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06.23



キャラクター紹介
名前 森田 瞳(もりた ひとみ)
誕生日 7月25日
身長154cm 体重43kg
マネージャー

柔道でその名を轟かせている女の子。男にも負けないほどの技術、体力をもっているスーパーすごい女の子。普段は元気で活発な女の子。目つきも普段は優しい顔だが、柔道となると眼力で相手を威圧するほどの変わりようである。 好きなことが運動すること、食べること。一日相当量のご飯を食べるが、それを全て運動で使い果たしてしまうため、体重は減りつつある。



今回はカボちゃさんに描いてもらいました!ありがとうございます!
カボちゃさんのpixivページ
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06.23
 それから一時間後ぐらいだろうか…。
府中「ついたぞ! 寝てるやつは起きろ!」
真希「亜弓、ついたよ。」
亜弓「うぁ…?」
 どうやら私は途中で寝てしまったようだ。バスの外を見ると、山々に囲まれた球場が見えてきた。私は大きく背中を伸ばした。横を見ると由紀まで寝ていた。私は肩をトントンとたたいて起こした。
由紀「ん…、もうついたのかな? あ、亜弓。んー、おはよう。」
 由紀も大きく背中を伸ばした。
由紀「よっしゃ…頑張ろう!」
 私たちがバスから降りると先輩たちが準備運動を始めていた。もう何か始まるのだろうか?
日下部「皆準備しておけ。これからここの周りの道路を走ってもらう。一周だけだが、3キロはある。最初にランニングもしておきな。」
 なんと、いきなりマラソンが始まるらしい。いきなりは大変だ。長距離は苦手なほうではない。むしろ得意と言ったほうがよいのだろうか。
亜弓「由紀って長距離走るのってどうなの?」
 私はストレッチをしながら由紀に聞いてみた。
由紀「私はまぁまぁかな。女子とやったらかなり良い方だけど。亜弓はすごくスタミナありそうだね。根性もすごいし。」
亜弓「いやいや。…あれ? 向こうにいるのって瞳じゃない?」
 私は瞳のことを指差した。瞳は長袖の運動着を着て準備体操をしていた。まさか…走るのだろうか。
瞳「あ、私も走ることにしたんだ。お父さんに練習しておけって言われたから。」
由紀「監督には許可もらったの?」
瞳「うん、大丈夫だって。」
 瞳が軽い足取りでアップをしている。いかにも身軽そうで体力あふれるような動きだ。もし瞳も野球をやっていたなら…。すごい人になっていたかもしれない。今も柔道ですごいけれども。
真希「さすがに私は走らないよ。」
亜弓「そうだよね。美術部もやってるから絵とか描くの?」
真希「うん、この風景を描こうかなって思ってるよ。」
 そういって真希は画用紙を取り出した。これは…本格的だ。
府中「皆準備できたか。」
 周りの人たちも準備ができたようだ。ここから3キロ走る。それもただの3キロではなく高低差の激しい道のりが続くらしいので、相当疲れるだろう。
深沢「マネージャーたちは水分補給用のジャグを用意しておいて。中身は昨日箱で買ったスポーツドリンクとクーラーボックスに入っている大きな氷を入れて。真希も準備ができてから絵を描いてくれ。」
 深沢コーチがマネージャーたちに指示をする。マネージャーの顧問もいるらしいが、諸事情によって明日からの参加らしい。
 皆が整列を終えたとき、日下部監督が近づいてきた。
日下部「これから始めるマラソンもそうだが、体力測定とベンチ入りもかねている大事なテストだからな。気を引き締めていけよ。」
皆「はい!」
 日下部監督はホイッスルを片手に持ち始めた。
日下部「よーい!!」
 ピーーーーーッ!!
 私たち部員、総勢81人はいっせいにスタートした。ハイペースで飛ばしていく人もいれば、体力温存を考え、後半にスパートをかけるためスローペースで進んでいく人もいる。私と由紀は前の先頭集団についていくことにした。後ろにいて、疲れてしまっては追いつけないからだ。芦毛先輩や府中先輩、海鳳、新天、友亀とかも同じような考えなのだろうか、先頭集団についてきた。その中で先頭にたっているのが……。なんと瞳だった。
府中「はやっ。」
 府中先輩が思わず声を出すぐらい早いらしい。私たちをおいてどんどん先に進んでいく。しかしあのペースは速すぎなのではないかという不安が出てきた。しかし、そんなことはすぐ切り裂かれるように消えていった。前に聞いたことを思い出した。「柔道で全国優勝」。それを思い出して私はすぐにペースを上げて二番手にたった。もしこれで瞳に追いつくことができたら、私はそれだけの体力を持っているって証拠になる。いい目安だ。由紀は追ってこないが府中先輩が私のことを追いかけてきた。負けられない。せっかく野球部でレギュラーを狙おうと考えてたところに、この測定がベンチ入り又レギュラー入りの確立が上がる試験だとすれば、こんなにおいしいことは無い。私は負けられない。そう思って全力で走り続けた。今思えば昔はネガティブ志向だったのが、今ではこんなに強気になれている。まだ怖がってしまうところもあるが、自分は少しずつ変わってきてるのだと思う。そう考えると由紀にはすごく大きな貸しを作ったことになる。その借りを返すために私はレギュラーになってみせる。
 少し進んでいくと大きな坂が見えてきた。ここからが正念場だろう。体力と気合、根性が試されるところだ。先頭にはすぐにでもとらえられる距離に瞳がいる。ここで追い抜けば…。
 タッタッタッタッタッ……
亜弓「うわっ。」
 私は思わず声を上げてしまった。瞳がグイグイと坂を上っていく。それも信じられない速さで上っていくのだ。

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06.22
 午前八時、名古屋に到着して私たちは休憩し始めた。
由紀「さあ、ここからバスだね。」
亜弓「もう一時間ちょっとだね。」
 そんなことを話しながらソフトクリームを食べた。冷たくておいしい。バスまであまり時間はないけれど、短い時間で小休憩ができてよかった。
府中「よし、バス乗るぞ。準備しろ。」
芦毛「日高、羽葉、アイスを食べおえてからバスに乗ってな。」
 芦毛先輩がほかの人を誘導しながら言った。バスの中でアイスをたらしたりしてしまったら大変だ。私と由紀は残りのコーンと一緒に口に放り込んだ。
真希「亜弓、由紀、口にアイスクリーム残っているよ。」
 私と由紀が口を手で拭うと白いクリームがついていた。私はティッシュで口と手を拭いたが、由紀はそのクリームでさえなめてしまった。
瞳「拭かないで舐めるの!?」
由紀「なんかもったいなくて。」
真希「それ、あまり変わらない気がするよ。」
 そんなことを言いながら席に座り、バスが出発した。天気は晴天、絶好の練習日和だ。これから合宿が始まるという実感がわいてきた。
 私は時々外の景色を眺めていた。車が進んでいくにつれて、景色がだんだんと田舎になってくる。遠くを見ると山々がたくさん見えてくる。もうそろそろ現地に到着するのだろうか。
三由「そういえば気になったのだけど。」
 三由先輩が私たちに問いかけてきた。
三由「あなたたちは彼氏いるの?」
亜弓「なっ!?」
 私たちは突然の発言に唖然とした。
由紀「な、な、何言っているんですか先輩は! できるわけないじゃないですか!!」
 由紀にいたっては赤面しながら大声で恥ずかしがった。
亜弓「わ、私だっていませんよ。」
瞳「私は恋愛は分からなくて。」
真希「好きになる要素を持った男性がいません。」
 瞳は恋愛が分からない、真希にいたっては男性の心を傷つけるような発言をした。たしかに私も好きになった人なんていなかった。由紀は…恋愛ができなさそうなタイプだ。
三由「じゃあ、彼氏がいたときってある?」
亜弓・由紀・真希・瞳「ありません!」
 全員即答だった。あまりにもぴったりだったので、私たちは笑ってしまった。
真希「私たちからも質問なんですが、先輩たちは付き合ったこととかって、ありますか?」
 真希が先輩たちに質問した。
千恵美「私もいないわ。いい男がいないもの。」
恵美「つりあうような人がいないもの。」
千恵美「何同じようなこと言ってるの?」
恵美「似てるだけであって言葉は違うわ。」
美琴「私もないよ。好きな人ができたら付き合いたいけどね。」
 どうやら先輩たちもいないようだ。そして最後は…。
三由「皆進展無しか~。」
美琴「そういう三由はどうなのさ。」
 私たちの視線が三由先輩に集まる。
三由「私は男と男が戯れてるところか、女と女が戯れているところがいいな。うへ、ぐへへへへ。」
 ………………。
 聞かなかったことにしよう。
三由「はぁ…。」
 私たちが何にも反応しなかったのを察したのか、席から立ち上がった。誤るのだろうか。
三由「ねぇ、男子たち。」
 三由は前に座っている男子たちに声をかけた。全く持って察してなかったようだ。…まって、これってまさか…。
三由「彼女いる人、もしくは彼女がいたことがある人は挙手して。」
 やってしまった。なんという人なんだこの先輩は。私たちは少々気になって男子たちが座っている方を向いた。
男子たち「…………。」
 だ、誰も挙手しない。何なんだこの空気は。
真希「ど、どうするのですか先輩。この空気まずいですよ。」
 真希が先輩に心配そうに尋ねた。先輩の顔を見ると。
三由「…………。」
 ものすごい険しい顔をしていた。何か、この世の終わりでも見ているかのような…。
日下部「俺は結婚してるぞ。」
 そういって日下部監督が手を上げた。
深沢「俺も結婚している。」
 深沢コーチまで答えた。
運転手「あ、ちなみに私も結婚はしております。」
 運転手まで。これはもう男子たちにとってはたまらない追撃だったようだ。
男子「ぐわああああああああああ!!!」
 男子たちは頭を抱えて悲しんでいた。それもそうだ、これだけ誰もいないと辛いものである。私も男子だったら同じような感じだったのだろう…。

