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02.07
佐奈「おはよう…。」
真菜「おはよう。ずいぶんと寝たわね。」
 時刻は午前11時、昨日は世界大会の打ち上げがあった。私は20歳だったのでお酒を飲んだけれども見事にやられてしまった。
佐奈「飲みすぎかな。」
真菜「まあ、仕方ないわね。お酒の部分は似なかったようね。」
佐奈「ずるいよ。真菜姉だけお酒に強いって。」
 そういって真菜姉が用意してくれたご飯を食べ始めた。早めに作っていたらしく、ちょっぴり冷えていた。
アナウンサー「今日のスポーツは野球の世界大会です。先発は姉の椎葉真菜選手から始まり、後半は妹の椎葉佐奈選手で終わりました。二人とも一安打だけのすばらしいピッチングで優勝に貢献しました。」
佐奈「優勝…そんな実感初めてだったなぁ。」
真菜「そういえば佐奈は優勝の経験なかったわよね。」
佐奈「真菜姉がいるから優勝できないのよ!!」
真菜「はっはっは。」
佐奈「むー…。」
真菜「そう落ち込まないの。」
 そういって真菜姉はリビングから離れようとした。しかし、出る前に振り向いて私に声をかけてきた。
真菜「酔いはだいぶさめたでしょ? 食べ終わって準備できたらランニングいくわよ。」
佐奈「…わかった!」
 そういって私は丁度よくご飯を食べ終えて皿を片付けた。そして10分の小休憩を挟んで着替え、玄関まで移動した。
 ガチャッ
 真菜姉は相変わらず先にドアを開けた。私はそれについていくように出てストレッチを念入りにした後、真菜姉を追いかけるように走り始めた。
真菜「ちゃんとついてきてね。」
 真菜姉はそういって声をかける。私は置いてかれないようについていく。まだ同じように走るには体力不足。けれどもいつか追いついて秋の大会では真菜姉に勝って…。
 私の目標であり続ける真菜姉であってほしい。光り輝く夢を追い掛けるように…。

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02.06
 私は球場を後にして家へと戻ることにした。私は振り返って球場を見る。ここで姉と本気で戦えた。姉が本気になって、笑顔まで見せてくれたことが本当に嬉しかった。けれども…それと同時に悔しさも生まれた。あの時、こうしておけば…。もっと姉に追いつくようにランニングを増やしていたら…。どうだったのだろうか。どう考えてももうすでに終わってしまったことだ。もうやり直せない。あの時の野球はやっているときにしか味わえない。悔しくて…
真菜「佐奈、帰るよ。」
 私は声の聞こえたほうに顔をあげると真菜姉がいた。バッグをもって帰る支度をしていた。私は真菜姉に近づくと真菜姉は右手でグータッチのポーズをとった。
佐奈「それは…?」
真菜「お疲れ様の挨拶。すごかったよ。」
佐奈「お世辞はいいよ。」
真菜「お世辞じゃないよ。本当にすごいピッチングだった。正直私も腕が疲れたもの。」
 そんな話をしながら私は真菜姉にグータッチした。そして真菜姉が私の手を思いっきり握ろうとした。
佐奈「…あれ?」
 真菜姉の手からはいつもの力が感じられなかった。一生懸命に腕を握っているのだろうけれども力がない。それだけ腕を使い込んだみたいかもしれない。
真菜「苦戦したのよ。こんなに本気で投げれたのは久々よ。ありがとう。」
佐奈「…真菜姉。」
 私は真菜姉から涙を隠すように抱きついた。声を出さないように、泣きじゃくりをあげないように。真菜姉は私の頭をゆっくりと撫でていた。暖かかった。
真菜「その前に整骨院で腕のケアしてもらわないとね。」
佐奈「どこか怪我したの?」
真菜「明日も試合があるからよ。」
佐奈「むきーーー! 悔しい!!」
真菜「はっはっは、これは勝ったものだけの特権みたいなものよ。まあ佐奈もアイシングしなさい。疲れてるだろうから。」
佐奈「うん…。」
真菜「…その悔しさでいつか私を越えてみなさい。」
佐奈「絶対超えてみせるもん!」
真菜「そうとは言っても超えられないようにすごい選手になるようにするわ。」
 そういって笑いながら私たちは帰っていった。

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02.05
堀近「いくぞ、集合だ。」
 私は堀近さんの声に反応してホーム前に並んだ。けれども移動中、顔を上げることが出来なかった。涙を見せたくないというのもあったけれどもそれよりも姉に合わせる顔が無かった。頑張ったけれども…ヒット一本しか打てなかったのと私が点を取られた後にボロボロに打たれたから。悔しくて悔しくて…辛かった。
審判「礼!」
皆「したぁ!!」
 礼をすると大きな拍手が沸き起こった。それは相手に対しても私たちに対しても健闘を称えた拍手だった。それでも…まだ顔は上げられなかった。
真菜「佐奈。」
 私が戻ろうとすると後ろから真菜姉が声をかけてきた。私は立ち止まったが、振り返ることができなかった。
真菜「ナイスピッチング。今までの中で一番よかったよ。」
 そういって真菜姉は帽子を外している私の頭をゆっくりと撫でてきた。私はすこし嬉しかったけれども気にもさわった。負けた相手にこんなこと…しかも妹に向かってなんて…。私はどうせ無表情のまま言っているのだろうと思って振り返った。
佐奈「…ぁ。」
 真菜姉はにっこりと笑っていた。何年かぶりに見る満面の笑顔だった。やさしくて…暖かくて包まれるような姉の姿がそこにいた。私はすこし笑顔を見せてベンチへと戻っていった。私は…頑張れたのだろうか。

