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02.23
「そうか…生き残りだったのか。」
 そういってザングは近くの椅子に座って大きくため息をついた。そしてニッコリと笑い、口を開いた。
「もしよかったら俺らのギルドに入らないか?」
 俺とカリーネは見合わせた。今まで旅を続けてきたがこんな話は今まで一度もない。しかし…ギルドに入って何かあるのだろうかというのもあった。
「俺たちのギルドは他のギルドともお話しながら活動しているところなんだ。その中なら怪物の情報なんてわんさか出てくると思うぞ。ずっと旅をしていて探すよりは、どこか一箇所に拠点みたいなのが欲しいだろ? だから俺たちのギルドを利用していいからな。」
 なんて上手い話なのだろうか。しかし何か裏もあるのではないかと慎重に考えるのが普通だ。そんなとき、よこからカリーネが口を開いた。
「ギルドに所属するということは私たちもギルドの仕事を手伝うものですよね。」
「まあな。だがギルドは自分でやりたい依頼を選んで仕事をするものだからな。ほら、そこに依頼リストがあるだろ? まあ早い者勝ちというのもあるが好きなものを選んで仕事をするもんだ。」
「そうなんですか。」
 隣でカリーネが納得している。でも…これは良い話なのだろうか。俺は半信半疑ながらもその話をしっかりと聞くことにした。
「まあ、おおきな仕事とかは手伝ってもらうがあまり自由は奪わないようにするさ。」
 そういわれると俺は考え込んでしまった。カリーネもまだ決め切れてない気持ちの様子だった。相手のザングも仲間たちとしっかり話している。俺たちがギルドに合うかどうかの相談をしているのだろう。俺は仕事内容をチラッとみた。採取もあれば手伝いもある。やはりギルドといえるような討伐の依頼まである。一応俺とカリーネも戦闘経験はある。しかしあまり好んで戦いたいというものではない。
「そうだ!」
 ザングがひとりおおきな声を出して立ち上がった。
「俺たちのギルドに入ったら、俺も怪物に関して協力するぞ。」
「ええっ!?」
 俺たちよりも後ろの三人が先に驚いた。まさか思いつきで言ったことなのではないのだろうか。
「本当ですか?」
「ああ、俺は手伝ってやる。興味があるしな。」
 そういって男は右手でこぶしをつくり、左手の手のひらに向けてパンと叩き、笑った。
「それなら…ギルドに入ってもいいよね? ねっ、アベル。」
「まあな。」
 そういって俺とカリーネが言うとザングは肩をポンと叩いて笑った。
「そうか。これからよろしくな! そういえば名前を聞いてなかったな。」
「ああ、俺はアベル・カルヴァートです。」
「私はカリーネ・ヒュランダルです。」
 私たちは改めて挨拶をしてこのギルドに所属することになった。
「悪いけどその話には俺はお断りだ。」
 後ろで片目が隠れるほどの髪をした男性が座って言った。
「おいおいジェヴェ、こんなに良いやつらが入ってくれるんだぞ?」
「おい、そこのアベルという奴、さっきの怪物を持っていたところは見たか?」
「見ましたよ。」
「俺たちは別の依頼で仕事している途中にアイツに襲われたんだ。怪物の中ではかなり弱い方だと資料には書いてあった記憶があるがアレは嘘だ。俺たち四人がかりでもかなり苦労したんだ。死ぬ可能性だってあった。あんな奴と戦うなんてもうゴメンだ。」
 そういって男は奥の扉に入ろうとした。俺はその言葉に苛立ちを覚えて叫んだ。
「俺たちは本気なんだ! 両親も連れて行かれ、町のほとんどの仲間が死んで!! そうすぐに逃げるやつをみるといらだつんだよ!!」
「アベル、無理に押し付けることはないの! 落ち着いて!」
「だったらだ、お前たちの実力を見せてもらえないか?」

