ吉祥寺淳和(きちじょうじ じゅんな)にも光るものがある。足もそこそこ速く、守備には大器の片鱗を見せている。
 千葉には他にも多くの強豪高校がある。この中を勝ち抜いてふたたび甲子園の舞台に御影大松戸高校はたどりつけるのだろうか。

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プロフィール

reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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