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06.20
府中「よし、皆そろったな、乗るぞ。」
皆「はいっ。」
 私たちは新幹線に乗った。これから名古屋に行って、到着したらそこからバスに乗り、知多に行く。結構な時間がかかりそうだ。
 新幹線の中で、私たちは学校の話題で持ちきりだった。
真希「昨日話しかけてきた優衣のことだけど、あの子チアリーダーできるのかなぁ。」
亜弓「たしかアイドル時代に踊っていたからできると思うよ?」
由紀「そうだったんだ。というか亜弓、よく知っているね。」
瞳「昔からファンだったの?」
亜弓「私じゃなくて弟がね。たまに一緒にテレビで見させられたりしてたから。」
瞳「なるほど。」
真希「本当は亜弓がファンだったりして。」
亜弓「ち、ちがうって! 嫌いではないけど…。」
瞳「あ、そうそうこの前、マネージャーたちで吹奏楽部の方に挨拶しに行ったんだ。」
由紀「そっか、大会ではお世話になるもんね。」
瞳「すごく人数が多かったよ。それにね、部長さんがとても美人なの。」
亜弓「へぇー。」
三由「あぁ、蓮沼美和(はすぬま みわ)のことでしょ。」
美琴「みんなに信頼されて、お姉さんみたいなポジションだからね。ついでにモデルさん、うらやましい限りだよ。」
由紀「なにそれ、すごっ。」
恵美「そうそう、すごいと吹奏楽部で思い出したけど、そこにすごい一年生もいるのって知ってる?」
真希「名前は分かりませんが、たしかピアノコンクールで日本優勝した人だったような気がします。」
千恵美「そうそう、名前は橋風萌(はしかぜ もえ)だったはず。あの子はすごいよ、吹奏楽部ではトランペットやってるらしいけど、郡を抜いて上手いらしいよ。」
亜弓「音楽なら何でもできるのか…。世の中にはもっとすごい人たちがたくさんいるね。」
伊沢「日高、羽葉、ちょっとこっちに来てくれ。見せたいものがあるんだ。」
 私たちが話してるところに後ろから伊沢が声をかけてきた。海鳳も顔をだした。
海鳳「お話中にすみません。ちょっと野球のことでお話しがありまして。」
 海鳳は先輩たちに謝るように言った。
恵美「私たちも見てもいいかしら?」
 恵美が聞くと海鳳がびしっと姿勢を正した。あれ?……これってもしかして。
海鳳「よ、よろこんで!!!」
 海鳳が大きな声で返事をした。にしても声が大きすぎるよ。
日下部「おい海鳳、うるさいぞ。静かにしろ。」
 案の定監督に怒られた。周りからはクスクスと笑い声が聞こえる。ともかく私たちは立ち上がって伊沢と海鳳たちがいる席に移動した。
海鳳「この雑誌知ってるか?」
 海鳳が雑誌の表紙を見せてきた。
由紀「あぁ、月刊甲子園高校野球でしょ。知ってる知ってる。たまに買っているよ。」
亜弓「私も名前なら知っています。」
海鳳「表紙は今年から新しい学校で監督として就任した人たちの写真が多いようにみえるけど意外と選手のことも今回書かれていたんだぜ。」
 そういって一枚、二枚とページをめくっていった。大見出しとしては別の学校の監督に就任した、おもに有名な人たちのインタビューについて書かれていた。
伊沢「ここからだ。」
 伊沢が言った次のページには高校生へのインタビューのページになっていった。
亜弓「あっ、これ。」
 私は思わず指をさして言った。そこに写っていたのは…。
由紀「これ、去年の夏と今年の春優勝した富良学『富良野学院高等学校』のキャプテン、山茶花桜(さざんか さくら)と、二年生エースの八幡暁美(やはた あけみ)だ。」
美琴「私も知ってる。」
三由「女性なのにすごいよね、男子と普通に戦っていけるんだもん。しかもずば抜けているし。」
海鳳「俺はいつか日高と羽葉がここに載ると思っているぜ。」
亜弓「いやいや、私なんか。」
真希「可能性あるねー。」
亜弓「えっ!?」
瞳「亜弓も由紀もすごいよ。きっとこの人たちみたいになれると思うよ。」
 そういわれて私はもう一度写真の二人をみた。この二人みたいになれるのだろうか…。
海鳳「ほら、他にも青森代表で出た片岸ディア(かたぎし ディア)とかもでっかく載ってるぜ。さすがだなぁ。」
伊沢「そして極めつけは…ちょいとちっちゃいけど。」
 そういって伊沢はページの左側に四角で囲ってあるところを指差した。そこには…。
由紀「池之宮じゃん! すごい!」
海鳳「さすがだよな、やっぱり中学から名前が知られてるやつは違うよな。」
伊沢「すげえな、池之宮!」
 伊沢がそういうと皆の視線が池之宮に向かれる。池之宮は野球の評論本を見ていた。こちらの視線には全く気づいていないようだが、
池之宮「別に、普通じゃん。」
 と小さく答えた。……これが普通なのだろうか…。