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02.08

 ザングと名乗った男はどうやらカリーネの言葉にむしろ気を良くしたらしく、少し解釈を変えて笑った。

「そうだ、いい名前だろう!ピンと来たんだ」

 自慢げにきらきらと目を輝かせるザングは大柄な見た目とは裏腹に子供のように目をきらきらとさせている。
カリーネは何も答えない俺のかわりに楽しそうに笑って頷いた。

「ええ、ほんと!素敵!」

 ちらっとカリーネを見ると、カリーネも同じようにきらきらと瞳を輝かせている。
どうやら本当にカリーネはこのギルドの名前を可愛らしい、と思ったらしい。
女はやたらと星や花なんかが好きなものだし、カリーネはオリヒメと馬に名づけたりする辺り、乙女思考の持ち主なのだろう。

 俺がそっとため息をつくのと同時にザングは再び椅子に座りなおし、こちらを向いた。

「ところで本題に入ろうか。君らは外の張り紙をみてここに来たんだろう。用はなんだ?」

 ザングの言葉に、俺もすぐに本題を思い出し、頷いた。

「そうです。俺達、怪物について知りたいんです」

 そう言うと、ザングを含む四人は顔を見合わせて険しい顔をした。
そして何やら重苦しい空気でひそひそと話をした後、こちらに再び少し厳しい瞳をして振り返った。

「軽い気持ちで怪物に関わらないほうがいい。あいつらは興味なんかで関わっていい生温いもんじゃない」

 ザングの言葉に、俺ははっとするのと同時に少しむっとしてザングを睨んだ。
俺達は興味なんかで怪物に関わろうだなんて、絶対に思わない。
むしろ俺達だって関わらなくても良いのならそいつらと関わりたくなんてないのだ。
俺はぐっとこぶしを握り締めると興奮を抑え、低い声で言った。

「興味なんかじゃありません。俺達の村は怪物に襲われて壊滅し、たくさんの仲間が死にました。俺達は皆に助けられて生き延びてきたんです。
死んだ仲間とは別に、何人かは怪物に連れ去られました。俺たちはあいつらから仲間を・・・家族を取り戻したいんです。」