堀近「今回は負けたが、まだ秋がある。最後まで諦めず、次こそは優勝するぞ!」
皆「おう!」
 私は挨拶が終わるとすぐにバッグを持って、帰ろうとした。ここにいるのが気まずいから。
堀近「椎葉! ナイスピッチングだったぞ。次こそ絶対に勝とうな。」
 その声に私は立ち止まって振り返った。そこには笑っている皆の姿があった。私は右手をグーにして腕を頭の位置まで上げた。ガッツポーズではないけれども、やってみせるのポーズをとった。まだ…私は頑張れそう。

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02.04
 私はホームランを打たれたところを見ていた。なんで…芯を外したはずなのにあそこまでとばされた…。相手のパワーが勝っていたのだろうか。それとも私の力がもう使い切ってしまったのだろうか。
真菜「よし…よし!」
 私は声の聞こえる方を向いて、真菜姉がベンチ内で立ち上がってガッツポーズをとったのを見た。私はそれを見ると同時に座り込んでしまった。もう負けた。姉から点が取れるはずがない。もうどんなことを考えても同点にするための力はこっちに残っていない。もう…ダメだ。
堀近「椎葉、まだ諦めるな!!」
 私は座ったまま堀近さんのほうを向いた。後ろでは雨宮さんがベースを踏んでいた。0対1、たった一点だけれども、とてつもなく大きい一点が入ってしまった。
堀近「大丈夫だ、俺たちが何とかする。」
 わずかな可能性に今はかけるしかない。でも…これ以上私も投げるのはかなり辛い…。
橘田「最後まで諦めるな!」
野本「お前なら他も抑えられる!!」
 周りから大きな声が聞こえてくる。味方スタンドからも大きな声が聞こえてきた。頑張れ、まだいける。私はそんな周りの声を聞いてようやく立ち上がった。まだ私にはこのチームで投げきるという仕事を果たしていない。先輩たちのためにも…最後まで投げきらないと。……思いっきり!!!

 何球…投げただろうか。ベンチで座りながら投球を振り返った。ベンチの皆は一生懸命応援している。もう九回、ツーアウト。あの後は誰も塁にでれずにいた。しかも私たちの守りでは…点は取られていないものの、満塁、満塁と続いていった。それでも最後まで投げきれた。こんなに投げても、抑えても、勝てない相手はそこにいた…。それもその相手は…。
 バシーーン!!!
 ストライクバッターアウト!!
 ゲームセット!!!
真菜「しゃああ!!」
 私の姉、椎葉真菜だった。

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02.03
堀近「…すまん。」
 私は堀近さんの声を聞いてゆっくりと立ち上がった。そろそろ足にも疲れがきた。立ち上がるだけで足に大きな負担をかけていることがわかる。でも…こうであっても投げきらなきゃいけない。それが私の役目だから。
佐奈「堀近さん…。ブルペンで受けてもらったとき、私は堀近さんがいる間に必ず神宮大会で優勝させてみせますと言いましたよね。」
堀近「ああ。」
佐奈「まだ諦めてないですからね。後続が絶対に打ってくれると信じてます。」
 私はマウンドに歩いていった。もうほとんど後が無いのは確か。しかし最後までやってみなければわからない。真菜姉だって相当きているはず。もう一踏ん張り、私の体がもつことを祈って投げるしかない。
真菜「雨宮、必ず打ってきて。私も正直辛い。」
雨宮「かなり汗かいてるな…。わかった、ここで打って楽にしてやるぜ。」
真菜「たのむね。」
 投球練習が終わって八回の表の攻撃になった。バッターボックスには四番の雨宮さんが立っている。ここが一番の正念場、絶対に打たせない。
堀近「良い気合の入り方だ。燃料を使い切るつもりだな…。それならそれに答えて俺は最大限のリードをするだけ!」
 まずはフォークボール。内角低めのストライクゾーンギリギリに!
 シュゴオオ
雨宮「(落ち着いて…冷静に!)」
 ストーーン バシーン!!!
 ストライクワン!
雨宮「(アレがストライクゾーンか!)」
堀近「(よし、これは大きい。)」
 最初のフォークボールがストライクゾーンに入った。一つストライク取るのにもかなり苦労する。ストライクゾーンが小さく見える錯覚もするけれども…あのミットだけ見ていれば大丈夫。堀近さんが受けるミットだから!
 シュッ
 シュゴオオオオオオ
堀近「(内角低めの良いコース、さっきと同じなら打ったとしても抑えられる!)」
雨宮「(これしかねえ。ここで行かなきゃ勝てない!!)」
 ギィイイイン!!
佐奈「(打球は!?)」
堀近「ライト!!!(たのむ、とってくれ!)」
雨宮「いけえええ!!(振りぬけたがあたりは芯じゃねぇ、でも行くなら行ってくれ!!)」
 打球はライト後方へと伸びていく。でも勢いも殺していけてる…。これなら取れるはず!!
高坂「とどけええええ!!」
 高坂さんが飛びつく。とって!!!


 ポーーン


スタンド「わあああああ!!!」
雨宮「っし!!」
 ライトスタンドギリギリに…ボールが高々と跳ね上がった。

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reser42

Author:reser42
自作小説などいろいろつぶやいていきます

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