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06.19
  2593年 5月13日 3時50分
レシア「皆、準備は大丈夫?」
時槻「問題ないよー。」
 俺達は念入りにストレッチをしながら答えた。そろそろ任務が開始する。命がかかっているから、気は一切抜けない。集中力を切らした瞬間、終わりだ。
田垣内「任務準備するの、いつもより早いけど大丈夫か?」
 俺は時計を見ながらレシアに問いかけた。
レシア「ちょうどいいのよ。おそらくアクシデントはつき物だから。そこを計算すれば大丈夫だよ。」
 そう言うと、レシアは片耳イヤホン式無線機器を取り付けた。そしてリレンと交信を始めた。
レシア「聞こえる?リレン。」
リレン「聞こえるよ。」
 かすかにリレンの声が聞こえた。何を言ったかまでは分からないが、なんとなく話している内容は予測できそうだ。
レシア「今どこにいるのかと、前方に敵がいるかいないかの確認を教えて。」
リレン「レシアの向いているほうから見て右後ろのビルの上にいる。前方1km先に敵はいないよ。」
レシア「了解。こちらはダッシュボードを使うけれど、そっちは大丈夫?」
リレン「スナイパーにサプレッサー付けて、ジェット機能で移動するから問題ないよ。ブーストの入った靴と手袋も装着してるから、問題なくついていけるよ。」
レシア「了解。2分後に任務を開始する。」
 レシアが交信を終えると自分のウォーミングアップを始めた。そして俺たちに指示を出した。
レシア「ダッシュボードを使うから準備して。」
 そういわれると俺達はポケットの中から小さなチップを取り出し、ボタンを押した。チップは拡大されて、ダッシュボードになった。今日のボードの調子はいいみたいだ。
レシア「皆、準備できた?」
若丸「問題ないぜ。」
心音「ねぇ、リレンちゃんは大丈夫なの?」
レシア「リレンはダッシュボードじゃなくてライフル移動するって。みんな、そろそろ行くよ。」
 そういうとレシアは移動体制に入ってリレンと再度交信をした。
レシア「準備はいい?」
リレン「yes。」
レシア「何か不振なものを見つけたらすぐ報告して。」
リレン「了解。」
 交信を終えると、
レシア「カウントいくよ。」
 そういわれると俺たちも移動体制を作った。
レシア「3・2・1…ゴー!」
 バシュウゥゥゥ
 俺達はダッシュボードのブーストを一気に放出して移動を始めた。横を向いて見上げると、リレンがスナイパーライフルを使って移動していた。なんという速さだ。
リレン「前方2km先にある大きなビルの手前で右へ、そのあとすぐに大通りに出るからそこを左に。」
 リレンが指示を出したみたいだ。さすがは護衛とも言うべき仕事だ。
レシア「敵は見つかる?」
リレン「今は見つかっていない。」
 レシアは右側に指をさした。右折する指示だ。右に曲がると細い道に入っていく。不気味そうな道だ。
時槻「ここ、何かあぶない気がする。」
田垣内「警戒は怠るな。」
 そういいながら左右を確認した。影に潜んでいるやつらはいないみたいだ。そのまままっすぐいくと大通りに出た。ここには人影がない。まだ前の戦争から復興していない場所だろうか。
 レシアは左に指を差し、左折し始めた。
 バシューゥゥゥ……。
 上から空気を切り裂く音が聞こえる。上を向くとリレンが大通りの間を飛んでいる。恐ろしい大ジャンプだ、よく綺麗に飛べるな。あんな銃の使いこなしとバランス力を持った人はそうそういないだろう。
 リレンが隣のビルに飛び移ると指示が出た。
リレン「レシア、敵発見。」
レシア「…っ。」
 レシアが右手をバッと横に向けて手を広げた。敵がいるという指示だ。
リレン「前方の3km先にスナイパーが6人いる。」
レシア「分かった。できるだけ鮮明にいる場所の説明を頼む。」
リレン「わかっ……あ、まって!」
 リレンの大きな声が、レシアのイヤホンから聞こえてきた。何があったのだろうか。
リレン「右後ろ、小さなビルとビルの間に20人ほど待ち伏せがいた。…一人ロケットランチャー所持!」
レシア「皆、降りて!」
 レシアが大声で指示を出した。俺達はすぐにダッシュボードのジェットを止めて地面に着地した。ダッシュボードはすぐポケットに収納された。
レシア「田垣内、後ろに厚めコンクリートの壁を作って! ロケットランチャーが来るよ! リレンは前方にいるスナイパーを片付けて! 他に敵がいたら人数を教えて!」
リレン「了解!」
 俺は後方を向くとロケットランチャーを構えた男を発見した。
田垣内「コンクリートの後ろに隠れて!!!」
 俺はすぐさま地面のコンクリートを変形させた。厚さの壁をつくるにはすぐにはできない。
 ドシュゥウ!
 ロケットランチャーが飛んでくる。間に合ってくれ!!
 ドゴオォォォォン!!

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06.19
 誰もいない。一人ぼっちで待つのは辛いことだ。早く来すぎた私がいけないのだけれども…。誰か一人でも…
瞳「おっはよー、亜弓も早いね。」
 来てくれた。振り向いたらキャリーバックを持った瞳を発見した。
亜弓「よかったぁ、瞳が来てくれなきゃ私、一人で待っていたことになってたんだ。」
瞳「私もちょっと早く来すぎてないか心配してたんだ。よかったよ。」
 瞳はキャリーバックをねかせるように置いた。
瞳「今日現地に着いたら、すぐに練習が始まるの?」
亜弓「そうだよ。初日からは辛いよね。」
瞳「だよね。私も柔道の合宿は初日が一番辛かったよ。」
 そんな会話を15分ぐらいしていたら、真希がやってきた。
真希「おはようございます。」
瞳「おはよう。」
亜弓「おはよう、真希。」
海鳳「うーっす。」
友亀「おはよう。」
伊沢「はよー。」
 その後からぞろぞろと選手たちが集まってくる。時計を見るとまだ五時半だ。やっぱり私が早すぎただけだ。それにしても由紀がまだ来ていない。いつやってくるのだろうか。
千恵美「おはようございます。…なんであんたが隣にいるのよ。」
恵美「おはよう。あなたこそ何故隣に?」
 先輩マネージャーたちもやってきたようだ。
千恵美「あなたがついてくるからでしょ? 離れなさいよ、しっしっ。」
恵美「しっしっ、ってなによ。あなたが離れなさいよ!」
真希「いつもの感じですね、ふふっ。」
 真希、ここでも毒舌が…。
三由「おはよう皆。」
瞳「あ、三由先輩、おはようございます。」
美琴「おはよう、マネージャーは皆来たみたいだね。」
真希「おはようございます、美琴先輩。」
千恵美「お疲れ様です。」
美琴「そういえば、女子は全員そろってないみたいだね。由紀がいないね。」
 もう45分になる。そろそろ皆が集まってきているところだ。まさか…遅刻は無い…よね。
 そうして待つこと10分、まだ由紀がいない。5分前となって来ていないのは由紀だけだ。いつもは遅刻するような人ではないのに。
府中「おはよう皆。」
皆「おはようございます、キャプテン。」
 キャプテンが挨拶すると、深沢コーチがやってきた。そのコーチを向くように円になった。
深沢「おはよう、誰か来ていないのはいるか?」
瞳「由紀が来ていません。」
 すぐに瞳が答えた。それに反応して周りがざわつく。
深沢「羽葉が? 珍しいな。こんなときに限って遅刻だなんて。」
 と言ったとき、後ろからダッシュでやってくる人が…。この光景、野球の試合でも見たことあるような…由紀だ。
由紀「セェェェーーーフ!!!」
 由紀が円の真ん中に飛び込むように入ってきた。
深沢「ギリギリアウトだ、気をつけろ。」
由紀「ガーン、うそーん!」
深沢「理由を一応聞こう。」
由紀「いやー、合宿が楽しみで仕方なくて。夜眠れなくて…。」
深沢「遅刻したんだな。」
由紀「………はい。」
亜弓「で、でも新幹線に乗り遅れるよりは良かったです。」
 私は由紀のことをフォローした。すると由紀は私のところに近づいて、
由紀「亜弓…やっぱり天使だなぁ!」
 と、あきらかに嘘のように作った涙声を出しながら私の太ももにしがみついてきた。
亜弓「何してるの! って天使って始めて聞いたよ!」
 そんなやり取りを見たからなのだろうか、皆の表情は今まで硬かったが、やわらかい表情に変わった。これも由紀の力なのだろう。皆のムードを良くする。それがどれだけすごいことか。