 俺が全てを吐き出した後、一瞬重い空気にギルド内が包まれ、驚いたように四人の目が見開かれた。
横で不安げにカリーネがこちらとザングを見比べている。

「・・・驚いたな」

 けれどしばらく続いた重い空気はザングのそんな言葉によって破られる。

「あいつらに襲われた村で生き残りが居るなんてことは滅多にないんだがな」

 そう、驚いた表情のまま言うザングは、どうやら本当に驚いているらしかった。



本日の文章は凍雲銀狼さんが書きました。
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01.13
「なんだ…これは?」
 俺はまじまじと張り紙を見た。仕事の手伝い? 一体何のことなんだろう。しかしそれは何のことだったのかはすぐにわかった。
「これって…さっきの怪物を捕まえていた人たちのことじゃない?」
 カリーネが俺よりも早く口にだした。そうだ、きっとそうに違いない。でも一つ疑問に思った。べつに大きい宿でもないしギルドがありそうな雰囲気もない。建て看板ぐらいあるはずだと思ってまわりを見渡したが、あるのはこの目の前にある張り紙だけだった。
「でもさ…本当にここでやってるのか?」
 俺とカリーネは見合わせて首をかしげた。しかし本当にここがギルドなら怪物に関しての情報はたくさんあるはずだ。それに俺たちが捜し求めているものが見つかるかもしれないじゃないか。これは良いものを見つけたかもしれない。その前にまず宿だ宿。
 カランカラン
 俺がドアを開けると低く渋いベルの音がなった。カウンター越しに紙に何か書いている白ヒゲをはやしたおじいさんと、若々しい女性が立っていた。
「いらっしゃいませ。」
 女性が丁寧な挨拶をした。俺は係の人かなと思い、女性の前に移動した。カウンターの上には宿泊内容が記入されていた。
「すみません。二人ご一泊予定なのですが。」
「お二人様ご一泊ですね。部屋はどちらになさいますか。ただ今この三つのお部屋が空いております。」
 俺はそのまま手続きを行った。部屋は日当たりの良い、202号室を選択した。間取りをみるだけでもなかなかの広い部屋だと思った。そして手続きを終えるとお金を出した。契約が終わると俺は先ほどのギルドに関しての話題を持ちかけた。
「すみません。この宿に張り紙が張ってあったのですが、ギルドってこちらでよろしいでしょうか?」
「はい。右手奥の階段を下りて、ドアを開ければギルドになっています。バーのような建物になってますが、間違っていないので。」
「ありがとうございます。」
 俺とカリーネは係の人から鍵を貰ってまず荷物を置くことにした。階段を登って二つ目のドアが俺たちの部屋だ。俺は荷物を置いてゆっくりとドアを開けた。そこは綺麗に整えられた部屋だった。
「おおー、こりゃいいな。安いのにすげぇや。」
「うんうん。あ、この花瓶いいわね。すごく丁寧に作られていて綺麗。」
 たしかに周りの装飾もすごく綺麗だった。木で囲まれた部屋と家具に、花瓶や鏡などもありとても落ち着いた部屋だ。方角的に朝起きたら日差しが入ってきそう。良い目覚めができそうだ。
「さて、ギルドのところに行きますか!」
「うん。ちょっと緊張するね。」
 俺とカリーネはゆっくりと階段を下りた。そして太陽の光がないやや暗いところにたどり着いた。
「よし、いくか。」
 俺はゆっくりと扉を開けた。扉を開けた先には個性豊かな4人が座っていた。
「お、予約の依頼人か?」
 かなり大きく、体つきの良い男性が立ち上がって近づいてきた。
「こんにちは…すみません、予約の人ではないです。」
「ん、見かけない顔だな。この町に最近来たばかりか?」
「はい、俺たち旅をしていて…。さきほど怪物を運んでいたのはあなたたちでしょうか?」
 するとその大男は何かがわかったかのようにフフンと笑って腕を組んだ。
「そうだ、俺たちだ。紹介が遅れたな。俺はザング・スミニオン、ここのリーダーだ。そしてここは…ギルド『ホワイトスピカ』だ。」
 ほ、ホワイトスピカか…。なんか少し…。
「それ…命名はあなたですか?」
 カリーネが先につっこんだ。
「無論!」
「なんか可愛らしい名前ですね。」
「そこは突っ込むな。」
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12.22
「あれ・・・は」

 俺はその生き物を見て目を見開いた。
その巨大な生き物がただの”動物”なんかじゃないことは一目見ればわかる。
男三人に捕らえられ、ぐったりとしているその巨大な爪と牙をもつ生き物は俺達の村を襲ったものに酷似していた。

「怪物・・・・。」

 オリヒメにまたがったまま俺と同じように呆然とするカリーネがぽつりと呟いた。
カリーネも俺と同じように昔村を襲った生き物とこの生き物が同じ怪物であることを理解したらしく、青い瞳をめいっぱい見開いて食い入るようにそれを見つめていた。

 しばらくざわつく人の群れに紛れながらその生き物が運ばれていく様子をカリーネと共に動けずに見つめていたのだが、運ばれるそれが自分の後ろを通り過ぎていったところでようやく金縛りがとけたように身体を動かす事ができるようになった。
あの事件があったのは随分昔のことだが、やはり心の奥底どこかで、恐れと怨みに近い怒りが眠っているらしかった。

「・・・・。」

 それはカリーネも同じことで、カリーネは通り過ぎていく怪物を目で追うこともせずにオリヒメに跨ったまま虚空を睨みつけていた。

「カリーネ。・・・おい、カリーネ大丈夫か?」

 俺は馬から下りながら、カリーネにそう声をかける。
しばらく反応がなかったが、2,3度呼びかけるとカリーネは俺の声にようやくはっとしてぎこちない動きでこちらを見た。
それからぱちぱちと数回目を瞬かせ、馬から下りて、こくんと頷く。
 怪物は、今あちこちで数を増やしているという話はよくきく。
だが、実際はなかなか目にすることはなくて、こうして怪物を見ることはあの時以来だったのだ。ショックを受けていても、無理はない。

「大丈夫だ、あいつはもう死んでただろ。それに今のでわかった。この町にいれば怪物の事を知る手立ては絶対あるって。」

 俺が少し気遣うように言うと、カリーネはじろりとこちらを睨みオリヒメを引きながら歩き出した。

「別に怖がってるわけじゃないわよ。ちょっとびっくりしただけ。それより早く宿を探そうよ。もうここ数日馬の上で硬いパンをかじってばっかりでうんざり!早く温かいご飯が食べたい!」