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06.16
亜弓「ご馳走様でした。」
由紀「あー、おいしかった。」
瞳「学食で食べるのもいいですね。」
真希「周りも綺麗ですね。清潔でとても良いです。」
 私たちは学食でご飯を食べていた。学食で食べるのは初めてかもしれない。しかもここの学食は今年新しくなったため、人がたくさん来る。だから席を取ったりするのにも運が必要になってくる。
亜弓「あ、明日から私たち合宿だよね。真希と瞳はたしか部活掛け持ちでやっていたよね?」
真希「私は美術部だけど、合宿はまだまだ先だから野球部の方の合宿についていくよ。」
瞳「私は掛け持ちじゃないけど、家で柔道やっているからね。いつも合宿みたいな練習ばかりだよ。私は国体とかぶらなければいつでもマネージャーとして参加するよ。だから今回の合宿は一緒に行けるよ。」
亜弓「よかった。」
由紀「四人で一緒の部屋だよね。何持っていく? トランプ? ウノ?」
真希「遊びに行くのではないですよ。」
亜弓「そうだよ。私たちなんか練習一緒にしなきゃいけないのだから、疲れてそれどころじゃないと思うよ。」
由紀「はーい。」
 そういって由紀は学食で頼んだ天丼を食べ終えた。
 ワーワー、キャーキャー
瞳「なんだろう、あの人だかりは。」
 私も気になったので背伸びをして見て見た。
真希「あれって、歌手の棚橋優衣(たなはし ゆい)じゃない?」
由紀「あ、本当だ。確か同じ一年生だよね。学校行きながら歌手やるのって大変だよね。」
亜弓「けっこう有名だよね。今度モデルもやるんだよね。」
瞳「うらやましいよね。」
優衣「ちょっといいかな。」
亜弓「えっ?」
 優衣が中性的な声で私のことを呼んで近づいてきた。え、え? 何で私のところに。周りにいる女子や男子たちは歓声を上げる。
亜弓「わ、私?」
 私はあまりにもいきなりな出来事に戸惑ってしまった。
優衣「うん。キミってたしか野球部に所属している…日高亜弓さんだよね?」
亜弓「は、はい。そうです。」
由紀「おお、名前知られているんだ。」
優衣「もちろん知ってますよ。私も野球は好きですし。たしか羽葉由紀さんでしたよね。」
由紀「そうだよ。ありがたいね、名前を知られているのって。」
優衣「ふふっ、それで今日はあなたたちにお願いしたいことがあって。」
亜弓「何ですか?」
優衣「えっとですね…。」
 優衣は恥ずかしそうにモジモジしながら小さな声でつぶやいた。
優衣「私、大会始まったら野球部のチアリーダーやりたくて…。」
亜弓「え?」
由紀「本当に!? チアリーダー!?」
 由紀が大きな声で言った瞬間、食堂が沸いた。
優衣「わぁあ! 待って! 早まらないで!」
 優衣は慌てふためいた。
優衣「えっとね、私歌手やってるからいつ時間が取れるか分からないの。だから仕事が無いときだけやりたいのだけど…。監督に相談してくれるかな?」
由紀「わかった! 監督に聞いてみるよ!」
 そういって由紀はダッシュで走り始めたが、すぐに瞳が、
瞳「監督は明日の合宿のために今日は学校にいないよ。」
由紀「マジで!?」
 由紀は足をぴたりと止めた。
真希「そしたら私たち、明日から合宿があるのだけど、合宿が終わったら聞いてみるよ。」
優衣「本当に!? ありがとう!」
瞳「これからよろしくね! 私は、」
優衣「知ってるよ、森田瞳さんと湯野沢真希さんですよね。」
真希「私たちまで知られているなんて嬉しいなぁ。」
優衣「有名じゃないですか、知らないわけ無いですよ。」
亜弓「そんなにすごいんだ。さすがだね真希、瞳。」
瞳「えへへ。まだまだたいしたこと無いけどね。」
真希「私ももっと頑張らないと。」
 私たちはその後、優衣とメールアドレスを交換した。食堂は優衣が去っていってもざわついたままだった。すごい人気だ。


 そして…今日から四泊五日の合宿。合宿が終わるとゴールデンウィークに入る。その日は部活が休みとなる。そのかわり、今日からいつもよりハードな練習がやってくるのだ。合宿場所は愛知県の知多らしい。途中から移動するらしいけれども。朝の六時に東京駅で集合、新幹線を使って愛知県に行くのだが…。ただいまの時刻は五時丁度。
亜弓「早く…来すぎちゃった。」

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06.16
 亜弓の家にて
亜弓「はぁ~、気持ちいいなぁ~。」
 練習した後のお風呂は最高だ。…羽葉由紀かぁ…。私にとってみれば遠い存在に思える。あんなにすごいバッティングは今まで見たこと無い。正直推薦組よりもすごいのかもしれない。私はついていけるのだろうか…。いや、ついていってみせる。お風呂に入りながら右腕を上げてみる。私の手をじっと見つめる。
亜弓「ふぅ…、頑張ろう。」
 そういって私はお風呂から出た。

 由紀の家にて
由紀のおばあちゃん「由紀、ご飯できたわよ。」
由紀「はーい。」
 私はちょうどグローブの手入れが終わったのでリビングに向かった。今日のご飯はナスの肉詰めだ。
由紀「いっただっきます!」
由紀のおばあちゃん「めしあがれ。」
由紀「今日ね、野球の練習試合があったんだ。」
由紀のおばあちゃん「へぇ~。」
由紀「それでね、前に話していた亜弓って子なんだけど、とってもすごいピッチャーだったんだよ。先輩相手に勝っちゃうんだもん!」
由紀のおばあちゃん「それはすごいねぇ。由紀は試合で打てたの?」
由紀「そりゃあもちろんだよ!」
由紀のおばあちゃん「よかったよかった。」
由紀「おばぁちゃん。私、甲子園目指して頑張るよ。」
由紀のおばあちゃん「そうかそうか、きっとお父さんもお母さんも喜ぶよ。」
由紀「……うん!!」
 私は絶対に甲子園に行ってみせる。おばぁちゃんに私が頑張っているって所を見せてあげたい。そして……
 ……お父さん、お母さんにも――――――――。


これで三話は終わりになります!読んでくださった皆様ありがとうございます!

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06.16
ここに書かれることは史実とは全く関係がありません。ご了承ください。 小説内での出来事です。


全日本大学野球大会の見所とドラフト候補及び日米大学野球大会の候補選手たち


 六月に行われる全日本大学野球大会の見所を紹介しましょう。
 まずは注目校から。
今大会の注目校はなんと言っても東都地区代表の東光大学の二連覇を制するかどうかだろう。去年のレギュラーメンバー六人が四年生のため、大幅に選手は変わったが去年にも劣らない打撃力は今年も健在だ。二年生からのエース椎葉真菜(しいは まな)・投手「4年」は東都リーグでも完全試合を達成し五回目の完全試合とした圧巻のピッチングを見せてくれた。打撃人としても雨宮新太郎(あまみや しんたろう)・一塁手「4年」が大きな活躍が期待できる。
 対抗としては愛知地区代表の愛名大学だ。昨年の秋大会でベスト4を記録、今年のメンバーは去年とほぼ変わらない。全体的に力強くなった印象だ。打撃は長根雄大(ながね ゆうだい)・外野手「4年」を筆頭に重量打線が続いていく。愛知地区大会からエースとして活躍し始めた森笠渡(もりかさ わたり)・投手「2年」にも注目が集まる。
 他には関西六大学リーグ代表、日本関西学院大学にも注目したい。守備力に定評があり、エースの橋本雄一郎(はしもと ゆういちろう)・投手「4年」の状態も万全の様子。四年ぶりの出場で旋風を巻き起こすか。
 そしてもうひとつ挙げるのであれば東京六大学リーグからの代表、日本国立大学だ。実に14年ぶりの出場となった。国立ならではの頭脳プレーなどが光る。虎の子一点を守りきるチームであり、その原動力でキャプテンの堀近哲三(ほりちか てつぞう)・捕手「4年」がチームを支える。そして一番注目するべきはエースの椎葉佐奈(しいは さな)・投手「2年」だ。東光大学のエース椎葉真菜の妹である。その球は姉に劣らない球を持っている。姉妹同士の投げ合いが見れるか楽しみだ。
 
 次にドラフト候補、及び日米大学野球大会の選手候補を見てみよう
 今年は野手に注目する選手が多く集まっている。昨年優勝を経験している雨宮新太郎・一塁手「東光大学」を筆頭に昨年神宮球場で場外ホームランを打ち、圧倒的パワーを見せ付けた長根雄大・外野手「愛名大学」や国立出身の巧みなリードが光る堀近哲三・捕手、「日本国立大学」などがいる。また、京滋地区代表から確実な守備で魅力な国見鉄(くにみ てつ)二塁手「京都国際経済大学」や四国地区大会で五割打者として注目されている、小金沢岬(こがねざわ みさき)一塁手「鳴門大学」がいる。
 投手としては椎葉真菜・投手「東光大学」が飛びぬけているだろう。完全試合五回という結果を見ると恐ろしい投手だ。複数指名が予想される。他に選ばれるとしたら橋本雄一郎投手「日本関西学院大学」だろう。彼のサイドスローは大きな武器となる。他には早いテンポで相手を押していくタイプの中坪清田(なかつぼ きよた)・投手「武蔵原大学」やプロ顔負けのフォークボールを持つ福水直道(ふくみず なおみち)・投手「福岡経済大学」が面白いだろう。
 一・二・三年生の日米野球候補選手、将来のドラフト候補としては椎葉真菜・投手「東光大学」の妹、椎葉佐奈・投手「2年・日本国立大学」は間違いなく指名されるだろう。姉にも負けないストレートはすばらしい。ドラフト候補としても複数球団狙うことは間違いないだろう。森笠渡・投手「2年・愛名大学」も面白い。打たせて取るタイプであり、被安打が少ない。これからも大きな成長が期待できそうだ。打者としては柿本卓郎(かきもと たくろう)三塁手「3年・流修大学」が光るものを持っている。アベレージヒッターとしてもパワーヒッターとしても活躍できるオールマイティーだ。
 今年の大学野球に注目したい。


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06.15
 その後は何事もなく午後の授業が終わり、放課後になった。
田垣内「若丸、今日大事な話しがあるから司令部の部屋に来てとレシアが。あと雪代も来てって。」
若丸「了解、ちょっとまってて。」
心音「わかった。」
時槻「私もついていくよーん。」
 若丸が鞄の整理をしてから俺達は司令部に向かった。学校の地下室に移動してリレンとレシアと合流して、全方向移動式エレベーターに乗った。
時槻「今回はどんな仕事?」
 時槻は逆立ちしながらレシアに問いかけた。何故逆立ちなのだろうか…。
レシア「大きな仕事になりそうだよ。詳しい話は司令部に入ってから話すよ。」
心音「もしかして、危険な仕事ですか?」
レシア「命がかかわってくるからね。」
若丸「うわっ、こえぇな。なんでそんなこと俺たちに任せるんだ?」
田垣内「怖いなぁ、そういわれると。」
リレン「あなたたち、何度も同じような仕事してるじゃない。」
田垣内「命かかってるんだぞ。怖くないほうが怖いぜ。」
時槻「でもこれでランク上がったりしたら嬉しいじゃん。楽しみだなぁ。」
レシア「ふざけていると死ぬからね。」
時槻「分かってるよ。そんなことよりレシアちゃんやリレンちゃんはランク上がったら嬉しいんじゃないの?」
レシア「私はランクのためにやっているわけじゃないの。」
リレン「そう思っているのはあなたとおバカな人たちしかいないわよ。」
時槻「え? まじで! ねぇねぇ、田垣内くんとか若丸くんとかはランクのためだよね。」
田垣内・若丸「んなわけねえだろアホ。」
時槻「そんなっ!」
 そんな会話をしているうちに司令部室についた。ドアを開けると指令長の片桐さんが待っていた。
片桐「皆来たか。では仕事の内容を話す。今回は警察本部にこの電子機器を届けて欲しい。埼玉(さきたま)の県警察から届けられたものだ。この中身のことは言えないがとても重要なものだ。しかし、これを狙っている人たちがいる。もしそいつらにこの電子機器を奪われてしまったり破壊されたりしまったら大変なことになってしまう。だから君たちに今回の仕事をまかせることにした。よろしく頼む。」
レシア「了解しました。」
片桐「今回は田垣内、若丸、時槻、雪代、レシア五人で行動してくれ。」
リレン「え!? 私の呼ばれた理由は?」
片桐「リレンはレシアたちのところから100mから200mの距離で見張りをして欲しい。ビルからビルへ移動する形で大丈夫だ。敵がいたらレシアに報告、スナイパーなどがいたらしとめて大丈夫だ。」
田垣内「でもそれって人通りの多いところでは被害が拡大するだけですよ。」
片桐「だからお前たちにはあえて人通りの少ないところを通らせるつもりだ。一応お前たちから2km離れてたところから警察隊が準備をしている。それでもし襲ってきた人がいたら捕まえるのも一緒に行う。ということで任務は今日の四時からだ。よろしく。」

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06.15
友亀「ナイスピッチング!」
伊沢「よく粘ったな!」
海鳳「日高すげーぜ!」
 皆が声をかけて私のいるマウンドに向かってくる。そんな中一人だけ猛ダッシュで近いづいてくる…由紀だ。
由紀「ナイス亜弓! やっぱりできると信じていたよ!」
亜弓「きゃっ!」
 由紀が飛びついてきた。何か優勝してお祭り騒ぎのようなテンションだ。由紀ははなれると大きく深呼吸をして、面と向かって声をかけてきた。
由紀「お疲れ様。亜弓がこれで自信を持ってくれたなら嬉しいよ。」
 とても嬉しい言葉をもらった。やっぱりここまできたのも由紀のおかげかもしれない。
 その後は整列集合がかけられてお互いに挨拶をした。挨拶をした後私たちが戻ろうとすると、
沖田「あ、府中キャプテンと芦毛先輩だ。」
 沖田が皆に声をかけた。振り向くと府中キャプテンが近づいてきた。
府中「皆、お疲れ様。今日は試合をやったがとても良い試合だった。これからは皆が一緒のチームだ。甲子園目指してお互い頑張ろう。」
 皆が「はいっ。」と返事をすると二人の先輩が私に近づいて話しかけてきた。
府中「ナイスピッチング。」
芦毛「本当に良い球持っているな。後はスタミナだな。疲れていないようには見えたけど、足を見てみれば下半身が疲れているように見えたよ。下半身トレーニングをもっとやってみるといいぞ。」
亜弓「そうなんですか?」
府中「四回ぐらいからコントロールが悪くなってきただろう?その原因が下半身なんだ。踏み込む位置が少しずつバラバラになってきたからコントロールが乱れて来るんだ。それを防ぐには下半身トレーニングしかないな。」
亜弓「そうだったんですか…。」
芦毛「まぁそんなものは努力で直せるよ。俺は簡単にレギュラーは譲るわけには行かないけれども、こんなやつが入ってきては俺もあぶなくなってきたな。日高はいつかエースになれると思うぜ。これからは同じチーム同士だ、お互いに頑張ろう。」
亜弓「はいっ、よろしくお願いします。」
 そういって二人の先輩はベンチに帰っていった。アドバイスまでもらった。私もまだまだ直すべきところがたくさんあるってことが分かった。
池之宮「日高、俺も気づいたことあるんだけど。」
亜弓「えっ?」
池之宮「踏み込む大きさがバラバラになっているところもある。とくに三振を取ろうとしたときに大きくなる。下手したら一発を喰らってしまう可能性もあるから気をつけな。」
亜弓「ありがとう。」
新天「それと…良い意味で気づいたことなんだけど、日高の球が速いだけで降り遅れたり空振りしているわけではないと思うんだ。」
亜弓「えっ?」
由紀「お、気づいた?」
新天「ノビもすごいけれど、一番は球の出所が分からないピッチングが武器になっているのだと思う。」
亜弓「そうなの?」
新天「うん。投げ方を見ている限りそうとしかありえない。」
由紀「それに付け足して、球もちがとても良いんだ。だから三振をどんどん取れるってことにつながっていくと思うんだ。」
亜弓「そうだったんだ。」
府中「おーい、一年たち。ダウンしてあがっていいぞ。後は俺たちが使うし、一年生の時間がそろそろ終わる。」
 府中キャプテンが声をかけてきた。私たち一年は体験入部の期間の間だけは時間が制限されている。だから私たちは先輩たちよりも早く終えることになるのだ。
 私たちはダウンを行って荷物を片付けた。
府中「よし、そしたら着替え終わった人から帰っていいぞ。入部を決めた人は明日配られる入部届けを書いて担任に提出してくれ。シャワーは明日から使えるからな。池之宮、海鳳、友亀。お前らは残って一緒に練習だ。では解散!」
一年生「したっ!」
亜弓「さすがだね、あの三人は。」
由紀「まあ推薦組は残って練習だからねえ。私たちもいつか追いつくよ。」
 そういって私たちはバックを手に持って更衣室に移動しようとした。
府中「そういえば日高、羽葉、女子用のシャワー室も作っておくからな。最初は仮設用しかないがよろしくな。」
亜弓・羽葉「はい。」
瞳「おーい。」
 府中キャプテンが去ると同時に上から声が聞こえてきた。
真希「着替え終わったら校門前にいるからね。一緒に帰ろう。」
由紀「はいよー! 亜弓、さっさと着替えちゃおう。」
亜弓「あっ、まって!」
 私と由紀は急いで更衣室に移動して着替えた。シャワー無しで着替えると違和感を感じる。でも今日だけの辛抱だ。
 着替え終えると校門に向かっていった。そこには真希と瞳が待っていた。
真希「お疲れ様。はいこれ、ジュース。」
由紀「さんきゅ。」
亜弓「ありがとう。あれ? さっきまで一緒にいた人たちは?」
瞳「あの人たちはマネージャーの先輩たちだよ。二・三年生の手伝いをするから残っていくって。」
亜弓「そうなんだ。」
 プシュ
 私は真希と瞳がマネージャーの先輩について話しているのを聞きながら、ジュースを少しずつ飲んでいった。由紀は一気に飲んでしまったらしい。
由紀「ぷはぁ…。もう一個ない?」
真希「もうないよ。」
由紀「ちぇっ。」
瞳「ねぇねぇ、皆帰りってどっち方面なの?」
亜弓・由紀・真希「右側だよ。」
瞳「皆一緒だね。私も右側だよ。」
由紀「それじゃあ帰ろうか。」
真希「そういえばさっき由紀、試合終わったらダッシュで亜弓に抱きついていたよね。あれかわいかったなぁ。」
亜弓「もう、恥ずかしいよ。」
由紀「か、かわいい!?」
真希「え?うん。」
由紀「あわ、あわわわ/////。」
亜弓「あ。」
由紀「あれは違うの! ほらっそのっえっと…、お願い忘れてえぇええええ////!!」
 由紀は赤面しながら猛ダッシュで去っていった。