 カリーネはすっかりいつもの様子に戻ってぶうぶう言いながら先立って歩いていく。
俺はほっとため息をついてそのあとを追った。



「ここがよさそうだな」

 しばらく歩いたところで、あまり高くない宿を発見して、俺はそう呟いた。
馬ももちろん置いてくれるようだし、問題ないだろうとカリーネも納得して頷いた。
・・・そんな時、ふと宿屋の壁に貼り付けられている一枚の紙が目に飛び込んできた。

 ”探し人、お仕事のお手伝い、なんでもお受け致します。”

 それは、そんな文字を始めとするギルド紹介用の貼り紙だった。



本日の文章は凍雲銀狼さんが書きました。
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12.15
 パッカラパッカラ…
 馬の歩く音が朝の森にこだまする。俺は馬の上に乗りながら道具の手入れをしていた。もうすぐで町に到着する。けれども森の中だから、いつ何処で動物や怪物に襲われるかわからない。そのために剣の手入れはいつも念入りにしなければならない。俺は前にカリーネを行かせて壁にぶつからないようにし、剣を磨いていた。
「しっかり手綱掴んでおかないと、何かあった時にあぶないわよ。」
 カリーネが俺の隣に移動して手綱を掴む。しかしこの体勢はあぶない。
「おいおい、あぶないから。すぐ終わるから待ってろ。」
 そういって俺はすぐに剣をしまって手綱を掴んだ。馬はブルルッと声を出して首を振った。
「もうすこしで町に到着するんでしょ?」
 カリーネが地図を開きながら聞いてくる。
「ああ、もう少しなはず。森を抜ければ見えてくるはずだ。」
 森が抜けるところが見えてきた。近づくにつれて星の光が強くなっていく。俺は手をかざしながら森を抜けた。
「うわぁ、綺麗! そして大きいね!」
 カリーネが馬を止めて横から見る。レンガで出来た建物がたくさんある。そして大きな建物もいくつかある。ここが大規模14都市の一つ、レオードタウンか。俺はゆっくりと馬から下りた。
「よーしよし、お疲れジョイナー。もう一踏ん張りだぞ。」
 俺は自分の馬のジョイナーをなでた。栗毛の馬体はレスト(地球でいう太陽のような星)の光で金色に輝いていた。カリーネも馬から下りた。そしてポケットから馬用のご飯を取り出す。
「オリヒメ、ゆっくり食べるのよ。」
 オリヒメの白毛の体は白銀のように輝いていた。二頭の光が合わさって見えるのは、朝焼けに降る雪のようだった。オリヒメはブルブルと体を震わせている。暖かい日差しが俺たちを照らす。季節は春だが、まだ肌寒さは残っていた。
 パカラッパカラッ…
 5分ほど下り坂を進むと町の入り口になる看板が建ててあった。ここで食料の買い足しと宿で休み、今後の予定についてお話することだ。俺はゆっくりと歩き出し、まず馬をとどめることが出来る厩舎を探した。
「ねえ、先に宿を探したら? そこで荷物だけ先に置けば馬も楽になると思うし、その後探すときには荷物を全部持って歩かなきゃいけないから。」
「そうだな。先にその方法で行くか。」
 俺はカリーネの意見に賛成して、宿を探すことを最優先にすることにした。
「さぁいらっしゃい! 今日はオーライム海で取れたライム魚が大量だよ!」
「ホリン草が取れたてよー。今なら100ロインで一束だよ!」
 俺とカリーネは広々とした、しかし人でたくさんの道をゆっくり歩いていった。
「人が多いわね。」
「それだけにぎやかだってことさ。ついでにここは治安が良いからな。」
 ゆっくり歩いて行くと突如人だかりが出来、行く道をふさいでいた。
「何があるのかしら。ちょっと馬に乗って高くから見てみる。」
 そういってカリーネはオリヒメにまたがった。日差しで眩しいので手でかざして見ている。
「アベル、アレ見て!」
 やや大きな声になったカリーネの反応にすぐさま馬にまたがった。そこには三人が大きな生き物を捕らえて持ち帰っているところだった。

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プロフィール

reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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