これで第三話が終了しました。 この後に大学特別編で大学野球大会の見所やドラフト候補(史実の内容ではなく、小説世界での中です) と 特別編 その後帰宅した亜弓と由紀のお話しを書きます。 四話からは合宿に入りたいと思います!
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06.13
 次は五番の田辺先輩からだ。疲れは感じられない。ストレートがもしストライクゾーンに入らなくても投げるしかない。後ろには仲間がいる。だから思いっきり投げられる。
 シュゴーーバシン! ストライクワン!
 ど真ん中だがストレートが決まった。もうこの試合は変化球を一度も使わずに終わるだろう。だから思いっきり投げられる。
 シューーーズバン! ボール!
 良いコースかと思ったが、微妙に外れてボールだった。
 シューーウバスン! ボールトゥ!
 今度は明らかにストライクゾーンから外れてしまった。腕は振り切れているはずなのに…。
 シューバシン! ボールスリー!
 三球連続でストレートが外れてしまった。バッターはタイミングが合っていないはず。だからストライク球を投げれば打ち取れるし、上手くいけば三振だってできるがストライクが入らない。かといって手を抜くとおそらく打たれるだろう。キャッチャからのサインは全力でなげろ。
 シューーー バシン! ボール、ファーボール!
芦毛「おっしゃ、よく見た!」
府中「こっから続いていこう!」
友亀「ドンマイドンマイ! 切り替えていこう!」
 四級連続で外れてファーボールになってしまった。何が悪いのかさっぱり分からない。指先なのだろうか、それとも投げ方なのだろうか。とにかく今は考えている暇はない。次の打者に集中しなければ。
 次は六番の杉地先輩だ。ソレもノーアウト、一塁にはランナーがいる。杉地先輩はすでにバッターボックス内でバントの構えをしている。確実に送ってくるだろう。キャッチャーからのサインは…決めさせてOK、守備はできるなら一塁ランナーを二塁で刺せという指示だった。当然私は全力でストレートを投げるサイン。大きく踏み込んで全力で!
 シュゴーーー コツン
 やや上がったバントは私とサードの間に飛んでいった。しかし、飛びついても届かない距離だ。
新天「俺が取る!」
 新天が声をかけた。私はボールを追わず新天に任せた。新天がボールを取るとセカンドをチラッと見たが、
友亀「ファーストだ、間に合わない。」
 と友亀が指示を出した。新天も間に合わないと判断して、ファーストに丁寧に投げた。池之宮はしっかりと捕球してワンアウトとなった。そしてファーストランナーは二塁に到達した。
府中「ナイスバント!」
卜部「よっしゃ芦毛、打てよ!」
栗山「芦毛先輩、意地を見せてやってください!」
 そして次は七番の芦毛先輩だ。一打席目で一度当てられている。でも私だって負けられない。一打席目の結果としては三振を取っている。私にだって意地はある。
 シューーズバン! ストライクワン!
 低めにストレートが決まった。ストレートでどんどん押していこう。
 シュー バシン! ボールワン!
 シュゴォーー!ズバーーン! ストライクツゥ!
 一球ボールの後にストライクが入った。ツーストライクワンボールで追い込んだ。ランナは動きを見せず、二塁にいる。しっかり投げなければ。思いっきり腕を振り切って!
 シューーー
三塁ランナーコーチャー「ゴォオ!!」
伊沢「ランナー走った!」
 私が投げたと同時に走り出した。盗塁ではない、もしかして…。
芦毛「うらっ!」
 キーン!
亜弓「あっ」
 私が声を上げて振り向くと、強い打球がライト線上に飛んでいった。ファールかフェアかギリギリのラインだ。お願い、切れて。
友亀「ライト!!」
芦毛「きれるなあぁ!」
 ボールが落ちていく、まだ切れない…切れない…。
 トンッ
 フェア!!
府中「よっしゃ! 田辺、楽に帰れるぞ!」
卜部「芦毛二塁だ! 回れ!!」
 打たれた。ヒットを打たれた。しかもセカンドランナーは余裕でホームインした。一点取られて四対一、私の球は打たれる。最初は良かった、でも投げていくうちに打たれていくんだ。嫌だ…嫌だ。
友亀「ライト、取ったらセカンドだ! 間に合う!」
 呆然としていた私ははっと気がついた。まだインプレー中だ。そのときにはライトがボールを捕球していた。
米倉「沖田、そのままカットなしでダイレクト送球だ!」
 沖田は捕球した体勢から助走をつけた。
沖田「っらぁあ!!」
 矢のような送球がセカンドベースについているショートの伊沢のもとへ飛んでいく。タッチプレーになりそうだ。
 パシン!
 きわどいタイミングで伊沢が芦毛先輩にタッチをする。
伊沢「審判!」
 アウト!!
沖田「おっしゃ!」
芦毛「クソッ!」
 綺麗な送球でバッターランナーがアウトになった。すごい肩だ。
米倉「ナイス沖田!」
友亀「よし、ツーアウトだツーアウト!」
海鳳「後一つだ、しっかりいこうぜ!」
 皆がまとまっている。私もあの中に入りたい。でもどうやって…私は打たれたピッチャーだ。こんな私なんかあの輪の中に入れるわけが無い。私は…、
由紀「亜弓! あと一人だよ、頑張って! 一点はしょうがないよ、踏ん張って!」
 私の心の闇を裂くような言葉が私の胸に突き刺さった。
新天「あと一人だよ頑張って!」
池之宮「さっさとしとめちゃおうぜ。」
 皆は全く怒っていなかった。打たれた私を受け入れてくれるかのような様子だ。
亜弓「えっ…私打たれたはずなのに。」
 私はそういって立っているだけしかできなかった。
友亀「あんなに良いピッチングしているのに日高を攻めるわけがないよ。みんな応援してるぜ。」
 応援してくれている…。私はこのときどうすればいいのだろう。声をかける? そうじゃないはずだ。皆はきっとこの先のバッターを抑えてくれることを期待している。私もその応援に答えなければならない。後一人なんだ、頑張れ私!
 ツーアウトランナー無しで八番の野中先輩だ。私は期待に答えてみせる。それを投球で示すことが私の役目だ!
 シュゴォオオオ!! ズバーン! ストライクワン!
 今までの中で一番良い球が友亀のミットに飛び込んでいった。これなら…。
 シューーーーブン! ズバン! ストライクツゥ!
友亀「よっしゃあと一球!」
由紀「頑張れ!!」
府中「頼む、打ってくれ!」
 皆から声をかけてもらっている。相手ベンチからもバッターに対する応援の言葉がかけられている。
真希「亜弓さん!」
瞳「頑張って!!」
 その声が聞こえるほうを見ると、真希と瞳が観客席から応援していた。私を応援してくれている人がたくさんいる。だから思いっきり投げれる。最後の一球だ。大きく振りかぶって、腕を振り切って!!
 シューーーーブシィ! ズバン!!! 

 ストライクバッターアウト! 
 ゲームセット!!

亜弓「やったあああ!」
 私は両腕を高く突き上げた。

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06.09
羽葉「ナイスバッティング! 亜弓!」
 私がベンチに戻ってくると由紀がぴょんぴょんと跳ねながら待っていた。そうだ、私が帰ってきたからこれで三対一になったんだ。
亜弓「ありがとう。予想してたとおりに球が来たからしっかり打つことができたよ。」
 ほめられて嬉しかった。今回の打撃は自分自身にもほめたいぐらい上手く打てた。勇気を出してよかった。
 次は四番の池之宮からだ。しかしなんだろう、このなんとも言えないものすごい威圧感は。ベンチにいる私でさえ恐ろしいオーラを感じるような、そんな雰囲気が漂ってきた。おそらく芦毛先輩はそれを直に感じているだろう。あんな人と対戦するなんて恐怖心がまとわりつくものだ。
 池之宮が大きな構えをとる。ピッチャーはランナーをあまり気にしていない。おそらくバッター勝負だろう。
 シューーーバシン ボール
 警戒したのか、外角の厳しいコースにストレートを投じたがボール。それほど恐ろしいのだろう。
 ググッ ブシィン!パシン ストライクワン!
池之宮「おっと。」
 ものすごいスイングだったが空振り。風きり音がこちらまで聞こえてくるほど恐ろしいスイングだ。当たったら飛んでいくことは確実だ。
 シューーー
池之宮「うらっ!」
 キィイイイイン!!
 当たった、けど打球はどこへ行ったのか。よく見ると快音が聞こえたころには弾丸ライナーで左中間に打球が飛んでいっていた。これは取れないだろう。サードランナーの海鳳は余裕のホームイン。これで一点追加、四対一とリードを広げた。その打球の間にも池之宮は二塁に到達。ツーアウト二塁となった。
 ここで五番の新天だ。長打を狙っていくのか、それとも確実なヒットでつなげていくのだろうか。外野は深めの守備位置を取った。
 シューーーバシン ストライクワン!
 ストレートが決まった。まだまだ芦毛先輩はあきらめていないようだ。
 シューーー ブン バシン ストライクツゥ!
 新天が簡単に追い込まれてしまった。でも彼はこんなんで終わるバッターではない。
 グググ
 ここでカーブを投じた。
 キーーン!
 バットの先端で上手く当てたバッティングはセカンドの後ろにポツンと落ちた。
海鳳「池之宮走れ!」
 海鳳が叫んだ。ライトが深い位置で守っていたのでチャンスだったのだろう。ライトの中山先輩がボールに追いついてバックホームした。いい返球だ。池之宮がスライディングしてキャッチャーの芦毛先輩がタッチしにいった。判定は…。
 
 アウトオオオオ!!
池之宮「ぐわあああああ。」
海鳳「うわまじか。」
新天「これはいくらなんでも無謀だよ…。」
 ホームでタッチアウト。これでスリーアウトチェンジとなった。しかしこの回、二点を追加した。そしてこれから私は最終回のマウンドに向かうことになる。
由紀「亜弓。」
 由紀がグローブをパンパンと音を立てながら呼んだ。
由紀「最終回だね、落ち着いて投げれば大丈夫だよ。」
亜弓「ありがとう。」
由紀「もし四球とかが増えてきても全力で投げるんだよ。手を抜いたらそこでやられちゃうから。」
亜弓「うん、分かった。」
由紀「それじゃ。」
 パシーーーン!
亜弓「きゃっ!?」
 由紀がグローブで私のお尻をたたいた。
亜弓「な、なにするの!!」
由紀「気合入れるためだよ。」
亜弓「だからってお尻をたたくなんて! 背中でいいでしょ。」
由紀「そ、そんな気持ちでやったわけじゃないよ! 変態じゃないからね! そ、それじゃあ!」
 そういって由紀は顔を赤らめながらダッシュでレフトに走っていった。自分でやっておいて自分で恥ずかしがってどうするの。
 でも気合入れていかなきゃいけないのは確かだ。ここから最終回、相手は最後の最後まで粘ってくるだろう。だから私もそれに立ち向かっていかなければならない。私は抑えてみせる。

 そして私は、エースになる!

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06.08
?「ちょっとー、そこで遊ばないで!危ないよ!」
 大きい声で誰かが叫んだ。振り向いたらそこにはリレンが廊下で遊んでいる生徒に怒っていた。風紀委員だから怒るのは当然なんだろうけれども…、
リレン「ねえ!早く遊ぶのやめないとブチ殺しますよ!」
 相変わらず言葉使いが荒いなあ。いくらなんでもそこまで怒らなくても。俺はリレンがいい奴だと思っているけれども、怒ってるときだけ嫌な奴にしか思えなくなってきている。
田垣内「まあリレン、落ち着いて。」
 なだめようとするが、
リレン「頭ぶち抜くよ?」
 相変わらずなにかぶっ飛んでる。俺にはもう手の施しようがない。
 その後は何の変わりも無く授業が進んでいって、午前中の授業が全て終わった。今日は弁当を用意していないので食堂にしよう。立ち上がると、
時槻「結城くーん! 一緒に食堂で食べようよ!」
 とバク転しながらやってきた。どこまで元気なんだ。そのあと若丸も誘ってみたが、朝の間に購買の弁当を購入したらしい。仕方なく俺と時槻は食堂に行くことにした。
田垣内「今日は何を食べるんだ?」
時槻「今日は海鮮丼かな。もちろん二倍盛りで。」
田垣内「本当に良くたべるよなぁ。」
 そんな会話をしながら電子マネーで食券を買った。俺はとんかつ定食にした。食べ物が来て席を探したが、空いている席は四人で座れる席しかなかった。
田垣内「なんでお前ってそんなたくさん食えるんだ?」
時槻「ああ、私結構腹が減りやすいのよね。燃費が悪いというか、すぐ消費してしまうというか…。それに私いくら食っても太らないし、エネルギーに全部使っちゃうから大丈夫だよ。」
 時槻はどんぶりをがっつきながら答えた。その一言で周りの女子の鋭い視線がこちらに向けられる。何かものすごい殺気を感じる。
田垣内「なあ、食堂でそんなこというなよ。」
時槻「え? だって本当のことじゃん。」
 時槻は全く気にしないでガツガツと勢い良く海鮮丼を食べていく。しかもよく見るとすでに半分以上食べ終わっていた。おそろしい。
田垣内「あれ?雪代は?」
時槻「今日は委員会の仕事があるからそっちで食べるって。」
田垣内「ふーん。」
?「ちょっと相席いいかしら?」
 大人びた声が聞こえた方に振り向くと黒い髪の女が立っていた。よく見るとレシアだ。隣にはリレンもいる。
田垣内「いいですよ。」
リレン「ありがっと。」
レシア「実は今日あなたたちに用があって。今日の放課後、司令部に来て。」
田垣内「何かあったんっすか?」
時槻「何々? 新しい仕事?」
 時槻は海鮮丼をたいらげ、机にドンッとおいて目をキラキラさせた。
レシア「ちょっと大事な仕事が任せられてね。よろしくね。」
 なんだろう、大事な仕事って。
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06.08

そのころ由紀は

由紀「ねえ、友亀。」
友亀「ん? なんだ。」
由紀「亜弓の投球見て気になったのだけど、コントロールずれてきてるけど大丈夫かな? 本人は疲れてないって言ってるみたいだけど。」
友亀「今のところ心配はないよ。球の勢いも衰えてないし、球速も落ちてない。」
由紀「心配しすぎなのかな、私。亜弓が怪我したらどうしようって思って。」
友亀「そりゃあ初回か全力で投げてればそうなるよな。ただでさえ打者にとって見えにくい投球フォームだから体が柔軟なのはわかるけど、負担がかかるしなぁ。そうなると不安が募るだけだし。」
由紀「一応亜弓の状態はよく見ておいてね。」


 私もチームに貢献したい。ピッチングができるだけではレギュラーは難しい。だからここはなんとしても打ちたい。狙えるなら初球から打っていく。私はそう心に誓ってバッタボックスに入った。芦毛先輩はまだまだ気合が入っている。でも気合が入りすぎて力んでいるところを狙って打てば私だって打てるはず。狙いはストレート!
 シューーー
 来た!
 キーーン!
 やった、綺麗に芯でとらえた。打球は二遊間を抜けてセンター前に運んでいった。私の初ヒットだ。
由紀「ナイスバッティング!」
伊沢「配球読んで打ったな。ナイス!」
 ベンチから喜びの声が聞こえてくる。うれしい、ピッチャー以外でも貢献できた。後は後ろの人たちが打ってくれることを祈るだけ。
 次は一番に戻って米倉、三打席目に入った。そろそろタイミングも取れてきてるだろう。でも芦毛先輩も簡単には打たせてくれないだろう。
 シューーーズバン ストライクワン!
 ストレートが外角高めギリギリに入った。あれを打つのはむずかしそうだ。米倉は何を待っているのだろうか。
 グググッ
 今度は遅いカーブ。
 キーーン!
 良い音を残してセンターへ。しかし、打球が上がりすぎてしまった。センターの池田先輩は風も考えながら落下地点についてガッチリとキャッチした。これでワンアウトとなった。おそらくカーブを打ったときにややボールの下をたたいてしまったのだろう。
 次は二番の沖田、この場面でどのようなバッティングをするのだろうか。そう考えているとベンチからサインが出た。…バント。送りバントのサインだ。ここで送れば三番の海鳳に回ってくる。おそらく確実に点を稼ぐための作戦だろう。私には「バントしたら走れ」という指示が出た。私は芦毛先輩が投げると同時にやや大きなリードを取った。
 シューーーコツン。
海鳳「上手い!」
池之宮「さすがだな。」
 バントしたボールは三塁線に絶妙な球が転がっていく、大成功だ。サードはそれをしっかりとって一塁に送球、沖田はアウトとなってツーアウト二塁となった。ここで回ってきたのは三番の海鳳だ。ここで海鳳に回ってきたのはものすごい強みになる。ここから三・四・五番と強力な打者が連続で続くことだ。しかも三人とも調子はよさそうなので敬遠なんてしたところで必ず一点は入る。だからピッチャーは逃げれない。おそらく芦毛先輩は真っ向から勝負してくるだろう。
海鳳「日高! 歩いて返すから俺に任せろ。」
 なんて挑発的なこと言っているのだ、海鳳は。それを言ってしまったら芦毛先輩が怒ってしまう。
芦毛「チッ。」
 芦毛先輩が鋭い目つきで私を見てくる、やっぱり怒ってる。しかも怒りの矛先が私にまで向けている。海鳳はどうするのだろうか。
 ググググ ズバーン! ストライクワン!
 芦毛先輩が完全にきれている。今まで見てきた中で一番のスクリューボールだ。あんなの普通は打てるはずがない。
 ググググ 
 芦毛先輩がまたスクリューを投げた。
 キーーーン!!!
 快音が響いた。私はその瞬間あることを忘れてしまってることに気がついた。あんなボールは普通は打てるはずがない。「普通」ならだ。けれども海鳳は「普通」ではない。あれは紛れも無く「超人」呼ぶべきか、いや、「天才」と呼ぶべきなのだろうか。とにかくこの人は「普通」ではなかった。
 打球はセンターとライトの間に落ちた。本当に私は歩いて帰ってこれた。その間にも海鳳は二塁ベースを蹴って三塁まで向かった。外野から返球が来たが、すでに海鳳は三塁ベースまで到達していた。三塁打だ。
由紀「ナイスバッティング!!」
伊沢「さすがだ!」
池之宮「まぁ普通だな。」
新天「池之宮、そこはほめてあげようよ。」
 すごい、今年の一年生はすごすぎる。私なんか周りがこの活躍だから埋もれてしまってる気がする。うれしいのやら悲しいのやら。
 そして次のバッターは池之宮だ。おそらく…まだまだ点は入るだろう。

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06.02
れなさんきゃら


キャラクター紹介
名前 新天 流戸(しんてん ると)
誕生日 9月20日
身長174cm 体重60kg
右投げ右打ち メインポジション サード

沖田・米倉と同じ地元の強豪チームの福一シニアに入っていた元四番打者。関東大会でベスト4まで行った実力者。身長は平均より少し高いが見た目や体格は子供っぽく見えてしまう。しかし、そこから放たれるスイングは一球品。さらに、見た目とギャップのあるクールな性格。何事にも努力は怠らない性格で野球だけでなく勉強などにも手を一切抜かない。始めのころは地元から遠い県で甲子園を目指そうとしたが、米倉の必死の誘いにより松江学園に入学することに。



今回はめお太さんに描いてもらいました!ありがとうございます!
めお太さんのpixivページ

だ、誰かブログでの絵を綺麗に表示させる方法を教えてください;;
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06.02
友亀「日高! 自信持って。バックには俺たちがいるぞ。」
 友亀は私に自信を持たせようと声をかけた。そうだ、私は今やるべきことをやるべきだ。相手を抑えること。早く投げたくて胸の鼓動が高鳴っていく。私は今、最高に。
 バシン! ストライクバッターアウト!
 最高に幸せ!
由紀「ナイスピッチング!」
 これでワンアウトを取って十連続三振。いつまでこの投球ができるか分からないけど、私は打たれてもまわりが守ってくれている。だから思い切り投げれる。それが今やるべきこと。
 次は二番の卜部先輩、いつもどおりに全力で投げれば抑えられる。大きく振りかぶって、投げる!
 シューーキン!
 おっつけて打った打球は強いゴロ、しかしファースト真正面で池之宮ががっちりとキャッチ、ベースを踏んでツーアウトとなった。
 初めて私の連続三振が途絶えた。しかも初球から打ってきた、やっぱり疲れてきたのだろうか、不安になりかけたとき、
池之宮「ナイスピッチャー。」
由紀「亜弓! 打たれてもちゃんと守ってみせるから後ろは任せて! がんばれ!」
 皆が声をかけてくれる。三振を取れなくて打たれてしまったのは悔しいけれどもヒットを打たれたわけではない。私はまだいける。
 次の打者は府中先輩だ。おそらく一番注意しなければならない打者だ。思いっきり投げて抑えなければ。
 シューーズバーン! ボール
 また初球が外れた。三回までは初球に外れることが無かったのに、球の勢いも衰えていないのに、構えたところから外れてしまう。もう一度思いっきり!
 シューーズバン! ボールツゥ
 また外れた。私はたぶん疲れている。腕が重くなってきてるわけではないし、疲れているというわけでもない。感覚では疲れていると感じ取れないが、意識で分かってしまう。疲れていても私は投げなければならない。でもストライクをいれなければ…。
友亀「日高、間違っても手を抜いて中途半端な球は投げるなよ。はずれてもいいから思い切りこい!」
 友亀は私の弱気な考えを見透かして釘を打ったかのように言った。そして投げて来いといわんばかりにどっしりと構えた。私はストレートしか投げていないのでおそらく先輩たちはタイミングが合ってきてる気がする。ストライクを入れようとすると甘い球になって確実に痛手を食らう。だから全力で投げれば仮にストライクになったとしたら、ストライクを取りにいった甘い球を投げるより確実に抑えられる。腹をくくるしかない。思い切り投げる! 先輩たちや自分の弱気な気持ちに、絶対負けてたまるものか。
 私は大きく振りかぶって、最初はリラックス…、投げる瞬間だけ思いっきり!
 シューーーーブンズバーン! ストライクワン!
 高めのストレートを空振りした。まだまだいける!
府中の心情「タイミングは合ってきた。けど、ボールの軌道が予想より上になってしまう。大胆に予測軌道を高めに意識すれば打てるか?」
 ワンストライク、ツーボール。一つストライクを取ったところで気持ちの余裕が少しだけできた。でも気を抜いてはいけない。思い切り投げれば大丈夫。構えてるところに。
 シューーー
 キン!
府中「っしゃあ、抜けろ!」
 内角低めに上手く決まったかと思った球は打たれ、打球は私の頭の上を通っていき、二遊間に。
米倉「うらっ」
 セカンドの米倉がジャンプする、がとどかずにセンター前に落ちる。
相手ベンチ「よっしゃああ!」
府中「うっし。」
 初めて、ヒットを打たれた。しかもいいところに決まったはずの球が。悔しくてたまらない。それに次は四番、きっと打たれて私は…。
由紀「だいじょーぶだよ!! 抑えられるよ! 頑張って!」
 由紀が声をかけてくれる。そうだ、まだ一回ヒットを打たれただけじゃないか。私が弱気になってどうするの。
 四番の中山先輩がバットをブンッブンッと二回思い切り素振りをして右バッターボックスに入った。当たると遠くまで飛ばしそうで怖い。けど当たらなければどうってことない。思いっきり投げることが私の仕事。けれどもランナーが一塁にいるのでセットポジションで投げなければならない。しかもランナーを気にすることも必要だ。
卜部「セットはどうかな?」
 セットでも思い切り投げるだけだ。負けてたまるか。
 シューーズバン! ストライク!
 セットポジションから投げても球の勢いは衰えてない。これで心配は一つ消えた。あとは思い切り投げるだけ!
 シューーー
中山「らっ!」
 キィーーン!!
亜弓「あっ。」
 私は思わず声を上げた。打たれてしまった。快音とともに打球はレフトに飛んでいったが、上がりすぎていている。これはレフトフライになりそうだ。
由紀「あいよー。」
 すでに落下地点にたどりついた由紀はがっちりとボールをキャッチした。
アウト!
 これでスリーアウトチェンジとなった。
友亀「ナイスピッチング!」
由紀「オッケー、よく抑えたよ!」
海鳳「俺はもうちょっと奪三振ショーが見たかったな。」
 皆がほめてくれる。私のピッチングはよかったみたいだ。うれしい。
由紀「亜弓、腕疲れてない?」
亜弓「大丈夫だよ。まだまだ全力で投げれるよ。」
由紀「痛みとか本当に無いの? ずっと全力で投げていて。」
亜弓「本当に大丈夫だよ。」
 たしかに初回からあのように全力で飛ばしていたら心配はすると思う。でも本当に痛みはなく疲れてもいない。だから私は「大丈夫」としかいえない。
米倉「日高、この回トップバッターだぞ。」
亜弓「あ、ごめん。」
 私は急いで準備を始めた。

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